遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、相続財産について、相続人の間で「どの財産を」「誰に」「どのように」分けるのかを協議し、その合意内容を書面にとりまとめた文章をいいます。

文章に取りまとめることで、財産の内容や、取得者、その割合が明確にされ、後日のトラブルを回避する意味合いも持ちます。

遺言書によって被相続人が別段の意思を残した場合でなければ、この協議書の内容に沿って遺産分割がなされますので、とても重要な書面になり、不動産の相続登記や預貯金の解約手続き、株式、自動車の名義変更手続き等、各種相続手続きで必要となってきます。

 

遺産分割協議は必ず必要?

遺産分割協議は、必ずしもしなければならないわけではありません。被相続人が遺言書を残していた場合には、その遺言に従って遺産は分割されますので、そもそも遺産分割協議は必要ありません。

一方、遺言がない場合であっても、被相続人の死亡後の相続人及びその割合は法律で決められています。いわゆる「法定相続人」及び「法定相続分」と言われるものです。

 

では、どのような場合に必要なの?

必ずしも必要ではない遺産分割協議ですが、この「法定相続人」=法律で定められた相続財産を取得する人、および「法定相続分」=法律で定められた相続割合を「変更したい」時に必要となってきます。

遺産分割協議をすることで、自由に相続人の相続割合を変更できるのです。

 

遺産分割協議はすべきか?メリットは?

相続財産が少なく、また相続人の人数も少ない場合は別として、遺産分割協議はされておいた方がよいかと思います。

その理由は、以下のとおりです。

 

①後日のトラブル回避の為

⇒文章に取りまとめることで、財産の内容や、取得者、その割合が明確にされ、後日のトラブルを回避する意味合いも持ちます

 

②相続財産の共有状態を避ける

⇒法定相続になった場合、被相続人の財産に「不動産」や「株式」などがあった場合、これらは法定相続割合に沿った持分で「共有」することになります。共有状態が必ずしも悪いわけではありませんが、その管理や売却には共有者の合意が必要となってきます。共有者全員の合意となると、時間も手間もかかってきてしまい、紛争がおきる可能性もあります。それよりは、遺産分割協議をすることで、例えば不動産は長男に、株式は長女に、預貯金は残された配偶者へとすることで、残された配偶者はその現金でもって施設で最期まで生活できるし、長男は家を、長女は株式相続し、その保有を続けることも売却して現金化することも自分だけの意思でできるのです。

 

③相続人が多岐にわたるのを防ぐ

⇒遺産分割協議がなされないまま、相続人の一部にさらに相続が生じると、後から亡くなられた方の相続人も第一の相続の相続人となり、相続人が多岐にわたるようになってしまいます。

これによって共有状態も大人数での共有となり、さらに管理や処分が困難となってきてしまいます。

以上のように、遺産分割協議をするメリットは大きいと言えると思います。

相続人の方全員での協議という事もあり、面倒と二の足を踏まれる方もいらっしゃいますが、長い間放置して、いよいよ協議をしようとしても、③で記述しましたとおり二次相続が発生すると、更にその相続人の方も含めた協議が必要となり、さらに面倒なことになりかねません。

できるだけ早めの協議をお勧めします。

 

では、実際に遺産分割協議書はどうやって作成するのか?

遺産分割協議書の作成方法ですが、実は、遺産分割協議書には決まった書式はありません。遺産の一部についてだけ分割協議をし(たとえば、不動産・株式・現金の遺産があるとして、不動産についてのみ遺産分割協議をする)、この遺産については相続人の誰々にする、といった協議も有効です。協議されなかった遺産は、法定相続分に従って相続されることになるからです。

一部の不動産についてのみ、一部の相続人のみが取得する等、協議の対象や内容は、相続人が自由に決められるのです。

ただし、「相続人全員の合意」が必要である、という縛りはありますのでご注意ください。

 

遺産分割協議書への署名・捺印

遺産分割協議書の書式に決まりはないと申し上げましたが、相続人全員が内容に合意している旨を記した文章でないと、協議書としての意味をなしません。

よって、協議書には、相続人全員が署名もしくは記名したうえで「押印」をします。

ここにおける押印は、必ずしも実印でなければいけないという決まりはありませんが、本人が内容をきちんと確認し納得した旨を表すためにも「実印」での押印が望ましいです。

また、この協議書を、相続登記や口座株式の名義変更手続きで使用する場合には、協議書の信憑性を確認する意味から、実印での押印かつ「印鑑証明書」の添付が要求されてきます。

せっかくの協議書が有効に活用されるように、書式に決まりがないとはいえ、利用用途によっては制限を受ける場合もありますので、注意して作成しましょう。

一般的な遺産分割協議書のサンプルをご紹介します。

 

遺産分割協議書(サンプル)

 

続       人 甲野 太郎

          (令和●●年●●月●●日死亡)

 

最 後 の 本 籍 兵庫県尼崎市●町●丁目●番●号

最 後 の 住 所 兵庫県尼崎市●町●丁目●番●号

登記簿上 の 住所 兵庫県尼崎市●町●丁目●番●号

 

 

住       所  兵庫県尼崎市●町●丁目●番●号

           相 続 人  甲野 花子

 

住       所  兵庫県西宮市●町●丁目●番●号

           相 続 人  乙野 幸子

 

住       所  兵庫県神戸市●町●丁目●番●号

           相 続 人  甲野 次郎

 

 

上記被相続人の遺産について、共同相続人間において遺産の分割について協議をした結果、次のとおり決定した。

 

1 相続人甲野花子は、次の遺産を取得する。

<土地>

所   在 兵庫県尼崎市●町●丁目

地   番 ●番●

地   目 宅地

地   積 110.00㎡

<建物>            

所   在 兵庫県尼崎市●町●丁目●番地

家屋番号  ●番●

種   類 居宅

構   造 木造瓦葺2階建

床 面 積 1階 35.00㎡

      2階 35.00㎡

 

2 相続人 乙野幸子は、次の遺産を取得する。

<預貯金>

●●銀行●●支店  普通預金  口座番号●●●●

●●信用金庫●●支店  普通預金 口座番号●●●●

 

3 甲野花子は、第1項記載の遺産を取得する代償として、甲野次郎に令和●●年●●月●●日までに、金5,000,000円を支払う。

 

上記事項を確認するため、上記相続人は次に各自署名し押印する。

 

 

令和●●年●●月●●

     (相続人 甲野花子の署名押印)

    (住 所)                      

    (氏 名)                    

                                 

     (相続人 乙野幸子の署名押印)

    (住 所)              

    (氏 名)                    

 

     (相続人 甲野次郎の署名押印)

     (住 所)                      

     (氏 名)                    

 

当事者間での協議が難しい、また、どのように分けた方が今後のトラブル回避につながるのか等、ご不安な点がございましたら、専門家の力を借りるのも早期解決には適している場合もございます。

ご不安やご心配がございましたら、お気軽にご相談ください。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0664239083電話番号リンク 問い合わせバナー