信託の種類及び成年後見制度との比較について

信託とは

信託とは、委託者が信託契約や遺言によって、委託者が信頼できる人に対して、不動産や株式、金銭等の財産を移転し、受託者は信託目的に従って受益者のために信託財産の管理や処分等をする制度のことです。

具体的に信託には大きく分けて民事信託と商事信託の2つがあり、民事信託のうち登場人物が家族(親族等)である信託が一般的に家族信託と呼ばれています。

 

商事信託と民事信託の違い

商事信託(営業信託)

  • 信託銀行や信託会社などの免許業者が受託者となる
  • 資産の運用や投資、財産管理、その他の事業を商業的な取引を目的として行うもの
  • 商事信託は信託を業として反復継続的に行いますので、受託者になるためには信託業の免許は届出が必要となります。
  • 商品によっては、高額な報酬を実費を支払う必要がある。

 

民事信託(非営業信託、家族信託)

  • 家族や親族、同族会社などは受託者となる
  • 主に家族観などで財産の管理や移転を目的として行うもので商取引が目的ではない信託
  • 民事信託は反復継続的に行うものでなく、不特定多数の委託者を予定していない場合には信託業の対象にはならないと言われています
  • 無報酬が原則であるが、契約者同士で自由に決められる。

 

信託活用のメリットと成年後見制度との比較について

◎家族信託を活用するメリット

  1. 当事者の契約により完結することができ、家庭裁判所などの介入がない
  2. 任意後見と同様、自身が託したい・任せたい相手に確実に管理を任せられる
  3. 未成年・障害者など契約能力のない人のためにも導入できる
  4. 予期せぬ報酬が発生しない
  5. 遺言と違い、2次相続・3次相続と何段階にもわたって遺産の承継先が指定できる
    ※但し、法律上信託設定時から30年
  6. 信託財産の対象が、不動産に限らず、生命保険・投資商品の購入など幅広く対応できる
  7. 相続発生後も財産管理を引き続き継続でき、遺言執行や遺産分割の手間を省略できる
  8. 信託報酬は自由に設定できる

 

◎成年後見制度での限界

  1. 家庭裁判所への報告義務の負担がある
  2. 判断能力の欠如が要件であり、身体障害者、健常者などのために利用できない
  3. 法定後見の場合、親族間に争いがあるとき、その他事情により家庭裁判所の審判により第三者後見になる
  4. 後見人報酬は家庭裁判所が決めるために自由に設定できない
  5. 遺言を書けない子が被後見人となった場合、2次相続以降(子自身の死亡後)の資産の承継先は指定できない
  6. 生前贈与は相続税対策ができない
  7. 遺言を残さずに親が死亡した場合、相続人の中に判断能力のない人がいる場合には、成年後見人を就けて遺産分割協議に参加させる必要がある。

◎家族信託と後見制度との比較

  家族信託 法定後見 任意後見
効力発生時期 信託契約の定めによる 家庭裁判所による後見開始審判確定後 家庭裁判所による任意後見監督人を選任審判確定後

本人の事理弁識能力の程度(判断能力など)

十分にある

欠けている場合(後見)

著しく不十分な場合(保佐)

不十分な場合(補助)

十分にある

(程度によっては、不十分である場合でも可)

受託者・後見人等の選任方法 本人が決める 家庭裁判所が選任 本人が決める
財産管理の対象財産 信託行為の定めによる     全財産 任意後見契約の定めによる
財産管理の権限 信託行為の定めによる 後見人などが包括的代理権及び取消権を有する 任意後見契約の定めにより任意後人が代理権を有するが、取消権はない
他人のための財産の利用 信託行為の定めによる 基本的に不可 任意後見契約の定めによる
身上監護権     なし     あり     あり
  • 家族信託は信託契約の定めにより、契約行為により効力が発生するので当事者間で直ちに効力を発生させることも可能です。これに対し、後見制度については本人の判断能力の低下により家庭裁判所の審判が確定して初めて効力が発生するので、ある程度の時間がかかり、その間に財産が流失する可能性はあります。
  • 家族信託及び任意後見制度は契約行為であるために、本人の判断能力は求められます。
  • 家族信託及び任意後見制度では財産管理の対象を契約内容により定めることができるために、特定の財産を対象から外すことも可能です。しかしながら、法定後見制度は全財産が対象となり、特定の財産を対象から外すことなどはできません。
  • 孫に対しての教育資金の贈与など他人のための財産の利用について、家族信託及び任意後見制度では契約に定めることにより可能となります。これに対し、法定後見制度では後見人は本人の財産の維持に努めなければならないために、他人のために財産を利用することはできません。
  • 後見人は、家庭裁判所から付与された権限(代理権や取消権など)を用いて、本人の財産管理や身上保護に関する事務を行います。これにより、後見人は本人の金銭管理を行ったり、本人の施設入所・入退院の手続、介護保険サービスの申請や契約等の手続きなど、様々な諸手続や手配などを本人に代わって行うことができます。これに対して、家族信託では身上監護権はないために、施設入所・入退院の手続などを行うことはできません。

尚、家族信託という言葉自体は、特に法律で記載されている単語ではなく、信託法にも家族信託という言葉は出てきておりません。

※家族信託という言葉は、現在一般社団法人家族信託普及協会が商標登録しているものです。

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