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実質的支配者リストとは
実質的支配者リスト制度とは?
株式会社又は特例有限会社は、2022年1月31日以降、管轄登記所(管轄法務局)へ申し出ることにより、実質的支配者リストの交付を受けることができるようになりました。
当事務所も制度が始まってあまり期間が経っていない為に、金融機関から提出を求められた際にどうしたらよいのかご相談を受けることもあります。
それでは、具体的にどういう制度なのか確認していきましょう。
まずは、法務省のサイトにも同制度の概要については、以下のとおり記載されていますので、参考にしてください。
実質的支配者リスト制度とは、株式会社又は特例有限会社からの申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社又は特例有限会社が作成した※実質的支配者リストについて、所定の添付書面により内容を確認し、その保管及び登記官の認証文付きの写しの交付を受けることができる制度です。
※実質的支配者リストとは、実質的支配者について、その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいいます。
具体的な書面の例は以下のとおりです。
実質的支配者とは?
この制度における実質的支配者とは、次の1又は2のいずれかに該当する者です。
- 会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
- 上記1.に該当する者がいない場合は、会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
実質的支配者リスト作成の手続きについて
①実質的支配者リストの作成者
実質的支配者リストの作成者は、会社の代表者です。
②実質的支配者リストの申請者
本制度の申出は、会社の代表者だけではなく、委任を受けた代理人から提出することも可能です。
③実質的支配者リスト作成の添付書面
【添付が必要な書面】
次の(1)~(3)のいずれかの書面の添付が必要です。
(1) 申出をする日における申出会社の株主名簿の写し |
(2) 公証人が発行する申告受理及び認証証明書(設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。) |
(3) 法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出をする日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの) |
※ 実質的支配者リストの記載と、(1)~(3)の 書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した書面(代表者が作成)の添付が必要です。
【添付することができる書面】
添付が必須ではありませんが、任意で添付することができます(※)。
(4) 実質的支配者の本人確認書面 実質的支配者の氏名及び住居と、同一の氏名及び住居が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該実質的支配者が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む。) ※ 本人確認書面の具体例については、下記3参照。 ※ (2)の書類を添付する場合には提出不要です((2)の別紙に含まれる本人確認書面について、(4)の書面として実質的支配者リストに記載することができます。)。 |
(5) 支配法人に係る実質的支配者の本人確認書面について、次の書面のいずれか(間接保有の場合) ・申出をする日における株主名簿の写し ・公証人が発行する申告受理及び認証証明書(設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。) ・法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出をする日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの) ※ 実質的支配者リストの記載と、(5)の書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した書面(代表者が作成)の添付が必要です。 |
※ これらの書面を添付した場合には、実質的支配者リストの記載事項とすることができ、提出先となる金融機関等において、登記官が交付に当たってどの書面を確認したかが明らかになるため、実質的支配者リストの記載内容についての信頼性が高まることとなります。
➃実質的支配者リストの請求方法
申出書、実質的支配者リスト及び添付書面を、管轄登記所に提出する方法によって行います。
⑤実質的支配者リストの交付を受けるための費用
実質的支配者リストの交付に手数料はかかりませんが、専門家に依頼したときには報酬が発生します。
一般社団法人の任期は注意が必要
一般社団法人の役員の任期
役員の任期は株式会社(取締役)と一般社団法人(理事)では、原則2年で変わりはありませんが、株式会社では10年を超えない範囲で任期を伸長することができます。
しかしながら、一般社団法人の理事の任期は、2年を超えることが出来ません。
これは定款で定めても認められませんので、注意が必要です。
よって、理事の任期は、株式会社のように10年までは伸長することはできませんが、任期満了時の理事改選の際に再任させることは可能です。
2年毎の重任登記手続が必要となってきますので、株式会社に比べて手間やコストが掛かってくることもありますが、一般社団法人の役員については、任期の伸長がない為にやむを得ない手続きです。
では、任期満了後も重任手続きなどを放置しているとどうなるのでしょうか。
登記せずに放置していると
任期満了により退任した役員は、その役員が退任することにより役員の数が会社法または定款で定めた人数に満たなくなってしまうときは、新たに役員が選任(再任を含む)されるまでは役員としての権利義務を有します(これを権利義務理事と言います)。
そもそも1名も後任者が選任されていない場合以外にも、理事会設置法人の理事3名が任期満了したが後任者が2名しか選任されなかったケースなども含まれます。
役員としての権利義務を有してはいますが、任期が切れていることには変わりはありませんので、早急に役員を選任しなければなりません。
この役員の任期が切れているのに役員の選任をしていない状況は、役員の選任懈怠の状態ですので過料の対象となります。
さらに、一般社団法人の場合は5年以上何も登記をしていない場合は、一定の手続きを経た後に登記官の職権で解散の登記を入れられてしまいます。
一般社団法人のみならず、法人の役員変更などのご相談は当事務所にお気軽にお問い合わせください。
初回相談・費用見積書は無料で承ります。
一般社団法人を設立するには何名必要か
各種法人の設立時要件
新規法人設立のご相談を受ける際に最も多い法人形態はやはり株式会社ですが、近年では合同会社や一般社団法人の設立のご相談も増えております。
各種法人設立に際して、一定の人数は必要とされていますが、株式会社や合同会社では1名でも設立することができます。
では、一般社団法人でも同様に1名で設立することは可能でしょうか。
一般社団法人の設立時最低人数
一般社団法人を設立する際には、理事が1名以上、社員が2名以上必要となります。
ただし、理事会を設置する場合には、理事が3名以上、監事が1名以上設置しなければなりませんので、最低4名以上が必要となります。(理事と監事を兼ねることはできません)
尚、非営利型の一般社団法人を選択される場合には、理事の親族要件もありますので、ご注意ください。
一般社団法人の設立についての手続き等については、下記ブログもご参照ください。
https://amagasaki-shiho.com/ippanshadanhoujin_seturitutouki/
会社の役員が亡くなった時の登記手続き
会社の役員が亡くなったら
会社の取締役やその他監査役などの役員が亡くなられた場合には、法務局に役員の変更登記をしなければなりません。
これにも、期限があり原則相続開始の日から2週間以内に申請する必要があります。
もし、登記手続きを怠り長期間放置していると、裁判所から過料の支払を命じられる可能性もありますので、ご注意ください。
会社の役員の死亡による変更登記には、以下のような2パターンが考えられます。
①役員死亡の登記及び後任者の就任の登記を申請する場合
取締役の死亡の場合には、定款で定めた人数を満たさなかったり、取締役会設置会社で死亡により、3名以上の要件を満たさなくても登記は受理されます。
ただし、法令または定款で定めた取締役の人数を欠く状態となり、新たな取締役の選任手続きをすることを怠った場合には、会社の代表者に対して過料が課せられる可能性もあります。
よって、定めた取締役の人数を欠く状態となる際には、同時に後任の取締役を選任しておく方が良いでしょう。
- 株主総会議事録(取締役会議事録)
- 死亡を証する書面(死亡した旨の記載のある戸籍謄本・死亡届など)
- 就任承諾書
②役員死亡の登記のみを申請する場合
- 死亡を証する書面(役員が死亡した旨の記載のある戸籍謄本・死亡届など)
身近の人間が亡くなられると、すぐに手続きに動ける状況ではないと思います。
しかしながら、今後の会社経営を速やかに移行させていく為にも、お困りのことがあればご相談ください。
合同会社の社員が亡くなられたら
合同会社の社員が亡くなると
合同会社の社員は死亡が退社事由とされており、社員が死亡したときに退社することとなります。
亡くなられた社員の相続人は、定款に別段の定めがない限りは社員としての地位を相続することはできませんので、持分自体を相続するのではなく、持分の払戻請求権を相続するという事になります。
例外として、先述したように定款に定めがあれば、社員の相続人が持分を承継することも可能です。
(会社法第608条) 1、持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。 |
このように定款に定めがあれば、社員が死亡した場合にその社員の相続人が合同会社の社員として加入することとなります。
合同会社では、業務執行社員や代表社員は登記事項となっていますので、亡くなられた社員が該当するようなケースでは、登記手続も必要となってきます。
合同会社の相続登記
①定款の定めにより、死亡した社員の相続による変更登記
相続により、業務執行社員や代表社員の変更があった場合には、以下のような書類を添付し、法務局に変更登記の手続きをしなければなりません。
- 当該合同会社の定款
- 亡くなられた社員の出生から死亡までの戸籍謄本等一式
- 相続人の戸籍謄本
- 業務執行社員の互選書
- 代表社員の就任承諾書
- 遺産分割協議書(相続人が2名以上おり、遺産分割協議によって加入する社員を決める際)
②定款の定めがなく、相続人が社員としての地位を承継しない場合
社員としての地位を承継せず、持分払戻請求権により払い戻しをするときは、払い戻しを受ける社員が出資した際に計上されていた資本金が減少される為に、資本金減少の登記申請が必要となってきます。
資本金を減少させる際には、株式会社と同様に債権者保護手続きが行わなければなりませんので、注意が必要です。
合同会社の相続手続きでお困りのことがあれば、気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。
法人と役員との不動産取引について
法人と役員との不動産取引とは
不動産の取引については、広く認められていますので、勿論法人とその法人の役員(取締役等)との売買をすることも可能です。
不動産管理上の問題や税制面での問題等で、役員(個人)が所有している不動産を法人に売買することもあるでしょう。
ただし、通常の不動産取引と異なり、法人と役員との売買は「利益相反取引」に該当しますので、注意が必要です。
利益相反取引とは
利益相反取引とは、取締役が会社と自身の利益が相反する取引を会社に行わせることです。
会社法でも、利益相反取引については、次のとおり定めています。
会社法第356条(競業及び利益相反取引の制限) 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。 二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。 三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。 会社法第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限) 取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。 二 取締役会設置会社においては、第365条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。 |
上記条文にある通り、法人と役員間で行う不動産取引は事前に株主総会(又は取締役会)での承認を受けなければなりません。
これは売買のみに関らず、法人から役員への贈与や役員への金銭消費貸借等も該当します。ここでよくある質問ですが、同族会社で株主及び役員が一人であって、決議が承認されることが分かっていても株主総会が必要か、という事です。
判例上は、自分以外の株主がおらず利益が侵害される可能性はありませんので、利益相反承認の決議自体は不要であると考えられています。
しかしながら、不動産登記申請においては、登記官が当該法人の株主が一人かどうか確認できない点などから、一人株主であっても、株主総会議事録の添付を省略することはできません。
具体的には、決議事項の中に「当事者(買主・売主)、対象不動産、売買契約締結日、売買価格」などを盛り込み、承認を受けることとなります。決議要件を満たし承認を得ることができたら、その議事の内容を株主総会議事録(取締役会議事録)として作成します。
株主総会(取締役会)での承認決議後の手続き
株主総会(又は取締役会)での承認決議を経たら、実際に不動産取引を進めることができます。
不動産取引申請時には、通常の売買の手続きに必要な書類の他、承認決議を経た株主総会議事録(取締役会議事録)も添付します。
この取引が利益相反取引に該当するのか?利益相反取引に該当するのであれば手続きををお願いしたい、等お困りのことがあればお気軽にご相談ください。初回相談・費用見積は無料で承っております。
合同会社に新たに社員を加入させるときの手続き
合同会社の社員を新たに加入させるには
合同会社を設立した後に、社員を新たに追加させることは可能です。
社員を新たに追加させる場合には、主に以下のようなパターンが考えられます。
1、新たに出資して加入する
2、他の社員から持分を譲り受けて加入する
新たに出資して加入する場合
①定款の変更
合同会社の場合「社員の使命又は名城及び住所」は定款の記載事項となります。よって新たに社員が加入した場合には、定款の変更する必要があります。
定款変更には別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です。また、社員の加入の効力は、当該社員に係わる定款の変更をした時に生ずるとされています。
②出資の履行(増資)
合同会社の社員となる者は、必ず出資をしなければなりません。
合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となる者が定款の変更をした時にその出資に係る払込みをしていないときは、その者は、当該払込みを完了した時に、合同会社の社員となります。
このケースでは、社員の変更に加えて資本金の額の変更登記が必要となります。
他の社員から持分を譲り受けて加入する場合
①持分譲渡の承諾
合同会社では、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を譲渡することはできません。ただし、譲渡する社員が業務執行権を有していないときは、業務執行社員全員の承諾で足ります。
持分全部を譲り渡した社員は退社し、持分一部を譲り渡した社員は従来通り社員の地位にとどまります。
②定款の変更
持分譲受けにより、新たに社員を加入させることとなりますので、出資の有無を問わず、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です。
ただし、持分譲受けによる社員加入の場合には、資本金の額に変動はありませんので、資本金の額の変更登記は不要です。
社員の加入と登記手続き
合同会社の登記事項に変更が生じたときは、その効力発生日から2週間以内に登記をしなければなりません。
しかしながら、合同会社では業務執行社員以外の社員に関する事項は登記事項となっていませんので、業務執行社員以外の社員に加入・退社等の事由が生じても登記申請をする必要はありません。
よって、社員加入による登記申請が必要なケースは以下のようなパターンとなります。
①社員が業務執行社員に就任し、出資して資本金が増えた場合
業務執行社員の就任と、資本金の額の変更に係る登記申請を行います。
<必要書類>
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 払込みがあったことを証する書面 etc
②社員が業務執行社員に就任し、資本金の額に変動がない場合
業務執行社員の追加に係る登記申請を行います。
<必要書類>
- 総社員の同意書 etc
③社員が業務執行社員にならず、出資して資本金が増えた場合
業務執行社員にならない為に、社員の追加に係る登記は不要となり、資本金の額の変更登記が必要です。
<必要書類>
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 払込みがあったことを証する書面 etc
④社員が業務執行社員にならず、資本金の額も変動がない場合
この場合は登記事項に変更が生じないため、登記申請は不要です。
代表取締役が亡くなったことで会社を清算するときには
代表取締役(社長)が亡くなったら
取締役が1名でかつ株主が1名しかいない会社の代表者が亡くなった場合、後継者もいないので会社を清算するというケースも出てくると思います。
もう代表者も株主も亡くなってしまっているので、何も手続きをしなくても会社は消滅するということはありません。
会社を清算するには、解散・清算結了の登記手続が必要となってきます。
会社を解散するには
株式会社を解散するときには、以下のような解散事由に該当する必要があります。
①定款で定めた存続期間の満了
②定款で定めた解散の事由の発生
③株主総会の決議
④合併による消滅、破産、解散命令
この中で④のケースを除き、解散手続きをするには清算人を選任する必要があります。定款に清算人が定められているときはその方が清算人となりますが、それ以外のケースでは株主総会の決議によって清算人を選任することになります。
ここで注意が必要なのは、株主総会の決議を開くときの株主は誰になるのか、ということです。
株主である代表者が亡くなられているので、その株式については相続手続きの対象となります。株式の相続の場合には、預貯金や不動産と違い、株式は単純に法定相続分に応じて分けられるものではありません。通常は、法定相続人の間で遺産分割協議をすることで株式を相続するものを決定することとなります。
そして、新たに株主となった者の決議により、解散及び清算人選任の承認をした上で、登記手続きをする運びとなります。
会社の清算についてご相談などがございましたら、当事務所に気軽にご連絡ください。
初回相談・費用見積は無料です。
一般社団法人の定款作成で注意する点
一般社団法人の定款
一般社団法人の定款には、2名以上の設立時社員が共同して作成し、全員が署名または記名押印しなければなりません。設立時社員とは、株式会社でいう発起人に相当し、設立に関する事務を行うもので自然人(個人)・法人を問いません。定款の作成は一般社団法人設立の絶対要件であり、今後の法人の事業や組織体制などを決めていく骨格となるもので、後で変更しようと思っても社員総会の決議などが必要となってきますので、注意が必要です。
一般社団法人の定款記載事項について
定款には、その記載がなければ定款自体が無効とされる絶対的記載事項のほか、定款の定めがなければその効力を生じない相対的記載事項及び、その他の事項で一般法人法の規定に違反しないものとして任意的記載事項があります。
- 絶対的記載事項
①名称
一般社団法人は、名称中に「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。また、他の法人が既に登記した名称と同一で、かつ、主たる事務所の所在場所が当該法人と同一である法人の登記をすることはできません。
②目的
一般社団法人は、営利を目的としない法人であり、その範囲内でのものとなります。基本的には当該法人の判断によりますが、公序良俗に反するような目的を定めることは勿論できません。
③主たる事務所の所在地
定款には、最小行政企画(市区町村)まで定めていれば足ります。
④設立時社員の氏名または名称及び住所
設立時社員とは、一般社団法人の社員になろうとする者をいい、設立に関する事務を行います。設立時社員は2名以上とされ、社員が欠けたことは解散事由とされています。また、自然人(個人)・法人問わず社員になることはできます。
⑤社員の資格の得喪に関する規定
社員となり得る資格についての定め、退社事由についての定め、入退社等の手続きについての定め等を規定します。具体的には、当該法人の自治に委ねられるものです。
⑥公告方法
一般社団法人は、次のいずれかの方法によって公告を行いますので、選択して定款に記載しなければなりません。
1、官報に掲載する方法
2、日刊新聞紙に掲載する方法
3、電子公告
4、主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法
⑦事業年度
事業年度ごとに計算を行うため、事業年度は定款の絶対的記載事項とされています。
- 相対的記載事項
定款の相対的記載事項は、多岐に亘っており、自治が広く認められています。以下、例として挙げるものなどが相対的記載事項に該当します。
①設立時役員の選任の場合における議決権の個数に関する別段の定め
②任意退社に関する別段の定め
③退社事由
④社員総会の招集請求の議決権数
⑤議決権の数
⑥社員総会定足数・決議要件の別段の定め
⑦理事会、監事、会計監査人を設置する旨の定め
⑧理事の任期の短縮(定款に記載がなくても、社員総会の決議により短縮することもできます)
⑨代表理事の互選
⑩存続期間または解散事由
⑪基金を引き受ける者の募集等に関する定め
- 任意的記載事項
①社員総会の招集時期
②社員総会の議長
③従たる事務所の所在地
④役員の人数
⑤役員の報酬
⑥残余財産の帰属
尚、一般社団法人では定款で社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨を定めることは禁止されています。定款にこのような旨を記載することは、非営利性という一般社団法人の基本的性格に反するためです。
一般社団法人の設立を検討されている方、設立した後でもお困りのことがあれば、当事務所にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。
一般社団法人とNPO法人の選択に迷ったら
一般社団法人?NPO法人?
法人には大きく分けて「営利法人」と「非営利法人」の2つがあります。「営利法人」とは、株式会社や合同会社を指し、構成員(株主など)に対して当該法人の利益を分配することができる法人のことをいい、「非営利法人」とはその活動によって得た利益を構成員(社員など)に分配することができない法人のことをいいます。ただし、非営利法人であっても、あくまで利益の分配がでいないことを言うのであって、株式会社と同様に収入を得ることも、給与を支払うことも問題はありません。
一般社団法人とNPO法人は共に「非営利法人」となります。どちらも公益性の高い活動を行っている法人だろう、とイメージされる方も多いでしょう。では、非営利法人の設立を検討される方がおられる場合に一般社団法人とNPO法人のどちらを選択した方がよいのか、それぞれの違いやメリット・デメリットについて説明していきます。
一般社団法人とNPO法人の違い
一般社団法人 | NPO法人 | |
---|---|---|
設立時最低必要人員 | 2名 | 10名 |
最低限必要な役員構成 | 理事1名のみでも可
※非営利型一般社団法人の場合では、 |
理事3名、監事1名 ※親族規定による制限あり |
最低必要社員数 | 2名(設立時) | 10名(常時) |
設立に係る実費費用 |
登録免許税6万円 公証役場での定款認証費用5.12万円 |
登録免許税及び定款認証費用の負担なし |
設立までの期間 | 2週間~1ヶ月程度 |
約4ヶ月~6ヶ月前後 所轄庁での審査・公告期間があります。 |
課税(税制面) | 普通型一般社団法人は株式会社などと同じ「普通法人」扱い
非営利型一般社団法人は収益事業にのみ課税される「公益法人」扱い |
収益事業にのみ課税 |
事業目的 | 他の法律や公序良俗に反しない限り、特別な制限はない |
公益的な非営利活動として、20項目の活動が挙げられており、どれかの項目に含まれる必要がある。 主たる目的とするには、特定非営利活動の割合が50%以上を占めている必要がある。 |
定款変更する時の決議要件 | 社員総会決議 | 社員総会決議 ※変更内容によっては所轄庁の認証が必要。 |
一般社団法人と比較してNPO法人のデメリット
- 設立に際して多くの人員が必要
NPO法人の設立要件として、社員(常時)が10人以上必要です。また役員は理事3人以上、監事1人以上が必須となっており、一般社団法人と比較して多くの設立に係わる人が必要となります。
- 情報公開の義務が生じる
NPO法人は関係者だけでなく、広く市民に知ってもらい、また監督され、支えられることを目的としているために定款や事業報告書等を情報公開することが義務付けられています。そのため定款や事業報告書を事務所や所轄庁に備え置く必要があります。設立後も毎事業年度終了後に事業報告書などを所轄庁に提出しなければなりません。
- 活動内容に制限がある
NPO法人では、公益的な非営利活動として、特定された20項目の活動の分野に制限されており、以下の20項目のいずれかに含まれる必要があります。
活動分野20項目 1、 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 2、 社会教育の推進を図る活動 3、 まちづくりの推進を図る活動 4、 観光の振興を図る活動 5、 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 6、 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 7、 環境の保全を図る活動 8、 災害救援活動 9、 地域安全活動 10、人権の擁護又は平和の推進を図る活動 11、国際協力の活動 12、男女共同参画社会の形成の推進を図る活動 13、子どもの健全育成を図る活動 14、情報化社会の発展を図る活動 15、科学技術の振興を図る活動 16、経済活動の活性化を図る活動 17、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 18、消費者の保護を図る活動 19、前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 20、前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
※20項目に含まれるかどうかの判断は、常識的に含まれると考えられるものは、含めることができるとされています。
一般社団法人と比較してNPO法人のメリット
- 社会的信用度がより高い
NPO法人は活動内容も制限され、また情報公開が法律上、義務付けられていることから、透明度も高く、社会的な信頼性は一般社団法人に比べて高まります。
- 定款認証や設立登記の登録免許税がかからない
公証役場での定款認証や設立登記の登録免許税もかからず、初期費用が抑えられます。ただし、所轄庁に提出する書類などは煩雑ですので、労力や時間・手間はかかります。
- 税制面での優遇
法人税法上の公益法人等として扱われるため、収益事業を実施した場合にのみ課税され、会費や寄付金は非課税として扱われます。
- 理念や活動内容に共感する人材が集まりやすい
理念や活動内容が情報公開されることから明確になっており、共感を持った人材に職員やボランティアとして関わってもらいやすくなります。
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