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会社(法人)の設立を検討されている方へ
会社の設立といえば、皆さん株式会社を思い浮かべる方が多いかと思います。
株式会社の他にも会社・法人の形態は計8種類あります。
どのような形態がご自身の経営に最適なのか、当ホームページを参考にご検討いただければと思います。
会社・法人類型
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 合名会社
- 有限責任事業組合(LLP)
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- NPO法人
株式会社
株式会社はご存知の通り、日本で最も多い会社の形態です。
株主により構成され、すべての株主は出資額を限度とする有限責任しか負いません。また、営利会社であり、利益が出た場合は、原則として持株数に応じて株主に還元します。
業務執行は取締役が行いますので、所有(株主)と経営(取締役)が分離しているのが原則です。
会社法施行により、資本金の最低限の規制がなくなり「1円」の資本金で設立ができます。
株式会社設立のメリット(お勧めポイント)
- 社会的認知度・信用度が欲しい
会社といえば「株式会社」と思われる方が多く、実際に多くの会社では株式会社の形態を利用しています。金融機関との取引も円滑に進むことが多いです。 - 上場会社を目指している
他の会社では上場はできません。株式会社では、多くの人を雇い、将来事業規模を大きくしていくには最適です。 - 資金調達も積極的に考えている
金融機関との信用度も高いために、金融機関からの借入または株式を通じての資金調達を行うこともできます。
株式会社のデメリット
- 役員の任期がある
株式会社の場合、定款の定めにより最大伸長したとしても、役員の任期は10年です。再任する場合には、都度登記費用がかかります。 - 決算公告が必要となり手間がかかる
大半の中小企業では実際には決算公告を行っていないのが現状ですが、法律で公告義務を定めております。
合同会社
合同会社では出資者=会社の経営者となり、株式会社と違い、所有(出資者)と経営(社員)が同一となるため、より柔軟な会社運営を行いやすい点が特徴です。
株式会社と同様、出資額と限度とする有限責任会社であり、資本金の最低限の規制はなく、「1円」の資本金で設立が可能です。
合同会社設立のメリット(お勧めポイント)
- 決算公告の義務がなく、手間が少ない
株式会社と違い、決算公告義務はありません。 - 役員の任期がない
こちらも株式会社と違い、役員の任期の定めはありません。 - 利益の分配を自由に設定できるので柔軟な運営ができる
株式会社と違い、出資割合に基づかない自由な分配が可能です。
(ただし、利益の配当額が利益額を超える場合には、利益の配当をすることはできません。) - 設立費用を安価に抑えたい
合同会社では株式会社と違い、定款認証(5万円程度)が不要です。また登録免許税についても株式会社(15万円)と比較して6万円と安くなります。
合同会社のデメリット
- まだまだ社会的認知度や信用度が低い
株式会社に比べると認知度・信用度は低く、出資者全員が経営に携わるので、小規模事業者向きといえます。 - 社員同士で対立することも
定款に別段の定めがない限り、出資割合に関わらず議決権が社員1人1票となるため、社員同士の対立により経営が停滞してしまう可能性があります。
(参考)株式会社と合同会社の違い
|
株式会社 |
合同会社 |
会社の代表者 |
代表取締役 |
各社員 (代表者社員を定めることも可能) |
出資者の最低人数 |
1名 |
1名 |
出資者の呼称 |
株主 |
社員 |
意思決定機関 |
株主総会 |
社員総会 |
役員の任期 |
通常取締役2年 監査役4年 最大10年まで伸長可能 |
任期なし |
決算公告 |
毎事業年度ごとに必要 |
不要 |
業務執行者 |
取締役 |
業務執行社員 (業務執行社員の定めが ない場合は社員全員) |
株式(持分)の譲渡 |
自由(譲渡制限も可能) |
社員全員の同意 |
最低登録免許税 |
150,000円 |
60,000円 |
定款認証 |
必要 |
不要 |
合資会社
合資会社とは、出資額を限度として責任を負う有限責任社員と債権者に対して直接の責任を負う無限責任社員からなる会社です。
現在設立される数は非常に少ないです。
合名会社
合名会社とは、債権者に対して直接の責任を負う無限責任社員のみで構成される会社です。出資は金銭に限らず、労務の出資も可能です。
現在設立される数は非常に少ないです。
有限責任事業組合(LLP)
有限責任事業組合とは、有限責任事業組合契約に関する法律に基づいて組成される組合で、イギリスなどにおける同様の組合を意味するLLP(Limited Liability Partnership)と呼ばれることもある。2005年8月1日からの有限責任事業組合契約に関する法律の施行によって利用可能となった新しい事業形態です。LLPはあくまで民法組合の特例として定めた「組合(パートナーシップ)」であり、法人ではありません。従って、法人格を有することが条件となるような事業(例えば介護保険指定事業者)には利用することができない。
また、法人格がないため、直接許認可を得ることもできません。(事業に関与する構成員がそれぞれ許認可を取得したうえで行う)。
一般社団法人
一般社団法人とは、営利を目的としない「非営利」法人です。
非営利法人といっても、一般の考え方と異なり、非営利とは「利益の分配をしない」ことをいいます。株式会社では、利益が出れば株主に配当されますが、非営利法人では社員に分配することはできません。
利益の分配はできないだけで、「利益を上げること」自体には全く問題はなく、役員も役員報酬を得ることができます。
また、税制上の特徴として「普通型」を「非営利型」の2種類に分けられます。
普通型は、株式会社などと変わらず同等の課税形態ですが、非営利型は税制上の優遇措置が設けられています。
「非営利型」の要件としては、利益が出た場合に剰余金の分配を行わないことはもちろん、解散した場合の残余財産についても国や地方公共団体などへ寄付することをあらかじめ定款に定めなければなりません。
また、理事の人数も3名以上(普通型は1名以上)置く必要があり、理事と親族である理事の人数は理事総数の3分の1以下などの条件もあります。
詳しいことについては、当事務所はご相談ください。
一般社団法人のメリット(お勧めポイント)
- 共通の目的のために集まって活動をしたい方
非営利法人ですので、儲けが主体ではなく、ボランティア活動をしている団体を法人化したいなど、任意団体を組織化したい場合に適しています。 - 設立費用を抑えたい
一般社団法人には、資本金はいりません。手元資金が少ない場合でも設立が可能です。
ただし、設立後当面の法人活動にあたっての必要な経費は社員が負担しなければなりません。
このため任意ですが、資金調達の手段として「基金制度」を設けることもできます。
一般財団法人
一般社団法人と同じく、平成20年12月1日に施行された法律に基づく新しい法人です。また税制上の特徴としても、一般社団法人と同じく一定の要件の下で優遇を受けることができます。
一般社団法人は、一定の目的のために社員の「活動」自体に重点を置くので設立時に有する資金・財産がなくても設立が可能ですが、一方の一般財団法人は、拠出された財産を一定の目的のために利用することに重点を置きます。
設立時に300万円以上の財産の拠出が必要という点が、一般社団法人とのもっとも大きな違いになります。
NPO法人
NPO法人は、社団法人の一種として、NPO法に基づいて都道府県または指定都市の認証を受けて設立された法人のことをいいます。 NPO法は正式には「特定非営利活動促進法」という名称の法律で、NPO法人も正式には「特定非営利活動法人」といいます。広く社会一般の利益のための活動といえます。
ここで「特定非営利活動」とは、(1)法が定める20種類の分野に当てはまるもので、(2)不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動のことです。
以上、各会社・法人の特徴及びメリット・デメリットをご紹介しました。
従来は、やはり株式会社が飛びぬけて人気でしたが、税制優遇の面や信頼性・認知度の変化から、合同会社や一般社団法人の設立を検討させる方もかなり多くなってきました。
ご自身がされたい事業にとって、どの会社形態をとるのかの選択はとても重要です。
営利を追求し、会社を大きく発展させたいのか?
信頼のおける仲間と社会貢献の為に事業をしたいのか?
はたまた、税金対策の一環として法人を設立したいのか?
ご自身での判断が難しい場合もあるでしょう。
そんな時は、ぜひ専門家へご相談ください。
当事務所では、あらゆる法人の設立登記に対応しております。
お客様のニーズに沿った法人の設立手続きをアドバイス申し上げます。