こんな時は家族信託―実家が空家になり、管理や売却が心配

相談の概要

  • Aさんの母のBさん(80歳)は、元々田舎の実家で一人暮らしをしていたが、体調も良くなく、現在は介護施設に入居している。
  • Aさんとしては、介護施設の入居費用がかかる為に、将来的には実家不動産を売却して、Bさんの施設への入居費やその後の介護費用に充てたいと思っている。
  • しかし、実家がすぐに売却できる保証はなく、売却する前にBさんが認知症になってしまうことを懸念している。

 

家族信託を使わない対策だと

Aさん所有の実家不動産をBさん生前贈与することができ、相続時精算課税制度を使えば、当面の贈与税の負担はなくてすみます。

ただし、Bさんに不動産取得税・登録免許税が課され、贈与後に売却できてもBさんの自宅ではないので、通常の譲渡所得税が課される可能性はあります。

 

家族信託を利用した提案

  1. Bさんを委託者兼受益者、Aさんを受託者として、信託財産を当該不動産と若干の金銭とする信託契約を締結することで、Aに管理・運用・処分ができる権限を与える。
  2. 実家の不動産の名義のみをAさんに変更するため、実家不動産について「所有権移転および信託」の登記をする。
  3. 金銭については、金融機関で「信託口通帳」を作成し、Bさんの他の預金と分別管理する。

 

家族信託を利用するメリット

  1. 家族信託設定時の課税は登録免許税のみで、不動産取得税や譲渡所得税も発生しない。
  2. Bさんが認知症になっても、Aさんが自身の権限で実家不動産を売却し、金銭信託に変換することができる。
  3. 不動産が金銭信託に変換されても、あくまでBさんの財産なので、Bさんのために使うことができる。
  4. 相続の際に遺言執行や遺産分割協議などが一切不要となる。

 

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