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相続関係説明図とは?
相続関係説明図とは、その言葉のとおり、被相続人の相続関係を図式化して一覧表示した書面をいいます。
わかりやすく言うと家系図のようなものになります。
相続関係説明図はどうやって作成するの?
相続関係説明図には記載事項や書式について特に決まりはありません。つまり、作成者によって記載事項に多少の違いが出てきます。
ただ、一般的には、被相続人を中心として、そこから配偶者、子、もしくは親や兄弟等、相続人にあたる人物関係を記載していきます。
この記載は、戸籍謄本や除籍謄本をもとに相続関係を正確に把握して作成していきます。
どのような場合に必要なのか?
相続関係説明図は、被相続人の相続関係を表したものですので、あらゆる相続手続きにおいて必要となってきます。
例えば、
- 相続登記手続き
- 相続放棄手続き
- 銀行等の手続き
- 相続税の申告手続き
必ずしも必須な場合がすべてではありませんが、第三者たる各種機関が、素早く相続人を把握するために一覧図表記された相続関係説明図は、とても有用なものとなります。
法定相続情報とは?
一方、「法定相続情報」という言葉を聞かれたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
法定相続情報とは、法定相続情報証明制度という平成29年5月29日にはじまった新しい制度で法務局によって作成される証明情報であり、被相続人の相続関係を表している書類になります。
ここで、「あれ?相続関係説明図と同じ書類では?」と疑問がわくかと思います。
そうなんです、「相続関係説明図」も「法定相続情報」もいずれも「被相続人の相続関係を表している書類」という点では同じ書類になります。
相続関係説明図と法定相続情報の違い
では、両者は一体どこが違うのでしょうか。
【作成者の違い】
そもそも法定相続証明情報制度は、各種相続手続きにおいて毎度大量の戸籍等の提出をするのは、提出者のコストや手間も膨大であるし、その戸籍等を全て確認する受け手側にとっての労力も膨大であるから、法務局にて一度戸籍等で相続関係を確認し、それがきちんと正確に「相続関係情報」として一覧図にて記載されていれば、以後、その記載内容でもって相続関係を間違いのないものと扱ってよいとして、手続きの簡素化を図ったものです。
よって、法定相続証明情報は法務局によって「認証」がなられた公的な書類ということになります。
一方、相続関係説明図の作成は、一般民間人が行います。専門家である場合もあれば、ご相続人の方自身で作成する場合もあるのです。
【記載内容の違い】
- 法定相続証明情報一覧図には既に亡くなっている方の記載はされない
(例えば、被相続人が母であって配偶者の父が既に他界していた場合には、父の記載はされない) - 法定相続証明情報一覧図には廃除を受けた相続人の記載はされない
- 法定相続証明情報一覧図には遺産分割や相続放棄等の記載はされない
- 法定相続証明情報一覧図には数次相続の場合には次の相続は記載されない
法定相続証明情報は、あくまで、現在の相続人が誰であるのか、その相続関係をなるべく簡素にわかりやすく記載する一覧図となるので、記載事項に制限があるのです。
一方、相続関係説明図には、上記のとおり記載事項に制限はありません。
既に他界している父も記載するのが一般的ですし、本来の相続人は全て記載し、遺産分割によって相続分がなくなれば、遺産分割の旨を、相続放棄によって相続しないこととなった場合には、放棄の旨を記載していくのが一般的となります。
相続関係全体を把握するには、むしろ完全に簡素化された相続関係情報制度を利用するよりも、全てを一覧表記していく「相続関係説明図」の方が適している場合も多いのです。
【利用方法の違い】
相続関係情報の一覧図は、すでに記載したとおり、法務局にてその内容を確認されており、法務局の認証がついた公的書類になりますので、基本的には各相続手続きで「戸籍等」が要求される場合に、戸籍等一式の提出に代えて、法定相続情報のみを提出すれば足ります。
一方、相続関係説明図は、一般の方が作成する書類になりますので、書類の内容を証明するために戸籍等一式も併せて提出することになります。
相続関係情報の一覧図は、法務局にてその写しを何通も取得できますので(費用は無料です)、銀行や証券会社、登記用等、多数の機関で利用されたい場合には、大変便利な制度になります。
法定相続情報一覧図の申し出方法・必要書類は?
◎申し出方法
必要書類の収集
法定相続情報一覧図の作成申し出には、まずは法務局にて相続人関係を確認してもらうために、被相続人および相続人の戸籍一式の取得・提出が必要となってきます。
必ず必要となる書類
①被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本一式
②被相続人の最後の住所地での住民票の除票
③相続人の戸籍謄本
④申出人の身分証明書(免許証、マイナンバーカード等)
場合によって必要となる書類
⑤各相続人の住民票
⇒法定相続情報一覧図の相続人表記に住所も掲載希望の場合
⑥委任状
⇒代理人によって申し出をしたい場合
法定相続情報一覧図の作成
必要な戸籍等が収集でき、相続関係が明らかとなったら、次に一覧図を作成します。戸籍等を提出すれば、法務局が自動的に一覧図を作成してくれるという制度ではありません。
ご自身で一覧図を作成し、法務局がその一覧図に間違いない旨を確認した認証をつけてくれる制度なのです。
一覧図のひな形は、法務局のホームページに多数掲載されているので参考にされてみてください。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
申出書の記入、申出書の提出
必要書類が整い、一覧図も作成できましたら、申出書に必要事項を記載し、実際に法務局へ提出します。
申出書は、同じく法務局のホームページからダウンロードできます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001224881.docx
提出先
申し出は、以下の地を管轄する法務局のいずれでも構いません。
(1)被相続人の本籍地
(2)被相続人の最後の住所地
(3)申出人の住所地
(4)被相続人名義の不動産の所在地
提出方法
窓口へ持参しても郵送で提出してもどちらでも構いません。
一覧図の交付請求
法務局での確認作業が終わると一覧図の交付を受けることができます。
後日、追加で必要となった場合でも、一覧図は申し出の翌日から5年間保存されますので、この間であれば再交付を受けることができます。
相続証明情報制度は、書類提出の簡略化を図った制度であり、提出先が多岐にわたる場合には非常に有用な制度です。
但し、ご相続人の中に外国籍の方がいらっしゃる場合には作成ができない、といった制限も一部ございます。
当事務所では、戸籍収集のサポートから、当該相続証明情報作成申し出の代行までトータルでお手伝い致します。
ご検討されていらっしゃいましたら、是非ご相談ください。