Archive for the ‘相続’ Category
遺言で生命保険金の受取人を変更するには
遺言とは
遺言は、遺言書を残されるご自身の意思を残すための制度です。自分が死んだあとも家族が揉めることなく暮らしてほしい、世話になった人に金銭を渡したいなど、ご本人の意思をを叶えるためには遺言が必要です。あくまでご家族様の思い通りの相続を実現するための制度ではありません。ただし、遺言は万能なものではなく、法的効力を持たせることができる事項は法律で定められています。(これを法定遺言事項といいます)
※法定遺言事項の主な内容
- 法定相続分とは違う割合にする
- 個々の遺産について相続させる人の指定をする
- 特別受益者の持戻しの免除
- 一定期間、遺産分割を禁止する
- 推定相続人の廃除または廃除の取消
- 遺言執行者の指定
- 相続人以外への寄付、贈与
- 遺留分減殺の指定
- 婚姻外の子の認知
- 認知
- 未成年後見人の指定
- 祭祀主催者の決定
- 生命保険金受取人の変更 など
遺言による生命保険金の受取人の変更
平成22年4月1日から保険法が施行されたことにより、遺言によって生命保険金の受取人を変更することができることとされました。
これにより、遺言書に保険金の受取人を変更する旨が記載されている場合には、保険会社に連絡をして保険金の受取人を変更してもらうことが可能です。
保険法第44条 1、保険金受取人の変更は、遺言によってもすることができる。 2、遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。 |
保険法(平成22年4月1日以前)施行前に保険契約していた場合
平成22年4月1日より前に締結された保険契約については、保険金受取人変更の規定は原則適用されませんが、保険会社及び保険契約の内容によっては遺言による保険金の受取人変更を受け付けられることもあります。事前に保険会社に確認しておく方がよいでしょう。
以上のように遺言による生命保険金の受取人の変更は可能ですが、遺言の作成にも有効性や費用面含め手間もリスクもかかります。
特段の事情がない限りは、遺言ではなく、生前に保険会社に手続きをすることにより変更しておいた方が確実といえるでしょう。
遺言を作成したおいた方が良いのか、遺言の作成をお願いしたい、遺言を一旦作成しているが内容を変更したい、など遺言に関するご相談は当事務所までお気軽にご連絡ください。
初回相談・費用見積は無料です。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
空き家問題と相続登記の有無
空き家問題
空き家問題は現在全国で深刻な問題となっております。この空き家問題を解消するために、2015年5月に空き家等対策の推進に関する特別措置法が施行されました。
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、管理が適切に行われていないと思われる空き家に対して自治体が調査を行ったのち、問題があると判断された空き家においては「特定空家」として指定し、所有者に管理を行うよう指導をしたり、状況の改善を促したりできるようになりました。
また、これまでは空き家の場合でも、所有者の許可を得ていなければ敷地内に立ち入ることができませんでしたが、空き家対策特別措置法では、管理がされていない空き家に対しては、自治体の職員やその委任した者が敷地内へ立ち入って調査することができます。
この空き家問題の原因の多くは、相続及び相続登記が関係しているとされています。
相続登記が長年行われていない不動産では、相続人が相続登記をしない内にお亡くなりになり、世代が下がっていくにつれて、相続人も増えて、解体や売却に相続人全員の同意を取ることが難しくなるからです。
当事務所の空き家問題解消の一例
- 遺言書の作成
遺言を作成しておくことで、相続発生時に亡くなられた方(被相続人)の意思が尊重され、不動産も適切に名義変更登記をすることができます。
また、当事務所が遺言執行者に就任することもできますので、遺言書の内容に沿った手続きを支援いたします。
- 相続人調査
相続が発生してから、長期間経過している場合では、相続人も増え、調査も大変となってきます。
当事務所では、戸籍などの収集から相続人の確定を速やかに行います。
また、相続人の中に認知症の方や行方不明の方がいる場合には、適宜後見制度の利用や不在者財産管理人の選任手続きなども支援いたします。
- 空き家不動産の売却支援
売却や賃貸をご検討される方には、信頼できる不動産会社のご紹介をさせていただきます。
空き家でそのまま置いておくと、物件の老朽化も進み、管理状態も希薄になりますので、お住まいになる可能性がないときには、売却や賃貸に出すことも選択肢となるでしょう。
相続登記の義務化
「不動産の所有者について相続があったときは、相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記するよう義務づける」主旨の法改正が2024年を目処に施行される予定です。
本法律施行後は、「義務化」とありますので、登記をしなかった場合には10万円以下の過料を科されることがあります。
この相続登記の義務化は遡って適用されます。よって、現在相続登記をしていなくても特段罰則規定はありませんが、このまま放置しておいては、今後過料が科される可能性があるということです。
相続登記の義務化は、空き家問題を解消する契機の一つになるでしょう。
空き家不動産の相続や管理・売買などでお困りのことがあれば当事務所にご相談ください。
不動産の相続登記は、オンライン申請を行いますので、全国対応が可能です。
一緒に解決できるようにサポートいたします。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
相続人が海外に住んでいる場合の相続手続き
相続人が海外に住んでいる場合の遺産分割や相続手続き
相続人の中に海外に住んでいる方がおられると、相続手続きはどうやって進めていけば良いのか、必要書類は何を集めればよいのか、などお困りのこともあるでしょう。実際には、相続人が海外に住まれていても、メールや電話で連絡が取れるのであれば、相続手続きの流れに大きな違いはありません。
しかしながら、必要書類で大きく違ってくる点があります。
それは、海外では印鑑証明や住民票を取得することができないために、それに代わるものを取得して頂く必要があるという事です。
相続手続きや遺産分割協議には、相続人全員の印鑑証明や実印の押印が必要になりますが、海外に住んでいる相続人には印鑑証明や実印を押印することができません。
よって、それに代わる以下のような書類を準備します。
①サイン証明(印鑑証明に代わるもの)を取得する
海外では、契約するときなどに日本と違い印鑑証明書や実印を押すのではなく、サイン(署名)をすることが一般的です。
そこで海外に住んでいる相続人の方は、現地の日本大使館・領事館などでご自身のサインを印鑑の代わりに使用できるように手続きをします。
具体的には、遺産分割協議書などを現地の日本大使館・領事館などに持参し、係官の面前でサインをすることで、証明書が綴じこまれ、サインが本人のものであることが証明されます。
このようにして取得したサイン証明は、日本での印鑑証明書と同様の効力をもつものとなります。
②在留証明(住民票に代わるもの)を取得する
遺産分割協議の結果として不動産を相続するような場合は住民票も必要になりますが、海外在住の場合は住民票という制度がないことが殆どです。
そのため、住民票に代わるものとして在留証明を取得します。
在留証明を受けるには、以下の条件があります。
- 日本国籍があること
- 現地で既に3ヶ月以上滞在し、かつ現在も居住していること
その他、発行するときにパスポートや賃貸契約書や公共料金の請求書など滞在期間や居住地がわかるものを持参することもありますので、事前に現地の大使館・領事館などに申請方法や手数料・必要書類などは確認してから行くのが良いでしょう。
当事務所の「相続手続きトータルサポートプラン」
当事務所の「相続手続きトータルサポートプラン」をご依頼いただければ、相続人の調査から戸籍収集、登記・銀行手続き・証券会社の手続き、各相続人との書類のやり取りなど全てお任せください!
※当事務所「遺産整理業務」ページも是非ご参照ください。
https://amagasaki-shiho.com/isanseirigyoumu/
特に相続人が海外や遠方にお住まいのケースなどでは、必要書類の案内からやり取りまで、手間や時間・費用もかかってきます。
それらを当事務所に丸投げして頂くことで、確実・スピーディーに手続きを行うこともでき、相続人様同士のご負担の軽減にもきっと繋がることと思います。
初回相談・費用見積などは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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相続放棄をしたら誰に相続権が移るの?
相続放棄をすると
ご自身の両親が事業をしていて、その事業の借金が大きく相続したくない場合には、相続放棄を検討される方も多いでしょう。
相続放棄をすると最初から相続人とはならなかったことになるので、資産も負債も一切引き継ぎません。
ではご自身が相続放棄をしてしまうと、次は自分の子どもに借金が引き継がれるのではないか、と不安に思うこともあるでしょう。(※これを「代襲相続」といいます。)
※「代襲相続」とは、相続人が被相続人より先に死亡した場合などに、相続人の子などが代わって相続することです。
結論からいいますと、相続放棄にはこの代襲相続は起きません。よって、ご自身が両親の資産・負債を相続放棄しても、ご自身の子には引き継がれないということです。
勿論、ご自身が亡くなった後は、子はご自身の相続人なので、相続を受けることはできます。
では、相続放棄をした後は誰に相続権が移るのでしょうか。
相続放棄後の相続権について
当初の相続人が相続放棄すると、その相続権は「次順位の相続人」に移ります。
たとえば父が既に亡くなっていて、その後母も亡くなり、子どもが相続放棄したようなケースでは、先程の通り孫には代襲相続されません。
母の両親が生きておられれば、その「両親」が、両親も亡くなられていれば、「母の兄弟姉妹」が相続人になります。
- (参考)法定相続人の順位
配偶者がいれば配偶者は必ず相続人となります。その他、配偶者とともに、子、両親、兄弟姉妹がその順位に応じて相続人となります。
相続放棄によって次順位の相続人に地位が移ったとしても、次順位の相続人に連絡はいくことはありません。
相続放棄をした後に次順位の相続人に連絡をしておかないと、ある日突然債権者から督促が来てしまうような事態も考えられます。
また、次順位の相続人も相続財産・負債を引き継ぎたくないときには、やはり相続放棄の手続きが必要になってきます。
こうしたトラブルを事前に防ぐためにも、相続放棄したら次順位の相続人へその旨を知らせておくことが大切です。
相続放棄についてのご相談・お悩みは当事務所にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料です。

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相続した不動産が遠方にある場合の手続き
不動産の相続登記
亡くなられた方が不動産をお持ちであった場合には、相続による名義変更の登記手続が必要です。
必要といっても、相続登記は義務化されておりませんので、不動産が遠方の場合や山林などで誰も使用しないから等の理由でそのまま放置をしておいても、特に罰則規定はありません。
しかし今後2024年(令和6年)を目処に相続登記は義務化される予定です。よって、今後は相続が発生したら相続登記は速やかに手続きをされることが望ましいでしょう。
相続した不動産が遠方にある場合
では、相続登記は司法書士に依頼しないと出来ないものでしょうか。
結論としては、ご自身でも手続きをすることは可能です。しかしながら、相続登記は当該不動産を管轄している法務局で手続きを行う必要があります。
また、法務局は平日しか業務を行っておりません。
例えば、相続した不動産が東京で相続人が兵庫県にお住まいのケースでは、平日の日中に東京の管轄法務局まで登記の手続きに出向くか郵送で手続きを行わなければなりません。無事に法務局に書類を提出できても、不備があった場合には、補正の手続きも必要となり、ある程度の時間も費用もかかってくるでしょう。
このような場合には、最初から司法書士へ相続登記をご依頼されたらいかがでしょうか。
司法書士に依頼すると、勿論報酬が発生しますが、登記に必要な書類も確実に集めることもできますし、申請も不備なく行うことができますので、確実・安全です。
当事務所では、オンライン申請を行っておりますので、不動産の相続登記であれば全国対応が可能です。
お困りのことがあれば、是非一度気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料です。

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遺産分割の方法とは?
遺産分割による手続き方法
被相続人が遺言書を作成していたときには、その内容に従って遺産は分割されますので、遺産分割協議書は原則必要ありません。しかし、被相続人が遺言書を作成していないケースではどういう形で遺産を分割すればよいでしょうか。遺言がない場合であっても、被相続人の死亡後の相続人及びその割合は法律で定められています。一般的には「法定相続人」(法律で定められた相続財産等を取得する人)が「法定相続分」(法律で定められた相続割合)によって遺産を分割することとなります。遺産分割協議書はこのような法律で定められた相続割合を変更するときに必要となってきて、遺産分割協議をすることで自由に相続人の相続割合を変更することが可能となります。
よって、遺産分割協議自体は必ずしもしなければならないわけではありません。
遺産分割協議の当事者
遺産分割協議を行う際には、相続人全員が参加しなくてはなりません。相続人一人でも欠けた遺産分割協議書は無効となってしまいます。よって、遠方に居住している相続人がいる場合や海外に居住している相続人がいる場合などもその方を無視して進めることはできません。また遺言書があっても、遺言書に記載されていない財産があるときには相続人全員の参加により遺産分割協議をすることもあるでしょう。ただし、相続人の中に相続放棄をした方がいる場合には、その方は初めから相続人としては扱われませんので、遺産分割協議に参加する必要はありません。
その他、下記のような場合には遺産分割協議をする際には、その相続人に対して法的な代理人が必要となってくることがありますので、特に注意が必要です。
- 相続人の中に胎児や未成年者がいる場合
- 相続人の中に判断能力の低下した方がいる場合
- 相続人の中に行方不明者がいる場合
遺産分割の方法
実際に遺産分割協議を行おうとする際には、以下のような方法があります。
1 相続人同士の協議による遺産分割
相続人間での話し合いによる、遺産分割の方法です。遺産分割協議は、相続開始後に成立した協議でなければ効力は生じません。よって、相続開始前の遺産分割協議は無効となります。
2 家庭裁判所の調停による遺産分割
相続人間の協議が調わないときや、協議をすることができないには、各相続人が家庭裁判所に調整の申立てをすることができます。調停の申立ては相手方(共同相続人の内の1人)の住所地か当事者間で合意した家庭裁判所に行い、調停委員会等を介した話し合いにより分割方法を決定します・
3 家庭裁判所の審判による遺産分割
調停をしても、遺産分割の方法が決まらないときなどには、当事者間で合意がなければ、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に審判の申立てをします。審判により、裁判所が強制的に遺産分割の方法を決定することとなります。

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抵当権付等の不動産を相続したら
担保付不動産(抵当権等)を相続したら
不動産を相続しようとしたら、その不動産に担保(抵当権)が付いていた!
このようなとき、そのまま相続してよいのか、またどういう手続きを踏んでいけばよいのか、お悩みになることもあるでしょう。
亡くなれた方が住宅ローンを組んでいたり事業をされたいたとき等にはこういうケースはあり得ることですが、抵当権等の担保が付いているか否かに関わらず、その不動産は相続の対象となります。よって、法定相続通りに共有状態にすることも出来ますし、遺産分割協議によって誰か一人が相続することも可能です。
住宅ローンの場合は、団体信用生命保険により、ローンは生命保険金で賄われることもありますので、そのときには相続による名義変更登記をした後に、抵当権抹消登記を申請すれば事足ります。
では、債務が残っており、不動産に担保が付いたままの状態で被相続人が亡くなられた場合には、債務(借金)については誰が相続するのでしょうか。
債務の相続は誰がするのか
相続する不動産に担保が残っていても、相続するのは法定相続分通りでも良いですし、遺産分割協議によって取得する相続人を決めることも可能です。
ただし、ローンの支払については、不動産を相続した人が支払うのでしょうか。それとも相続人全員で支払っていかなければならないのでしょうか。
民法には、以下のとおり定めがあります。
(民法第902条の2) 被相続人は相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第900条(法定相続分)及び第901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りではない。 |
よって、債権者の同意なく債務の支払いについて相続人間で遺産分割協議で合意しても、当事者間では有効ですがその合意自体は債権者には主張することはできない、という事です。
債権者の同意なく特定の相続人だけが返済義務を承継するとか、免れることができるといったことを、相続人が自由に定めることができるとすれば、債権者としては、自己の関与しないところで不利な扱いを受けることがあるからです。債権者は当事者間でどういう合意をしていても、法定相続分に従って相続人にローンの支払いを請求することができます。
ただし、債権者の承認を事前にとっていれば、債務の支払いについて特定の相続人とすることもできます。
登記手続きについて
不動産の登記申請を行う場合には、相続による名義変更の登記と合わせて抵当権等の債務者の変更登記も必要となってきます。
登記が必要なケースとして、以下の2パターンが考えられるでしょう。
①法定相続分どおりに債務者の相続登記をする
特段相続人同士で、債務の支払いについて合意がないような場合には、相続人全員が法定相続分どおりに債務を相続することとなります。
よって、抵当権等の債務者についても、「相続」を原因とした法定相続人全員に変更する登記をします。
②免責的債務引受により、特定の相続人に債務者を変更する旨の登記をする
債権者の同意を得た上で、遺産分割協議により特定の相続人が債務を引き受ける合意をしたような場合には、「免責的債務引受」を原因とした債務者の変更登記が必要です。
債務については相続人間でどういう割合で承継するのか、また債務が余りに過大なケースでは相続放棄も視野に入ってくることもあります。
相続の手続きをお困りのこと、お悩みのことなどあれば、お気軽にご連絡ください。
初回相談・費用見積は無料です。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
相続登記の義務化は、遡って適用されるのか?
相続登記の義務化
「不動産の所有者について相続があったときは、相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記するよう義務づける」主旨の法改正が2024年を目処に施行される予定です。
本法律施行後は、「義務化」とありますので、登記をしなかった場合には10万円以下の過料を科されることがあります。
皆さんが気になる点は、この相続登記の義務化は相続がいつ開始されたかに適用が変わってくるかどうかだと思います。
法律施行後に相続が開始された場合には、相続登記の義務化が適用されるのは当然分かると思いますが、法律施行前(昭和~令和6年迄)に相続が開始した不動産について相続登記をしていなかった場合にも、義務化は適用されるのでしょうか。
結論としては、義務化は適用されます。「相続登記の義務化は遡って適用される」ということです。
よって、現在相続登記をしていなくても特段罰則規定はありませんが、このまま放置しておいては、今後過料が科される可能性がある、というなので注意してください。
相続登記について、ご相談・お困りのことなどあれば当事務所にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料です・

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相続人に認知症や行方不明の方がいると
相続人と相続分の割合
相続が開始すれば、相続財産は相続人に引き継がれることになりますが、「誰が」「どの割合」で相続するかは法律で定められています。
例えば、相続人が配偶者と子2名の場合には、法定相続分は配偶者:2分の1、子2名:各々4分の1づつ、といった具合となります。
もちろん法定相続分通りで相続財産を分けることもできますが、相続人全員が参加した「遺産分割協議」によって自由に相続財産の割合を変えることも可能です。
では、相続人の中に認知症や行方不明の方がいるケースでも、遺産分割協議は可能でしょうか。
相続人の中に認知症や行方不明の方がいるケース
相続人の中に認知症や行方不明の方がいあるようなケースでは、相続人全員の意思表示を確認することができない為、そのままでは相続手続きを進めることはできません。
例えば、家庭裁判所に認知症の方に代わり財産管理を行う「成年後見人」を選任するよう申立てたり、行方不明の方に代わり財産管理を行う「不在者財産管理人」を選任するよう申し立てる必要があります。この手続きには、相応の費用も時間もかかってしまいます。
また、選任された「成年後見人」や「不在者財産管理人」はその相続人の財産を守る必要があるために、本人の相続分が減るような遺産分割協議書には応じないでしょう。
このようなケースで、相続手続きを進めていくにあたって、法定相続分で分けるのであれば手続き上問題点も少ないですが、自宅などの不動産を相続するようなケースでは大変になってきます。
例えば、以下の事例で検討してみます。
- 相続財産:不動産(自宅)時価3,000万円
- 相続人:妻及び子2名(内1名が行方不明)
法定相続分は妻1,500万円、子2名が各々750万円となります。相続人全員の同意があれば、遺産分割協議により、今後も自宅に住み続ける妻単独の名義とすることは可能です。
また、その他の財産についても合意があれば、子が相続分を受取らなくても構いません。
ただし、子1名が行方不明により、遺産分割協議に参加できないようなケースでは、どうすればよいでしょうか。
このケースでは遺産分割協議をする際に先ほど述べました通り「不在者財産管理人」が行方不明の子に代わり、当事者として参加することとなります。
「不在者財産管理人」が遺産分割協議に参加する場合には、自身の相続分を減らしたり、他の相続人に分けるような協議は認められません。
よってあくまで法定相続分通りの分け方になるでしょう。これは、「成年後見人」が選任された場合も結果は同様です。
以上のように、相続人の中に認知症や行方不明の方がいるようなケースでは、相続手続きは非常に時間や費用もかかってきますし、相続人全員の意思に合致した配分方法を行うこともできないかもしれません。
遺言書作成の必要性について
相続手続きトラブルの予防措置として、遺言書作成は有効な手段です。
相続が発生すると、遺産の全てについて相続手続きが必要となりますが、一つ一つの遺産を誰にどのように分けるかは、非常に大変です。
生前にどの財産を誰に相続させるかを、遺留分にも留意しながら被相続人様ご自身が遺言書に明確に決めておくことで、残されたご家族・ご親族同士で争いになるという事態を防ぐことができます。
ご自身にとっても亡くなった後に相続人間で手続きが難航することは本意でないでしょう。
当事務所では、遺言者の方のお気持ちが最大限に尊重されるように原則ご本人様のみの面談にて作成させて頂きますので、ご安心ください。
ご相談・お見積りは無料です。
お気軽にお問合せください。

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抵当権の債務者が亡くなられたら
抵当権の債務者の相続
債務者の相続が発生した場合には、その債務については誰が引き継ぐ形となるのでしょうか。
判例(最判昭34・6・19)によると「被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継する」と解されています。
例えば、債務者(A)が亡くなり、その相続人が妻(B)と子(C)の場合には、Aの債務は当然にBとCに承継されることとなります。(ただし、連帯債務となるものではありません)
このような法定相続による抵当権の債務者の変更をするときには、Aの死亡日を原因日付として、抵当権者(金融機関)と共同申請による債務者の変更登記を行います。
相続による債務者変更登記について
債務者変更登記については、登録免許税が不動産1筆につき1,000円かかります。
申請書の記載例は以下のようなものとなります。
登記申請書 登記の目的 抵当権変更 原 因 令和●年●月●日相続 変更後の事項 債務者(※1) 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 B 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 C 権 利 者(※2) 住所 兵庫県尼崎市塚口本町●● 氏名 ●●銀行株式会社 義 務 者(※3) 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 B 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 C |
※1 債務者は新たに債務者となる相続人の方を記載します
※2 権利者とは抵当権者である金融機関などのことです。
※3 義務者とは設定者のことで、対象不動産の所有者のことです。
その他添付書類として、義務者の登記識別情報(登記済証)が必要となりますので、ご注意ください。
特定相続人が債務を引き受けるとき
相続した債務は各共同相続人が、その相続分に応じて承継するとされています。それでは、相続人間の協議などにより、特定相続人に債務を引き受けさせることは出来るでしょうか。
この場合には以下のような2種類の方法で手続きを行うことができます。
①免責的債務引受による方法
一旦、法定相続人による債務者変更登記をした後に、相続人間で遺産分割によらず、債務をその内の一人に承継させたいような場合には免責的債務引受による手続きがあります。
このケースでは抵当権者と債務者間で、相続人の誰かが債務を引き受ける旨の合意をとることとなります。
②遺産分割協議による方法
相続した債務も遺産分割協議の対象とされていますので、遺産分割協議により特定相続人に債務を承継させる旨の協議も有効です。
そのような遺産分割協議が成立したら、抵当権者の承諾を得た上で、直接引き受ける相続人を債務者とする抵当権の変更登記をすることができます。
①、②いずれの方法をとる場合にも、「抵当権者の同意」は必ず事前にとっておきましょう。

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