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競売物件の購入方法
競売物件を落札すると、裁判所より指定された代金支払期日までに代金を納付することで、裁判所書記官から法務局に所有権移転登記などの手続きが嘱託され、ご自身の名義の不動産となります。
競売物件の代金支払については、一括納付とされているために、自己資金を調達しなければならず、個人の競売物件の入札参加は難しいものとなっていました。しかしながら、民事執行法82条2項の制定により、競売物件に対してもローンを組むことは可能となっています。
従来であれば、代金を納付してから所有権移転登記がなされるまでには一定の時間が必要となる競売物件には、金融機関の担保設定ができず、金融機関も競売物件のローンには消極的でした。
しかしこの制度を利用することで、代金納付と同時に担保設定が可能となり、ローンでの購入もしやすいものとなっています。
競売物件のローン購入の流れ
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①落札⇒②残代金の納付⇒③裁判所書記官による登記嘱託(所有権移転・抵当権抹消等)⇒④法務局⇒⑤登記完了 |
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①落札⇒②ローン制度利用の申出⇒③残代金の納付⇒④裁判所書記官による登記嘱託(所有権移転・抵当権抹消等)⇒⑤ローン設定(司法書士又は弁護士)⇒⑥法務局⇒⑦登記完了 |
ローン制度の利用の有無を問わず、落札することは勿論大前提となりますが、ローン制度を利用する場合には、②の残代金の納付の前に、買受人と金融機関が共同で、ローン制度の申出書(民事執行法82条2項に基づく申出書)を提出しておくことが必要です。
具体的には、まず競売物件を購入することが決まったら、金融機関に融資の相談をしてください。
金融機関を買受人との間で競売物件についてローンを設定する契約が成立したら、残代金の納付日の5営業日前までに「民事執行法82条2項の規定による申出書」や「指定書」その他必要書類を裁判所に提出します。※提出期限は、裁判所により異なるケースもありますので、事前に確認しておくことも大切です。
この申出書は、金融機関と買受人が連名で作成する必要があります。「申出書」や「指定書」を提出しておくことで、所有権移転等の登記とローン設定登記を同時に、買受人と金融機関が指定する司法書士を使用することができます。
代金納付が完了すると、裁判所は、登記に必要な登記嘱託書を、事前の指定書によって指定された司法書士に対して交付しますので、司法書士は、登記嘱託書とローン設定の登記申請を同時に法務局に提出することで、同日に所有権移転とローン設定を行うことができます。
<ローン制度利用の際の主な必要書類>
- 民事執行82条2項の規定による申出書
- 不動産登記事項証明書(発行後1週間以内程度)
- 資格証明書(法人の場合)又は住民票(個人の場合)
- 固定資産評価証明書
- (根)抵当権者(融資をする金融機関等)の資格証明書
- (根)抵当権設定契約書の写し
- 指定書
- 買受人の印鑑証明書
ローン制度利用の際の注意点
- 競売物件に融資してくれる金融機関との交渉が事前に必要
全ての金融機関が、競売物件の融資に前向きとは限りませんし、融資の審査にも相応の時間がかかります。競売物件には代金納付期限も定められていますので、余裕をもって交渉にあたることも大切です。
- 融資が決まっても、代金納付予定日の前に裁判所に手続きが必要
融資が無事決まっても、ローン利用制度を利用する旨は、事前に裁判所に申出する必要があります。
必要書類も決められておりますので、裁判所や金融機関と調整しながら、速やかに進めていくことが大切です。
競売物件の購入でローン制度の利用を検討されている方、手続きでお困りの方などは、当事務所にご相談ください。
金融機関や裁判所との調整なども、一緒にさせて頂くこともできますので、お気軽にご連絡ください。