不動産を共有にする(複数人で共同所有する)ことには、一見メリットもありますが、将来的なトラブルや手続きの難しさが多く、「できるだけ避けるべき」というのが実務の基本的な考え方**です。以下に具体的なデメリットをわかりやすく解説します。
このページの目次
🔻 不動産を共有にする主なデメリット
① 売却や処分に「共有者全員の同意」が必要
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たとえば売却・担保設定・賃貸など、不動産全体に関わる行為は全員の合意がないとできません。
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1人でも反対すれば売却できない。
例:兄弟3人で相続した家 → 1人が住みたい、1人が売りたい、1人が興味なし → 結論が出ない
② 共有者の誰かが死亡・認知症・行方不明になると「権利処理」が複雑に
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1人でも亡くなればその持分は「さらに相続」されて共有関係が複雑化します。
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共有者が認知症になると、後見人をつけないと意思表示ができない。
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行方不明者がいると、不動産の処分には不在者財産管理人の選任が必要(家庭裁判所へ申立て)。
③ 登記や手続きの費用が分散・増加しやすい
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将来の売却や分筆登記などで費用が余分にかかる。
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納税や維持費(固定資産税など)も各共有者が責任を持つ必要がある。
④ 紛争の火種になりやすい
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使用料の支払い、修繕費の分担、税金の支払いなどでトラブルが発生しやすい。
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「何年も放置される不動産」になってしまうケースが多い。
⑤ 持分だけを売却・差押えされるリスク
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各共有者は「自分の持分」だけなら勝手に売却可能。
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他人(第三者)が持分を購入 → 見知らぬ人と共有状態になることも。
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債務整理・差押えの対象にもなりやすい。
💬 共有にしてしまった場合の対応策
対応策 | 内容 |
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持分の買取・整理 | 他の共有者の持分を買い取る(できれば相続時に一人の名義に) |
分筆登記 | 土地を分けて、それぞれ単独名義にする(可能な場合) |
共有物分割請求 | 裁判所で分割(協議 or 訴訟)を求めることも可能(民法256条) |
不動産信託 | 家族信託などで管理権を一本化する方法もあり(専門家に相談を) |
✅ まとめ:不動産共有は将来の「争族」リスクを生む
項目 | リスク・デメリット |
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手続きの難しさ | 売却・担保設定などがしにくい |
相続時の混乱 | さらに細かく共有され、複雑化 |
トラブル | 意見不一致、使用料や修繕負担で争いに |
第三者の介入 | 他人が共有者になる可能性 |
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相続や贈与で不動産を共有にするのはなるべく避けるのが原則です。
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すでに共有になっている場合は、将来的なトラブルを見据えて、できるだけ早期に共有を解消する方向で検討するのもひとつでしょう。

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