Archive for the ‘相続’ Category

遺言と異なる内容で相続することは可能か

2025-05-16
相続人全員が遺言と異なる内容で合意することは、原則として可能です。

ただし、いくつかの注意点や制限がありますので、以下で詳しく解説します。


✅ 結論:遺言があっても、相続人全員の合意があれば、違う分け方が可能

  • 民法上、遺言は被相続人の最終意思として尊重されますが、

     相続人全員が合意すれば、別の分け方(遺産分割協議)も有効です。

  • ただし「受遺者(相続人以外)」がいる場合は、その人の同意が必要な場合があります。


🧾 実際の進め方

① 相続人全員の合意を得る

  • 実印+印鑑証明書を用意

  • 合意内容を「遺産分割協議書」に明記する

② 登記・手続きへの反映

  • 不動産:遺産分割協議書に基づき相続登記を申請

  • 預貯金:金融機関の指定様式で手続き(協議書のコピー提出を求められる場合も)


⚠️ 注意点

注意点 解説
相続人全員の合意が必要 1人でも反対すれば協議は成立しません。遺言通りに分けることになります。
受遺者がいる場合は原則その権利を守る必要あり 遺言で相続人以外に遺贈(例:友人や団体)されている場合、その部分は自由に変更できません。
登記原因に注意 「遺産分割による所有権移転」か「遺贈による移転」かで登録免許税率が変わります。

📌 具体例

✅ ケース:遺言と違う内容で合意できた例

遺言内容:

  • 長男に土地

  • 次男に預金

  • 三男には何も無し

→ 相続人全員で話し合い、以下に合意:

  • 土地は次男

  • 預金は三男

  • 長男は辞退

相続人3人で遺産分割協議書を作成すれば有効

 遺言とは異なるが、法的に有効で登記も可能。


✅裁判例・実務の見解

  • 裁判例でも「相続人全員の合意があれば遺言と異なる遺産分割が可能」とされています。

  • 公正証書遺言であっても、同様です。


✅ まとめ

項目 内容
合意の可否 相続人全員の同意があれば可能
必要書類 遺産分割協議書+各人の印鑑証明書
遺言の効力 被相続人の最終意思だが、相続人の合意で修正可
制限 相続人以外の「受遺者」が関与している部分は変更不可

相続人全員の合意があれば、遺言と異なる遺産分割協議書のひな型や、相続登記に必要な書類一覧もご用意できます。

お困りのことがあれば、お気軽にお知らせください。

「叔父(叔母)」が亡くなった場合の相続関係

2025-05-12

あなたの「叔父(叔母)」が亡くなった場合の相続関係

● 亡くなった人:あなたの父(母)の兄弟(=あなたにとって「叔父(叔母)」)

あなたの叔父や叔母が亡くなった場合の相続関係は通常よりも、少し複雑となり、ある一定の場合にのみ相続人となるケースがあります。

ここえは、亡くなった叔父(叔母)を「Aさん」として、パターン別であなたが相続人となるか考えていきます。


▼ 相続人がどうなるか:パターン別に説明

✅ パターン1:Aさんに配偶者か子がいる場合

  • 相続人はその配偶者・子だけ

  • あなたには相続権なし


✅ パターン2:Aさんが独身・子なし・両親が生きている場合

  • 相続人はAさんの両親

  • あなたには相続権なし


✅ パターン3:Aさんが独身・子なし・両親もすでに死亡 → 兄弟姉妹がいる場合(あなたの母など)

  • 相続人はAさんの兄弟姉妹

    • この場合、もしあなたの父(母)が生きていれば、父(母)が相続人

    • でも、父(母)もすでに亡くなっているなら…

➡ 父(母)の子(=あなた)が代襲相続することとなります


まとめ :叔父(叔母)が亡くなった場合に、このパターンでれば、あなたが相続人になります

  • Aさんに「配偶者・子・両親・兄弟姉妹(=あなたの父(母))」がすべて死亡している

  • あなたの父(母)がAさんの兄弟姉妹の1人

  • あなたがその子である

この場合は、Aさんの兄弟姉妹の子(=甥姪)であるあなたが相続人になります

👉 兄弟姉妹の子までが代襲相続の限界です。

※あなたの子(=大甥姪)にはさらに代襲はされません。

 

叔父や叔母の相続は兄妹相続の類型となりますが、代襲相続が絡んでいる場合に当てはまるなど、条件が少し狭まってきます。

相続関係や相続手続きでお困りのことがあれば、気軽にご相談ください。

 

団信により住宅ローンを完済しても、担保抹消するには相続登記が必要です!

2025-04-19

団体信用生命保険(団信)による住宅ローン完済後に金融機関から抵当権抹消登記の申請書類が郵送されてきます。しかしながら、そのまま担保抹消手続きをすることはできません。原則として先に「相続登記」を済ませておく必要があります。


✅ なぜ相続登記が先に必要なのか?

抵当権抹消登記の申請者は、**現在の「所有者」**でなければなりません。

▷ 団信でローン完済された時点では…

  • 抵当権は残ったまま

  • 所有者は亡くなった人のまま(名義変更されていない)

👉 よって、「亡くなった人」名義のままでは抵当権を抹消できないため、まず相続人が所有権を引き継ぐ=相続登記が必要になります。

抵当権とは、住宅ローンの担保として金融機関が不動産に設定する権利です。

ローンの完済後(死亡による団信完済含む)、この抵当権を抹消することで、不動産の「担保状態」が解除されます。


🔧 抵当権抹消登記の手続きの流れ

① 金融機関から必要書類を受け取る

団信により完済された後、銀行から次のような書類が送付されます:

  • 抵当権解除証書(もしくは登記原因証明情報)

  • 登記識別情報(旧:権利証)

  • 代表者事項証明書(法人の場合)

  • 委任状(司法書士に依頼する場合)


② 相続登記をする

相続人全員で共有状態にすることも出来ますが、遺産分割協議などにより相続人の内の1名に名義変更することも可能です。


③ 不動産を取得する相続人が決まれば、抵当権抹消登記をする

司法書士に依頼される場合には、②の相続登記と③の抵当権抹消登記は同時に申請することが多いです。


④ 登記が完了し、相続による名義変更及び抵当権が正式に抹消される

 

団信による住宅ローン完済後の手続きでお困りの方や手続きが面倒な方などあれば、当事務所に気軽にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

遺言による遺贈手続き

2025-04-12

✅ 「遺贈」とは?

**遺贈(いぞう)**とは、遺言書によって、法定相続人・相続人以外の人に財産を譲ることを言います。

👉 つまり、孫のように相続人でない人にも、遺言で財産を残せる方法が「遺贈」です。


✅ 遺贈の種類

種類 内容
💠 包括遺贈 遺産全体または割合(〇%など)を渡す 「孫のAに全財産の3分の1を遺贈する」
💠 特定遺贈 特定の財産を渡す 「土地(〇〇所在)を孫のAに遺贈する」

👉 特定遺贈の方が実務的には使いやすく、もめにくいです。


✅ 遺贈の手続きの流れ(特定遺贈の場合)

  • 遺言書を作成(公正証書が安心・確実)

  • 相続開始(=被相続人が亡くなる)

  • 遺言の検認(公正証書なら不要)

  • 遺贈を受ける人が「遺贈を受諾」する

  • 登記や名義変更の手続き(不動産など)

※ 遺贈を受ける側が未成年の場合は、親の同意や家庭裁判所の手続きが必要になることもあります。


✅ 遺贈のメリット

  • ✅ 自分の希望どおりに財産を渡せる(孫・友人・団体なども可)

  • ✅ 相続人以外にも渡せる唯一の方法

  • ✅ 贈与税より相続税の方が税率が有利なことも多い


⚠️ 遺贈の注意点

注意点 説明
🔹 遺留分に注意 法定相続人(配偶者・子など)には「最低限の取り分」があるので、遺贈がそれを侵害していると請求されることがあります。
🔹 遺贈税(=相続税)対象になる 相続人ではないため、税額が2割加算される点にも注意。
🔹 遺贈放棄も可能 お孫さんが「いらない」と言えば拒否もできる(贈与とは違って強制力はない)
🔹 財産の名義変更が必要 不動産などは、遺贈を受けた人が登記変更手続きをする必要があります。

山林を相続を放棄したい場合の方法は?

2025-03-24

山林の相続を放棄したい場合の方法と注意点

相続財産の中に不動産(山林)があるが、「売れない」「管理が困る」「不要だから引き継ぎたくない」という方は少なくありません。

場合によっては管理(草刈り費用等)や税負担がかかるため、「相続したくない」「処分したい」と考える場合のいくつか方法を説明します。

1️⃣ 相続放棄をする(相続全体を放棄する)

相続放棄をすれば、山林を含むすべての相続財産を受け取らないことができます。

ただし、一部だけを放棄することはできません。

📌 相続放棄の手続き

  • 家庭裁判所に相続放棄の申述をする(相続開始から3か月以内)

  • 放棄すると、他の相続人に権利が移る(次順位の相続人がいれば、その人が相続する)

  • 誰も相続しない場合、最終的に国庫に帰属する(ただし時間がかかる)

⚠️ 相続放棄をすると、他の財産(預貯金・不動産など)もすべて放棄することになります。ただ「山林」がいらないという理由のみで、相続放棄を検討するのは慎重に判断が必要です。


2️⃣ いったん相続してから手放す(国庫帰属制度を活用)

相続放棄をしない場合、**「相続土地国庫帰属制度」**を利用して国に引き取ってもらう方法があります。

📌 国庫帰属制度の条件

  • 2023年4月から施行された制度

  • 管理が困難な土地(山林・田畑など)を手放せる

  • ただし、一定の要件があり、10年分の管理費用(負担金)を支払う必要がある

  • 「崖地」「他人の土地と複雑に絡む土地」は対象外となる可能性がある

⚠️ 国庫帰属には制約や条件が多くありすべての土地が引き取られるわけではありません。事前に法務局に相談されることをお勧めします。


3️⃣ いったん相続してから山林を売却・寄付する

相続したくない場合、売却や寄付を検討するのも一つの手段です。

📌 売却のポイント

  • 森林組合や林業事業者に相談すると買い手が見つかる場合がある

  • 田舎の土地専門の不動産業者に相談する

  • 安価でも引き取ってくれる業者があるため、探してみる

📌 寄付の可能性

  • 自治体やNPO法人に相談すると、森林保護目的で受け入れてもらえることもある売却でも寄付でも、必ず引取り先が見つかるとは限りませんので、注意が必要です。


⚠️ 山林の相続放棄をする際の注意点

相続放棄は3か月以内に決断する必要がある!

相続放棄しても、次順位の相続人に負担が移るので要相談!

国庫帰属制度を利用する場合は、条件を満たすか事前に確認!

引取り先が見つかりそうであれば、売却や寄付の可能性も検討する!

「遺贈」と「遺言」の違い

2025-03-07

「遺贈(いぞう)」と「遺言(いごん)」は、相続に関する重要な概念ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

遺言(いごん・ゆいごん)

遺言とは、自分の財産を誰にどのように残したいか、生前に意思を示しておくための手段です。遺言がなくても相続人全員の話し合いによって遺産の分け方を決めることができますが、相続人全員の話が纏まらなかったり、自身の意思に沿わない分け方になってしまう懸念もあります。

通常、遺言は主に次の2つの方式で作成されます。

  1. 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

    • 本人が全文(財産目録は除く)を手書きで作成する遺言。
    • 2020年から法務局での保管制度が開始された自筆証書遺言書保管制度も利用できる。
  2. 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

    • 公証人が作成し、公証役場で保管され紛失や盗難のリスクが低い。
    • 内容については事前に公証人の確認もあり、もっとも安全で確実な方法。

遺贈(いぞう)

遺贈とは、遺言によって特定の人や団体(相続人以外も含む)に財産を譲ることを指します。

例えば、「友人に1,000万円を渡す」「特定の団体に土地を寄付する」といった内容です。

遺贈には以下の種類があります。

  • 特定遺贈:特定の財産を指定して渡す(例:Aさんに○○の土地を遺贈する)。
  • 包括遺贈:財産の一定割合を渡す(例:Bさんに遺産の1/3を遺贈する)。

遺贈を行うには遺言の作成が必須なので、遺言がない場合は遺贈も成立しません。


遺贈と相続の違い

  • 相続:法律で定められた相続人が財産を承継すること。遺言がなくても発生する。
  • 遺贈:遺言によって特定の人に財産を譲ること。相続人でなくても受け取れる。

遺言書を適切に作成することで、希望どおりの遺贈を実現できます。

ご自身やご家族の事情に応じて、専門家に相談すると安心です。

ご質問や具体的なケースについての相談があれば、お気軽にご連絡ください。

初回相談費用見積は無料で承っております。

相続登記でよくあるご質問について

2025-02-06

相続登記の義務化が始まり、1年余りが経過しようとしています。徐々に周知され、今まで相続登記をされていなかった方もそろそろ動き出さないといけないと考えられている方もおられるえしょう。ここでは、相続登記についてよくある質問について纏めてみましたので、参考にしてください。

1. 相続登記は必ずしなければいけませんか?

A: 2024年4月1日から、相続登記は義務化されました。
相続を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料(行政上の罰則)が科される可能性があります。


2. 相続登記をしないとどうなりますか?

A: 登記をしないと、以下のような問題が生じます。

  • 不動産の売却や担保設定ができない(名義人が亡くなった人のまま)
  • 時間の経過に伴って相続人が増える(相続人が亡くなると、その相続人の子供に権利が移るため、連絡先を知らない相続人が出てくるなお手続きがさらに複雑になる)
  • 相続人同士のトラブルの原因になる(後に権利を取得した相続人と不動産の権利を巡って対立する可能性)

3. 相続登記に必要な書類は?

A: 一般的に以下の書類が必要です。

亡くなった方(被相続人)の書類

  • 戸籍謄本(出生から死亡までのもの)
  • 住民票の除票もしくは戸籍附票
  • 固定資産評価証明書もしくは課税明細書

相続人の書類

  • 戸籍謄本
  • 住民票(不動産を相続される方)
  • 印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合)

その他の書類(遺産分割が必要な場合)

  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印が必要)
  • 遺言書(ある場合)

4. 相続登記の費用はどれくらいかかりますか?

A: 費用は以下の項目で構成されます。

① 登録免許税(法務局に納める費用)

  • 固定資産評価額 × 0.4%
    例:固定資産評価額が1,000万円の場合、登録免許税は4万円(不動産の価額が100万円以下の土地については、免税措置があります)

② 司法書士報酬(相続人の数や難易度によって異なりますので、詳細はご依頼される事務所にお尋ねください)

③ その他取得費用など

  • 戸籍謄本・住民票:数千円~数万円程度
  • 固定資産評価証明書:600円程度(不動産の数によって変わってきます)
  • 法務局への郵便代や交通費:数千円

5. 相続登記は自分でできますか?

A: 可能ですが、専門知識が必要です。

  • メリット: 費用を抑えられる
  • デメリット: 書類の不備や間違いがあると、法務局で手続きがストップするなど、時間が大きく変わることがあります。場合によっては、相続人の勘違いなど最初から書類のやり直しも考えられます。

相続人が複数いる場合や、不動産が多い場合は、司法書士に依頼する方がスムーズです。


6. 相続人の一人が登記を拒否している場合、どうすればいいですか?

A: 遺産分割協議がまとまらない場合、以下の方法があります。

  1. 調停を申し立てる(家庭裁判所で遺産分割調停を行う)
  2. 審判を申し立てる(裁判所が遺産分割の決定を下す)

単独で相続できる「法定相続分」で登記することも可能ですが、後のトラブルを防ぐために原則話し合いを進めることが望ましいです。


7. 遺言書がある場合の相続登記の手続きは?

A: 遺言書の内容に従って相続登記を行います。

  • 公正証書遺言:そのまま登記手続き可能
  • 自筆証書遺言:家庭裁判所で「検認」が必要(公正証書遺言がない場合)

遺言がある場合、遺産分割協議は不要ですが、遺言の内容に不満がある相続人がいると「遺留分侵害額請求」が発生することがあります。


8. 相続人がいない場合、どうなりますか?

A: 相続人がいない場合、不動産は国庫に帰属(国のものになる)します。
しかし、すぐに国が引き取るわけではなく、以下のような流れになります。

  1. 特別縁故者がいる場合 → 家庭裁判所の手続きで財産を取得できる可能性がある
  2. 相続財産管理人が選任される → 債務の整理などをした後、最終的に国庫へ

9. 共有名義で相続登記すると、どんな問題がありますか?

A: 兄弟などで共有名義にすると、以下の問題が発生しやすくなります。

  • 売却時に全員の同意が必要(1人が反対すると売れない)
  • 次の世代で相続が複雑になる(人数が増え、さらに共有者の数が増えてきて分割が困難に)
  • 管理・修繕の負担が平等でなくなる(居住していない人が固定資産税や修繕費を負担したくないケースなど)

対策としては、遺産分割協議で単独名義にする、もしくは代償分割(不動産を取得する代わりに他の相続人に現金を支払う)や換価分割(売却して現金で分ける)などがあります。


10. 相続登記を急ぐべきケースは?

A: 以下のケースでは、早めに登記を進めるべきです。

売却を検討している場合(登記が完了しないと売れない)
相続人が高齢の場合(相続人が亡くなると相続人が増えたり、必要な戸籍も増えるなど、手続きがより複雑になる)
相続人が海外に住んでいる場合(手続きに時間がかかる)
共有名義にするとトラブルになりそうな場合(早めに単独名義にしておく)


まとめ

相続登記は、法律改正により義務化され、手続きを怠るとリスクが生じます。
書類の準備や手続きは複雑なケースもあります。

「どのように進めればいいかわからない」「相続人が多くて複雑」などの場合は、当事務所に一度ご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

法定相続情報一覧の利用方法

2025-02-03

法定相続情報一覧(法定相続情報証明制度)とは?

法定相続情報一覧(正式には「法定相続情報一覧図」)とは、相続手続きの際に必要となる戸籍関係の情報を一覧にまとめた公的な証明書です。銀行や証券会社、その他の相続手続で必要書類としてこの法定相続情報一覧図が指定されていることもあります。実際には法務局に申請作業が必要となってきますので、作成が必要な方や作成方法でお困りの方は参考にしてください。

1. 法定相続情報証明制度とは?

相続手続きでは、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本一式を各種機関(法務局、銀行、証券会社など)に提出する必要があります。
しかし、戸籍謄本は複数の役所で発行されるため、収集が大変であり、提出先ごとに原本還付の手続きをする手間がかかります。

この負担を軽減するために導入されたのが 「法定相続情報証明制度」 です。
この制度を利用すると、法務局で 「法定相続情報一覧図」 を作成し、その写しを何通でも取得できます。よって各種機関毎に戸籍謄本等の原本を提出する手間が省け、各種相続手続きがスムーズになります。

2. 法定相続情報一覧図の内容

法定相続情報一覧図には、次の情報が記載されます。

  • 被相続人の氏名、生年月日、死亡日、最後の住所
  • 相続人全員の住所(任意)、氏名、生年月日、続柄

ただし、既に亡くなっている相続人などは記載しない点や数次相続・代襲相続などが発生している際には、少し独特な記載方法となりますので、ご注意ください。

無事法務局の確認作業が終わればこれを法務局が認証し、公的な証明書として発行します。

3. 利用するメリット

相続手続きの効率化:各機関に戸籍謄本を提出する手間を省ける
戸籍の原本を何度も提出しなくて済む:原本還付の手続きが不要
無料で取得可能:法務局での申請は無料

4. 申請方法

申請先:被相続人の本籍地、住所地、または相続人の住所地の管轄法務局

主な必要書類
📌 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
📌 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
📌 相続人全員の戸籍謄本
📌 申請書(法務局の書式)
📌 法定相続情報一覧図
📌 代理人が申請する場合は委任状

5. どんな手続きに使える?

📌 銀行口座の解約・名義変更
📌 不動産の相続登記
📌 証券会社の手続き
📌 自動車の名義変更 など

この制度を利用すれば、相続手続きをスムーズに進められます。

代理作成を依頼される際には、弁護士、司法書士、行政書士などに依頼することは可能ですが、不動産の相続登記も必要なケースでは法務局に登記申請も可能な司法書士に依頼されることがお勧めです。もし詳しい手続きを知りたい場合は、気軽にご相談ください。

兄妹相続の注意点

2025-01-08

「兄妹相続」とは、兄弟姉妹が相続人となる場合のことを指します。日本の民法では、被相続人(亡くなった人)に配偶者や子ども、直系尊属(両親や祖父母)がいない場合、兄弟姉妹が法定相続人となります。

以下、兄妹相続に関する基本的なポイントを説明します。


1. 相続順位

兄弟姉妹が相続人となるのは以下の条件が満たされた場合です:

  • 配偶者がいない、または相続放棄している。
  • 子ども(代襲相続を含む)がいない。
  • 両親や祖父母などの直系尊属がいない。

兄弟姉妹が相続人になるのは、法定相続順位で第3順位です。


2. 法定相続分

  • 兄弟姉妹間の平等:兄弟姉妹が複数いる場合は、均等に相続分を分けます。
  • 異父兄弟または異母兄弟:父母の一方のみを共有する兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、全血兄弟姉妹の相続分の半分になります。

3. 遺留分

兄弟姉妹には遺留分(最低限保証される相続分)はありません。そのため、遺言で兄弟姉妹以外の者に全財産を譲渡するとされている場合、兄弟姉妹はその内容を覆す権利を持たないことが一般的です。


4. 相続放棄

兄弟姉妹の中で相続放棄をする人がいる場合、残りの兄弟姉妹の相続分が増加します。ただし、兄弟姉妹の場合は代襲相続が可能なので、放棄した人に子どもがいれば、その子どもが代襲相続人となります。


5. 実務上の注意点

  • 戸籍の収集が煩雑:兄妹相続でも、相続人確定の為に戸籍を揃える必要があります。兄妹相続の場合は、一般的に代襲相続や数次相続が発生していることが多く、その際には戸籍の通数も膨大増えてくることもあり、相続人確定の為に費用や時間を多大に要することがあります。
  • 遺言書の確認:被相続人が遺言書を残している場合、その内容が優先されます。
  • 相続登記:不動産が含まれる場合、相続登記を行う必要があります。
  • 相続税:相続税の基礎控除額は小さいため、場合によっては税金が課される可能性があります。

6. トラブル回避のためのアドバイス

  • 兄妹相続では、遺留分がない為に、遺言書を作成しておけばそちらの内容が全て優先されることとなります。兄弟姉妹間のトラブルを避けるために有効です。

特に複雑な事情がある場合、詳しく状況を確認して対応する必要があります。

お困りのことがあれば、気軽にご相談ください。

遺言執行者をつけるべきか悩んでいる方へ

2024-12-18

遺言を作成する際に、遺言執行者をつけるかどうかは、遺言内容や遺言を残す人の状況に応じて判断するべき重要なポイントです。以下に、遺言執行者をつけるべき場合とそのメリットについて説明します。


遺言執行者をつけるべき場合

  • 複雑な遺産分割がある場合
    遺産が不動産や金融資産など多岐にわたる場合や、相続人が多い場合は、専門的な知識を持つ遺言執行者がいることでスムーズに手続きを進められます。

  • 遺言の内容に特別な手続きが含まれる場合
    例えば、法定相続分とは異なる分割方法を指定していたり、特定の財産を特定の相続人に譲渡する場合は、遺言執行者がその内容を実行します。

  • 相続人間でのトラブルが予想される場合
    相続人間の意見が合わない場合、第三者の遺言執行者が公正に手続きを進める役割を果たします。

  • 未成年や判断能力の低下した相続人がいる場合
    特に配慮が必要なケースでは、遺言執行者が相続人の権利を保護する役割を果たします。

  • 特定の寄付や非相続人への贈与が含まれる場合
    例えば、財産の一部を寄付するなど、相続人以外に財産を分配する場合には、遺言執行者の役割が重要です。


遺言執行者をつけるメリット

  • 手続きが円滑に進む
    遺言執行者がいると、相続手続きが効率よく進みます。遺産分割協議の負担も軽減されます。

  • 法的なトラブルを防止
    遺言内容が適切に執行されることで、相続人間の紛争を予防することができます。

  • 専門的な知識が活用できる
    弁護士や司法書士、行政書士などの専門家を遺言執行者に指定することで、専門的なアドバイスや手続きが可能です。

  • 相続人への負担軽減
    相続人が直接手続きを行う負担を減らし、遺産分割協議が円滑になります。


遺言執行者を選ぶ際のポイント

  • 遺言執行者は法律で「行為能力者」(未成年者や判断能力が著しく低下している人以外)である必要があります。
  • 相続人の中から選ぶ場合、公平性に注意が必要です。
  • 専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に依頼することで、トラブルを避けやすくなります。

遺言執行者をつけることで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、遺言者の意思が確実に反映されます。もし具体的なアドバイスやサポートが必要であれば、専門家に相談することをおすすめします。特に、兵庫県尼崎市周辺でお探しの場合、当事務所に一度ご相談ください。初回相談料は無料で承っております。

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