亡くなられた方のご家族の財産であっても、相続人の方が全てを把握されているケースは意外と少ないものです。
ご夫婦で生活されており、一方の配偶者が亡くなられた場合に他方の配偶者が把握されているケースは多いのですが、単身の方の兄弟相続の場合や伴侶を既になくされており、お子様が相続される場合など、生活をともにされていなかったケースでは、財産がどこにどれくらいあるのか見当もつかない、との声も聞かれます。
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では、どのようにして相続財産を調査したらよいのでしょう?
一般的な相続財産には、下記のものがあると思います。
- 金融預貯金
- 株式
- 保険
- マイナス財産である負債
参考までにどのような形で調査していくのかの一例を列挙します。
①金融預貯金
- ご自宅に通帳が残されていれば、お通帳元の金融機関へ照会し、残高証明書を取得する
- 通帳もなく、どこに口座があるのかも不明な場合は、被相続人様のお住まいの近隣地域の金融機関に対し、口座保有の照会をかける。
口座保有が確認できたら、残高証明書・取引履歴を取得する。
残高証明書は分かるけれど、取引履歴まで必要か?と思われがちですが、お手元に通帳がない場合、このお取引履歴が他の財産を発見する重要な手掛かりを含んでいることが多くあります。
②株式
- 郵便物を確認し、証券会社からの株式配当通知の有無を確認する
証券会社や株式発行会社は、配当の時期になると配当金のお知らせの郵便物を送付してきます。
ご自宅にそれらしい郵便が届いてないか調査することで、株式の管理委託をしている証券会社の口座や保有株式を確認することができます。
- 通帳に配当金の入金記録がないか確認する
さきほど、金融機関で取引履歴まで取得する意味はここにあります。
お通帳や取引履歴の記録から、配当金の振り込み記録があればそれが保有を確認する手掛かりとなります。
③保険契約
- 保険会社からの郵便物がないか確認する。
保険契約が継続している限り、定期的に郵便がきているケースがあります。
今回契約している契約に関する郵便だけでなく、別契約を進める勧誘の郵便であっても手掛かりになる場合もあります。
- 通帳に掛金の引き落とし、満期の保険金の入金記録がないか確認する
通帳もしくは①で取得した取引履歴を確認します。
積立期間満了によって月々の引き落としがない場合でも、満期時や一時金の入金がある場合もありますので、よく確認していきます。
④負債
マイナス財産の調査は、財産調査中で特に重要な部分になります。
負債が膨大である場合には、相続放棄手続きという選択肢も検討していきますが、この申し出には、期限があるためです(詳しくは、相続放棄で解説)。
- 督促郵便の有無、通帳からの振り込み引き落とし記録がないか確認する
郵便物の中に督促の郵便がないか、また通帳や①の取引履歴に返済金の振り込みや、引き落としがないか、よく確認していきます。
- 信用情報機関へ登録照会をする
カード会社によっては、口座引き落としや振り込みでなく、会社独自のATMで直接借入返済を行う会社もあるので郵便物や通帳記録等から負債の有無を確認できない場合もあります。
その場合は、「信用情報機関」(詳しくは、「債務整理をご検討中の方へ」にて解説)に登録があるか確認します。
ほんの取り掛かりの一例ですが、同居されていた方はもとより、生活を別にされていたご家族の方が遺産の全てを正確に把握するのは意外と困難です。
また一緒に生活されていても、実は残された伴侶の方の為にこっそり定期預金をしていた、というケースもございました。
プラス財産の見落としも大変ですが、負債の見落としはもっと大変なことになりかねません。
上記例を調査のご参考頂き、少しでも負担や不安に感じられましたら、お気軽に我々専門家へご相談ください。
司法書士は、手続き、ならびに法律の専門家です。
迅速かつ正確に調査を行うことができますし、調査によって発見された財産に応じて、今後の手続きについて適切な対応方法をアドバイス申し上げます。