遺産分割協議を成立させるには
遺産分割協議自体は、相続人全員が遺産分割の協議内容に同意すれば成立しますので、必ずしも遺産分割協議書の作成及び相続人全員の署名・捺印が必要な訳ではありません。しかしながら、遺産分割協議の内容を基に、不動産の名義変更や金融機関への相続手続きなどをするには、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を提示や添付を求められることが殆どです。また、今後相続人同士で揉め事にならない様にするためにも、遺産分割協議書は作成しておいた方が良いでしょう。
遺産分割協議による相続登記の場合を例にみましょう。
父親が亡くなり、相続人が母(妻)、子供2人の合計3名いるときに、遺産分割協議によって不動産については母(妻)が相続することとなったときは、不動産の名義人を父から母に相続による所有権移転の登記を申請することができます。このときの相続登記の申請の際には、その旨が記載された「遺産分割協議書」及び「相続人の印鑑証明書」を添付しなければなりません。(この「遺産分割協議書」「印鑑証明書」は原本を添付する必要がありますが、原本還付の請求をしておくことで、登記完了後に原本は返却されます。)
相続登記の申請の添付書類は厳格なものとなりますので、遺産分割協議書に実印が押印されていなかったり、相続人の内の一人でも印鑑証明書の添付がないときは相続登記を完了することはできません。
遺産分割協議書がまとまらない場合
そもそも相続人同士の遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所へ遺産分割の調停の申し立てをする必要があります。遺産分割調停の手続きは下記リンクをご参照ください。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
- 遺産分割協議の内容はまとまったが、協議書に押印しない相続人がいる場合
この場合には、当事者間で解決できる見込みがないときには、当該相続人に対して所有権の確認の訴えを提起し、勝訴判決を得ることで相続登記が可能となります。
- 遺産分割協議書に押印はしたものの、印鑑証明書を提供してくれない場合
遺産分割協議書の真否確認の訴えを提起し、勝訴判決を得ることで相続登記が可能となります。
いずれの方法にしても、遺産分割協議がまとまらないケースや書類が揃わないケースの場合には、裁判、調停などの手続きを経る必要があり、手間及び時間、費用もかかってしまいます。相続人同士でも全く面識がないケースなどもありますので、協議自体を進めていくことが難しいケースもあるでしょう。
遺産分割協議や相続でお困りのことがあれば、当事務所へご相談ください。