遺言が必要な状況は、相続に関する希望を明確にしておきたい場合や、家族や相続人の間でトラブルを避けたい場合など、さまざまなケースが考えられます。遺言があると、被相続人(亡くなった方)の意思を確実に反映でき、法的な混乱や不和を避ける手助けになります。
以下に、遺言が必要となる代表的なケースとその理由を説明します。
1. 相続人以外に財産を残したい場合
法律で定められた「法定相続人」以外に財産を分け与えたい場合は、遺言が必要です。法定相続人は、通常は配偶者や子供、親などの近親者ですが、以下のような場合、遺言がなければその希望は実現しません。
- 内縁の配偶者に財産を残したい場合
- 友人や長年世話になった人、ボランティア団体などに財産を遺贈したい場合
- 遠縁の親戚に特定の財産を残したい場合
2. 法定相続分とは異なる分割をしたい場合
法定相続では、相続人間の財産分配が法律で定められていますが、遺言があれば、それに従って自由に分割方法を指定できます。
- 特定の相続人に多くの財産を与えたい場合(例えば、親の世話をしてくれた子供に多く渡したいなど)
- 逆に、特定の相続人に相続分を少なくしたい場合
- 特定の財産(家や土地など)を特定の相続人に与えたい場合
3. 相続人間でのトラブルを避けたい場合
遺産分割を巡る相続人同士の争いを防ぐために、遺言によって事前に分割方法を明確にしておくことが重要です。
- 遺言がない場合、相続人間での遺産分割協議が必要で、それが原因で争いが生じることがあります。特に財産が複雑な場合や不動産が絡む場合はトラブルが起こりやすくなります。
4. 事業の承継を考慮している場合
家業や会社など、事業を誰かに引き継ぎたい場合も遺言が重要です。
- 特定の相続人に会社の株式や事業資産を引き継がせたい場合、遺言によって明確に意思を示す必要があります。そうでなければ、遺産分割の際に会社が分割される可能性があり、事業の継続に支障をきたすことがあります。
5. 法定相続人が複数の配偶者や家族にまたがっている場合
再婚などにより、複数の家族が存在する場合、それぞれの家族間での財産分割が複雑になることがあります。このようなケースでは、遺言で分割方法を明確にしておくことで、トラブルを避けることができます。
- 前妻や後妻、異母兄弟などにまたがって相続が発生する場合、遺言がないと法定相続分に基づく分割がされますが、これは意図しない結果を招くことがあります。
6. 特定の財産の処分を指示したい場合
遺産の中に特定の不動産、骨董品、株式など、処分方法を明確にしておきたい財産がある場合、遺言でその処分方法を指示しておくことが有効です。
- 不動産を売却して現金で分配するのか、誰かに相続させるのかを明記しておかないと、相続人間で協議がまとまらない可能性があります。
7. 相続人が未成年の場合
相続人が未成年者である場合、遺言で後見人を指名しておくことが可能です。
- 親が亡くなった後、未成年の子供を誰が育てるのかという問題が発生するため、遺言で後見人を指定しておくと安心です。
8. 相続人に障がいがある、または援助が必要な場合
相続人が障がいや病気などの理由で特別な援助を必要とする場合、遺言でその相続人に対して配慮を示すことができます。
- 財産を信託する、生活費として定期的に支払われるようにするなど、遺言を活用して具体的な指示を行うことができます。
9. 遺言執行者を指定したい場合
遺言に基づく手続きを確実に実行してもらうため、遺言執行者を指定することができます。遺言執行者は、遺言に記載された内容を実際に実行する役割を持つ人です。
- 遺言があっても執行がスムーズに進まないケースがあるため、信頼できる人(弁護士、司法書士、相続人の中で特に適任の人など)を指定しておくことが重要です。
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