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会社本店を自宅にしているときに注意する点
本店所在地と代表者の住所
会社の本店所在地と代表者個人の住所は登記事項とされています。
また登記事項に変更が生じた際には、その効力発生日から2週間以内に変更に係る登記申請を管轄法務局は行うことととされています。
代表者の自宅を会社本店とされている1人会社の場合よく見受けられるのが、会社(自宅)を引っ越したので会社の本店移転登記はちゃんとされているものの、代表者の住所変更登記を失念されてるケースです。
このケースでは、①本店移転の登記②代表者の住所変更登記の2つの登記事項に変更が生じているので、2件とも登記申請をする必要があります。
代表者の住所変更登記を忘れていたら
本店移転登記は終わっているものの、代表者の住所変更登記をし忘れていたら、今からでも登記申請をすることはできます。
しかしながら、住所変更してから長年経過した後に登記申請をすると過料が課される可能性もありますので注意が必要です。
会社本店を自宅にされている方は、一度ご自身の会社謄本をチェックして登記事項に漏れがないか確認しておくことも大切です。
役員の任期も含め、会社謄本の見方でご不明な点等ございましたら、気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。
監査役を辞任登記及び注意点
監査役の辞任
株式会社は、定款に監査役を置く旨を定めることによって、監査役を置くことができます。
株式会社と監査役の関係は、委任によるものとなりますので、原則として監査役は自由に辞任することができます。
ただし、相手方に不利な時期に辞任をしたときは、監査役は、相手方の損害を賠償しなければなりません。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りではないとされています。
監査役は登記事項となっておりますが、取締役と同様氏名が登記されます。(※住所は登記されません)
そして、監査役が辞任したときは、辞任の効力が発生したときから2週間以内に、監査役が辞任した旨の登記申請を行います。
監査役の辞任登記
監査役の辞任登記は、登記申請書に「辞任届」を添付して行います。
その他、監査役辞任登記について注意しなければならない点は以下のとおりです。
権利義務監査役になっていないか
監査役が辞任をすることにより、監査役が1名もいなくなってしまう場合や、会社法または定款で定めた監査役の数を下回ってしまう場合は、後任の監査役が就任するまで、辞任をした監査役がなお監査役としての権利義務を有します。
言い換えると、監査役1名の会社が、監査役辞任の登記のみを申請しても却下されてしまいます。
後任の監査役の就任登記を一緒に申請するか、監査役設置会社自体の廃止登記を一緒に申請する必要があります。
取締役会設置会社ではないか
取締役会設置会社は、監査役を置かなければなりません。
よって、取締役会設置会社が監査役を廃止するときは、取締役会の廃止も同時に登記を申請しなくてはなりません。
なお、公開会社でない場合は、会計参与を設置することにより、監査役を廃止しても取締役会を維持することができます。
責任免除規定が登記されていないか
取締役2名以上いる監査役設置会社は、一定の条件の下、取締役の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって取締役の責任を免除することができる旨を定款で定めることができます。
監査役を廃止するのであれば、この旨の定款の定めも削除し、取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定の登記を廃止する登記を申請する必要があります。
責任限定契約が登記されていないか
株式会社は、監査役の責任について、一定の条件の下、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を監査役と締結することができる旨を定款で定めることができます。
監査役と責任限定契約を締結することができる旨を定款で定めている株式会社が、監査役を廃止するのであれば、この旨の定款の定めも削除し登記自体も抹消する旨の登記申請を行います。
一般社団法人の休眠会社の定義は早いので、注意が必要!
休眠会社の定義は法人形態によって異なります
休眠会社とは、株式会社及び一般社団法人又は一般財団法人であって、一定期間の間登記がされていない会社を指します。
株式会社と一般社団法人及び一般財団法人では登記がされていない期間に差異があり、下記のとおりとなります。
(1) 休眠会社:最後の登記から12年を経過している株式会社(特例有限会社、持分会社は含まれません。)
(2) 休眠一般法人:最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を含みます。)
この12年以内又は5年以内という期間内に登記事項証明書や印鑑証明書の交付を受けていたなどの理由は関係がなく、あくまで登記がされたかどうかとなります。
以上のように、一般社団法人では休眠会社になる期間が5年と株式会社などに比べて非常に短くなっております。
例えば、理事が1名しかいない一般社団法人では、2年毎の重任登記を忘れてしまいがちですので、気づかない内に5年経っていることも多々あります。では、この登記を放置しているとどうなるのでしょうか?
登記を放置しているとみなし解散される
- 法務大臣が、休眠会社に対し2ヶ月以内にその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべく旨を官報に公告し、かつ、休眠会社に対し、その旨の通知を発すること。
- 当該期間内に事業を廃止していない旨の届出がなく、かつ、当該休眠会社に関する登記がされないとき
みなし解散されると会社はどうなるか
実質的支配者リストとは
実質的支配者リスト制度とは?
株式会社又は特例有限会社は、2022年1月31日以降、管轄登記所(管轄法務局)へ申し出ることにより、実質的支配者リストの交付を受けることができるようになりました。
当事務所も制度が始まってあまり期間が経っていない為に、金融機関から提出を求められた際にどうしたらよいのかご相談を受けることもあります。
それでは、具体的にどういう制度なのか確認していきましょう。
まずは、法務省のサイトにも同制度の概要については、以下のとおり記載されていますので、参考にしてください。
実質的支配者リスト制度とは、株式会社又は特例有限会社からの申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社又は特例有限会社が作成した※実質的支配者リストについて、所定の添付書面により内容を確認し、その保管及び登記官の認証文付きの写しの交付を受けることができる制度です。
※実質的支配者リストとは、実質的支配者について、その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいいます。
具体的な書面の例は以下のとおりです。
実質的支配者とは?
この制度における実質的支配者とは、次の1又は2のいずれかに該当する者です。
- 会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
- 上記1.に該当する者がいない場合は、会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
実質的支配者リスト作成の手続きについて
①実質的支配者リストの作成者
実質的支配者リストの作成者は、会社の代表者です。
②実質的支配者リストの申請者
本制度の申出は、会社の代表者だけではなく、委任を受けた代理人から提出することも可能です。
③実質的支配者リスト作成の添付書面
【添付が必要な書面】
次の(1)~(3)のいずれかの書面の添付が必要です。
(1) 申出をする日における申出会社の株主名簿の写し |
(2) 公証人が発行する申告受理及び認証証明書(設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。) |
(3) 法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出をする日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの) |
※ 実質的支配者リストの記載と、(1)~(3)の 書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した書面(代表者が作成)の添付が必要です。
【添付することができる書面】
添付が必須ではありませんが、任意で添付することができます(※)。
(4) 実質的支配者の本人確認書面 実質的支配者の氏名及び住居と、同一の氏名及び住居が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該実質的支配者が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む。) ※ 本人確認書面の具体例については、下記3参照。 ※ (2)の書類を添付する場合には提出不要です((2)の別紙に含まれる本人確認書面について、(4)の書面として実質的支配者リストに記載することができます。)。 |
(5) 支配法人に係る実質的支配者の本人確認書面について、次の書面のいずれか(間接保有の場合) ・申出をする日における株主名簿の写し ・公証人が発行する申告受理及び認証証明書(設立後最初の事業年度を経過していない場合に限る。) ・法人税確定申告書別表二の明細書の写し(申出をする日の属する事業年度の直前事業年度に係るもの) ※ 実質的支配者リストの記載と、(5)の書面の記載とで内容が合致しない場合には、その理由を記載した書面(代表者が作成)の添付が必要です。 |
※ これらの書面を添付した場合には、実質的支配者リストの記載事項とすることができ、提出先となる金融機関等において、登記官が交付に当たってどの書面を確認したかが明らかになるため、実質的支配者リストの記載内容についての信頼性が高まることとなります。
➃実質的支配者リストの請求方法
申出書、実質的支配者リスト及び添付書面を、管轄登記所に提出する方法によって行います。
⑤実質的支配者リストの交付を受けるための費用
実質的支配者リストの交付に手数料はかかりませんが、専門家に依頼したときには報酬が発生します。
一般社団法人の任期は注意が必要
一般社団法人の役員の任期
役員の任期は株式会社(取締役)と一般社団法人(理事)では、原則2年で変わりはありませんが、株式会社では10年を超えない範囲で任期を伸長することができます。
しかしながら、一般社団法人の理事の任期は、2年を超えることが出来ません。
これは定款で定めても認められませんので、注意が必要です。
よって、理事の任期は、株式会社のように10年までは伸長することはできませんが、任期満了時の理事改選の際に再任させることは可能です。
2年毎の重任登記手続が必要となってきますので、株式会社に比べて手間やコストが掛かってくることもありますが、一般社団法人の役員については、任期の伸長がない為にやむを得ない手続きです。
では、任期満了後も重任手続きなどを放置しているとどうなるのでしょうか。
登記せずに放置していると
任期満了により退任した役員は、その役員が退任することにより役員の数が会社法または定款で定めた人数に満たなくなってしまうときは、新たに役員が選任(再任を含む)されるまでは役員としての権利義務を有します(これを権利義務理事と言います)。
そもそも1名も後任者が選任されていない場合以外にも、理事会設置法人の理事3名が任期満了したが後任者が2名しか選任されなかったケースなども含まれます。
役員としての権利義務を有してはいますが、任期が切れていることには変わりはありませんので、早急に役員を選任しなければなりません。
この役員の任期が切れているのに役員の選任をしていない状況は、役員の選任懈怠の状態ですので過料の対象となります。
さらに、一般社団法人の場合は5年以上何も登記をしていない場合は、一定の手続きを経た後に登記官の職権で解散の登記を入れられてしまいます。
一般社団法人のみならず、法人の役員変更などのご相談は当事務所にお気軽にお問い合わせください。
初回相談・費用見積書は無料で承ります。
一般社団法人を設立するには何名必要か
各種法人の設立時要件
新規法人設立のご相談を受ける際に最も多い法人形態はやはり株式会社ですが、近年では合同会社や一般社団法人の設立のご相談も増えております。
各種法人設立に際して、一定の人数は必要とされていますが、株式会社や合同会社では1名でも設立することができます。
では、一般社団法人でも同様に1名で設立することは可能でしょうか。
一般社団法人の設立時最低人数
一般社団法人を設立する際には、理事が1名以上、社員が2名以上必要となります。
ただし、理事会を設置する場合には、理事が3名以上、監事が1名以上設置しなければなりませんので、最低4名以上が必要となります。(理事と監事を兼ねることはできません)
尚、非営利型の一般社団法人を選択される場合には、理事の親族要件もありますので、ご注意ください。
一般社団法人の設立についての手続き等については、下記ブログもご参照ください。
https://amagasaki-shiho.com/ippanshadanhoujin_seturitutouki/
会社の役員が亡くなった時の登記手続き
会社の役員が亡くなったら
会社の取締役やその他監査役などの役員が亡くなられた場合には、法務局に役員の変更登記をしなければなりません。
これにも、期限があり原則相続開始の日から2週間以内に申請する必要があります。
もし、登記手続きを怠り長期間放置していると、裁判所から過料の支払を命じられる可能性もありますので、ご注意ください。
会社の役員の死亡による変更登記には、以下のような2パターンが考えられます。
①役員死亡の登記及び後任者の就任の登記を申請する場合
取締役の死亡の場合には、定款で定めた人数を満たさなかったり、取締役会設置会社で死亡により、3名以上の要件を満たさなくても登記は受理されます。
ただし、法令または定款で定めた取締役の人数を欠く状態となり、新たな取締役の選任手続きをすることを怠った場合には、会社の代表者に対して過料が課せられる可能性もあります。
よって、定めた取締役の人数を欠く状態となる際には、同時に後任の取締役を選任しておく方が良いでしょう。
- 株主総会議事録(取締役会議事録)
- 死亡を証する書面(死亡した旨の記載のある戸籍謄本・死亡届など)
- 就任承諾書
②役員死亡の登記のみを申請する場合
- 死亡を証する書面(役員が死亡した旨の記載のある戸籍謄本・死亡届など)
身近の人間が亡くなられると、すぐに手続きに動ける状況ではないと思います。
しかしながら、今後の会社経営を速やかに移行させていく為にも、お困りのことがあればご相談ください。
合同会社の社員が亡くなられたら
合同会社の社員が亡くなると
合同会社の社員は死亡が退社事由とされており、社員が死亡したときに退社することとなります。
亡くなられた社員の相続人は、定款に別段の定めがない限りは社員としての地位を相続することはできませんので、持分自体を相続するのではなく、持分の払戻請求権を相続するという事になります。
例外として、先述したように定款に定めがあれば、社員の相続人が持分を承継することも可能です。
(会社法第608条) 1、持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。 |
このように定款に定めがあれば、社員が死亡した場合にその社員の相続人が合同会社の社員として加入することとなります。
合同会社では、業務執行社員や代表社員は登記事項となっていますので、亡くなられた社員が該当するようなケースでは、登記手続も必要となってきます。
合同会社の相続登記
①定款の定めにより、死亡した社員の相続による変更登記
相続により、業務執行社員や代表社員の変更があった場合には、以下のような書類を添付し、法務局に変更登記の手続きをしなければなりません。
- 当該合同会社の定款
- 亡くなられた社員の出生から死亡までの戸籍謄本等一式
- 相続人の戸籍謄本
- 業務執行社員の互選書
- 代表社員の就任承諾書
- 遺産分割協議書(相続人が2名以上おり、遺産分割協議によって加入する社員を決める際)
②定款の定めがなく、相続人が社員としての地位を承継しない場合
社員としての地位を承継せず、持分払戻請求権により払い戻しをするときは、払い戻しを受ける社員が出資した際に計上されていた資本金が減少される為に、資本金減少の登記申請が必要となってきます。
資本金を減少させる際には、株式会社と同様に債権者保護手続きが行わなければなりませんので、注意が必要です。
合同会社の相続手続きでお困りのことがあれば、気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。
法人と役員との不動産取引について
法人と役員との不動産取引とは
不動産の取引については、広く認められていますので、勿論法人とその法人の役員(取締役等)との売買をすることも可能です。
不動産管理上の問題や税制面での問題等で、役員(個人)が所有している不動産を法人に売買することもあるでしょう。
ただし、通常の不動産取引と異なり、法人と役員との売買は「利益相反取引」に該当しますので、注意が必要です。
利益相反取引とは
利益相反取引とは、取締役が会社と自身の利益が相反する取引を会社に行わせることです。
会社法でも、利益相反取引については、次のとおり定めています。
会社法第356条(競業及び利益相反取引の制限) 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。 二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。 三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。 会社法第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限) 取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。 二 取締役会設置会社においては、第365条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。 |
上記条文にある通り、法人と役員間で行う不動産取引は事前に株主総会(又は取締役会)での承認を受けなければなりません。
これは売買のみに関らず、法人から役員への贈与や役員への金銭消費貸借等も該当します。ここでよくある質問ですが、同族会社で株主及び役員が一人であって、決議が承認されることが分かっていても株主総会が必要か、という事です。
判例上は、自分以外の株主がおらず利益が侵害される可能性はありませんので、利益相反承認の決議自体は不要であると考えられています。
しかしながら、不動産登記申請においては、登記官が当該法人の株主が一人かどうか確認できない点などから、一人株主であっても、株主総会議事録の添付を省略することはできません。
具体的には、決議事項の中に「当事者(買主・売主)、対象不動産、売買契約締結日、売買価格」などを盛り込み、承認を受けることとなります。決議要件を満たし承認を得ることができたら、その議事の内容を株主総会議事録(取締役会議事録)として作成します。
株主総会(取締役会)での承認決議後の手続き
株主総会(又は取締役会)での承認決議を経たら、実際に不動産取引を進めることができます。
不動産取引申請時には、通常の売買の手続きに必要な書類の他、承認決議を経た株主総会議事録(取締役会議事録)も添付します。
この取引が利益相反取引に該当するのか?利益相反取引に該当するのであれば手続きををお願いしたい、等お困りのことがあればお気軽にご相談ください。初回相談・費用見積は無料で承っております。
合同会社に新たに社員を加入させるときの手続き
合同会社の社員を新たに加入させるには
合同会社を設立した後に、社員を新たに追加させることは可能です。
社員を新たに追加させる場合には、主に以下のようなパターンが考えられます。
1、新たに出資して加入する
2、他の社員から持分を譲り受けて加入する
新たに出資して加入する場合
①定款の変更
合同会社の場合「社員の使命又は名城及び住所」は定款の記載事項となります。よって新たに社員が加入した場合には、定款の変更する必要があります。
定款変更には別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です。また、社員の加入の効力は、当該社員に係わる定款の変更をした時に生ずるとされています。
②出資の履行(増資)
合同会社の社員となる者は、必ず出資をしなければなりません。
合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となる者が定款の変更をした時にその出資に係る払込みをしていないときは、その者は、当該払込みを完了した時に、合同会社の社員となります。
このケースでは、社員の変更に加えて資本金の額の変更登記が必要となります。
他の社員から持分を譲り受けて加入する場合
①持分譲渡の承諾
合同会社では、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を譲渡することはできません。ただし、譲渡する社員が業務執行権を有していないときは、業務執行社員全員の承諾で足ります。
持分全部を譲り渡した社員は退社し、持分一部を譲り渡した社員は従来通り社員の地位にとどまります。
②定款の変更
持分譲受けにより、新たに社員を加入させることとなりますので、出資の有無を問わず、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です。
ただし、持分譲受けによる社員加入の場合には、資本金の額に変動はありませんので、資本金の額の変更登記は不要です。
社員の加入と登記手続き
合同会社の登記事項に変更が生じたときは、その効力発生日から2週間以内に登記をしなければなりません。
しかしながら、合同会社では業務執行社員以外の社員に関する事項は登記事項となっていませんので、業務執行社員以外の社員に加入・退社等の事由が生じても登記申請をする必要はありません。
よって、社員加入による登記申請が必要なケースは以下のようなパターンとなります。
①社員が業務執行社員に就任し、出資して資本金が増えた場合
業務執行社員の就任と、資本金の額の変更に係る登記申請を行います。
<必要書類>
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 払込みがあったことを証する書面 etc
②社員が業務執行社員に就任し、資本金の額に変動がない場合
業務執行社員の追加に係る登記申請を行います。
<必要書類>
- 総社員の同意書 etc
③社員が業務執行社員にならず、出資して資本金が増えた場合
業務執行社員にならない為に、社員の追加に係る登記は不要となり、資本金の額の変更登記が必要です。
<必要書類>
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 払込みがあったことを証する書面 etc
④社員が業務執行社員にならず、資本金の額も変動がない場合
この場合は登記事項に変更が生じないため、登記申請は不要です。