念願のマイホームを購入した、住宅ローンの支払いが難しくなって自宅を売却せざるを得なくなった、投資用物件としてアパートの購入を考えているなど不動産登記が必要な場面に出くわすこともあるかと思います。
不動産登記はどのような場面で行うものであり、またどのようにして行うのか、司法書士がどのように役立つのか、以下で具体的にご説明します。
1.不動産登記が必要な場面とは?
一般の方にとって、不動産登記をする機会というのはそれほど多いものではありません。
個人の方が不動産登記をする場面というのは、だいたい以下のケースです。
- 住宅ローンを完済したとき
- 住所や姓が変わったとき
- 不動産の売買をしたとき
- 不動産を贈与したとき
- 不動産を相続したとき
相続の場合の問題については、別のページで詳しくご説明するので、ここでは①~④の場合の不動産登記をご紹介したいと思います。
① 住宅ローンを完済したとき(担保権抹消登記)
まず、住宅ローンを完済したときには、担保権の抹消登記が必要です。いわゆる、抵当権抹消登記を行います。
住宅ローンを組むときには、住宅ローンを借入した銀行や保証会社によって、土地や建物に「抵当権」が設定されます。抵当権とは不動産を担保に入れることで、約束通りに住宅ローンを支払わなかったときには抵当権に基づいて家を競売にかけられてしまいます。
そして抵当権を設定したときには、その旨の登記が行われます。
そこで、住宅ローンを完済したら、今度はその抵当権を抹消する登記をする必要が出てくるのです。
この抹消登記はご自身ですることもできますが、自分で手続きをするのは手間がかかりますし、書類が間違っている、足りないなどがあるとその都度法務局に行かなければならないデメリットがあります。
確実に迅速に手続きをするためには、是非司法書士に依頼されることをおすすめします。
② 住所や姓が変わったとき(登記名義人住所変更登記・登記名義人氏名変更登記)
不動産登記が必要になる場面の2つ目は、引っ越しで住所が変わったり、結婚や離婚で姓が変わったりしたときです。
このような場合、不動産の所有者の名義の表記を書き換える必要があります。戸籍謄本や住民票などの資料を添えて、法務局で必要な申請をしていくことになります。
この手続きも、ご自身ですることもできますが、司法書士に依頼した方が楽ですし、迅速確実に手続きができるのでメリットがあります。
③ 不動産売買をしたとき(所有権移転登記)
不動産売買の際にも、不動産登記が必要です。この時には、不動産の所有権移転登記をする必要があります。
売却をした人と購入をした人、双方からの登記の申請となります。
購入した人からすると、不動産を購入しても、登記申請をしないと不動産の名義が前の所有者のままになってしまうので、他の人に、自分が購入したことを主張することができません。
そこで、不動産を購入すると、代金の支払いと同時に所有権移転登記をするのが通常です。
売買の対価を支払っているのにいつまでも不動産が売主のままの名義では大変なことです。
この手続きは、確実に早く処理をする必要があります。
また、住宅ローンを組んで不動産を購入する場合には、銀行を債権者として抵当権の設定登記も同時にしなければなりません。このような場合には、登記の専門家である司法書士の代理関与が必須となってきます。
また、不動産売買をするときの売主と買主は利害が対立しますが、このような利害対立が起きるケースでの所有権移転登記には、中立な第三者としての司法書士を介することで安心して取引ができます。
④ 不動産を贈与したとき(所有権移転登記)
不動産登記が必要になる4つ目のケースとして、不動産を贈与したときが挙げられます。
最近では、相続税の基礎控除が引き下げられたことなどもあって、生前贈与が注目されています。特に、配偶者間では居住用の不動産を贈与する場合、贈与税が大幅に控除されるのでメリットが大きいとして、配偶者間で生前贈与する事例が増えています。
また、再婚した人や内縁関係の人などで、前妻の妻との間に子どもがいる人もいます。
この場合、そのまま放っておくと、前妻の子どもが自宅の相続人になって、今の妻に対して家の相続権を主張してくる可能性もあります。
そこで、生前に妻に家を贈与しておくことにより、相続トラブルを防ぐことができます。
ただ、贈与を行ったら、不動産の所有者が変わるので、所有権の移転登記をしなければなりません。たとえば、夫から妻に不動産を贈与する場合には、夫の名義から妻の名義へと変更する必要があります。
贈与にもとづく所有権の移転登記も、売買と同様、確実に早期に行う必要性があります。
また、生前贈与にはメリットもデメリットもありますし、いろいろな方法があります。そこで、そもそも効果的な生前贈与としてどのような手段があるのか、本当に自分のケースで生前贈与によって利益を得られるのかなど、実際に贈与を行う前に専門家に確認しておく必要があります。
贈与の場合にも、売買の際と同様に贈与者と受贈者の利害が対立するため、中立の立場の司法書士を入れていると安心です。
以上のように、不動産登記を行うとき、各場面において司法書士は心強い存在となります。
今後、不動産登記を行うときには、是非とも当事務所にご相談ください。