Archive for the ‘不動産’ Category
団信により住宅ローンを完済しても、担保抹消するには相続登記が必要です!
団体信用生命保険(団信)による住宅ローン完済後に金融機関から抵当権抹消登記の申請書類が郵送されてきます。しかしながら、そのまま担保抹消手続きをすることはできません。原則として先に「相続登記」を済ませておく必要があります。
✅ なぜ相続登記が先に必要なのか?
抵当権抹消登記の申請者は、**現在の「所有者」**でなければなりません。
▷ 団信でローン完済された時点では…
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抵当権は残ったまま
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所有者は亡くなった人のまま(名義変更されていない)
👉 よって、「亡くなった人」名義のままでは抵当権を抹消できないため、まず相続人が所有権を引き継ぐ=相続登記が必要になります。
抵当権とは、住宅ローンの担保として金融機関が不動産に設定する権利です。
ローンの完済後(死亡による団信完済含む)、この抵当権を抹消することで、不動産の「担保状態」が解除されます。
🔧 抵当権抹消登記の手続きの流れ
① 金融機関から必要書類を受け取る
団信により完済された後、銀行から次のような書類が送付されます:
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抵当権解除証書(もしくは登記原因証明情報)
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登記識別情報(旧:権利証)
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代表者事項証明書(法人の場合)
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委任状(司法書士に依頼する場合)
② 相続登記をする
相続人全員で共有状態にすることも出来ますが、遺産分割協議などにより相続人の内の1名に名義変更することも可能です。
③ 不動産を取得する相続人が決まれば、抵当権抹消登記をする
司法書士に依頼される場合には、②の相続登記と③の抵当権抹消登記は同時に申請することが多いです。
④ 登記が完了し、相続による名義変更及び抵当権が正式に抹消される
団信による住宅ローン完済後の手続きでお困りの方や手続きが面倒な方などあれば、当事務所に気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
遺言による遺贈手続き
✅ 「遺贈」とは?
**遺贈(いぞう)**とは、遺言書によって、法定相続人・相続人以外の人に財産を譲ることを言います。
👉 つまり、孫のように相続人でない人にも、遺言で財産を残せる方法が「遺贈」です。
✅ 遺贈の種類
種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
💠 包括遺贈 | 遺産全体または割合(〇%など)を渡す | 「孫のAに全財産の3分の1を遺贈する」 |
💠 特定遺贈 | 特定の財産を渡す | 「土地(〇〇所在)を孫のAに遺贈する」 |
👉 特定遺贈の方が実務的には使いやすく、もめにくいです。
✅ 遺贈の手続きの流れ(特定遺贈の場合)
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遺言書を作成(公正証書が安心・確実)
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相続開始(=被相続人が亡くなる)
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遺言の検認(公正証書なら不要)
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遺贈を受ける人が「遺贈を受諾」する
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登記や名義変更の手続き(不動産など)
※ 遺贈を受ける側が未成年の場合は、親の同意や家庭裁判所の手続きが必要になることもあります。
✅ 遺贈のメリット
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✅ 自分の希望どおりに財産を渡せる(孫・友人・団体なども可)
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✅ 相続人以外にも渡せる唯一の方法
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✅ 贈与税より相続税の方が税率が有利なことも多い
⚠️ 遺贈の注意点
注意点 | 説明 |
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🔹 遺留分に注意 | 法定相続人(配偶者・子など)には「最低限の取り分」があるので、遺贈がそれを侵害していると請求されることがあります。 |
🔹 遺贈税(=相続税)対象になる | 相続人ではないため、税額が2割加算される点にも注意。 |
🔹 遺贈放棄も可能 | お孫さんが「いらない」と言えば拒否もできる(贈与とは違って強制力はない) |
🔹 財産の名義変更が必要 | 不動産などは、遺贈を受けた人が登記変更手続きをする必要があります。 |

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
山林を相続を放棄したい場合の方法は?
山林の相続を放棄したい場合の方法と注意点
相続財産の中に不動産(山林)があるが、「売れない」「管理が困る」「不要だから引き継ぎたくない」という方は少なくありません。
場合によっては管理(草刈り費用等)や税負担がかかるため、「相続したくない」「処分したい」と考える場合のいくつか方法を説明します。
1️⃣ 相続放棄をする(相続全体を放棄する)
相続放棄をすれば、山林を含むすべての相続財産を受け取らないことができます。
ただし、一部だけを放棄することはできません。
📌 相続放棄の手続き
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家庭裁判所に相続放棄の申述をする(相続開始から3か月以内)
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放棄すると、他の相続人に権利が移る(次順位の相続人がいれば、その人が相続する)
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誰も相続しない場合、最終的に国庫に帰属する(ただし時間がかかる)
⚠️ 相続放棄をすると、他の財産(預貯金・不動産など)もすべて放棄することになります。ただ「山林」がいらないという理由のみで、相続放棄を検討するのは慎重に判断が必要です。
2️⃣ いったん相続してから手放す(国庫帰属制度を活用)
相続放棄をしない場合、**「相続土地国庫帰属制度」**を利用して国に引き取ってもらう方法があります。
📌 国庫帰属制度の条件
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2023年4月から施行された制度
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管理が困難な土地(山林・田畑など)を手放せる
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ただし、一定の要件があり、10年分の管理費用(負担金)を支払う必要がある
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「崖地」「他人の土地と複雑に絡む土地」は対象外となる可能性がある
⚠️ 国庫帰属には制約や条件が多くあり、すべての土地が引き取られるわけではありません。事前に法務局に相談されることをお勧めします。
3️⃣ いったん相続してから山林を売却・寄付する
相続したくない場合、売却や寄付を検討するのも一つの手段です。
📌 売却のポイント
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森林組合や林業事業者に相談すると買い手が見つかる場合がある
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田舎の土地専門の不動産業者に相談する
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安価でも引き取ってくれる業者があるため、探してみる
📌 寄付の可能性
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自治体やNPO法人に相談すると、森林保護目的で受け入れてもらえることもある売却でも寄付でも、必ず引取り先が見つかるとは限りませんので、注意が必要です。
⚠️ 山林の相続放棄をする際の注意点
✅ 相続放棄は3か月以内に決断する必要がある!
✅ 相続放棄しても、次順位の相続人に負担が移るので要相談!
✅ 国庫帰属制度を利用する場合は、条件を満たすか事前に確認!
✅ 引取り先が見つかりそうであれば、売却や寄付の可能性も検討する!

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不動産の個人間売買の良し悪し
不動産の個人間売買のメリット・デメリット

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土地の交換登記とは
土地の交換登記とは?手続きの流れと注意点
土地の交換登記について聞かれたことがありますか?名義変更の登記については、「売買」や「贈与」「相続」等が一般的ですが、「交換」という方法もあります。具体的には、土地の所有者同士が互いに土地を交換し、その所有権を正式に変更するための手続きです。土地活用や境界整理などでよく行われるこの登記、意外と知られていない方も多いと思います。
土地の交換登記の基本から手続きの流れ、注意点まで説明します。
土地の交換登記とは?
土地の交換登記とは、異なる所有者がそれぞれ所有する土地を交換し、所有権を変更する登記手続きを指します。
例えば、Aさんの土地とBさんの土地を交換し、それぞれが新たな所有者として登録されるようにするものです。
なぜ土地を交換するのか?
土地の交換は、以下のような理由で行われることがあります:
- 境界整理や土地活用のため
自分の土地の形状や位置を改善したい場合に有効です。 - 土地の有効利用
現在使いづらい土地を、より利便性の高い土地と交換するケース。 - 家族間や親族間の取引
相続対策や土地の分配の一環として交換を行うこともあります。
土地の交換登記の流れ
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交換契約の締結
土地の交換を行う前に、双方の合意をもとに「交換契約書」を作成します。この契約書には、交換する土地の詳細や条件を明記します。 -
必要書類の準備
登記に必要な書類を揃えます。主な書類は以下の通りです:- 各土地の登記簿謄本(登記事項証明書)
- 土地の固定資産評価証明書や課税明細書写し
- 交換契約書
- 当事者の印鑑証明書
- 各所有者の本人確認書類
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登記申請の準備
法務局に対して登記を申請するための書類を作成します。この際、登録免許税が発生します。
登録免許税は、交換する土地の固定資産評価額に基づいて計算されます。 -
法務局への申請
作成した申請書類を法務局に提出します。法務局が内容を審査し、問題がなければ登記が完了します。 -
登記完了後の確認
登記が完了したら、新しい登記簿謄本を取得して内容を確認します。これにより、土地の所有権が正式に変更されたことが確認できます。
注意点:土地の交換登記で気をつけること
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交換する土地の評価額のバランス
交換する土地の固定資産評価額に大きな差がある場合、贈与税が発生する可能性があります。事前に評価額を確認し、適切な手続きを行いましょう。 -
境界の明確化
土地の境界が不明確な場合、トラブルになることがあります。交換前に測量士や専門家の立ち会いのもとで境界を確認することが大切です。 -
税務面での確認
土地の交換によって、譲渡所得税が発生する場合があります。税務署や税理士に相談して、事前に確認しておくと安心です。
まとめ:土地の交換登記は当事者同士の早めの準備が大切です
土地の交換登記は、土地の有効活用や境界整理にとても役立つ手続きです。しかし、手続きが複雑な場合も多いため、専門家のサポートを受けながら進めることが成功のポイントです。
もし土地の交換や登記に関する疑問やお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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相続した不動産を売却するには
相続した不動産を売却するには、まずは相続登記を完了させる必要があります。亡くなった方の名義のままであれば、売却することができませんので、売却を検討されている方は速やかに相続登記手続きを進めることをお勧めします。
1. 相続登記を完了する
相続した不動産を売却するには、まず所有権を被相続人(亡くなった方)から相続人名義に変更します。
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必要書類(一例):
- 被相続人の戸籍謄本・住民票の除票など(出生~死亡)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 不動産の登記簿謄本
- 固定資産評価証明書もしくは課税明細書など
- 遺産分割協議書(相続人全員が合意し署名・捺印したもの)
- 各相続人の印鑑証明書
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手続き方法:
- 不動産所在地を管轄する法務局で手続きします。
- 自分で行うことも可能ですが、売却を急がれている際などは司法書士に依頼するとスムーズです。
2.注意点
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相続人が複数いる場合:
- 相続人間で単独名義にする際などは、遺産分割協議書で合意を得ておく必要があります。また、売却代金を相続人間で配分するときは、遺産分割協議書に明記しておくことが必要です。
- 不動産を共有名義にする場合、売却手続きの際には全員の同意が必要です。

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抵当権を相続させるには
抵当権は、担保権の一種で、相続人に引き継がれる権利です。抵当権の相続は通常、不動産や借入金の相続とともに行われますが、状況によって複雑になることがあります。
以下に、抵当権が相続される際についての注意点を記載しましたので、参考にしてください。
1. 抵当権の相続の基本
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抵当権の性質
抵当権は財産権の一部として相続され、複数の相続人がいる場合は、その相続分に応じて共有されます。
例: 抵当権を持つ親が亡くなり、子ども2人が相続する場合、抵当権の持分は各1/2になります。 -
被担保債権の相続
抵当権は債権を担保する権利であるため、被担保債権(貸金など)が相続されなければ抵当権も無効になります。相続人は被担保債権を確認する必要があります。
2. 登記の変更手続き
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抵当権の相続が発生した場合、抵当権移転登記を行う必要があります。
必要な書類:- 被相続人の死亡届出書類(戸籍謄本など)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続財産目録
- 登記識別情報または登記済証(権利証)
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登記をしないと、不動産の売却や担保設定時に問題が発生する可能性があります。
3. 抵当権相続に伴うトラブル
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相続人間の意見の不一致
相続分や債権の回収方針について意見が分かれることがあります。この場合、調停や専門家の仲介が必要です。 -
被担保債権の消滅
被相続人の死亡時点で債権が消滅している場合、抵当権も無効になります。この点を確認するため、債権の状況を調査する必要があります。
4.まとめ
抵当権や相続の問題でお困りのことがあれば、専門家に相談することでスムーズに進められることもあります。
抵当権のみならず、相続問題についてのご相談ごとがあれば、気軽にご連絡ください。

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信託登記(信託契約に基づく)
信託登記は、信託契約などに基づいて信託財産を管理する際に、その財産の所有権や管理権を法的に明確にするために行われる登記手続きです。不動産などの財産を信託に組み入れた場合、信託の内容を登記することで信託受託者(信託の管理者)が信託財産を管理・処分する権利があることを対外的に示します。
以下は信託登記のポイントです:
1. 信託登記の目的
- 信託登記は、信託受益者の利益保護と信託契約の透明性を確保するために行われます。登記により、信託契約が有効であることや、信託の内容が明確であることが第三者にもわかるようになります。
2. 信託登記の対象
- 主に不動産信託が対象で、不動産の所有者が信託の管理・運用のために所有権を信託受託者に移し、登記上も信託の名義にする場合があります。また、信託財産の名義を変更する際も登記が必要です。
3. 信託登記の手続き
- 信託契約の締結: まず委託者と受託者が信託契約を締結し、信託の目的や内容、信託財産などの詳細を定めます。
- 登記申請: 不動産の場合は、所轄の法務局に信託登記を申請します。登記には、信託契約書や申請書、登録免許税が必要です。
- 必要書類の提出: 信託契約書、登記申請書、委任状(代理人が手続きする場合)、登記原因証明情報などの書類が必要です。
4. 信託登記にかかる費用
- 信託登記には、登録免許税がかかります。不動産の信託登記の場合は、不動産評価額に応じて税額が決まります。また、登記手続きを司法書士に依頼する場合、その報酬も発生します。
5. 信託登記のメリット
- 信託登記を行うことで、信託財産の帰属が明確化され、信託受託者の権限や責任範囲が対外的に保証されます。信託財産を確実に管理するため、信託受益者の利益が守られます。また、財産の円滑な継承や運用が可能となるため、相続対策や事業承継にも有効です。
信託登記は、信託内容の透明性を保つための重要な手続きです。近年では認知症対策の手段として、よく挙げられることが多いですが、手続きに関して利用の検討をされている方は是非当事務所にご相談ください。

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相続人申告登記の利用について
相続人登記申告制度の背景
相続人申告等制度は、相続登記の申請を義務化する新しい制度です。2024年4月1日から施行されたこの制度は、相続や遺贈によって不動産を取得した場合、相続登記の申請が義務化されたことを目的としており、相続登記が長期間放置されることによって生じるさまざまな問題を解消するために導入されました。従来、相続登記は任意で行われていたため、相続人が登記を怠っても法的なペナルティはありませんでした。しかし、登記がされないことで、以下のような問題が発生していました。
- 不動産の権利関係が不明確: 長期間にわたり相続登記が行われないと、次世代にわたる相続が発生し、権利関係が複雑になることがあります。
- 売却や利用が困難: 相続登記がされていない場合、不動産の売却や担保としての利用が難しくなることがあります。
- 行政管理の困難化: 国や自治体が不動産を適切に把握できず、固定資産税の徴収などにも影響が出る可能性があります。
これらの問題を解決するため、相続登記の申請を義務化し、より迅速かつ確実に不動産の権利関係を明確にするための制度として、相続人登記申告制度が設けられました。
相続人登記申告制度の概要
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相続登記の申請義務
- 不動産を相続や遺贈により取得した相続人は、不動産の相続が発生したことを知ってから3年以内に、登記を申請する義務があります。
- もし、相続人が3年以内に申請しない場合、10万円以下の過料が課される可能性があります。
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申請の内容
- 相続登記申請の内容としては、相続人が法定相続分に従って登記を申請する方法や、遺産分割協議による分割内容に基づいて申請する方法などがあります。
- もし遺産分割協議がまとまらない場合、法定相続分に従って一時的に共有名義で登記を行うことも可能です。
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相続人申告登記
- 相続登記を行う際に、特定の相続人に不動産を相続させるのではなく、相続人申告登記として「相続人であることのみ」を法務局に申告することができます。
- これにより、遺産分割協議が成立するまでの間、相続人の権利を保全しながら後日登記を修正することが可能です。
- 相続人申告登記を行う場合、所有権移転が確定するわけではなく、あくまで「相続人がいること」を示す登記にとどまります。
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相続放棄した場合の対応
- 相続人が相続放棄をした場合は、相続放棄の証明書類(家庭裁判所からの放棄証明書など)を添付して登記申請を行うことで、登記義務が免除されます。
罰則について
- 相続登記申告制度の義務に違反した場合、過料が課される可能性があります。ただし、この過料は、怠慢や不注意による場合に限られ、悪意がなければ直ちに課されるわけではありません。
- 罰則の対象になるのは、3年間の申告期限を過ぎた相続人です。期限内に申告することが重要です。
相続人登記申告制度を利用するケース
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相続開始を知ってから3年以内に手続き: 3年以内に相続登記の申請が難しいようであれば、罰則を回避する意味でも早目に手続きを進めることが求められます。
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遺産分割協議がまとまらない場合の対応: 遺産分割協議がまとまらない場合でも、法定相続分で登記するか、相続人申告登記を利用して登記を先行することが可能です。
制度のメリット
- 過料(罰則)を免れることができる:相続人申告登記を申請し、自身が相続人であることが登記されれば、とりあえず過料の対象とはなりません。
- 相続登記に比べると手続きが簡易である: 各相続人が単独で申請することができ、相続登記に比べると必要書類も少なく、簡易な手続きとなります。
制度のデメリット
- 売却などや担保設定をすることはできない:相続人申告登記は、相続人であることは表示されていますが権利関係を示しているわけではないので、申告登記された相続人が売主となって売却できるわけではありません。同様に金融機関から担保をつけて資金を借入することなどもできません。
- 遺産分割協議が成立した際などは再度登記申請が必要: 相続人間の協議がまとまれば、改めて権利関係を公示する為に、相続登記が必要です。相続登記の義務化は不動産の相続を知ってから3年以内とされていますので、3年以内に相続人間の協議がまとまりそうであれば、あえて相続人申告登記を利用しなくてもよいでしょう。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
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相続した不動産を分ける方法とは
不動産を数名で相続したら
亡くなられた方が不動産を所有していたときには、遺言書がないなどの事情がない限り、相続人全員で誰が取得するのか話し合いが必要となってきます。
預貯金などでは、相続人間で等分に分けることができますが、不動産の場合には少し話し合いが難しくなってくることが多いです。
ここでは、不動産を相続した際の分割方法について説明していきます。
不動産の分割方法
不動産を相続した際の分割方法として、一般的に①「法定相続」②「代償分割」③「換価分割」➃「現物分割」という4つの方法があります。
それぞれの方法について勿論メリット・デメリットはありますので、財産の内容や遺留分、各相続人の状況などに応じて検討していくことが必要えです。
①法定相続割合で分ける
相続人間で話し合いをせずとも、民法で定められた法定相続分に応じて不動産を相続させる方法です。
この方法では、話し合いをしなくても相続登記手続が可能となりますが、不動産が相続人同士で共有状態となる為に、いざ売却や賃貸するときなど話が進まなくなってしまう恐れもあります。
また、固定資産税やマンション管理費の支払を誰がするのか、などの問題も出てきます。
それと共有者の相続人の一人が亡くなると更に相続手続きが必要となることから、共有者が増えていくことも考えらます。
②代償分割
代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得する代わりに他の相続人にその対価を支払うというものです。
特定の誰かがその不動産に住み続けたい意向が強いケースなどでは、検討すべき方法です。
但し、相応の対価を支払う必要があるので、預貯金などの相続財産が少ないときには、不動産を取得する相続人の負担が大きくなってしまうこともあります。
この方法をとる場合にも、代償金を贈与としてみなされないように、その旨はしっかりと遺産分割協議書に記載しくことが大切です。
<記載例> 相続人●●は、第●項に記載の遺産を取得する代償として、相続人▲▲に対し、令和■年■月■日までに金●●万円を、▲▲が指定する銀行口座に送金して支払う。 尚、送金手数料は●●の負担とする。 |
あくまで記載例となりますので、状況に応じて作成していく必要がありますので、ご注意ください。
③換価分割
換価分割とは、相続不動産を売却して、代金を相続人同士で分ける方法です。
相続人間でいくらで売却できたか透明性もあり、また売却代金も皆で分配する為に公平性があります。
空家の不動産などで速やかに処分を検討しているときなどには有効な方法かと思います。
売却時にはケースに応じて各相続人に譲渡所得税などの税金がかかってくることもありますので、予め注意してください。
こちらの方法でも代償分割と同様に、その旨を遺産分割協議書にしっかりと記載しておくことが必要です。
<記載例> 1.相続人●●は、以下の遺産を取得する。 不動産の表示 2.相続人●●は、前項の不動産を売却して、その売却代金から売却に関する一切の費用(仲介手数料、登記費用、譲渡取得税等)及び、売却が完了するまでに要する費用(管理費、固定資産税等)を控除した残額を、法定相続割合に応じて各相続人で分割して取得する。 |
あくまで記載例となりますので、状況に応じて作成していく必要がありますので、ご注意ください。
➃現物分割
現物分割とは、不動産そのものを物理的に分ける方法です。
例として、一筆の土地を相続人同士で分けて(分筆して)、それぞれの土地を取得するというものです。一筆の土地といっても、高低差や形状によって、分け方が難しいものもありますので、相続人同士で慎重な話し合いが必要でしょう。
以上、不動産の分け方について記載しましたが、不動産の場合は預貯金と違って、相続人同士の話合いも慎重に行わなければなりません。また遺産分割協議書にもその旨をしっかりと記載しておくことも大切です。
不動産の相続でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。初回相談・費用見積は無料で承っております。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
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