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離婚したときの財産分与による登記とは

2021-04-26

財産分与による登記とは

財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚の際に分配する制度のことです。財産分与した財産の中で、不動産がある場合には財産分与による名義変更登記をすることができます。

登記される原因日付については、「協議による場合は協議成立日」、「調停による場合は調停成立日」、「協議又は調停が離婚前に成立した場合は離婚の日」、「家庭裁判所の審判による場合には審判確定日」となります。

また、財産分与登記手続について、協議離婚の場合と裁判上の離婚の場合とでは、必要書類や当事者が一部異なってきます。

協議離婚に伴い、不動産の財産分与を受けようとする方は、離婚後ではもう一方から必要書類をスムーズに貰うことが難しくなる可能性も出てきます。

手続きや必要書類などについては、事前に確認しておいた方がよいでしょう。

財産分与による登記手続の流れ

●協議離婚の場合

協議離婚の場合では、財産分与をする方を受ける方の共同申請にて登記手続きをします。よって当事者双方の協力が不可欠となります。

ただし、実際に財産分与による名義変更登記を申請するのは、離婚後となりますので、離婚協議書に署名・捺印するときに合わせて登記手続の書類も準備してもらうことが望ましいでしょう。

※離婚協議書については、下記リンクもご参照ください。

https://gyousei.amagasaki-shiho.com/%e9%9b%a2%e5%a9%9a%e5%8d%94%e8%ad%b0%e6%9b%b8%e3%81%af%e5%bf%85%e8%a6%81%ef%bc%9f/

<登記申請に必要書類>

1、財産分与をする方(財産をあげる方)

  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 当該不動産の登記識別情報通知または登記済証
  • 固定資産税評価証明書
  • 戸籍謄本(離婚日を確認するために離婚後に取得)
  • 登記上の住所と変更ある場合には住民票、戸籍附票など

2、財産分与を受ける方(財産をもらう方)

  • 住民票
  • 印鑑(認印でも可)

●裁判上の離婚の場合

家庭裁判所による調停や審判など、裁判上の手続きで離婚したような場合で、以下のようなときには財産分与を受ける方の単独申請にて登記手続をすることができます。

・調停調書や審判書の中で、「財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」などの記載がされていること

・調停証書などに「財産分与として、登記手続と引換えに●●円を支払う」といった反対給付の条項があるときには、裁判所に給付があったことを証する書面(振込の領収書など)を提出し、執行文を付与してもらうこと

<登記申請に必要書類>

1、財産分与を受ける方(財産をもらう方)

  • 住民票
  • 印鑑(認印でも可)
  • 調停調書、審判書正本、和解調書等
  • 固定資産税評価証明書

登記費用について

財産分与による名義変更登記には、名義変更による登録免許税(固定資産税評価額×1000分の20)及び司法書士への報酬、実費がかかります。

これは財産分与を受ける方が支払うこととなります。

 

当事務所では、離婚協議書の作成から離婚後の財産分与による登記手続きまでサポートさせて頂きます。

初回相談・費用見積は無料ですので、検討されている方、お困りの方などはお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

抵当権抹消の書類がみつからないときは

2021-04-22

抵当権抹消登記の必要書類

住宅ローンを払い終えると、金融機関から抵当権の抹消登記に必要な書類を郵送してくることがあります。

すぐに手続きをすれば良いのですが、特に急ぐ必要もないのでそのままにしておいたところ、いざ売却しようとしたときに書類を探したがみつからない!というケースもよくあります。

また、親が所有していた不動産を相続登記しようとしたところ、まだ親名義の住宅ローンの抵当権が残ったままになっていたので、抹消登記をしたいが書類が見つからない、ということもあるでしょう。

このように、いざ抵当権抹消登記の手続きをしようとする際に必要書類を紛失してしまって、手続きに困ったらどうすればよいでしょうか。

ここでは、困ったときの対処方法について説明していきます。

抵当権抹消登記に必要な書類

ローンを支払い終えると抵当権抹消登記に必要な書類を金融機関から受け取ることができますが、その書類は主に以下の通りとなります。

①登記識別情報通知または登記済証(抵当権設定契約証書等に押印されています)

②抵当権解除(放棄、弁済)証書

③金融機関の委任状

この中で、②、③については金融機関に再度依頼することで、再発行してもらうことができますが、①については再発行ができません。

よって①も紛失されているようなケースでは、特別な手続きが必要となってきます。

金融機関からの登記識別情報または登記済証を紛失していたら

登記識別情報通知や登記済証は再発行することができない書類となりますので、以下の2通りのパターンで抵当権抹消登記の申請をすることとなります。

方法1:事前通知による方法

売買などに関係なく、時間的に特に急いでないようなときには、この方法を利用することが多いです。まずは金融機関に連絡して、下記の書類を追加で依頼することとなります。

  • 委任状(金融機関の実印もしくは法務局に登録している印を押印したもの)
  • 金融機関の印鑑証明書(もしくは写し)

上記の書類を取得したら、通常は抵当権抹消登記に必要な登記識別情報通知や登記済証を添付せずに、そのまま抹消登記を申請します。

そうすると申請を受けた法務局は、金融機関に対して「このような抵当権の抹消登記が申請されましたが、申請の内容が真実であれば申し出てください」という旨の通知をします。

そして、金融機関から間違いない旨の申出が期間内(2週間)にあれば、そのまま登記手続きは進みます。通知及び回答の期間がありますので、通常の抹消登記よりは時間はかかります。

方法2:本人確認情報を作成する方法

登記手続きを依頼する司法書士が、金融機関の権限のある者(部長、支店長など)と面談し、本人確認情報を作成することで登記識別情報通知(登記済証)に代わる書類として提出します。

事前通知のように時間はかかることにはなりませんが、司法書士への報酬が別途追加でとられることとなります。

 

抵当権抹消登記に必要な書類を紛失していても以上のような方法で代用することもできますので、ご安心ください。
お困りのこと、ご相談などございましたら、当事務所にお気軽にご連絡ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。

後見制度が開始されたら(成年後見登記制度)

2021-04-19

成年後見登記制度

家庭裁判所から後見開始の審判がされたときや、任意後見契約の公正証書が作成されたときなどは、家庭裁判所または公証人からの嘱託によって登記されることとなります。

この登記制度については、成年後見人や保佐人、補助人の権限や任意後見契約の内容などを登記するもので、登記事項を証明した登記事項証明書の交付を受けることができます。

この登記事務については、東京法務局の後見登録課で、全国の後見登記を全て行っております。

例えば、この登記事項証明書は成年後見人が本人に代わって介護サービス提供契約や財産の売買契約などを行うときに、相手方に対して登記事項証明書を提示することで、その内容や権限を確認してもらうために利用したりします。

登記内容に変更があったら

先ほどの通り、後見開始の審判がされたときや、任意後見契約の公正証書が作成されたときなどは、成年後見登記がされると説明しましたが、この手続きは家庭裁判所や公証人からの嘱託によって行われますので、最初の登記がご本人や後見人などが申請することはありません。

しかしながら、登記されている本人や成年後見人などに、登記後の住所変更などにより登記内容に変更が生じたときは「変更の登記」を、本人の死亡などにより後見が終了したときは「終了の登記」を申請する必要があります。この申請手続きについては、本人の親族などの利害関係人も行うことができます。

書式などについては、下記リンクをご参照ください。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/goannai_index_seinenkouken.html

登記事項証明書の請求方法

登記事項証明書の交付請求をする場合には、請求者の住所、氏名、生年月日及び本人との関係などを記載した申請書に、所定額の印紙(1通につき550円)を貼り、東京法務局民事行政部後見登録課に郵送請求します。

窓口で交付手続きを行う際には、東京法務局民事行政部後見登録課及び東京法務局以外の各法務局の戸籍課でも行うことができます。

家族信託を利用して何ができるのか

2021-04-16

家族信託の利用にあたって

家族信託という制度を利用しようと考えている方は、その事情や最終的に何をしたいのかなどによって、さまざまなパターンが存在します。

内容によっては、家族信託を利用しなくても、他の制度で対応することもあり得ますが、ここでは家族信託でよく利用される目的について説明していきます。

  • 認知症対策

不動産の所有している方が高齢となり、今後判断能力が低下したときなどに備えて家族信託を利用するケースです。

所有者が認知症に万一なった際には、その不動産を処分したり、賃貸に出すということがそのままではできなくなってしまいます。事情によっては、施設への入所費用、介護費用、入院費用などを捻出するために、ご自宅を売却したいのにできないという事態にも起きてしまうかもしれません。

そのような場合に、現在の不動産の所有者を委託者兼受益者とすることで、本人が判断能力が喪失した場合に信頼できる受託者の権限により、その不動産を処分し、受益者のための費用として使用することも可能となります。

ただし、受託者一人にその権限を一任すると財産処分についての権限が大きくなりすぎるために、受託者を監督する信託監督人や受益者代理人を置くなどの措置も検討することはできます。

  • 遺産分割対策

家族信託に組み込んだ信託財産は、民法で定めた相続財産とはなりません。

よって、法定相続人同士の遺産分割協議を要することもなく、相続人の中に前妻との間の子や行方不明者がいる場合でも、信託終了後には信託契約で定めた帰属権利者に残余財産として帰属されます。ただし、遺留分に抵触することもありますので、その点を考慮した上で、信託財産を決めることも必要です。

  • 数次相続対策

遺言では、自分が亡き後の財産の承継先までしか決めることはできません。家族信託を利用することで、自分の亡き後は妻、妻亡き後は次男というように、次の世代までも財産の承継先を決めることもできます。先祖代々の土地を自身の直系の親族で代々守りたいようなときになど、自身の死後のことまでも対策をすることができます。

  • 生前の財産管理対策

自分の長男に経営をそろそろ任せたいが株価評価が高くて、税金の問題などから現在は長男に自社株式を譲渡できないなど生前贈与では対策が難しいようなケースです。

株式を信託財産として組み入れることで、株式は後継者である長男に贈与されますが、自身は委託者として引き続き議決権を行使することができます。

また、税務上自身から受益者である長男に株式が贈与されたものとみなされ、贈与税の課税対象となりますが、業績不振による株価の低いタイミングで生前贈与することで相続税対策を図りつつ、円滑な事業承継を行うことができます

 

家族信託はこのようなケースだけに限りません。その方の事情などによって異なるオーダーメイド型設計となります。

家族信託をご検討されている方は当事務所へお気軽にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料です。

代表取締役が亡くなったことで会社を清算するときには

2021-04-14

代表取締役(社長)が亡くなったら

取締役が1名でかつ株主が1名しかいない会社の代表者が亡くなった場合、後継者もいないので会社を清算するというケースも出てくると思います。

もう代表者も株主も亡くなってしまっているので、何も手続きをしなくても会社は消滅するということはありません。

会社を清算するには、解散・清算結了の登記手続が必要となってきます。

会社を解散するには

株式会社を解散するときには、以下のような解散事由に該当する必要があります。

①定款で定めた存続期間の満了

②定款で定めた解散の事由の発生

③株主総会の決議

④合併による消滅、破産、解散命令

この中で④のケースを除き、解散手続きをするには清算人を選任する必要があります。定款に清算人が定められているときはその方が清算人となりますが、それ以外のケースでは株主総会の決議によって清算人を選任することになります。

ここで注意が必要なのは、株主総会の決議を開くときの株主は誰になるのか、ということです。

株主である代表者が亡くなられているので、その株式については相続手続きの対象となります。株式の相続の場合には、預貯金や不動産と違い、株式は単純に法定相続分に応じて分けられるものではありません。通常は、法定相続人の間で遺産分割協議をすることで株式を相続するものを決定することとなります。

そして、新たに株主となった者の決議により、解散及び清算人選任の承認をした上で、登記手続きをする運びとなります。

会社の清算についてご相談などがございましたら、当事務所に気軽にご連絡ください。

初回相談・費用見積は無料です。

このようなときには遺言作成を考えてほしい

2021-04-12

子どものいない夫婦の場合

子どものいない夫婦の一方が亡くなったときの相続人は誰になるでしょうか。一般的な感覚では、仮に夫が先に亡くなった場合には、妻に全て財産がいくと思うかもしれません。しかし、相続人が誰になるのかは法律で定められています(法定相続人)。

先のケースで夫の両親や兄弟姉妹が生きていれば、妻に全て相続はいかず、両親や兄弟姉妹にも相続分があります。
例①夫が亡くなり、相続人が妻と夫の父親の場合の相続分:妻2/3、父親1/3

 ②夫が亡くなり、相続人が妻と夫の弟の場合の相続分:妻3/4、弟1/4

相続財産が全て預貯金などであれば、相続分の割合で分けることもできるでしょうが、相続財産の大半が不動産の場合は大変です。不動産を共有で分けてしまうといざ売却しようとするときにも双方の意思の合致が必要となり、手続きもスムーズに進まなくなってくるでしょう。

もちろん妻以外の相続人全員の同意があれば、遺産分割協議や相続放棄をしてもらうことで、結果的に妻に全て財産を残すこともできるでしょう。しかしながら、自身に相続財産を手にする権利があると分かっていれば、遺産分割協議や相続放棄に協力してくれるとは限りませんし、亡くなった夫の兄弟姉妹と亡くなった夫の妻では親しくないこともあり得ますので、残された妻が代わって交渉するのは非常に心労と手間もかかるでしょう。

先だった夫が残された妻にこうした心労や手間をかけさせない為には、亡くなった夫が「全財産を妻に相続させる」旨の遺言を残しておくことで、義兄や義姉などの協力も要せずに全て妻が相続することができます。

通常遺言を残しても、法定相続人には亡くなった財産のうち最低限の財産を受取る権利(遺留分)があり、妻に全財産を相続させる旨の遺言があっても、亡くなった夫の両親が生きていれば、遺留分により自身の権利を主張することもできます。

しかし兄弟姉妹が相続人になる場合はこの遺留分がありません。つまり、遺言をのこしておけば義兄や義姉はなんら権利を主張することができなくなってしまうのです。

兄妹姉妹がいなくても遺言を残しておいた方がよい点

兄弟姉妹は既に亡くなっているから遺言を残さなくても、妻に全財産はいくので大丈夫だと思っていたら注意が必要です。兄弟姉妹が既に亡くなっていたとしても、その子どもである亡くなった夫の甥や姪がその兄弟姉妹分の相続する権利を承継することになります。兄弟姉妹ならまだ面識があったとしても、夫の甥や姪となると面識も少なく、相続について話し合うことはますます難しくなってくるでしょう。

自分には既に親や兄弟姉妹が亡くなっているから、遺言を残さなくても安心だとは決して思わないよう注意してください。

まとめ

以上のように子どものいない夫婦の場合には遺言を残しておくことは必要だと思います。ただし、遺言を書いたからといって、それが法律的に有効なものでないと意味はありませんし、逆に相続人間でのトラブルに繋がってしまうかもしれません。

当事務所では、ご依頼者さまのご要望や意見を聞きながら法律的に有効な遺言の作成をサポートさせて頂きます。もちろん報酬や費用がかかってきてしまいますが、残された妻に安心して財産を残せるのであれば、活用することをお勧めします。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

遺言書がある場合の名義変更登記手続き

2021-04-05

遺言書がある場合の名義変更登記に必要な書類

遺言書がありその中に不動産の記載がある場合には、遺言書にもとづいて被相続人(亡くなられた方)から相続財産を受取る方に名義変更登記を申請します。しかしながら、遺言書がある場合であっても、受け取る方が法定相続人であるか、第三者であるかによって登記申請に必要な書類などが変わってきますので、注意が必要です。

遺言にもとづき法定相続人に相続させる場合

遺言にもとづいて法定相続人に相続させる場合の登記申請に必要な書類は以下のとおりとなります。

遺言がある場合には、通常の相続登記と異なり、全ての相続人を確定する必要がないため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て集める必要はありません。

  • 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
  • 被相続人の死亡時の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 遺言により相続する方の現在戸籍謄本
  • 遺言により相続する方の住民票
  • 固定資産税評価証明書又は固定資産税課税明細書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の4)

遺言にもとづき第三者に遺贈する場合

遺言にもとづいて相続人以外の第三者に対して不動産の名義変更を行う場合には、「相続」ではなく「遺贈」を原因として名義変更登記を申請することとなります。

この場合には、法定相続人に相続させる場合と異なり、登記済証(登記識別情報)が追加で必要となってきたり、登録免許税も原因を「相続」とするものよりは高い税率となってきます。

また、遺言の中で「遺言執行者」を定めている場合とそうでない場合とで、必要書類も異なってきますので、下記をご参考ください。

遺言執行者を定めていない場合

  • 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 対象不動産の登記済証(登記識別情報)
  • 遺言により受遺する方の住民票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の現在戸籍謄本
  • 固定資産税評価証明書又は固定資産税納税通知書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の20)

遺言執行者を定めている場合

  • 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
  • 被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生からの遡りは不要です)
  • 被相続人の住民票の除票
  • 対象不動産の登記済証(登記識別情報)
  • 遺言により受遺する方の住民票
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 固定資産税評価証明書又は固定資産税納税通知書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の20)

遺言がある場合の不動産名義変更登記のご依頼は当事務所にお任せください。遺言の検認手続き・戸籍謄本の収集から登記申請に必要な書類の作成までサポートいたします。

初回相談・費用見積は無料です。

未成年者の相続放棄は誰が手続きするのか?

2021-04-02

未成年者の相続放棄

両親が離婚した後に、母親が親権者となり、その後父親とは会うこともなく生活していたところ、ある日父親が亡くなったので子に対して役所や金融機関から通知が来た、というケースで考えてみます。

両親が離婚していても、その子どもはもちろん亡父の相続人にあたります。一方離婚した母は父(夫)の相続人とはなりませんので、仮に上記のように亡父に借金や税金の滞納などがあった際には相続人である子に対して請求が来ることはあり得ることです。

このようなケースで亡父の財産も調査の上ないことが分かり、借金が多額にあったような場合には一般的には相続放棄の手続きをとられることになるでしょう、。

では、未成年者の子どもの相続放棄手続きは誰が進めることになるのでしょうか。

未成年者の子は、法律上自身で相続放棄をすることはできません。よって、未成年者の子が相続放棄の手続きをする際には、法定代理人(母親など)が行うことになります。

法定代理人である母親が子に代わって相続放棄の手続きをすることは、利益相反には該当しませんので、特別代理人について考慮することなく、法定代理人が家庭裁判所へ相続放棄の申述手続きをすることができるのです。

 

相続放棄について、お困りのことや相続放棄をした方が良いのか悩んでいるなど、ご相談事があれば当事務所にお気軽にご連絡ください。

初回相談・費用見積は無料です。

相続放棄で注意する点

2021-03-30

相続放棄をすると

相続放棄とは「被相続人の財産に対する相続権の一切を放棄すること」です。

相続放棄をした人は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます。

相続放棄の対象となるのは被相続人(亡くなった方)のすべての財産であり、預貯金や不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、負債(借金)などのマイナスの財産も含まれます。相続を放棄した場合、プラスの財産、マイナスの財産のいずれも相続人が承継することはありません。

よって、亡くなられた方に多くの借金があった場合や誰かの連帯保証人になっていた場合、他の相続人と関わり合いを持ちたくないようなケースでは相続放棄を検討するのも一つでしょう。

相続放棄の手続きをとると、上記のように相続人としての地位を失うことになりますが、実際に相続放棄をするときに注意する点もあります。

相続放棄をするときに注意する点

  • 既に相続財産に手を付けているとき

相続放棄をするということは、相続財産の全てを放棄するということです。既に相続財産を消費していたりすると、相続放棄はできなくなり、相続を承認したことになります。

  • 相続放棄をすると次順位の相続人に迷惑がかかることがある

相続人全員の話し合いにより、相続人全員が相続放棄をしてしまった場合など誰にも借金の請求はいかなくなると思われるかもしれません。しかしながら、相続人には法律で定められた順位があり、先順位の相続人が相続放棄をすることにより、次順位の相続人の請求が移ってしまいます。

例えば、相続人が配偶者と子の場合を考えてみます。

このケースで、子が相続放棄をすると配偶者のみが相続人となるように見えますが、亡くなられた方の親や兄弟姉妹が子に代わり、相続人となります。もちろん、その場合でも相続人となった親や兄弟姉妹も相続放棄の手続きをとることはできますが、本来相続関係のなかった親族にも事前に連絡をしておく必要なども出てきて、手間や費用の負担が増えることもでてきます。

相続放棄をすることで優先順位の高い相続人がいなくなった場合、子から親、親から兄弟姉妹、というように相続人の立場が変わっていくこととなります。

  • 撤回ができない

相続放棄を一度すると撤回することはできません。借金があるからといって、相続放棄をしてしまっても、その後調査をするとそれ以上の資産が出てきた、ということも考えられます。

相続放棄の手続きをする際に資産・負債関係が分からない場合でも相続財産の調査はしておいてから、最終判断されるのが良いでしょう。

  • 相続財産の管理責任を問われることもある

相続放棄をしたから後は全て関係なくなる、と思われるでしょうが、法律では以下の通り規定されていますので、注意が必要です。

民法第940条第1項「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」

相続放棄が終わったからといって、勝手に処分することは許されていません。また、被相続人が不動産(空き家)を所有していた場合などで、その不動産が倒壊や家事があって近隣の方に迷惑がかけてしまったときなどは、管理責任を問われる可能性もあります。

あくまで、上記の規定は相続人ではなく、財産管理人の立場としての責任となりますので、相続放棄をしても相続財産管理人が定められていないようなケースでは、責任から逃れることはできません。

相続放棄の手続きは以上のような注意点も考慮しながら、検討していくことも必要です。

相続放棄をするかどうか悩んでいたり、お困りのことがあれば当事務所へご相談ください。

初回相談・費用見積は無料です。

不動産の売却を視野に入れた家族信託設計について

2021-03-25

不動産を家族信託すると

不動産(自宅や収益アパート等)を家族信託契約において信託財産に組み入れることはもちろん出来ます。不動産を家族信託すると、信託不動産の名義は委託者(元の所有者)から受託者に変更されることになりますので、もし信託財産である不動産を売却するには受託者が売主となって手続きを進めていくことになります。

では、どういうケースで信託された不動産を売却することができるでしょうか。

信託不動産を売却するには

受託者名義に不動産の名義が変更されたからといって、受託者が売却を自由に行うことはできません。受託者が売却できるかの権限は信託契約の内容で決まります。具体的には、信託契約の中で受託者に不動産の管理・運用・処分などの権限を与えておくことが必要です。よって、受託者に不動産の処分権限が与えられていないときには、受託者の名義になっていても受託者は不動産を売却することができない、ということです。

そして、信託不動産を売却すると、信託財産は不動産から金銭(売却代金)に変換されることになります。

不動産の売却を視野に入れた家族信託設計

不動産の売却を視野に入れた家族信託で最も皆さんがご依頼される理由が、「親が認知症や判断能力が低下した後の不動産の処分に困るため」というものです。

今は親が元気でも将来的に高齢になり、判断能力が衰えてきてしまったときには、親が所有している不動産を売却することで病院・介護施設や有料老人ホームへの入所費・介護費用・医療費などの支払いに充てたいと考えることはあると思います。

このような場合には、不動産の所有者である親を委託者兼受益者、子を受託者とする信託契約を締結し、契約条項の中に受託者に不動産の処分の権限を与えておくことで、親が仮に認知症や判断能力が低下しても、受託者の権限で不動産を売却することが可能です。そして、不動産を売却すると売却代金が入りますが、その代金は金銭の信託財産として、親の施設費・医療費などとして利用することができます。

家族信託契約をしておかなくても、売却することは可能ですが、その場合には家庭裁判所への申立により成年後見人を就けた上で、更に自宅不動産の売却の場合には家庭裁判所の許可も必要となってきます。

せっかく買い手がいても時間や費用も相応にかかってしまい、売却自体も難しくなってしまうかもしれません。

不動産の売却を視野に入れた家族信託をご検討される際には、お気軽にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料です。

 

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