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「遺贈」と「遺言」の違い

2025-03-07

「遺贈(いぞう)」と「遺言(いごん)」は、相続に関する重要な概念ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

遺言(いごん・ゆいごん)

遺言とは、自分の財産を誰にどのように残したいか、生前に意思を示しておくための手段です。遺言がなくても相続人全員の話し合いによって遺産の分け方を決めることができますが、相続人全員の話が纏まらなかったり、自身の意思に沿わない分け方になってしまう懸念もあります。

通常、遺言は主に次の2つの方式で作成されます。

  1. 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

    • 本人が全文(財産目録は除く)を手書きで作成する遺言。
    • 2020年から法務局での保管制度が開始された自筆証書遺言書保管制度も利用できる。
  2. 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

    • 公証人が作成し、公証役場で保管され紛失や盗難のリスクが低い。
    • 内容については事前に公証人の確認もあり、もっとも安全で確実な方法。

遺贈(いぞう)

遺贈とは、遺言によって特定の人や団体(相続人以外も含む)に財産を譲ることを指します。

例えば、「友人に1,000万円を渡す」「特定の団体に土地を寄付する」といった内容です。

遺贈には以下の種類があります。

  • 特定遺贈:特定の財産を指定して渡す(例:Aさんに○○の土地を遺贈する)。
  • 包括遺贈:財産の一定割合を渡す(例:Bさんに遺産の1/3を遺贈する)。

遺贈を行うには遺言の作成が必須なので、遺言がない場合は遺贈も成立しません。


遺贈と相続の違い

  • 相続:法律で定められた相続人が財産を承継すること。遺言がなくても発生する。
  • 遺贈:遺言によって特定の人に財産を譲ること。相続人でなくても受け取れる。

遺言書を適切に作成することで、希望どおりの遺贈を実現できます。

ご自身やご家族の事情に応じて、専門家に相談すると安心です。

ご質問や具体的なケースについての相談があれば、お気軽にご連絡ください。

初回相談費用見積は無料で承っております。

おひとりさまの方の死後手続き(死後事務委任契約)

2025-02-26

死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後の手続きを、生前に特定の人(受任者)に委任する契約です。

通常、相続人がいない方(おひとりさま)、遠方に住んでいる方、家族に負担をかけたくない方が利用します。


死後事務委任契約で依頼できる主な手続き

死亡届の提出(市区町村役場へ提出)

葬儀・火葬・納骨の手配

医療費・入院費の精算

公共料金・携帯電話の解約

賃貸借契約の解約、部屋の片付け(原状回復)

クレジットカードやSNSアカウントの解約

遺品整理・供養

役所関連の手続き(年金・健康保険の手続きなど)

💡 注意:相続に関する手続き(遺産分割・相続登記など)は、死後事務委任契約では対応不可!

👉 遺産相続に関する内容は「遺言書」や「信託契約」で別途準備が必要です。


契約方法と必要書類

🔹 契約の方法

  • 公正証書で作成するのが一般的(公証役場で作成し、トラブル防止)
  • 口約束では無効

🔹 必要書類

  • **委任者(依頼する人)**の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑証明書、実印など
  • **受任者(引き受ける人)**の本人確認書類
  • 契約書(専門家に作成を依頼することが多い)

誰に依頼できる?

🔹 家族・親族

🔹 友人・知人

🔹 専門家(司法書士・行政書士・弁護士・NPO法人など)

👉 家族や親族がいない場合、専門家に依頼するのが安心!

特に「葬儀・納骨」や「賃貸契約の解約」などの手続きをスムーズに進めるには、専門家と契約するケースが増えています。

 


死後事務委任契約が必要なケース

身寄りがいない人(相続人がいない)

家族に迷惑をかけたくない人

遠方の家族や親戚に手続きを頼みにくい人

財産はあまりないが、死後の手続きをしっかりしておきたい人


死後事務委任契約と他の制度との違い

制度名 内容 注意点
遺言書 財産の分配(相続)を指定 相続手続きのみ、死後の事務処理は不可
家族信託 生前・死後の財産管理を委託 財産の管理がメイン、日常の事務手続きには不向き
死後事務委任契約 葬儀・納骨・解約手続きなど 財産管理は不可、遺産分割の権限なし

👉 遺言書と組み合わせることで、よりスムーズな死後の手続きが可能!


まとめ

死後事務委任契約は、死亡後の手続きを委任する契約

葬儀・納骨・契約の解約・遺品整理などを依頼可能

相続関連の手続きは含まれない(遺言書と併用推奨)

公正証書で作成するとトラブルを防ぎやすい

身寄りがいない人や家族に負担をかけたくない人におすすめ

💡 手続き面や費用面でお知りになりたい方は、一度ご相談ください。

後見制度を利用したいが、手続きが分からない

2025-02-12

後見制度の利用を検討しているが、申立書類の作成や手続きについては複雑で二の足を踏まれるケースもよく耳にします。

申立書類作成についてご自身で作成が難しい場合には、司法書士弁護士に相談するのが一般的です。特に、尼崎周辺で後見申立のサポートを行っている専門家をお探しなら、地域の司法書士事務所や弁護士事務所に相談されるのがよいでしょう。

1. 成年後見制度とは

認知症や障害などにより判断能力が不十分な方の財産管理や契約手続きなどを、家庭裁判所が選任した後見人が代わりに行う制度です。

後見制度には、以下の3種類があります。

  • 法定後見(本人の判断能力が不十分になってから利用)
    • 後見(判断能力がほぼない場合)
    • 保佐(判断能力が著しく不十分な場合)
    • 補助(判断能力が不十分な場合)
  • 任意後見(本人が元気なうちに契約で後見人を決めておく制度)

2. 申立てができる人

  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等以内の親族(子、孫、兄弟姉妹、いとこ など)
  • 市区町村長(親族がいない場合など)

3. 申立先

本人の住所地を管轄する 家庭裁判所 に申立てをします。

4. 必要書類

主な書類は以下のとおりです。

申立書(家庭裁判所の書式)

診断書(後見用の特別な診断書、医師に記入してもらう)

本人の戸籍謄本・住民票

申立人の戸籍謄本

財産目録・収支予定表(本人の財産状況を示す書類)

親族関係説明図

本人の通帳コピーや不動産登記簿謄本(ある場合)

※ 裁判所により追加資料が求められることがあります。

5. 申立ての流れ

① 書類の準備(診断書取得や財産調査など)

② 家庭裁判所へ申立て

③ 審問(必要に応じて本人や申立人の面談)

④ 後見人の選任決定(通常1〜3か月程度)

⑤ 後見の開始(後見人が職務を開始)

6. 費用

  • 申立手数料(収入印紙):800円
  • 郵便切手代(裁判所によるが8千円~1万円弱程度)
  • 鑑定費用(必要な場合のみ、5〜10万円程度)
  • その他(司法書士・弁護士に依頼する場合の費用)

7. 司法書士・弁護士に依頼できること

申立書類の作成(後見・保佐・補助の別に応じた書類準備)

財産目録の作成サポート(不動産・預貯金・年金など)

必要書類の収集代行(戸籍謄本・住民票など)

裁判所への提出・手続きの代行

後見人就任後のサポート

 

相続登記でよくあるご質問について

2025-02-06

相続登記の義務化が始まり、1年余りが経過しようとしています。徐々に周知され、今まで相続登記をされていなかった方もそろそろ動き出さないといけないと考えられている方もおられるえしょう。ここでは、相続登記についてよくある質問について纏めてみましたので、参考にしてください。

1. 相続登記は必ずしなければいけませんか?

A: 2024年4月1日から、相続登記は義務化されました。
相続を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料(行政上の罰則)が科される可能性があります。


2. 相続登記をしないとどうなりますか?

A: 登記をしないと、以下のような問題が生じます。

  • 不動産の売却や担保設定ができない(名義人が亡くなった人のまま)
  • 時間の経過に伴って相続人が増える(相続人が亡くなると、その相続人の子供に権利が移るため、連絡先を知らない相続人が出てくるなお手続きがさらに複雑になる)
  • 相続人同士のトラブルの原因になる(後に権利を取得した相続人と不動産の権利を巡って対立する可能性)

3. 相続登記に必要な書類は?

A: 一般的に以下の書類が必要です。

亡くなった方(被相続人)の書類

  • 戸籍謄本(出生から死亡までのもの)
  • 住民票の除票もしくは戸籍附票
  • 固定資産評価証明書もしくは課税明細書

相続人の書類

  • 戸籍謄本
  • 住民票(不動産を相続される方)
  • 印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合)

その他の書類(遺産分割が必要な場合)

  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印が必要)
  • 遺言書(ある場合)

4. 相続登記の費用はどれくらいかかりますか?

A: 費用は以下の項目で構成されます。

① 登録免許税(法務局に納める費用)

  • 固定資産評価額 × 0.4%
    例:固定資産評価額が1,000万円の場合、登録免許税は4万円(不動産の価額が100万円以下の土地については、免税措置があります)

② 司法書士報酬(相続人の数や難易度によって異なりますので、詳細はご依頼される事務所にお尋ねください)

③ その他取得費用など

  • 戸籍謄本・住民票:数千円~数万円程度
  • 固定資産評価証明書:600円程度(不動産の数によって変わってきます)
  • 法務局への郵便代や交通費:数千円

5. 相続登記は自分でできますか?

A: 可能ですが、専門知識が必要です。

  • メリット: 費用を抑えられる
  • デメリット: 書類の不備や間違いがあると、法務局で手続きがストップするなど、時間が大きく変わることがあります。場合によっては、相続人の勘違いなど最初から書類のやり直しも考えられます。

相続人が複数いる場合や、不動産が多い場合は、司法書士に依頼する方がスムーズです。


6. 相続人の一人が登記を拒否している場合、どうすればいいですか?

A: 遺産分割協議がまとまらない場合、以下の方法があります。

  1. 調停を申し立てる(家庭裁判所で遺産分割調停を行う)
  2. 審判を申し立てる(裁判所が遺産分割の決定を下す)

単独で相続できる「法定相続分」で登記することも可能ですが、後のトラブルを防ぐために原則話し合いを進めることが望ましいです。


7. 遺言書がある場合の相続登記の手続きは?

A: 遺言書の内容に従って相続登記を行います。

  • 公正証書遺言:そのまま登記手続き可能
  • 自筆証書遺言:家庭裁判所で「検認」が必要(公正証書遺言がない場合)

遺言がある場合、遺産分割協議は不要ですが、遺言の内容に不満がある相続人がいると「遺留分侵害額請求」が発生することがあります。


8. 相続人がいない場合、どうなりますか?

A: 相続人がいない場合、不動産は国庫に帰属(国のものになる)します。
しかし、すぐに国が引き取るわけではなく、以下のような流れになります。

  1. 特別縁故者がいる場合 → 家庭裁判所の手続きで財産を取得できる可能性がある
  2. 相続財産管理人が選任される → 債務の整理などをした後、最終的に国庫へ

9. 共有名義で相続登記すると、どんな問題がありますか?

A: 兄弟などで共有名義にすると、以下の問題が発生しやすくなります。

  • 売却時に全員の同意が必要(1人が反対すると売れない)
  • 次の世代で相続が複雑になる(人数が増え、さらに共有者の数が増えてきて分割が困難に)
  • 管理・修繕の負担が平等でなくなる(居住していない人が固定資産税や修繕費を負担したくないケースなど)

対策としては、遺産分割協議で単独名義にする、もしくは代償分割(不動産を取得する代わりに他の相続人に現金を支払う)や換価分割(売却して現金で分ける)などがあります。


10. 相続登記を急ぐべきケースは?

A: 以下のケースでは、早めに登記を進めるべきです。

売却を検討している場合(登記が完了しないと売れない)
相続人が高齢の場合(相続人が亡くなると相続人が増えたり、必要な戸籍も増えるなど、手続きがより複雑になる)
相続人が海外に住んでいる場合(手続きに時間がかかる)
共有名義にするとトラブルになりそうな場合(早めに単独名義にしておく)


まとめ

相続登記は、法律改正により義務化され、手続きを怠るとリスクが生じます。
書類の準備や手続きは複雑なケースもあります。

「どのように進めればいいかわからない」「相続人が多くて複雑」などの場合は、当事務所に一度ご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

法定相続情報一覧の利用方法

2025-02-03

法定相続情報一覧(法定相続情報証明制度)とは?

法定相続情報一覧(正式には「法定相続情報一覧図」)とは、相続手続きの際に必要となる戸籍関係の情報を一覧にまとめた公的な証明書です。銀行や証券会社、その他の相続手続で必要書類としてこの法定相続情報一覧図が指定されていることもあります。実際には法務局に申請作業が必要となってきますので、作成が必要な方や作成方法でお困りの方は参考にしてください。

1. 法定相続情報証明制度とは?

相続手続きでは、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本一式を各種機関(法務局、銀行、証券会社など)に提出する必要があります。
しかし、戸籍謄本は複数の役所で発行されるため、収集が大変であり、提出先ごとに原本還付の手続きをする手間がかかります。

この負担を軽減するために導入されたのが 「法定相続情報証明制度」 です。
この制度を利用すると、法務局で 「法定相続情報一覧図」 を作成し、その写しを何通でも取得できます。よって各種機関毎に戸籍謄本等の原本を提出する手間が省け、各種相続手続きがスムーズになります。

2. 法定相続情報一覧図の内容

法定相続情報一覧図には、次の情報が記載されます。

  • 被相続人の氏名、生年月日、死亡日、最後の住所
  • 相続人全員の住所(任意)、氏名、生年月日、続柄

ただし、既に亡くなっている相続人などは記載しない点や数次相続・代襲相続などが発生している際には、少し独特な記載方法となりますので、ご注意ください。

無事法務局の確認作業が終わればこれを法務局が認証し、公的な証明書として発行します。

3. 利用するメリット

相続手続きの効率化:各機関に戸籍謄本を提出する手間を省ける
戸籍の原本を何度も提出しなくて済む:原本還付の手続きが不要
無料で取得可能:法務局での申請は無料

4. 申請方法

申請先:被相続人の本籍地、住所地、または相続人の住所地の管轄法務局

主な必要書類
📌 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
📌 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
📌 相続人全員の戸籍謄本
📌 申請書(法務局の書式)
📌 法定相続情報一覧図
📌 代理人が申請する場合は委任状

5. どんな手続きに使える?

📌 銀行口座の解約・名義変更
📌 不動産の相続登記
📌 証券会社の手続き
📌 自動車の名義変更 など

この制度を利用すれば、相続手続きをスムーズに進められます。

代理作成を依頼される際には、弁護士、司法書士、行政書士などに依頼することは可能ですが、不動産の相続登記も必要なケースでは法務局に登記申請も可能な司法書士に依頼されることがお勧めです。もし詳しい手続きを知りたい場合は、気軽にご相談ください。

土地の交換登記とは

2025-01-27

土地の交換登記とは?手続きの流れと注意点

土地の交換登記について聞かれたことがありますか?名義変更の登記については、「売買」や「贈与」「相続」等が一般的ですが、「交換」という方法もあります。具体的には、土地の所有者同士が互いに土地を交換し、その所有権を正式に変更するための手続きです。土地活用や境界整理などでよく行われるこの登記、意外と知られていない方も多いと思います。

土地の交換登記の基本から手続きの流れ、注意点まで説明します。


土地の交換登記とは?

土地の交換登記とは、異なる所有者がそれぞれ所有する土地を交換し、所有権を変更する登記手続きを指します。
例えば、Aさんの土地とBさんの土地を交換し、それぞれが新たな所有者として登録されるようにするものです。

なぜ土地を交換するのか?

土地の交換は、以下のような理由で行われることがあります:

  • 境界整理や土地活用のため
    自分の土地の形状や位置を改善したい場合に有効です。
  • 土地の有効利用
    現在使いづらい土地を、より利便性の高い土地と交換するケース。
  • 家族間や親族間の取引
    相続対策や土地の分配の一環として交換を行うこともあります。

土地の交換登記の流れ

  1. 交換契約の締結
    土地の交換を行う前に、双方の合意をもとに「交換契約書」を作成します。この契約書には、交換する土地の詳細や条件を明記します。

  2. 必要書類の準備
    登記に必要な書類を揃えます。主な書類は以下の通りです:

    • 各土地の登記簿謄本(登記事項証明書)
    • 土地の固定資産評価証明書や課税明細書写し
    • 交換契約書
    • 当事者の印鑑証明書
    • 各所有者の本人確認書類
  3. 登記申請の準備
    法務局に対して登記を申請するための書類を作成します。この際、登録免許税が発生します。
    登録免許税は、交換する土地の固定資産評価額に基づいて計算されます。

  4. 法務局への申請
    作成した申請書類を法務局に提出します。法務局が内容を審査し、問題がなければ登記が完了します。

  5. 登記完了後の確認
    登記が完了したら、新しい登記簿謄本を取得して内容を確認します。これにより、土地の所有権が正式に変更されたことが確認できます。


注意点:土地の交換登記で気をつけること

  • 交換する土地の評価額のバランス
    交換する土地の固定資産評価額に大きな差がある場合、贈与税が発生する可能性があります。事前に評価額を確認し、適切な手続きを行いましょう。

  • 境界の明確化
    土地の境界が不明確な場合、トラブルになることがあります。交換前に測量士や専門家の立ち会いのもとで境界を確認することが大切です。

  • 税務面での確認
    土地の交換によって、譲渡所得税が発生する場合があります。税務署や税理士に相談して、事前に確認しておくと安心です。


まとめ:土地の交換登記は当事者同士の早めの準備が大切です

土地の交換登記は、土地の有効活用や境界整理にとても役立つ手続きです。しかし、手続きが複雑な場合も多いため、専門家のサポートを受けながら進めることが成功のポイントです。

もし土地の交換や登記に関する疑問やお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

長期間相続登記がまだの方へ

2025-01-20

長期間にわたり遺産分割や相続登記などが行われず、相続手続きが未了の状態が続いている方である日突然法務局から通知が来ることもあります。

このような状況は、特に以下のような理由で発生することがあります:

長期未了相続の主な原因

  • 相続人間の対立
    相続人間で遺産分割協議が合意に至らない場合。

  • 相続人の所在不明
    相続人の一部が行方不明、または連絡が取れない場合。

  • 相続財産の把握不足
    遺産の全容が明確でない場合。

  • 手続きの放置
    法律の知識不足や手続きを面倒と感じることで、相続手続きが後回しにされる場合。

  • 代々未処理の相続
    親の代、祖父母の代の相続が放置されたままになり、権利関係が複雑化している場合。


長期未了相続がもたらす問題

  • 権利関係の複雑化
    相続人が増える(例えば子や孫にまで相続が及ぶ)ことで、遺産分割がさらに難しくなります。

  • 相続登記義務の未履行
    2024年4月から施行された相続登記の義務化により、未了の状態が違法となる可能性があります。

  • 固定資産税や管理費用の増加
    不動産の管理責任や税金が発生し続けるため、負担が増します。

  • 不動産の利用制限
    登記が行われていないと、不動産を売却・担保にすることができません。


解決方法

  • 遺産分割協議の実施
    可能であれば、相続人全員で話し合いを行い、遺産分割の合意を目指します。

  • 相続登記の実行
    不動産については速やかに登記を行うことで、権利関係を明確にします。

  • 不在者・行方不明者の手続き
    行方不明の相続人がいる場合、家庭裁判所に申し立てを行い、不在者財産管理人を選任することができます。

  • 司法書士への相談
    司法書士は相続登記の専門家です。お困りのことがあれば、是非一度相談してください。

 

相続登記の義務化が始まってから、もうすぐ1年が経とうとしています。(2024年4月より施行)

手続きには相応の時間がかかります。まだ2年あると思わずに、早目に相談されることをお勧めします。

兄妹相続の注意点

2025-01-08

「兄妹相続」とは、兄弟姉妹が相続人となる場合のことを指します。日本の民法では、被相続人(亡くなった人)に配偶者や子ども、直系尊属(両親や祖父母)がいない場合、兄弟姉妹が法定相続人となります。

以下、兄妹相続に関する基本的なポイントを説明します。


1. 相続順位

兄弟姉妹が相続人となるのは以下の条件が満たされた場合です:

  • 配偶者がいない、または相続放棄している。
  • 子ども(代襲相続を含む)がいない。
  • 両親や祖父母などの直系尊属がいない。

兄弟姉妹が相続人になるのは、法定相続順位で第3順位です。


2. 法定相続分

  • 兄弟姉妹間の平等:兄弟姉妹が複数いる場合は、均等に相続分を分けます。
  • 異父兄弟または異母兄弟:父母の一方のみを共有する兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、全血兄弟姉妹の相続分の半分になります。

3. 遺留分

兄弟姉妹には遺留分(最低限保証される相続分)はありません。そのため、遺言で兄弟姉妹以外の者に全財産を譲渡するとされている場合、兄弟姉妹はその内容を覆す権利を持たないことが一般的です。


4. 相続放棄

兄弟姉妹の中で相続放棄をする人がいる場合、残りの兄弟姉妹の相続分が増加します。ただし、兄弟姉妹の場合は代襲相続が可能なので、放棄した人に子どもがいれば、その子どもが代襲相続人となります。


5. 実務上の注意点

  • 戸籍の収集が煩雑:兄妹相続でも、相続人確定の為に戸籍を揃える必要があります。兄妹相続の場合は、一般的に代襲相続や数次相続が発生していることが多く、その際には戸籍の通数も膨大増えてくることもあり、相続人確定の為に費用や時間を多大に要することがあります。
  • 遺言書の確認:被相続人が遺言書を残している場合、その内容が優先されます。
  • 相続登記:不動産が含まれる場合、相続登記を行う必要があります。
  • 相続税:相続税の基礎控除額は小さいため、場合によっては税金が課される可能性があります。

6. トラブル回避のためのアドバイス

  • 兄妹相続では、遺留分がない為に、遺言書を作成しておけばそちらの内容が全て優先されることとなります。兄弟姉妹間のトラブルを避けるために有効です。

特に複雑な事情がある場合、詳しく状況を確認して対応する必要があります。

お困りのことがあれば、気軽にご相談ください。

年末年始休業のお知らせ

2024-12-25

年末年始休業のお知らせ

 年末年始の休業日につきまして、下記のとおりお知らせいたします。

本年は当事務所をご愛顧いただきまして誠に有難うございました。

2025年も引き続きご愛顧いただけますようお願い申し上げます。

                          所員一同

・年末年始休業日

令和6年12月28日(土)~令和7年1月5日(日)

1月6日(月)より、通常営業を開始いたします。

※休暇中のお問合せにつきましては、メールにて随時受け付けております。

内容等によっては、ご返信が遅くなることもございますので予めご了承いただきますようお願い申し上げます。

遺言執行者をつけるべきか悩んでいる方へ

2024-12-18

遺言を作成する際に、遺言執行者をつけるかどうかは、遺言内容や遺言を残す人の状況に応じて判断するべき重要なポイントです。以下に、遺言執行者をつけるべき場合とそのメリットについて説明します。


遺言執行者をつけるべき場合

  • 複雑な遺産分割がある場合
    遺産が不動産や金融資産など多岐にわたる場合や、相続人が多い場合は、専門的な知識を持つ遺言執行者がいることでスムーズに手続きを進められます。

  • 遺言の内容に特別な手続きが含まれる場合
    例えば、法定相続分とは異なる分割方法を指定していたり、特定の財産を特定の相続人に譲渡する場合は、遺言執行者がその内容を実行します。

  • 相続人間でのトラブルが予想される場合
    相続人間の意見が合わない場合、第三者の遺言執行者が公正に手続きを進める役割を果たします。

  • 未成年や判断能力の低下した相続人がいる場合
    特に配慮が必要なケースでは、遺言執行者が相続人の権利を保護する役割を果たします。

  • 特定の寄付や非相続人への贈与が含まれる場合
    例えば、財産の一部を寄付するなど、相続人以外に財産を分配する場合には、遺言執行者の役割が重要です。


遺言執行者をつけるメリット

  • 手続きが円滑に進む
    遺言執行者がいると、相続手続きが効率よく進みます。遺産分割協議の負担も軽減されます。

  • 法的なトラブルを防止
    遺言内容が適切に執行されることで、相続人間の紛争を予防することができます。

  • 専門的な知識が活用できる
    弁護士や司法書士、行政書士などの専門家を遺言執行者に指定することで、専門的なアドバイスや手続きが可能です。

  • 相続人への負担軽減
    相続人が直接手続きを行う負担を減らし、遺産分割協議が円滑になります。


遺言執行者を選ぶ際のポイント

  • 遺言執行者は法律で「行為能力者」(未成年者や判断能力が著しく低下している人以外)である必要があります。
  • 相続人の中から選ぶ場合、公平性に注意が必要です。
  • 専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に依頼することで、トラブルを避けやすくなります。

遺言執行者をつけることで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、遺言者の意思が確実に反映されます。もし具体的なアドバイスやサポートが必要であれば、専門家に相談することをおすすめします。特に、兵庫県尼崎市周辺でお探しの場合、当事務所に一度ご相談ください。初回相談料は無料で承っております。

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