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相続不動産の売却|税金特例・共有名義・失敗事例を解説
相続した不動産の売却、3つの大きな壁で悩んでいませんか?
「親から相続した実家、どうしよう…」「売却したいけど、税金が心配…」「兄弟と共有名義になっているけど、意見が合わなくて…」
大切なご家族が遺してくれた不動産。感謝の気持ちとともに、いざ売却を考え始めると、次から次へと不安や疑問が湧き出てくるのではないでしょうか。
相続した不動産の売却は、単なる不動産取引ではありません。そこには、「税金」「共有名義」「手続きの失敗」という、大きく、そして複雑な3つの壁が立ちはだかります。
多くの方が、何から手をつけて良いかわからず、一人で悩みを抱え込んでしまっています。しかし、ご安心ください。この記事では、相続問題に詳しい私たち司法書士が、あなたの羅針盤となり、その3つの壁を乗り越えるための具体的な方法を一つひとつ、丁寧に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、漠然とした不安が晴れ、次の一歩をどこへ踏み出せば良いのか、はっきりと見えているはずです。さあ、一緒に課題を整理し、あなたにとって最善の解決策を見つけていきましょう。
【第1の壁】税金はいくらかかる?使える特例を賢く選ぶ方法
相続した不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」という税金がかかります。「いったいいくらかかるんだろう…」と、最も気になるのがこの税金の問題ではないでしょうか。しかし、ご安心ください。相続不動産の売却には、税金の負担を大きく軽減できる特例が用意されています。どの特例が利用できるかを知っているかどうかで、手元に残る金額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。ここでは、税金の基本から、賢い特例の選び方までを分かりやすく解説します。
まずは基本から:譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、以下の計算式で算出されます。
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
この「譲渡所得」に対して、不動産の所有期間に応じた税率を掛けて税額を計算します。
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)
ここでポイントになるのが「取得費」です。取得費とは、亡くなった方(被相続人)がその不動産を購入したときの代金や手数料のことです。しかし、相続した不動産の場合、「親がいつ、いくらで買ったのか分からない」というケースが非常に多くあります。
そのような場合は、「売却価格の5%」を概算取得費として計算するルールがあります。例えば、3,000万円で売却した場合、その5%である150万円を取得費とすることができます。しかし、この方法では取得費が低く見積もられ、結果として税金が高額になってしまう可能性があります。だからこそ、次に説明する特例の活用が非常に重要になるのです。

あなたに合うのはどれ?3つの特例を徹底比較
相続不動産の売却で利用できる可能性のある代表的な特例は、主に3つあります。それぞれ適用できる要件が異なるため、ご自身の状況にどれが当てはまるか、じっくり確認してみましょう。
| 特例の名称 | 概要 | 主な適用要件 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 取得費加算の特例 | 納付した相続税の一部を、不動産の取得費に加算できる制度。 | ・相続により取得した財産であること・その財産を取得した人に相続税が課税されていること・相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に売却すること | ・節税効果は納めた相続税額による・下の2つの3,000万円特別控除とは併用できない |
| 相続空き家の3,000万円特別控除 | 一定の要件を満たす被相続人の居住用家屋(空き家)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度。 | ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること・被相続人が亡くなる直前まで一人で居住していたこと・売却代金が1億円以下であること・家を解体して更地で売るか、耐震リフォームして売ること | ・要件が非常に細かい・相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要がある |
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 相続人がその不動産に住んだ後に売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度。 | ・売主(相続人)が実際に居住している、または住まなくなってから3年以内であること・親子や夫婦など特別な関係の相手への売却ではないこと | ・相続後、一度も住んでいない場合は利用できない・取得費加算の特例とは併用できない |
どの特例が最も有利になるかは、納めた相続税額、不動産の状況、売却のタイミングなどによって異なります。例えば、多額の相続税を納めている場合は「取得費加算の特例」が有利になる可能性がありますし、古いご実家を相続した場合は「相続空き家の3,000万円特別控除」が大きな節税につながるかもしれません。ご自身の状況を正確に把握し、最適な選択をすることが大切です。詳細については、提携の税理士をご紹介させて頂きます。
注意!特例利用の申告期限と確定申告の必要性
これらの特例を利用して税金の負担を軽減するためには、必ず不動産を売却した翌年に確定申告を行う必要があります。申告を忘れてしまうと、特例は一切適用されず、本来払う必要のなかった多額の税金を納めることになってしまいます。
特に注意が必要なのが「取得費加算の特例」の期限です。この特例は、「相続が開始した日の翌日から3年10ヶ月以内」に売却を完了させなければなりません。この期間は意外と短く、「まだ大丈夫」と思っているうちにあっという間に過ぎてしまいます。
相続手続きや不動産の売却活動には時間がかかることも多いため、特例の適用を視野に入れるのであれば、できるだけ早く専門家に相談し、計画的に進めることが何よりも重要です。
【第2の壁】共有名義で売却できない…解決への3ステップ
相続によって、不動産が一人のものではなく、兄弟姉妹など複数の相続人の「共有名義」になることはよくあります。この共有名義こそが、売却における第二の、そして非常に厄介な壁となることがあります。
なぜなら、不動産を売却するには、共有者全員の同意(実印と印鑑証明書)が不可欠だからです。「私は売りたくない」「もっと高く売れるはずだ」と一人でも反対する人がいれば、売却手続きは完全にストップしてしまいます。ここでは、そんな「共有名義の壁」を乗り越えるための解決策を、3つのステップでご紹介します。
ステップ1:まずは冷静に話し合う。交渉のポイントは?
法的な手段に訴える前に、まず行うべきは共有者全員での「話し合い」です。感情的になってしまうと、まとまる話もまとまりません。冷静に、そして具体的に話し合うためのポイントは以下の通りです。
- 売却の必要性を具体的に伝える:「誰も住まない家の固定資産税を払い続けるのは負担が大きい」「管理せずに放置すれば、家が傷んで価値が下がる一方だ」など、売却しないことのデメリットを客観的な事実として伝えましょう。
- 売却代金の分配案を提示する:法定相続分に基づいた公平な分配案をあらかじめ用意しておくことで、お金に関する揉め事を避けやすくなります。
- 第三者を交える:当事者同士では感情的になってしまう場合、不動産業者などの専門家が間に入ることで、冷静な話し合いが進むことがあります。
この段階で全員が納得し、円満に売却の合意ができれば、それが最も理想的な解決です。
ステップ2:自分の持分だけを売却するという選択肢
どうしても話し合いがまとまらない場合、次の選択肢として「自分の共有持分だけを売却する」という方法があります。自分の権利(持分)を売却するだけなので、他の共有者の同意は必要ありません。
ただし、この方法にはメリットとデメリットがあります。
- メリット:他の共有者の意向に関わらず、自分だけが共有関係から抜け出し、現金を手にすることができる。
- デメリット:不動産全体を売却する場合に比べ、売却価格はかなり安くなる傾向があります。また、買い手は専門の不動産買取業者などに限られることがほとんどです。
これは、あくまで次善の策ですが、「どうしても関係を解消したい」という場合には有効な手段となり得ます。

ステップ3:最終手段としての「共有物分割請求」とは
話し合いも決裂し、持分売却も望まない場合の最終手段が、裁判所に判断を仰ぐ「共有物分割請求」という法的手続きです。
これは、共有者の一人が他の共有者に対して、共有状態の解消を求めることができる権利です。まずは調停で話し合い、それでもまとまらなければ訴訟(裁判)へと進みます。
裁判になった場合、裁判所は以下のような判決を下すことが一般的です。
- 現物分割:土地を物理的に分筆するなどして分ける方法。
- 代償分割:共有者の一人が不動産全体を取得し、他の共有者には持分に応じた金銭(代償金)を支払う方法。
- 換価分割:不動産全体を競売にかけて売却し、その代金を共有者で分配する方法。
多くの場合、不動産を物理的に分けることは難しいため、最終的には競売による「換価分割」となるケースが多いです。競売では市場価格よりも安く売却されることが多いため、できればこの手段は避けたいところです。共有物分割請求は、強力な解決手段である一方、時間も費用もかかり、親族間の関係に決定的な亀裂を生じさせる可能性もあります。この手続きを検討する際は、必ず事前に司法書士などの専門家にご相談ください。
【第3の壁】「こんなはずでは…」を防ぐための失敗事例と対策
相続不動産の売却は、専門的な知識がないまま進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。「もっと高く売れたはずなのに…」「想定外の出費で手元にお金が残らなかった…」そんな後悔をしないために、ここでは実際に起こりがちな3つの失敗事例とその対策をご紹介します。
事例1:相続税の納税に焦り、相場より安く売却してしまった
「相続税の納税期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)が迫っているのに、手元に現金がない…」
このような焦りから、不動産会社一社の査定額を鵜呑みにし、足元を見られて相場よりかなり安い金額で売却契約を結んでしまうケースです。後になって、本来ならもっと高く売れた可能性があったことを知り、悔やんでも悔やみきれません。
【対策】
まずは慌てないことが第一です。相続が発生したら、なるべく早い段階で税理士や司法書士に相談し、相続税がいくらかかるのか、納税資金はどのくらい必要かを把握しておきましょう。その上で、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠をしっかり比較検討することが重要です。また、どうしても納税が難しい場合には、延納や物納といった制度もあります。冷静に情報を集め、最善の選択肢を探しましょう。
事例2:相続登記をしないまま売却しようとして話が頓挫
「買い手が見つかり、いざ契約!」という段階になって、不動産の名義が亡くなった親のままだったことに気づくケースです。不動産を売却するためには、その前提として、必ず亡くなった方から相続人へ名義を変更する「相続登記」を済ませておく必要があります。
相続登記が完了していないと、売買契約を進めることができず、せっかくの売却のチャンスを逃してしまうことになります。2024年4月1日からは相続登記の義務化!放置はもうできませんので、手続きを怠ると過料の対象となる可能性もあります。
【対策】
相続が発生したら、売却する・しないにかかわらず、速やかに相続登記の手続きを行いましょう。相続登記は私たち司法書士の専門分野です。戸籍の収集から法務局への申請まで、煩雑な手続きをすべて代行することが可能です。早めに手続きを済ませておくことで、いざという時にスムーズに売却活動を始めることができます。
事例3:解体費用や測量費など想定外の出費で手残りが減った
「3,000万円で売れたから、手元にもそれなりに残るだろう」と考えていたら、仲介手数料や税金の他に、建物の解体費用や土地の測量費用などで数百万円もの追加費用が発生し、当てが外れてしまったというケースです。
特に、古い家屋を売却する際の解体費、隣地との境界が曖昧な土地の測量費、家の中に残された家財道具の処分費などは、見落としがちな大きな出費です。
【対策】
売却活動を始める前に、どのような費用が、いくらくらいかかる可能性があるのか、不動産会社や専門家に確認し、事前に資金計画を立てておくことが非常に重要です。売却にかかる主な費用には、以下のようなものがあります。
- 仲介手数料:不動産会社に支払う成功報酬
- 印紙税:売買契約書に貼る印紙代
- 登記費用:相続登記や抵当権抹消登記にかかる司法書士報酬・登録免許税
- 譲渡所得税・住民税:売却益にかかる税金
- その他:解体費、測量費、遺品整理費、ハウスクリーニング費など
これらの費用をあらかじめリストアップしておくことで、「手残り額」をより正確に把握でき、後々の資金計画も立てやすくなります。
まとめ:一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください
当事務所は相続登記や権利関係の整理を承ります。手続きの可否・結果は事案ごとに異なりますので、詳しくは面談でご説明いたします。相続不動産の売却が、法律や税金、そしてご親族間の感情も絡み合う、非常に複雑な手続きであることをご理解いただけたかと思います。
大切なのは、これらの問題を一人で抱え込まないことです。一つひとつの課題を専門家と一緒に整理し、ご自身の状況に合った最適な道筋を立てることが、後悔のない売却への一番の近道です。
私たち司法書士法人れみらい事務所は、ここ尼崎市で、これまで数多くの相続不動産に関するお悩みに寄り添ってまいりました。
【事務所情報】
司法書士法人れみらい事務所
代表司法書士 上西 祥平、大貫 智江
所在地:〒661-0012 兵庫県尼崎市南塚口町2丁目19番2号 若松ビル201
所属:兵庫県司法書士会
「何から相談していいか分からない」という方も、どうぞご安心ください。まずはあなたのお話をじっくりとお伺いすることから始めます。初回のご相談は無料です(初回のご面談相談60分までが無料の範囲となります。以降のご相談や書類作成等の実務は有料です)。どうぞお気軽に、あなたの不安な気持ちをお聞かせください。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
売買代金の分割払い|契約書の注意点と未払いトラブル解決策
売買代金の分割払いはリスク?まず知るべき基本
「不動産を売りたいけれど、買主から分割払いを提案されて不安…」「どうしても欲しい土地があるけれど、一括では支払えない…」
個人間での高額な売買、特に親族間での不動産取引などでは、売買代金の「分割払い」が選択肢に挙がることがあります。しかし、住宅ローンのような金融機関を介さない取引だからこそ、代金未払いをはじめとする様々なトラブルへの不安がつきまとうのも事実です。
この記事を読んでくださっているあなたも、きっと同じような不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。
ご安心ください。分割払いは、正しい知識を持ってきちんと契約書を作成すれば、売主・買主双方にとってメリットのある、安全な取引にすることができます。この記事では、分割払い契約の基本から、トラブルを未然に防ぐ契約書の作り方、そして万が一未払いが発生してしまった場合の具体的な対処法まで、解説します。
そもそも分割払い(割賦販売)とは?
分割払い(法律上は「割賦販売」と呼ばれます)とは、その名の通り、売買代金を一括ではなく、複数回に分けて支払うことを約束する売買契約の一種です。一度にまとまった資金を用意するのが難しい場合でも高額な商品を購入できるため、様々な場面で利用されています。
住宅ローンも分割で支払う点は同じですが、個人間の分割払いとは大きく異なります。住宅ローンは「買主」と「金融機関」との間の金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)に基づいており、金融機関が売主へ代金を一括で支払い、買主は金融機関へ返済していきます。これに対し、個人間の分割払いは、「売主」と「買主」が直接、代金の支払い方法について取り決める契約です。
そのため、親族間で不動産を譲りたい場合や、事情があって住宅ローンを組めない買主との取引などで、この方法が検討されることがあります。
売主・買主それぞれのメリットとデメリット
分割払いを選択する前に、ご自身の立場からメリットとデメリットを客観的に把握しておくことが大切です。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 売主 | ・買い手の幅が広がり、売却の機会が増える・利息を設定すれば、一括払いより総受取額が増える可能性がある | ・代金が支払われない(未払い)リスクがある・代金の全額回収までに時間がかかる |
| 買主 | ・まとまった資金がなくても購入できる・住宅ローン審査が不要(当事者間の合意のみ) | ・代金を完済するまで所有権を得られない可能性がある・支払い総額が割高になることがある |
売主にとって最大の懸念は、やはり「代金未払いリスク」です。一方で買主は、毎月きちんと支払っているのに、いつまでも所有権が自分のものにならないという不安を抱える可能性があります。こうした双方のリスクを解消するために、法的に有効な「売買契約書」の作成が不可欠となるのです。
トラブル回避の鍵!分割払い契約書に必須の7つの記載事項
口約束だけで分割払いを始めるのは、将来のトラブルを招くもとです。ここでは、あなた自身を守るために、契約書に必ず盛り込むべき7つの重要項目を、司法書士が具体的に解説します。なぜその条項が必要なのか、理由とあわせて理解していきましょう。
1. 売買の対象物と代金総額
【記載内容】
契約の基本として、「何を」「いくらで」売買するのかを明確に特定します。不動産であれば、土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積などを登記簿謄本(登記事項証明書)の記載通りに正確に記載します。代金総額も、分割手数料や利息を含めた最終的な支払総額を確定して記載することが重要です。
【なぜ必要?】
対象物の特定が曖昧だと、後から「売買したのはこの土地ではなかった」といった争いになりかねません。金額の記載ミスも、当然ながら大きなトラブルの原因となります。
2. 支払回数・各回の支払額と支払期限
【記載内容】
「買主は売主に対し、売買代金〇〇円を、令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、毎月末日限り、金〇〇円を〇〇回に分割して支払う」のように、誰が見ても誤解のしようがないほど具体的に定めます。支払方法(銀行振込など)や振込手数料の負担者についても明記しておくと、より丁寧です。
【なぜ必要?】
「毎月だいたい10万円くらい」といった曖昧な約束では、支払いが遅れた際に「今月は少し待ってほしい」などと言い逃れされる余地を与えてしまいます。支払いが遅れているかどうかを客観的に判断できる基準を設けることが大切です。
3. 遅延損害金に関する定め
【記載内容】
「買主が本契約に定める金銭の支払いを怠ったときは、支払期日の翌日から支払済みに至るまで、年〇%の割合による遅延損害金を付加して支払うものとする」といった条項を加えます。
【なぜ必要?】
これは、支払いが遅れた場合のペナルティです。遅延損害金の定めがあることで、買主に「遅れずに支払わなければ」という心理的なプレッシャーを与え、支払いを促す効果が期待できます。利率は当事者間で自由に定められますが、利息制限法の範囲内(年15%~20%)で設定するのが一般的です。
4. 期限の利益の喪失(一括請求の条件)
【記載内容】
「買主が分割金の支払いを2回以上怠り、その額が〇〇円に達したときは、売主からの通知催告がなくても当然に期限の利益を喪失し、残代金全額を直ちに支払わなければならない」という条項です。
【なぜ必要?】
これは、売主にとって最も重要な条項の一つです。「期限の利益」とは、分割で支払うことができるという買主の権利のこと。この権利を失わせる(喪失させる)条件を定めておくことで、約束違反があった場合に、残りの代金全額を一括で請求できるようになります。もしこの条項がないと、支払いが滞っても、その滞納分しか請求できず、非常に弱い立場に立たされてしまいます。
5. 所有権移転の時期
【記載内容】
売買の対象物の所有権が、いつ売主から買主に移るのかを定めます。主な選択肢は以下の通りです。
- 代金完済時:売主にとって最も安全な方法。未払いのリスクがありません。
- 契約時(引渡時):買主にとっては安心ですが、売主は代金未払いのまま所有権を失うリスクを負います。
- 頭金など一部支払時:双方のリスクを折半する方法です。
【当事務所からのアドバイス】
不動産の場合、所有権の移転は法務局で「所有権移転登記」を行うことで第三者に対抗できるようになります。売主としては、「所有権は代金全額の支払いが完了したときに買主に移転する」と契約書に明記し、登記手続きも完済後に行うのが最も安全な方法と言えるでしょう。
6. 所有権移転仮登記の設定(買主のリスクヘッジ)
買主にとっては、売買代金を全額支払うまでは自身の名義とならない為に、もし途中で売主が
第三者に売却してしまったら、というリスクが伴います。
これを保全するには、「所有権移転仮登記」という方法もあります。
【所有権移転仮登記とは】
不動産の所有権移転登記に必要な書類が揃わない場合や、将来的に所有権を移転する予定がある場合に、登記の順位を確保するために行う仮の登記です。これにより、将来本登記が可能となった際に、仮登記をした時点に遡って登記の効力を発生させることができます。
7. 親族間売買と「みなし贈与」のリスク
【記載内容】
親族間売買の場合、特に金利(利息)の設定が重要になります。契約書に、客観的に見て妥当な利率(例えば、親が銀行に預けて得られる利率など)を定めておくことが望ましいです。
【なぜ必要?】
親子や兄弟など、親しい間柄での取引で「利息はなしでいいよ」としてしまうと、税務署から「利息分を贈与したのと同じ」とみなされ、思わぬ贈与税(みなし贈与)が課される可能性があります。また、相場より著しく低い価格での売買も同様です。きちんと利息を設定し、契約書通りに返済している事実を示すことが、将来の税務リスクを回避するために重要です。
参考:No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
もし未払いに…その時あなたが取るべき3つのステップ
契約書を完璧に作成しても、残念ながら支払いが滞ってしまうケースは起こり得ます。そんな時、感情的になって関係をこじらせる前に、法的な手順に沿って冷静に対応することが解決への近道です。ここでは、あなたが取るべき具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:まずは内容証明郵便で支払いを催告する
電話やメールでの催促に応じてもらえない場合、最初の法的なアクションとして「内容証明郵便」を送付します。これは、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれるサービスです。
法的な通知であるため、受け取った相手に強い心理的プレッシャーを与え、支払いを促す効果が期待できます。また、支払いを催告したという事実が証拠として残るため、将来、裁判などの法的手続きに進む際にも非常に重要な意味を持ちます。
ステップ2:裁判所の「支払督促」を利用する
内容証明郵便を送っても支払いがない場合、次に検討するのが裁判所の「支払督促」という手続きです。これは、書類審査のみで裁判所から相手方に支払いを命じてもらう、迅速かつ比較的簡単な手続きです。
相手方が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、売主は「仮執行宣言」を得ることができます。これにより、相手の財産を差し押さえる「強制執行」の申し立てが可能になります。通常の訴訟に比べて時間と費用を抑えられる点が大きなメリットです。
参考:支払督促
ステップ3:訴訟と強制執行で債権を回収する
支払督促に相手が異議を申し立てた場合や、事案が複雑な場合は、最終手段として「訴訟」を提起することになります。裁判で勝訴判決を得ることで、強制的に相手の給与や預金、不動産などの財産を差し押さえる「強制執行」が可能となり、債権の回収を図ります。
【司法書士からのアドバイス】
ここで絶大な効果を発揮するのが、契約書を「公正証書」で作成しておくことです。公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公的な文書です。公正証書に強制執行認諾文言を作成しておくと、執行手続きが容易になる場合があります。事案により要件や手続きが異なりますので、個別にご相談ください。
不安な契約は専門家へ。司法書士に相談するメリット
ここまでお読みいただき、分割払い契約には様々な注意点があり、ご自身だけで進めるのは不安だと感じられたかもしれません。特に高額な不動産取引など、失敗が許されない契約においては、専門家のサポートが不可欠です。
当事者だけで話を進めようとすると、知識不足から法的に不備のある契約書を作成してしまったり、いざトラブルになった際に関係性が悪化してしまったりするリスクがあります。そんな時、法律の専門家である司法書士が間に入ることで、安心して、そして円滑に手続きを進めることができます。
契約書作成から登記、トラブル対応までワンストップ
私たち司法書士法人れみらい事務所では、売買代金の分割払いに関するお悩みをトータルでサポートしています。ご相談は、下記の事務所情報をご確認の上、お気軽にお問い合わせください。
- 契約書・公正証書の作成支援:お二人のご希望を丁寧に伺い、将来のトラブルを未然に防ぐ、法的に万全な契約書案を作成します。公正証書にする際の手続きもサポートいたします。
- 各種登記手続きの代理申請:不動産売買に伴う所有権移転登記や所有権移転仮登記など、複雑な登記手続きをすべて代理で行います。
- 未払いトラブル発生時の法的手続き支援:万が一支払いが滞ってしまった場合も、内容証明郵便の作成や、支払督促、訴訟に必要な書類作成の支援など、債権回収に向けた法的手続きをサポートします。(※代理人として交渉や訴訟活動ができる範囲には制限があります)
このように、契約前の準備段階から、万が一のトラブル対応まで、一貫してあなたに寄り添い、サポートできるのが私たちの強みです。
初回相談は無料です。まずはお気軽にご状況をお聞かせください
「これから分割払いの契約をするので、契約書を見てほしい」
「親族間で不動産を分割払いで売りたいが、何から始めればいいか分からない」
「すでに支払いが滞っていて、どうしたらいいか困っている」
どのような状況でも構いません。一人で悩まず、まずはお気軽に私たちにご相談ください。司法書士法人れみらい事務所では、初回のご相談は無料(60分程度)でお受けしています。あなたの不安な気持ちに寄り添い、法律の専門家として、そしてあなたの味方として、最善の解決策を一緒に考えさせていただきます。
どうぞ安心して、下記よりお問い合わせください。
【事務所情報】
事務所名:司法書士法人れみらい事務所
代表司法書士:上西 祥平、大貫 智江
所在地:兵庫県尼崎市南塚口町2丁目19番2号 若松ビル201
所属:兵庫県司法書士会
初回無料相談はこちらから
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
信託登記は必要?メリット・デメリットと費用を司法書士が解説
「信託登記」は本当に必要?まず知っておきたい基本
「親の将来のために家族信託を考え始めたけれど、『信託登記』という手続きが必要らしい。でも、これって本当にやらなきゃいけないの?」「費用もかかるみたいだし、できれば避けたい…」
ご家族の未来を真剣に考えるほど、このような疑問や不安を感じるのは当然のことです。特に「登記」と聞くと、なんだか難しくて面倒な手続きに感じてしまいますよね。
結論からお伝えしますと、信託財産に不動産が含まれる場合、信託登記は法律上の義務であり、ご家族の財産と未来を守るために「絶対に必要」な手続きです。
この記事では、なぜ信託登記がそれほど重要なのか、その基本的な仕組みから、登記をしない場合に起こりうる深刻なリスク、そして具体的な手続きの流れや費用まで、司法書士がわかりやすく解説していきます。読み終える頃には、信託登記に対する漠然とした不安が解消され、ご自身のケースで何をすべきかが明確になっているはずです。どうぞ、肩の力を抜いて読み進めてくださいね。
信託登記とは?所有権移転登記との違いをわかりやすく解説
まず、信託登記がどのようなものか、基本的なところからご説明します。
信託登記とは、「この不動産は、信託契約に基づいて管理されている特別な財産ですよ」ということを、法務局の登記簿に記録し、公に証明するための手続きです。
家族信託では、親(委託者)が自分の財産(不動産など)を、信頼できる子(受託者)に託し、管理・運用してもらいます。このとき、不動産の名義は親から子へ変更されますが、これは売買や贈与のように完全に子のものになるわけではありません。あくまで「信託の目的のために」管理を任されている状態です。
この特殊な関係を公示するのが信託登記です。
通常の売買などで行う「所有権移転登記」と「信託登記」の大きな違いは、財産の所有権のあり方にあります。
| 所有権移転登記(売買・贈与など) | 所有権移転及び信託登記 | |
|---|---|---|
| 目的 | 財産の所有権を完全に相手に移す | 財産の管理・運用を相手に託す |
| 登記簿の記載 | 原因:「売買」「贈与」権利者:買主・受贈者 | 原因:「信託」権利者:受託者(子の名前)あわせて「信託目録」が作成される |
| 財産の性質 | 買主・受贈者の固有財産となる | 受託者の固有財産とは区別される信託財産となる |
信託登記を行うと、登記簿には所有者の名義が受託者(子)に変わると同時に、「信託」が原因であること、そして委託者(親)や受益者(親など)、信託の目的などを記載した「信託目録」というものが作成されます。これにより、誰が見ても「この不動産は、受託者が自分のために所有しているのではなく、信託契約に基づいて預かっている財産なのだ」ということが一目でわかるようになるのです。
信託登記が必要な財産、不要な財産
「うちの場合、信託登記は必要なんだろうか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。信託する財産の種類によって、登記の要否は変わります。
- 信託登記が【必要】な財産
土地や建物などの不動産です。不動産を信託財産に含める場合は、信託法という法律で登記が義務付けられています。ご自宅やアパート、駐車場などを家族信託の対象にするなら、必ず信託登記が必要です。 - 信託登記が【不要】な財産
預貯金や現金、上場株式などの有価証券です。これらの財産には登記という制度がありません。その代わり、預貯金の場合は、受託者(子)の名義で「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」という専用の銀行口座を開設して、受託者個人の預金とは明確に分けて管理するのが一般的です。
もし、ご実家の土地と建物を信託したいとお考えなら、信託登記は避けて通れない手続きということになります。
信託登記をしないとどうなる?放置する5つの深刻なリスク
「法律の義務とは言っても、家族間のことだし、契約書だけ作っておけば大丈夫なのでは?」
そうお考えになる気持ちもわかります。しかし、信託登記を怠ることで、将来ご家族が想像もしていなかったような深刻なトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。ここでは、実際に起こりうる5つのリスクを具体的に解説します。

リスク1:第三者に権利を主張できず、不動産を失う可能性
信託登記の最も重要な役割は、「対抗力(たいこうりょく)」を持つことです。対抗力とは、簡単に言えば「信託契約の当事者以外の人(第三者)に対して、『この不動産は信託財産です!』と正々堂々と主張できる法的な力」のことです。
もし登記をしていなければ、この対抗力がありません。すると、たとえば次のような事態が起こりえます。
- 委託者(親)の借金で差し押さえられる:親が誰かからお金を借りていて、その返済が滞ったとします。債権者は、登記名義がまだ親のままである不動産を「親の財産」とみなし、差し押さえてしまう可能性があります。たとえ家族間で信託契約を結んでいても、登記がなければ「この不動産は信託財産なので差し押さえないでください」と主張することができないのです。
- 悪意の第三者に売却されてしまう:万が一、事情を知らない第三者に親が不動産を二重に売却してしまい、その買主が先に所有権移転登記をしてしまった場合、受託者(子)は「その不動産は信託財産だ」と主張できず、不動産を取り戻すことが極めて困難になります。
信託登記は、こうした外部のリスクから大切な財産を守るための、いわば「法的な鎧」の役割を果たします。
リスク2:不動産の売却や賃貸契約がスムーズに進まない
信託の目的によっては、将来、受託者(子)が親の介護費用などを捻出するために、信託された不動産を売却したり、アパートの大規模修繕のために銀行から融資を受けたりする必要が出てくるかもしれません。
このような場面で信託登記がされていないと、大変な困難が生じます。
不動産の買主や金融機関、不動産会社は、取引の安全を確保するために必ず登記簿を確認します。その際に登記がされていなければ、たとえ信託契約書を見せたとしても、「本当にこの人(受託者)に不動産を処分する正当な権限があるのだろうか?」と疑念を抱かれ、取引を拒否されてしまう可能性が高いのです。
結果として、必要な資金をタイムリーに得られなかったり、有利な条件での売却機会を逃してしまったりと、信託の目的そのものが達成できなくなる恐れがあります。
リスク3:他の相続人との間で深刻なトラブルに発展
信託登記を怠ることが、家族の絆に亀裂を入れる引き金になることもあります。
たとえば、長男が受託者となって親の不動産を管理する信託契約を結んだとします。しかし、登記をしないまま親が亡くなってしまいました。信託の存在を知らなかった他の兄弟(次男や長女)は、登記簿を見て「親の不動産はまだ親名義のままだから、遺産分割の対象になるはずだ」と考えるでしょう。
そのときになって長男が「実は生前に親と信託契約を結んでいた」と契約書を見せても、他の兄弟からすれば「兄さんが親を言いくるめて、勝手に財産を独り占めしようとしているのではないか」と疑心暗鬼になりかねません。
公的な証明である登記がないばかりに、本来は家族を守るためだったはずの信託が、かえって深刻な「争族」の火種となってしまうのです。信託登記は、家族間の無用な争いを防ぐための「お守り」でもあるのです。
リスク4:受託者が先に亡くなった場合、手続きが複雑化する
あまり考えたくないことかもしれませんが、親(委託者)より先に子(受託者)が亡くなってしまう可能性もゼロではありません。
もし信託登記がされていないと、登記簿上は親名義のままですから、信託財産である不動産と、受託者である子が元々所有していた個人の財産との区別が非常に曖昧になります。これにより、亡くなった子の相続手続き(誰が次の受託者になるのか、など)が非常に複雑化し、混乱を招く可能性があります。
信託登記をしておけば、登記簿と信託目録によって「この不動産は信託財産である」ことが明確に分離されているため、万が一の事態が起きても、スムーズに次の手続きに進むことができます。
リスク5:法律上の義務違反となる可能性
これまで見てきた実務上のリスクに加え、そもそも不動産を信託財産とする場合、信託登記をすることは信託法で定められた法律上の義務です。
直接的な罰則がすぐに適用されることは稀ですが、この義務を怠っている状態は法的に不安定であり、将来、何らかのトラブルが発生した際に、受託者の立場が著しく不利になる可能性があります。
「知らなかった」では済まされない問題に発展する前に、法律のルールに従って、きちんと手続きを済ませておくことが、結局は一番の安心に繋がるのです。
信託登記のメリットとデメリットを天秤にかける
ここまで読んで、信託登記をしないことのリスクの大きさを感じていただけたかと思います。その上で、改めてメリットとデメリットを整理し、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
【メリット】将来の安心を守るための重要な手続き
信託登記のメリットは、前章で解説したリスクをすべて回避できることに集約されます。具体的には、以下の3つの「安心」を手に入れることができます。
- 財産の保全:第三者に対して正当な権利を主張できる「対抗力」を持つことで、差し押さえなどの外部リスクから大切な不動産を確実に守ることができます。
- 円滑な財産管理・処分:受託者の権限が公的に証明されるため、不動産の売却や賃貸、融資の申し込みなどがスムーズに進みます。これにより、親の認知症が進行した後でも、必要に応じて柔軟な財産管理が可能になります。
- 相続トラブルの予防:信託の事実が公に記録されることで、他の相続人との間の誤解や疑念を防ぎ、無用な家族間の争いを未然に防ぐことができます。
信託登記は、将来にわたってご家族の資産と穏やかな関係性を守るための、非常に価値のある「先行投資」と言えるでしょう。
【デメリット】費用と手間がかかる点は考慮が必要
一方で、デメリットも正直にお伝えしなければなりません。それは主に以下の2点です。
- 費用がかかる:登記手続きには、国に納める「登録免許税」という税金や、手続きを依頼する司法書士への報酬といった費用が発生します。
- 手続きに手間がかかる:信託契約書の内容を決めたり、必要な書類を集めたりと、一定の時間と手間がかかります。
しかし、これらのデメリットは、「将来起こりうる、より大きな金銭的・精神的損失を回避するためのコスト」と捉えることもできます。数万円から数十万円の費用を惜んだ結果、数千万円の価値がある不動産を失ったり、家族関係が修復不可能なほどこじれてしまったりするリスクを考えれば、どちらが賢明な選択かは明らかではないでしょうか。次の章で、具体的な費用や手続きの流れを詳しく見ていきましょう。
信託登記の手続きの流れと費用の目安
「実際に信託登記をするには、何から始めて、どれくらい費用がかかるの?」という具体的な疑問にお答えします。手続きの全体像を掴むことで、漠然とした不安も解消されるはずです。

相談から登記完了までの4ステップ
信託登記は、一般的に以下の4つのステップで進みます。私たち司法書士にご依頼いただいた場合を想定してご説明します。
- 専門家への相談・信託契約内容の設計
まずは、私たちのような信託に詳しい司法書士にご相談ください。ご家族の状況やご希望を丁寧にお伺いし、「誰が、誰のために、どの財産を、どのように管理していくのか」という信託の骨格を一緒に設計していきます。 - 信託契約書の作成(公正証書化)
設計した内容に基づき、法的に有効な信託契約書を作成します。契約書の内容は非常に専門的で複雑になるため、後々のトラブルを防ぐためにも、公証役場で「公正証書」として作成するのが一般的です。 - 必要書類の収集
登記申請に必要な書類(委託者の印鑑証明書、受託者の住民票、不動産の権利証、固定資産評価証明書など)を集めます。必要書類のご案内や取得の代行もサポートしますのでご安心ください。 - 法務局への登記申請
すべての書類が揃ったら、司法書士が代理人として管轄の法務局に所有権移転及び信託登記の申請を行います。申請から1~2週間ほどで登記が完了し、新しい権利証(登記識別情報通知)が発行されます。
ご相談から登記完了までの期間は、事案にもよりますが、おおよそ1ヶ月~2ヶ月程度が目安となります。
費用の内訳:登録免許税と司法書士報酬
信託登記にかかる費用は、大きく分けて「登録免許税」と「司法書士報酬」の2つです。
- 登録免許税(国に納める税金)
登記をする際に必ずかかる税金です。信託の場合、不動産の固定資産税評価額に対して、以下の税率で計算されます。- 土地:固定資産税評価額 × 0.3% (※令和8年3月31日までの軽減税率)
- 建物:固定資産税評価額 × 0.4%
- 司法書士報酬
信託契約書のコンサルティング・作成サポートから、登記申請の代理まで、一連の手続きに対する専門家への報酬です。報酬額は、信託内容の複雑さや財産の価額によって変動しますが、一般的には信託契約コンサルティングと登記申請を合わせて30万円~が一つの目安となります。もちろん、当事務所では、ご依頼いただく前に必ず明確なお見積もりを提示いたしますので、ご安心ください。
信託登記に関するよくある質問(Q&A)
最後に、信託登記に関して多くの方が疑問に思われる点について、Q&A形式でお答えします。
Q1. 自分で信託登記の手続きはできますか?
A. 理論上は可能ですが、現実的には極めて難しいと言わざるを得ません。
信託登記の前提となる信託契約書は、ご家族の状況に合わせてオーダーメイドで作成する必要があり、インターネット上のひな形をそのまま使うのは非常に危険です。内容に不備があれば、信託そのものが無効になったり、将来思わぬ税金問題が発生したりするリスクがあります。
また、登記申請手続きも専門的な知識が要求されます。間違いがあれば法務局で何度も補正を求められ、多大な時間と労力がかかります。安全かつ確実に手続きを完了させるためには、信託に精通した司法書士にご依頼いただくのが最善の選択です。
Q2. 登記はいつまでにすれば良いですか?
A. 信託契約を締結したら、「遅滞なく」行うべきです。
登記を先延ばしにしている間に、委託者である親御さんの判断能力が低下してしまったり、予期せぬ事故に遭われたり、あるいは借金問題が発覚したりする可能性も否定できません。そうなると、登記手続き自体ができなくなったり、財産を差し押さえられたりするリスクが生じます。
信託契約の締結と信託登記は、必ずワンセットで、できる限り速やかに行うものだとお考えください。
Q3. 信託が終わった後も何か手続きが必要ですか?
A. はい、必要です。
信託契約で定めた目的が達成されたり、委託者と受益者が亡くなったりして信託が終了した際には、信託財産を最終的に引き継ぐ方(帰属権利者)へ名義を移す必要があります。その際には、まず「信託登記の抹消」を行い、次に帰属権利者への「所有権移転登記」を行うという、2段階の登記手続きが必要になります。
信託は、開始から終了まで一連の登記手続きが伴います。私たち専門家は、その最後まで責任を持ってサポートさせていただきます。
まとめ:信託登記は家族の未来を守るための重要な手続きです
今回は、信託登記の必要性について、その仕組みからリスク、具体的な手続きまで詳しく解説してきました。
信託登記は、単に法律で定められた義務というだけではありません。それは、
- 第三者のリスクから、かけがえのない家族の財産を守る「盾」となり、
- 家族間の無用な争いを防ぎ、円満な関係を維持するための「お守り」となり、
- 認知症などによって判断能力が低下した後も、スムーズな財産管理を可能にする「道しるべ」
となる、非常に重要な手続きです。確かに費用や手間はかかりますが、それを上回る大きな安心感を得られる、未来への価値ある投資と言えるでしょう。
家族信託や信託登記について、「自分の場合はどうなるんだろう?」「何から相談すればいいかわからない」と少しでもお悩みでしたら、どうか一人で抱え込まないでください。
私たち司法書士法人れみらい事務所(所在地:兵庫県尼崎市南塚口町2丁目19番2号 若松ビル201、代表司法書士 上西祥平・大貫智江、所属:兵庫県司法書士会)では、家族信託に関するご相談にも力を入れています。初回相談は無料です。ご状況を伺ったうえで、考えられる選択肢や手続きの概要をご説明します。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
相続登記の義務化!放置はもうできません
【2024年4月〜】相続登記が義務化!放置はもうできません
「親が亡くなって、尼崎にある実家を相続したけれど、何から手をつけていいかわからない…」
「相続登記が義務化されたと聞いたけど、具体的にどうすればいいの?個別の事情によって手続きは異なりますので、詳細は専門家にご相談ください」
大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、慣れない手続きに戸惑い、このような不安を抱えていらっしゃる方は少なくありません。特に、2024年4月1日から始まった相続登記の義務化は、これまでのように「いつかやろう」と先延ばしにすることができなくなりました。
この記事を最後までお読みいただければ、相続登記の手続きや選択肢についての理解が深まります。この記事では、相続登記を多く扱っている司法書士が、以下の点を分かりやすく解説します。
- 相続登記の義務化で「いつまでに」「何を」しなければならないのか
- もし手続きを放置してしまったら「どんな罰則やデメリット」があるのか
- 手続きの具体的な流れと、尼崎市での費用相場はどれくらいか
- 手続きが難しいと感じたとき、誰に相談すれば安心か
一人で悩まず、まずはこの記事で正しい知識を身につけ、次の一歩を踏み出す準備を始めましょう。
相続登記とは?なぜ義務になったの?
相続登記とは、とてもシンプルに言うと「不動産(土地や建物)の名義を、亡くなった方から相続人へ変更する手続き」のことです。法務局という役所に申請することで、その不動産が誰のものであるかを公的に記録(登記)します。
これまでは、この相続登記に期限はなく、手続きは任意とされていました。しかし、登記がされないまま放置される不動産が増え、深刻な問題が起きてしまったのです。
それが「所有者不明土地問題」です。
登記上の名義人が亡くなった方のままだと、現在の所有者がわからず、公共事業や災害復興の妨げになったり、周辺の環境悪化の原因になったりします。この問題を解決するため、国は相続登記を義務化することを決定しました。
つまり、相続登記は単なる面倒な手続きではなく、社会全体にとって重要な役割を担っているのです。
参考:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法 …
いつから?誰が対象?義務化の3つのポイント
「自分も対象になるの?」とご心配な方のために、義務化の特に重要なポイントを3つにまとめました。
- 2024年(令和6年)4月1日からスタート
相続登記の義務化は、すでに始まっています。 - 相続を知った日から3年以内の申請が必要
原則として、「ご自身が相続人であることを知り、かつ、不動産を相続したことを知った日」から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。 - 【重要】法律の施行日(2024年4月1日)より前の相続も対象
「うちは何十年も前に相続したから関係ない」と思っていませんか?実は、過去に発生した相続で、まだ登記をしていない不動産もすべて義務化の対象となります。この場合、2024年4月1日から3年以内、つまり2027年3月31日までに登記をする必要があります。
心当たりがある方は、決して他人事ではありません。今すぐにご自身の状況を確認することが大切です。

相続登記を放置する5つの深刻なデメリット【罰則だけじゃない】
「3年以内なら、まだ時間がある」と考えるのはとても危険です。相続登記を放置するデメリットは、法律で定められた罰則だけではありません。むしろ、ご自身の財産やご家族に降りかかる、もっと深刻な問題があるのです。
ここでは、放置することで生じる5つの代表的なデメリットを解説します。
デメリット1:10万円以下の過料(罰則)が科される
まず、法律上の罰則として、正当な理由なく期限内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
「正当な理由」とは、例えば以下のようなケースが想定されています。
- 相続人が多すぎて戸籍謄本の収集に時間がかかる
- 遺言の有効性をめぐって争いがある
- 相続人に重病の方がいる
しかし、「仕事が忙しかった」「手続きが面倒だった」といった理由は、残念ながら正当な理由とは認められにくいでしょう。過料はあくまで最後の手段ですが、法律で定められた義務である以上、軽視することはできません。
デメリット2:不動産を売りたい時に売れない
相続した不動産は、あなたの大切な資産です。しかし、登記名義が旧名義のままの場合、実務上は売却や担保設定が事実上困難になることが多い(登記名義の変更が必要)ため、早めの手続きが推奨されます。
例えば、「急にまとまった資金が必要になったので、空き家になっている実家を売りたい」と思っても、名義が亡くなった方のままでは、買主への名義変更ができないため、誰も買ってくれません。いざという時に資産を活用できないのは、非常に大きなデメリットです。
デメリット3:時間が経つほど相続関係が複雑になる
これが、私たちが最も懸念している最大のリスクです。
相続登記をしないうちに、相続人の誰かが亡くなってしまうと、「数次相続(すうじそうぞく)」が発生します。
【具体例】
父が亡くなり、母と子A・Bが相続人になったとします。遺産分割の話をしないまま母も亡くなると、母が持っていた相続権は、子A・Bに移ります。さらに、子Aが亡くなると、その相続権は子Aの配偶者や子供たちへと引き継がれていきます。
最初は3人だった話し合いが、時間が経つにつれて、会ったこともない甥や姪、その配偶者など、ネズミ算式に関係者が増えていくのです。そうなると、全員の協力(実印と印鑑証明書)を得るのは非常に困難になり、手続き費用も時間も膨大になってしまいます。
デメリット4:他の相続人に持分を差し押さえられるリスク
不動産は、遺産分割協議が終わるまで、相続人全員の共有財産です。
もし、相続人の誰かが借金をしていて返済が滞った場合、その人の債権者(貸した側)が、不動産の相続分(持分)を差し押さえる可能性があります。
最悪の場合、その持分が競売にかけられ、見ず知らずの第三者が共有者として現れることもあり得ます。そうなると、ご自身が住み慣れた家や、思い出の詰まった実家を失うことにもなりかねません。自分に全く非がなくても、他の相続人の事情に巻き込まれてしまう恐ろしいリスクです。
もし相続財産に借金が含まれている場合や、相続自体を避けたい場合は、相続放棄についての手続きを検討する必要もあります。
相続登記の手続きの流れと必要書類リスト
「デメリットは分かったけど、具体的に何をすればいいの?」という方のために、ここからは実際の手続きについて解説します。全体像を把握することで、ご自身でできそうか、専門家に任せるべきかの判断材料にしてください。
【4ステップ】相続登記完了までの基本的な流れ
相続登記は、大きく分けて以下の4つのステップで進みます。
- 必要書類の収集
亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本などを、各市区町村の役所から取り寄せます。これが最も時間と手間のかかる作業です。 - 遺産分割協議書の作成
相続人全員で「誰がどの財産を相続するか」を話し合い、その内容を書面(遺産分割協議書)にまとめます。全員が署名し、実印を押印する必要があります。 - 登記申請書の作成
法務局に提出するための「登記申請書」を作成します。法律で定められた形式に沿って、正確に記載しなければなりません。 - 法務局へ申請
収集した書類と作成した申請書一式を、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。書類に不備がなければ、1~2週間程度で登記が完了し、新しい権利証(登記識別情報通知)が発行されます。
【チェックリスト付】相続登記の必要書類一覧
相続の方法(遺言があるか、遺産分割協議をするかなど)によって必要書類は異なりますが、ここでは最も一般的な「遺産分割協議による相続」のケースで必要な書類をまとめました。
| カテゴリ | 書類名 | 取得場所 |
|---|---|---|
| 亡くなった方(被相続人)に関する書類 | 出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 |
| 住民票の除票(または戸籍の附票) | 最後の住所地の市区町村役場 | |
| 遺言書(ある場合) | 自宅、公証役場など | |
| 相続人に関する書類 | 相続人全員の現在の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
| 不動産を相続する方の住民票 | 住所地の市区町村役場 | |
| 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの) | 各相続人の住所地の市区町村役場 | |
| 不動産に関する書類 | 固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村役場(尼崎市なら市役所) |
| 名寄帳(必要な場合) | 不動産所在地の市区町村役場 | |
| その他 | 遺産分割協議書 | ご自身で作成、または専門家が作成 |
特に「出生から死亡までの戸籍謄本」は、結婚や転籍で本籍地が変わっていると、複数の役所に請求する必要があり、非常に手間がかかります。
期限に間に合わない時の救済策「相続人申告登記」とは?
「相続人間で話し合いがまとまらず、3年の期限に間に合いそうにない…」
このようなケースのために、「相続人申告登記」という新しい制度が設けられました。
これは、相続登記の申請義務を簡易に履行するための仕組みです。相続人の一人から、「私が相続人の一人です」と法務局に申し出ることで、ひとまず義務を果たしたことになります。この申出をすれば、過料の対象にはなりません。
【注意点】
- これは正式な相続登記ではなく、あくまで一時的な措置です。
- この申出だけでは、不動産の所有権が誰になったかは確定しません。
- そのため、不動産を売却したり、担保に入れたりすることはできません。
- 結局、後日、遺産分割協議がまとまった段階で、正式な相続登記を改めて申請する必要があります。
安易に先延ばしにするための制度ではないことを、しっかり理解しておきましょう。
参考:相続人申告登記について
相続登記、費用はいくら?司法書士報酬の相場
手続きを進める上で、最も気になるのが費用だと思います。相続登記にかかる費用は、大きく「実費」と「専門家への報酬」の2つに分けられます。
必ずかかる実費(登録免許税など)
これは、ご自身で手続きをしても、司法書士に依頼しても、必ず発生する費用です。
- 登録免許税:登記を申請する際に国に納める税金です。原則として「不動産の固定資産税評価額 × 0.4%」で計算されます。
(例:評価額1,000万円の土地なら、1,000万円 × 0.4% = 4万円) - 書類取得費用:戸籍謄本(1通450円)、住民票(1通300円程度)、印鑑証明書(1通300円程度)など、役所で書類を取得するための手数料です。相続人の人数にもよりますが、数千円~1万円程度かかることが多いです。
- その他:郵送費や交通費など。
司法書士への依頼費用【尼崎市の相場】
司法書士に相続登記を依頼した場合、上記の実費に加えて報酬が発生します。報酬は事務所によって異なりますが、一般的な相続登記の場合、7万円~15万円程度が相場となっています。
ここ尼崎市や阪神間においても、おおむねこの範囲内に収まることが多いです。ただし、報酬額は以下のような要因で変動します。
- 不動産の数(土地と建物で2つ、など)
- 不動産の評価額
- 相続人の人数
- 数次相続が発生しているなど、事案の複雑さ
当事務所では、相続に関する手続きをまとめてサポートする「相続手続きトータルサポートプラン」もご用意しております。このプランでは、主に以下の業務を代行します。
・戸籍謄本等の必要書類の収集
・遺産分割協議書の作成
・登記申請書の作成および法務局への申請
(注)上記は標準的な業務範囲です。不動産の数や相続人の人数、事案の複雑さ等により、別途費用が発生する場合があります。詳細はお見積りでご提示します。
まずはお見積りだけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
参考:司法書士の報酬
費用を抑えたい…自分で手続きするのは可能?
「少しでも費用を節約したいので、自分でやってみたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。もちろん、時間と労力をかければ、ご自身で手続きをすることも不可能ではありません。
しかし、その前に以下の点をよくご検討ください。
【自分でやる場合のデメリット】
- 膨大な時間と手間がかかる:平日の昼間に何度も役所や法務局に足を運ぶ必要があります。
- 書類の不備でやり直しになるリスク:戸籍の読み解きや専門的な申請書の作成は、慣れていないと非常に難しく、少しの間違いでも法務局で受け付けてもらえません。
- 精神的な負担が大きい:相続人との連絡や調整、慣れない作業は大きなストレスになります。
結局、途中で挫折してしまい、期限が迫ってから慌てて司法書士に依頼されるケースも少なくありません。司法書士に依頼することは、単に手続きを代行してもらうだけでなく、「時間と労力を節約し、法的な間違いのない確実な手続きで安心を買う」という賢い選択肢でもあるのです。

相続登記のお悩みは、尼崎の司法書士法人れみらい事務所へ
ここまでお読みいただき、相続登記の義務化について、その重要性と手続きの概要をご理解いただけたかと思います。しかし、いざご自身の状況に当てはめてみると、「うちの場合はどうなるんだろう?」「やっぱり一人で進めるのは不安だ」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そんな時は、どうか一人で抱え込まずに、私たち相続の専門家にご相談ください。司法書士法人れみらい事務所は、初回のご相談は無料です(初回30分程度。ご相談内容の簡易なアドバイスを含みます。書類作成や具体的な手続き代行は別途費用が発生します)。まずはお話をお伺いし、あなたにとって最善の道筋を一緒に考えさせていただきます。
私たちが、あなたの「どうしよう」を解決します
私たち司法書士法人れみらい事務所は、ここ兵庫県尼崎市に拠点を置き、これまで数多くの相続問題と向き合ってまいりました。
私たちの強みは、単に法律に則って手続きを進めるだけではないことです。私たちは、法律の専門家である前に、お客様の「心」や「想い」に寄り添うパートナーでありたいと考えています。ご家族の歴史や、故人様への想いを大切にしながら、円満な相続が実現できるよう、全力でサポートいたします。
当事務所では、面倒な戸籍の収集から遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請まで、すべてをまとめてお任せいただける「相続手続きトータルサポート」をご提供しています。事務所には男性司法書士と女性司法書士が在籍しておりますので、ご希望に応じて柔軟に対応することも可能です。どうぞ安心してご相談ください。
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事務所情報
事務所名:司法書士法人れみらい事務所
所在地:兵庫県尼崎市南塚口町2丁目19番2号 若松ビル201
代表司法書士:上西 祥平、大貫 智江
所属:兵庫県司法書士会
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無料相談でできること・ご予約の流れ
「無料相談といっても、何を話せばいいのかわからない」とご心配かもしれません。ご安心ください。まずは、あなたの今の状況や不安に思っていることを、そのままお話しいただくだけで結構です。
【無料相談でわかること】
- あなたのケースで、今後どのような手続きが必要になるか
- 手続きにかかる費用の概算
- 考えられるリスクや注意点
ご相談の際には、お手元にある戸籍や、不動産の固定資産税納税通知書など、わかる範囲の資料をお持ちいただけますと、より具体的でスムーズなアドバイスが可能です。
ご予約は、お電話または当サイトの問い合わせフォームから承っております。相続登記の義務化は、もう待ったなしの課題です。手遅れになる前に、ぜひ一度、私たちの無料相談をご利用ください。あなたからのご連絡を、心よりお待ちしております。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
不動産取引に司法書士はなぜ必要?費用と依頼しないリスク
「司法書士は言われるがままでいいの?」不動産取引で抱く3つの不安
人生でそう何度も経験することのない、不動産の売買。期待とともに、大きな不安を感じるのは当然のことです。特に、不動産会社から「司法書士はこちらで手配します」と言われたとき、こんな疑問が頭をよぎりませんか?
- 「提示された司法書士の費用、これって適正なの?高すぎない?」
- 「そもそも司法書士って何をする人?本当に必要なの?」
- 「不動産会社に任せきりで大丈夫?自分で選んだ方がいいのかな…」
高額な取引だからこそ、一つひとつのことに納得して進めたいですよね。この記事では、不動産取引における司法書士の一般的な役割、費用の内訳、そして想定される主なリスクについてご説明します。ただし、個別の具体的な事案については、専門家へのご相談を通じてご確認いただくことをお勧めします。
私たちは、手続きの代行や法的なご説明を通じて、お客様が抱える不安の軽減に努めます。さあ、一緒に不動産取引の「なぜ?」を解消していきましょう。
司法書士の役割は「取引の安全」を守ること
不動産取引における司法書士の最も大切な役割、それは一言でいうと「取引の安全を確保すること」です。単に書類を作成して役所に提出する代行業者ではありません。売主様、買主様、そして融資を行う金融機関など、すべての関係者が安心して取引を終えられるよう、中立的な立場で権利関係を整理し、トラブルを未然に防ぐ「番人」のような存在なのです。

業務内容①:権利関係を確定させる「登記手続き」
不動産取引の中心となるのが「登記」です。登記とは、土地や建物が「誰のものであるか」を国が管理する公的な帳簿(登記簿)に記録し、社会に公示する制度のこと。この登記手続きを正確に行うことが、司法書士の最も重要な業務の一つです。
例えば、あなたが家を買う場合、「所有権移転登記」を行うことで、法的にその家の所有者であることを第三者に対して主張できるようになります。もし住宅ローンを組むなら、金融機関は「抵当権設定登記」を行い、万が一返済が滞った場合に備えて不動産を担保に取ります。逆に、売主様がローンを完済していれば、「抵当権抹消登記」を行い、きれいな状態で不動産を引き渡す必要があります。
これらの登記手続きは、あなたの財産を保護するうえで非常に重要な法的手続きです。より詳しくは不動産登記はなぜ必要か?のページでも解説していますが、司法書士はこれらの複雑な手続きをミスなく確実に実行する専門家なのです。
業務内容②:お金と権利の交換を見届ける「決済の立会い」
不動産取引のクライマックスが「決済」です。これは、買主様が売主様に売買代金を支払い、それと同時に所有権の移転に必要な書類を受け渡す、取引が完了する日のことを指します。通常、金融機関の一室で行われるこの場に、司法書士が立ち会うことが多いです。
決済の場で司法書士は、以下のことを行います。
- 本人確認:売主様と買主様が、本当に登記簿上の名義人本人であるか、運転免許証やマイナンバーカードなどで厳格に確認します。なりすましなどの詐欺を防ぐための重要なプロセスです。
- 意思確認:「本当にこの不動産を売りますか?」「本当に買いますか?」という最終的な意思を確認します。
- 書類の最終チェック:登記に必要なすべての書類が完璧に揃っているか、法的な不備はないかを最終確認します。
- 登記申請の準備:すべての確認が完了したら、金融機関に融資実行の合図を出し、買主様から売主様へ代金が支払われるのを見届けます。そして、その日のうちに法務局へ登記申請を行います。
お金の支払いと権利の移転を同時に、かつ確実に行う。この決済の立会いがあるからこそ、誰もが安心して高額な取引を終えることができるのです。
業務内容③:契約内容を法的にチェックする「書類作成・確認」
登記を申請するには、法務局に提出するための専門的な書類を数多く作成・収集する必要があります。例えば、売買の事実を証明する「登記原因証明情報」や、手続きを司法書士に任せることを示す「委任状」などです。
これらの書類に一つでも不備があると、登記申請は受理されず、最悪の場合、取引そのものが危うくなる可能性もあります。司法書士は、法律の専門家として、これらの書類を法的に有効な形で正確に作成・確認します。一見地味な作業に見えますが、取引の安全性を根底から支える、非常に重要な業務なのです。
司法書士に依頼しないとどうなる?起こりうる5つの深刻なリスク
「もし、司法書士に依頼せずに自分で手続きをしたらどうなるの?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは非常に危険な選択です。専門家が介在しないことで、取り返しのつかない事態に陥る可能性があります。
リスク1:代金を支払ったのに、自分のものにならない
最も恐ろしいのがこのケースです。あなたが売買代金の全額を支払ったにもかかわらず、売主が「やっぱり売るのをやめた」と心変わりし、所有権移転登記の手続きに協力してくれなくなる可能性があります。さらに悪質なケースでは、同じ不動産を別の人にも売却する「二重売買」という詐欺に巻き込まれる危険性も。司法書士が決済に立ち会い、代金の支払いと同時に登記申請を行うことで、このようなリスクを確実に防ぐことができます。
リスク2:なりすましによる詐欺被害に遭う
いわゆる「地面師詐欺」と呼ばれる手口です。本当の所有者になりすました詐欺師が、偽造した書類を使ってあなたに不動産を売却しようとします。司法書士は、本人確認書類や登記に関する情報などを用いて不審な点がないか確認を行いますが、資料の有無や制度の状況によって確認方法は異なります。専門家による確認は、巧妙な詐欺の防止に有効な手段の一つです。
リスク3:住宅ローンが実行されない
金融機関から住宅ローンを借りる場合、その不動産に抵当権を設定することが融資の絶対条件です。金融機関は、司法書士によって抵当権設定登記が確実に行われることを確認して初めて、融資を実行します。もし司法書士が介在しなければ、金融機関はこの条件が満たされる保証がないと判断し、融資そのものを行いません。結果として、取引自体が成立しなくなってしまいます。
リスク4:売却した不動産のローンが残ってしまう(売主側)
これは売主様側のリスクです。住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、買主様から受け取った代金でローンを完済し、金融機関が設定した「抵当権」を抹消する登記が必要です。もしこの抵当権抹消登記が確実に行われないと、あなたは不動産を失ったにもかかわらず、登記上の担保とローンの返済義務だけが残ってしまうという、悪夢のような事態になりかねません。
リスク5:書類の不備で手続きが進まず、取引が白紙になる
登記申請に必要な書類は非常に専門的で、一般の方が完璧に準備するのは至難の業です。もし書類に不備があれば、法務局は申請を受理してくれません。不備を修正している間に、契約で定められた決済の期日を過ぎてしまうと、契約違反となり、違約金が発生したり、最悪の場合は契約そのものが白紙に戻ったりするリスクがあります。
不動産取引で司法書士に支払う費用の内訳と相場
「司法書士に頼むと高そう…」というイメージがあるかもしれません。しかし、その費用の内訳を知れば、きっとご納得いただけるはずです。司法書士にお支払いいただく費用は、大きく分けて「登録免許税などの実費」と「司法書士への報酬」の2つで構成されています。

費用の大部分は税金!「登録免許税」とは
実は、司法書士費用の大部分を占めるのが「登録免許税」という税金です。これは、登記手続きを行う際に国に納めるもので、司法書士の利益になるわけではありません。税額は、不動産の「固定資産税評価額」を基に計算されます。
- 所有権移転登記(売買):不動産の固定資産税評価額 × 2%(本則)。ただし、土地の売買(令和8年3月31日まで)は1.5%、一定の要件を満たす居住用建物(令和9年3月31日まで)は0.3%など、軽減措置が適用される場合があります。
- 抵当権設定登記(ローン):債権額(借入額)× 0.4%(本則)。ただし、一定の要件を満たす居住用建物の取得等に伴う場合(令和9年3月31日まで)は0.1%に軽減されます。
このように、高額な不動産ほど、納める税金も高額になります。これが、司法書士費用が高く感じられる主な理由です。※税率や軽減措置には適用要件や期限があるため、最新の情報をご確認ください。
専門家への対価「司法書士報酬」の相場
こちらが、司法書士の専門的な業務に対する手数料、つまり報酬です。報酬額は事務所によって異なりますが、一般的な不動産売買の場合、おおよその相場は以下のようになります。
| 業務内容 | 報酬の目安 |
|---|---|
| 所有権移転登記 | 5万円~10万円程度 |
| 抵当権設定登記 | 3万円~5万円程度 |
| 抵当権抹消登記 | 1万円~2万円程度 |
| 決済立会料 | 1万円~3万円程度 |
| その他(書類作成費など) | 数千円~2万円程度 |
合計すると、一般的な目安として、司法書士報酬の総額は10万円~15万円程度になるケースがあります。ただし、この金額は事務所、地域、案件の難易度によって変動しますので、具体的な金額は必ず事前に見積もりでご確認ください。この金額は、先ほどご説明した「取引の安全」を確保し、数千万円もの大切な財産を守るための対価とお考えいただければと思います。
【立場別】売主と買主、どちらが何を負担する?
では、これらの費用は誰が負担するのでしょうか。法律で決まっているわけではありませんが、一般的には以下のような慣例で分担することがほとんどです。
- 買主様が負担するもの
- 所有権移転登記の費用(登録免許税・司法書士報酬)
- 抵当権設定登記の費用(登録免許税・司法書士報酬)
- 売主様が負担するもの
- 抵当権抹消登記の費用(登録免許税・司法書士報酬)
- 売却にあたり住所変更などが必要な場合の登記費用
このように、「登記によって利益を受ける側が、その費用を負担する」というのが基本的な考え方です。ご自身の立場で、どのくらいの費用が必要になるか、事前に把握しておくと安心ですね。
安心して任せられる司法書士の選び方3つのポイント
「司法書士の重要性はわかったけれど、どうやって選べばいいの?」という疑問にお答えします。不動産会社から紹介された司法書士にそのまま依頼するのも一つの方法ですが、ご自身で納得できる専門家を選ぶためのポイントを知っておきましょう。
ポイント1:不動産登記の実績が豊富か
司法書士の業務は、相続、会社設立、債務整理など多岐にわたります。そのため、不動産取引、特に売買の登記手続きに精通し、経験が豊富な事務所を選ぶことが非常に重要です。豊富な経験は、予期せぬトラブルへの対応力にも繋がります。事務所のウェブサイトなどで、不動産登記を主な業務として掲げているか、実績はどのくらいあるかなどを確認してみるとよいでしょう。
ポイント2:費用体系が明確で、丁寧な説明があるか
依頼する前に、必ず見積もりを取りましょう。その際、単に総額が安いかどうかだけでなく、「報酬」と「実費(登録免許税など)」の内訳がきちんと明記されているかを確認してください。また、見積もりの内容について質問した際に、専門用語を使わずに分かりやすく、誠実に説明してくれるかどうかも大切な判断基準です。コミュニケーションの取りやすさは、安心して取引を任せられるかどうかに直結します。
ポイント3:不動産会社指定の司法書士、メリットと注意点
多くのケースで不動産会社が司法書士を指定するのは、連携がスムーズで、取引を円滑に進められるという大きなメリットがあるからです。提携している司法書士であれば、物件に関する情報共有も迅速で、手続きが滞るリスクを減らすことができます。
一方で、司法書士を選ぶ権利は、本来費用を負担する買主様(または売主様)にあります。もし、不動産会社から紹介された司法書士の費用や対応に疑問を感じた場合は、ご自身で別の司法書士を探し、見積もりを取って比較検討することも可能です。「言われるがまま」ではなく、ご自身が納得できる専門家を選ぶことが、後悔のない取引への第一歩です。
まとめ|不動産取引の司法書士は「安心のための保険」です
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。不動産取引における司法書士の役割と必要性について、ご理解が深まったのではないでしょうか。
改めて要点をまとめます。
- 司法書士の最大の役割は、中立な立場で「取引の安全」を守ることです。
- 司法書士に依頼しないと、代金を失ったり、詐欺に遭ったりと、取り返しのつかないリスクがあります。
- 司法書士費用は「税金などの実費」と「報酬」で構成され、報酬は取引を安全に完了させるための専門家への対価です。
- 専門家を選ぶ際は、実績、費用の明確さ、説明の丁寧さが重要なポイントになります。
高額な資産が動く不動産取引において、司法書士は単なる手続きの代行者ではありません。あなたの権利と財産を、法的なトラブルから守るための不可欠なパートナーです。司法書士に支払う費用は、万が一のリスクを未然に防ぎ、安心して取引を終えるための「安心の保険」と考えることができます。
もし、あなたがこれから不動産取引を控えていて、少しでも不安や疑問をお持ちでしたら、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。司法書士法人れみらい事務所では、お客様一人ひとりの状況に合わせ、丁寧な対応を心がけております。初回のご相談は無料です。あなたの新しい一歩を、専門家としてしっかりとサポートさせていただきます。
【事務所情報】
事務所名:司法書士法人れみらい事務所
所在地:兵庫県尼崎市南塚口町2丁目19番2号 若松ビル201
代表司法書士:上西 祥平、大貫 智江
所属:兵庫県司法書士会
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
清算型遺贈遺言とは?不動産寄付や費用の注意点を解説
清算型遺贈遺言とは?財産を現金化して渡す新しい選択肢
「自宅不動産を子どもたちに公平に遺したいけれど、どう分ければいいのだろう…」「お世話になった団体に寄付をしたいけれど、不動産のままでは迷惑かもしれない…」
ご自身の財産の行く末を考えたとき、このようなお悩みをお持ちになる方は少なくありません。特に、不動産のように簡単には分けられない財産は、時として相続トラブルの原因になってしまうこともあります。
そんなお悩みを解決する一つの方法として、近年注目されているのが「清算型遺贈(せいさんがたいぞう)」という仕組みです。
清算型遺贈とは、一言でいえば「遺言によって、不動産などの財産を売却してお金に換え、その現金を指定した相手に渡してもらう」方法です。遺言書で信頼できる人(遺言執行者)に財産の売却と分配を託すことで、ご自身の想いをスムーズに実現できます。
空き家問題が深刻化し、ご家族の関係性も多様化する現代において、不動産を「モノ」としてではなく「価値(お金)」として遺すこの方法は、多くの方にとって有効な選択肢となっています。
通常の遺贈や相続との違いは?メリット・デメリットを比較
精算型遺贈がご自身にとって最適な方法かを知るために、他の方法と比較してみましょう。特に、不動産そのものを渡す「特定遺贈」や、相続人同士の話し合いで分ける「遺産分割協議」と比べると、その特徴がよくわかります。
| 清算型遺贈 | 特定遺贈(現物) | 遺産分割協議 | |
|---|---|---|---|
| メリット | ・公平な分配が可能・相続人間のトラブル回避・もらう側の管理負担がない | ・思い出の不動産をそのまま遺せる | ・相続人全員の合意で柔軟に決められる |
| デメリット | ・希望価格で売れないリスク・税金問題が複雑になる可能性・遺言執行者への報酬が必要 | ・公平な分割が難しい・もらう側に管理・税負担が生じる・共有名義のリスク | ・話し合いがまとまらないリスク・手続きに時間がかかることがある |
清算型遺贈の最大のメリットは、やはり「相続人間のトラブルを未然に防げる」点です。不動産を現金化することで、1円単位で公平に分配できるため、「誰が不動産をもらうか」「どうやって代償金を払うか」といった揉め事を避けることができます。
一方で、不動産の売却には市場の状況が影響するため、想定していた価格で売れない可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。また、後述する税金の問題など、専門的な知識が必要になる場面も多いため、専門家のサポートが重要になります。
【ケース別】清算型遺贈が特に有効な3つの場面
私たち司法書士は、日々多くの相続に関するご相談をお受けします。その経験から、精算型遺贈が特に力を発揮する典型的なケースを3つご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
ケース1:複数の相続人で不動産を公平に分けたい
「実家を長男と次男で公平に分けたい。でも、どちらも実家に住む予定はないし、お金に余裕があるわけでもない…」
これは非常によくあるケースです。不動産を兄弟の共有名義にすることもできますが、これは将来のトラブルの火種になりかねません。例えば、将来その不動産を売却したくなったとき、共有者全員の同意が必要になります。もしどちらかが反対したり、連絡がつかなくなったりすると、売却できずに身動きが取れなくなってしまいます。
精算型遺贈遺言を作成しておけば、遺言執行者が不動産を売却し、得られた現金を兄弟で均等に分けることができます。これにより、共有名義のリスクを回避し、誰にも不満が残らない円満な相続を実現しやすくなります。
ケース2:お世話になった人や団体へ負担なく寄付したい
「長年、親身に介護してくれたヘルパーさんに感謝の気持ちを伝えたい」「活動を応援しているNPO法人に、私の財産を役立ててほしい」
このような温かいお気持ちを形にする際にも、清算型遺贈は非常に有効です。もし不動産をそのまま寄付(遺贈)してしまうと、受け取った側は大変な負担を強いられる可能性があります。
- 固定資産税や管理費の支払い
- 不動産を売却するための手間や費用
- そもそも不動産での寄付を受け付けていない団体もある
精算型遺贈であれば、こうした負担を一切かけることなく、感謝の気持ちを現金という最も使いやすく、喜ばれる形で届けることができます。特に寄付先の団体にとっては、手続きの負担なく活動資金としてすぐに活用できるため、現金での寄付が最も望ましいとされることが多いのが実情です。
【当事務所の経験から】相続人がいない方の「遺贈寄付」という選択
以前、当事務所にご相談に来られたAさんは、ご夫婦二人暮らしでお子さんがいらっしゃいませんでした。ご自身の相続財産が最終的に国に帰属することに疑問を感じ、「社会のために役立てたい」と、ある福祉団体への寄付を希望されていました。
しかし、Aさんの主な財産はご自宅の不動産。団体側に確認したところ、やはり不動産そのものでの寄付は管理が難しく、現金での寄付をお願いしたいとのことでした。
そこで私たちは、清算型遺贈を利用した公正証書遺言の作成をサポートさせていただきました。遺言書には、Aさんのご逝去後、当事務所の司法書士が遺言執行者として不動産を売却し、経費を差し引いた全額をその福祉団体へ寄付する旨を明記しました。
これにより、Aさんは「自分の想いが確実に実現できる」と大変安心され、団体側にも負担をかけずに寄付ができる道筋が立ちました。このように、清算型遺贈は、相続人がいない方の社会貢献への想いを実現するための、非常に有効な手段となるのです。
ケース3:借金の返済や諸費用を遺産から支払ってほしい
「自宅不動産というプラスの財産はあるけれど、銀行からの借入金もまだ残っている…」
このような場合、相続人は不動産と一緒に借金も引き継ぐことになります。もし相続人が借金を返済できない場合、せっかく相続した不動産を手放さなければならないかもしれません。
精算型遺贈を活用すれば、遺言書で「不動産を売却したお金から、まず借入金を返済し、葬儀費用なども支払い、残った現金を相続人に渡す」と指定することができます。これにより、相続人は自分のお財布から持ち出すことなく、遺産の中からすべての清算を終えることができます。これは、遺されるご家族にとって、精神的にも経済的にも大きな安心に繋がります。
清算型遺贈の手続きの流れと遺言書の書き方【文例付き】
では、実際に清算型遺贈を行うには、どのような準備と手続きが必要なのでしょうか。全体の流れをステップごとに見ていきましょう。

STEP1:遺言執行者を決める【手続き成功のカギ】
清算型遺贈を成功させるために、最も重要なのが「遺言執行者」の存在です。
遺言執行者とは、その名の通り、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う権限を持つ人のことです。清算型遺贈の場合、遺言執行者は以下のような非常に多岐にわたる専門的な業務を担います。
- 相続人全員への就任通知
- 遺産の調査と財産目録の作成
- 不動産の相続登記
- 不動産会社を選び、売却活動を依頼
- 売買契約の締結、決済の立ち会い
- 買主への所有権移転登記
- 税金や諸費用の支払い
- 残った現金の分配
これらの手続きは非常に複雑で手間がかかるため、相続人の中から選ぶと大きな負担になってしまったり、相続人間で意見が対立したりする可能性があります。そのため、中立的な立場で、法律や登記の専門知識を持つ司法書士などを遺言執行者に指定しておくことが、手続きを円滑に進めるためのカギとなります。
私たち司法書士法人れみらい事務所では、遺言執行者としてのご依頼も数多くお受けしており、ご遺志の実現を責任もってサポートいたします。
STEP2:遺言書を作成する【具体的な文例で解説】
遺言執行者を決めたら、次は遺言書を作成します。精算型遺贈の意思を明確に伝えるためには、記載すべき項目がいくつかあります。以下に基本的な文例をご紹介します。
【清算型遺贈の遺言書 文例】
第〇条 遺言者は、遺言者の有する下記不動産を換価し、その換価代金から、公租公課、譲渡所得税、仲介手数料その他一切の諸費用を控除した残額の全部を、遺言者の長男〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に遺贈する。
【不動産の表示】
所在 〇市〇町〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅地
地積 〇〇平方メートル
第〇条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、下記者を指定する。
住所 兵庫県尼崎市南塚口町〇丁目〇番〇号
氏名 司法法人れみらい事務所
第〇条 遺言執行者は、第〇条記載の不動産を売却する権限を有するものとし、その売却にあたっては、売却の時期、方法、買主、価額等を遺言執行者の裁量で決定できるものとする。
これはあくまで一例です。ご自身の財産状況やご希望に合わせて内容は変わります。法的に有効で、後々トラブルにならない遺言書を作成するためには、自筆での作成にこだわらず、専門家が関与する「公正証書遺言」を作成することを強くお勧めします。当事務所では、文案の作成から公証役場との調整まで、公正証書遺言の作成を全面的にサポートしています。
STEP3:相続発生後の手続きの流れ(登記・売却・分配)
ご逝去後、遺言執行者は速やかに手続きを開始します。大まかな流れは以下の通りです。
- 遺言執行者による相続登記
まず、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更する「相続登記」を行います。民法の改正により、遺言執行者は相続登記や遺贈の履行など一定の手続きを単独で行える権限が明確化されています。ただし、実務上は遺言の種類や登記・売却の内容によって戸籍謄本や印鑑証明等の書類が求められたり、検認や公証の手続きが必要となる場合があります。具体的な必要書類・手続きは個別ケースで異なるため、事前に専門家に確認してください。 - 不動産会社と連携した売却活動
遺言執行者は、信頼できる不動産会社と連携し、不動産の売却活動を開始します。 - 買主への所有権移転登記
無事に買主が見つかったら、売買契約を結び、代金の決済と同時に不動産の名義を買主へ移す「所有権移転登記」を行います。これらの手続きも、登記の専門家である司法書士が遺言執行者であれば非常にスムーズです。 - 税金・費用の精算
売却代金の中から、仲介手数料や登記費用、後述する譲渡所得税などを支払います。 - 受遺者への現金分配
すべての費用を精算した後に残った現金を、遺言書で指定された方(受遺者)へ送金し、すべての手続きが完了します。
【費用と税金】清算型遺贈で注意すべき3つのコスト
清算型遺贈を検討する上で、費用と税金の問題は避けて通れません。どのようなコストがかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。
注意点1:不動産売却時の「譲渡所得税」は誰が払う?
清算型遺贈における、最も複雑で注意が必要なのが「譲渡所得税」です。
譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対してかかる税金のことです。譲渡所得税は、不動産を実際に譲渡(売却)した者に課されます。清算型遺贈の運用方法によっては、売主が相続人となる場合も受遺者となる場合もあり、納税義務者はその売主に応じて変わります。相続税の取得費加算や被相続人居住用家屋の特例など適用要件や税務上の取り扱いもありますので、具体的には国税庁の該当ページや税理士に確認してください。
しかし、最終的に現金を受け取るのは遺言で指定された方(受遺者)です。そのため、相続人は税金だけを負担させられ、現金はもらえないという不公平な事態が起こりかねません。これがトラブルの原因になることがあります。
このような事態を避けるため、遺言書で以下のような対策を講じておくことが非常に重要です。
- 遺言書で「売却代金から譲渡所得税等の費用を差し引いた残額を遺贈する」と明確に指定する。
- 遺言執行者が売却代金を管理し、税金の支払いが終わるまで相続人に代わって預かっておく。
税務の知識も必要となる部分ですので、専門家と相談しながら慎重に進めることをお勧めします。
注意点2:遺言執行者への報酬の目安
司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する場合、報酬が発生します。報酬の額は事務所によって異なりますが、一般的には遺産総額に応じて「遺産総額の〇%」という形で定められていることが多いです。
また、不動産の売却など特別な手続きが伴う場合は、基本報酬に加えて別途加算報酬が設定されていることもあります。
費用は決して安くはありませんが、複雑な手続きをすべて任せられる安心感や、相続人間のトラブルを未然に防げることを考えれば、十分に価値のある費用と言えるかもしれません。初回のご相談は無料ですので、具体的な費用についてもお気軽にお尋ねください。
注意点3:その他にかかる諸費用(仲介手数料・登記費用など)
上記のほかにも、不動産を売却する際には様々な費用がかかります。
- 仲介手数料:不動産会社に支払う成功報酬(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)
- 登録免許税:相続登記や所有権移転登記の際に国に納める税金
- 司法書士手数料:登記手続きを司法書士に依頼した場合の報酬
- その他:印紙代、建物の解体費、土地の測量費、遺品整理費用など
これらの費用も、遺言書で明確に指示しておけば、すべて不動産の売却代金から支払うことが可能です。相続人や受遺者が自己資金を用意する必要がない点も、精算型遺贈の大きなメリットです。
清算型遺贈のよくある質問と専門家からのアドバイス
最後に、清算型遺贈についてお客様からよくいただくご質問にお答えします。
Q. 不動産が希望の価格で売れなかったり、売れ残ったりしたら?
これは精算型遺贈の最大のリスクとも言える点です。不動産市況によっては、売却に時間がかかったり、希望価格を下回ったりする可能性はゼロではありません。
このようなリスクに備えるため、遺言書に次のような条項を加えておくことをお勧めします。
- 「〇〇万円を下回る価格では売却しない」といった最低売却価格を定めておく。
- 「遺言者の死亡後〇年以内に売却できない場合は、不動産のまま長男〇〇に相続させる」といった、売れなかった場合の次の手を定めておく(予備的遺言)。
事前に専門家と相談し、起こりうる事態を想定して対策を盛り込んでおくことで、リスクを最小限に抑えることができます。
Q. 相続人の一人が売却に反対したら、手続きは止まりますか?
ご安心ください。遺言書で適法に遺言執行者が指定されていれば、その遺言執行者は、相続人全員の同意がなくても、単独で不動産の売却手続きを進める権限を持っています。
これは、遺言執行者を指定する非常に大きなメリットです。相続人のうちの一人でも反対すると、通常の遺産分割協議では話が進まなくなってしまいますが、遺言執行者がいれば、遺言者の最後の意思を滞りなく実現することが可能です。
Q. 誰に相談すればいい?司法書士、弁護士、税理士の役割は?
清算型遺贈は法律、登記、税金と幅広い知識が求められるため、どこに相談すればよいか迷われるかもしれません。各専門家の主な役割は以下の通りです。
- 司法書士:遺言書の作成支援、不動産登記手続き、遺言執行業務の専門家です。手続き全体のコーディネーター役を担うのに適しています。
- 税理士:相続税や譲渡所得税など、税金計算と申告の専門家です。
- 弁護士:相続人間で既に争いが起きている場合など、紛争解決の専門家です。
まずは、手続きの中心となる遺言書作成や登記に詳しい司法書士にご相談いただくのがスムーズです。当事務所では、弁護士事務所や税理士などの他士業とも緊密に連携しています。ご相談いただければ、必要な専門家と協力し、ワンストップで最適な解決策をご提案いたします。
まとめ:あなたの想いを円滑に実現するために
今回は、不動産などの財産を現金化して遺す「清算型遺贈」について解説しました。
清算型遺贈は、
- 財産を公平に分配し、相続人間のトラブルを防ぎたい
- お世話になった人や団体に、負担をかけずに感謝を伝えたい
- 借金の返済なども含めて、すべての清算を遺産の中で完結させたい
といった想いを実現するための、非常に有効な手段です。
しかし、その手続きは専門的で、特に遺言書の作成や税金の取り扱いには注意が必要です。ご自身の想いを確実に、そして円満に実現するためには、信頼できる専門家のサポートが不可欠です。
司法書士法人れみらい事務所では、相続・遺言に関するご相談に力を入れています。「私の場合はどうなんだろう?」「まずは話だけでも聞いてみたい」という段階でも全く問題ありません。あなたのお気持ちに寄り添い、最適な方法を一緒に考えさせていただきます。
初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
不動産を売却するには後見人の許可が必要?~成年後見制度と不動産取引の注意点~
高齢の親が認知症などで判断能力が低下した場合、本人の名義のままでは不動産を売却できません。このようなときに活用されるのが「成年後見制度」です。
しかし、後見人が就いても自由に不動産を売却できるわけではなく、居住用不動産の場合には、家庭裁判所の許可が必要になります。
✅ 後見人が不動産を売却できるのはどんなとき?
成年後見制度のもとで、後見人は本人(被後見人)の財産を管理します。
ただし、不動産の売却のように本人の生活や財産に大きな影響を与える行為には、居住用不動産の場合には家庭裁判所の許可が必要です。
主な売却目的の例:
-
施設入所費用や介護費用を確保するため
-
空き家となった自宅を処分して維持費を削減するため
-
相続対策・遺産整理のため
✅ 家庭裁判所の許可が必要な理由
後見人は本人の利益を守る立場にあるため、
売却行為が「本人の利益になるか」を裁判所が審査します。
たとえ親族同士の取引でも、本人に不利益なおそれがある場合は認められません。
✅ 許可申立ての流れ
-
家庭裁判所に許可申立書を提出
-
売却理由や必要性、売却予定価格などを説明
-
裁判所が後見人や関係者に事情を確認
-
許可が下りた後に売買契約・登記を実施
申立ての際には、
-
売却予定の不動産の登記事項証明書
-
査定書や見積書
-
資金計画書
などの書類が必要になります。
✅ 後見人による不動産売却の注意点
-
無断売却は無効(家庭裁判所の許可がないと登記できません)
- 居住用不動産以外は、原則家庭裁判所の許可は不要ですが、後々トラブルにならない為にも事前相談はしておいた方がよい
-
親族間売買は慎重に(利益相反に注意)
-
売却後の資金管理も後見人の責任
✅ 専門家に相談するメリット
後見制度を利用して不動産を売却する場合、
法律・登記・裁判所申立ての手続きが複雑に絡みます。
司法書士や弁護士などの専門家に相談することで、
書類の準備や申立てのサポートをスムーズに進めることができます。
✅ まとめ
成年後見人が本人名義の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必須 です。
後見制度の利用は「本人の財産を守るための仕組み」であり、適切に手続きを進めることが本人・家族の安心につながります。
👉 施設入所や介護費用のために不動産を売却したい
👉 後見制度を利用するか迷っている
👉 裁判所への申立て方法がわからない
このような場合は、当事務所までお早めにご相談ください。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
住宅用家屋証明とは?取得条件と申請方法について
住宅を取得するときに登記手続きを行うと、登録免許税がかかります。
このとき、「住宅用家屋証明書」 を利用すると、一定の要件を満たせば税率が軽減されます。
マイホーム購入や住宅ローンを組む方にとって、とても大切な制度です。
✅ 住宅用家屋証明とは?
住宅用家屋証明(正式名称:住宅用家屋証明書)とは、
「その建物が自己の居住用の住宅であること」を市区町村が証明する書類です。
この証明書を添付して登記申請を行うと、登録免許税の軽減が受けられます。
✅ 軽減が受けられる登記の例
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所有権保存登記
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所有権移転登記(売買や贈与による取得)
-
抵当権設定登記(住宅ローン利用の場合)
✅ 住宅用家屋証明の主な要件
-
自己の居住用であること
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投資用・別荘用は対象外
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実際に居住する必要あり
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床面積が50㎡以上であること
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登記簿上の面積で判断
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マンションの場合も対象
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新築または取得後1年以内の居住開始
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中古住宅でも条件を満たせば対象
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耐火建築物や築年数の要件がある場合も
- 令和4年4月1日以降取得した家屋については、新耐震基準に適合するか昭和57年1月1日以降に建築されたもの
- 令和4年3月31日以前に取得した家屋については、鉄筋コンクリート造などは築25年以内、木造は築20年以内(耐震基準適合証明があればOK)
✅ 申請に必要な書類(例)
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住宅用家屋証明申請書
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登記事項証明書または登記簿謄本
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住民票(居住を証明するため)
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売買契約書または建築請負契約書
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耐震基準適合証明書(中古住宅の場合)
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当該家屋に未入居の場合には、申立書や現在の家屋の処分方法が分かるもの(賃貸契約書など)
✅ 申請の流れ
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住宅を取得(新築・購入)
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市区町村役場の税務課または住宅担当窓口に申請
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証明書の交付を受ける
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登記申請時に法務局へ添付
✅ まとめ
住宅用家屋証明を取得すれば、登録免許税の軽減を受けられ、数十万円の節税になるケースもあります。
ただし、要件を満たさないと交付されないため、事前の確認が大切です。
👉 マイホーム購入を検討している方
👉 中古住宅でも減税を受けたい方
👉 登記手続きに不安がある方
専門家に相談することで、スムーズに住宅用家屋証明を活用できます。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
相続登記の落とし穴(よくあるトラブル事例)
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不動産を共同所有にするデメリット
不動産を共有にする(複数人で共同所有する)ことには、一見メリットもありますが、将来的なトラブルや手続きの難しさが多く、「できるだけ避けるべき」というのが実務の基本的な考え方**です。以下に具体的なデメリットをわかりやすく解説します。
🔻 不動産を共有にする主なデメリット
① 売却や処分に「共有者全員の同意」が必要
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たとえば売却・担保設定・賃貸など、不動産全体に関わる行為は全員の合意がないとできません。
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1人でも反対すれば売却できない。
例:兄弟3人で相続した家 → 1人が住みたい、1人が売りたい、1人が興味なし → 結論が出ない
② 共有者の誰かが死亡・認知症・行方不明になると「権利処理」が複雑に
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1人でも亡くなればその持分は「さらに相続」されて共有関係が複雑化します。
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共有者が認知症になると、後見人をつけないと意思表示ができない。
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行方不明者がいると、不動産の処分には不在者財産管理人の選任が必要(家庭裁判所へ申立て)。
③ 登記や手続きの費用が分散・増加しやすい
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将来の売却や分筆登記などで費用が余分にかかる。
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納税や維持費(固定資産税など)も各共有者が責任を持つ必要がある。
④ 紛争の火種になりやすい
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使用料の支払い、修繕費の分担、税金の支払いなどでトラブルが発生しやすい。
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「何年も放置される不動産」になってしまうケースが多い。
⑤ 持分だけを売却・差押えされるリスク
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各共有者は「自分の持分」だけなら勝手に売却可能。
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他人(第三者)が持分を購入 → 見知らぬ人と共有状態になることも。
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債務整理・差押えの対象にもなりやすい。
💬 共有にしてしまった場合の対応策
| 対応策 | 内容 |
|---|---|
| 持分の買取・整理 | 他の共有者の持分を買い取る(できれば相続時に一人の名義に) |
| 分筆登記 | 土地を分けて、それぞれ単独名義にする(可能な場合) |
| 共有物分割請求 | 裁判所で分割(協議 or 訴訟)を求めることも可能(民法256条) |
| 不動産信託 | 家族信託などで管理権を一本化する方法もあり(専門家に相談を) |
✅ まとめ:不動産共有は将来の「争族」リスクを生む
| 項目 | リスク・デメリット |
|---|---|
| 手続きの難しさ | 売却・担保設定などがしにくい |
| 相続時の混乱 | さらに細かく共有され、複雑化 |
| トラブル | 意見不一致、使用料や修繕負担で争いに |
| 第三者の介入 | 他人が共有者になる可能性 |
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相続や贈与で不動産を共有にするのはなるべく避けるのが原則です。
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すでに共有になっている場合は、将来的なトラブルを見据えて、できるだけ早期に共有を解消する方向で検討するのもひとつでしょう。
当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
