相続人の有無が不明の場合の対応

相続人の不存在について

相続が開始すれば、相続財産は相続人に引き継がれることになりますが、相続人の有無が不明のときは、相続財産を管理・清算しながら、一方で相続人を捜索することが必要となります。

民法では、これらの手続きを「相続人の不存在」として規定しています。

民法第951条(相続財産法人の成立)

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とする。

相続人が不明の場合には、相続財産に管理人が置かれて管理・清算などの手続きがされますが、相続財産管理人が誰の管理人であるかを明確にすることを目的としています。

※相続人が不明の場合とは

  • 相続人の存在は明らかだが、その行方・生死が不明の場合には、本条に該当せず、不在者・失踪者としての手続きがされます。
  • 最終順位の相続人が、相続放棄など理由で相続権を有しなくなった場合には、相続人のあることが明らかでない場合に該当します。
  • 遺言書に相続人は存在しないが、相続財産の全部の包括受遺者が存在する場合には、相続人のあることが明らかでない場合には該当しません。

相続人不存在の流れ

①:相続人がいることが明らかでない場合に、相続財産法人の成立

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②:利害関係人などの請求によって、家庭裁判所は相続財産の管理人を選任

選任後遅滞なく、家庭裁判所は最低2ヶ月公告(1回目)

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③:②の公告後2ヶ月以内に相続人のいることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人は全ての債権者、受遺者に催告する旨を最低2ヶ月公告(2回目)

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④:③の公告期間の満了後、まだ相続人のいることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人などは最後の相続人捜索のために公告を家庭裁判所に請求

最低6ヶ月公告(3回目)

この期間内までに相続人であることの申出をしなかった者は、相続権を主張することはできません。(相続人不存在確定)

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⑤:④の相続人捜索公告期間満了後3ヶ月以内に、内縁の妻や事実上の養子などから請求(特別縁故者)があったときは、家庭裁判所は相当と認めるときに限って、相続財産の全部又は一部を与えることができます

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⑥:①~⑤までの手続きにより、処分されなかった相続財産は、国庫に帰属します。(特別縁故者不存在確定)

①~⑥までの手続きにより、特別縁故者不存在が確定するまでには最低13ヶ月の期間を要します。

相続人不存在の財産が不動産の共有持分であったときには、他の相続人が不明だからといって、その持分は譲り受けることはできません。あくまで特別縁故者の不存在が確定して、他に相続人や利害関係人がいないことが証明されて初めて、他の共有者の持分へと帰属されます。

 

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