Author Archive

遺言を書きたいが、どこから始めればよいか

2020-07-03

遺言とは

遺言は、遺言書を残されるご自身の意思を残すための制度です。自分が死んだあとも家族が揉めることなく暮らしてほしい、世話になった人に金銭を渡したいなど、ご本人の意思をを叶えるためには遺言が必要です。あくまでご家族様の思い通りの相続を実現するための制度ではありません。ただし、遺言は万能なものではなく、効力があるのは※法律で効力が認められている場合に限ります。

※法律効果が発生する主な遺言の内容

  • 法定相続分とは違う割合にする
  • 個々の遺産について相続させる人の指定をする
  • 特別受益者の持戻しの免除
  • 一定期間、遺産分割を禁止する
  • 推定相続人の廃除または廃除の取消
  • 遺言執行者の指定
  • 相続人以外への寄付、贈与
  • 遺留分減殺の指定
  • 婚姻外の子の認知
  • 未成年後見人の指定 など

勿論、遺言を残すのも残さないのも自由です。遺言がない場合には、法定相続によって相続することとなります。特に相続人同士の仲もよく、揉めることもないだろうから法定相続分とおりでよいと考え、遺言を残さないこともあるでしょう。しかし、法定相続で決まっているのは、相続分の割合までです。個々の遺産についてどの遺産を誰が相続するのかまでは決まっていませんので、この場合は相続人全員による遺産分割協議で決めることになります。従ってそこで争いが起こることも十分あり得るということです。

遺言にはどんなことを書けばよいのか

遺言で書く内容は効力のあるものでなければなりません。例えば、妻、子供2人が相続人としており、長男が体が弱く将来が心配なので「長男にできるだけ多くの遺産の残す」といった遺言では効力がありません。ご自身の意思を残すためにも、具体的に「長男に〇〇銀行〇〇支店の定期預金〇〇円を相続させる」といった内容が必要です。ただし、相続には遺留分というものがあります。遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人であって、最低限相続できる割合のことです。相続人が妻、子供2人の場合、子1人の遺留分は8分の1となります。後の争いを避けるために、遺留分にも気をつけた遺言であることが望ましいでしょう。

遺言の種類について

遺言の種類は大きく分けて以下の3つの種類があります。

●自筆証書遺言
作成が最も簡単で多く利用されているものです。
『遺言者』が、①その全文 ②日付 ③氏名を『自書』し、『押印』して作成する方式の遺言です。財産目録については、法改正によりパソコン作成、通帳移りの添付なども可能になりました。
紙と筆記用具さえあれば作成可能ですから、費用もかからず直ぐに作成できます。また、証人も不要ですので、遺言の内容を他人に知られることなく作成することができます。
しかし、反面、専門家の関与なしに作成されるため要式を欠いているかのチェックができず、残念ながら無効な遺言書となっている場合もあります。
また、法務局による「遺言書保管制度」も始まりましたが、基本的には自身で保管するため、紛失や、相続人に中々発見されず遺言が生かされないケースも多くありません。
また、開封時には家庭裁判所での検認手続きが必要になりますので注意が必要です。

●公正証書遺言

公証人に依頼して作成してもらう遺言です。証人2人以上の立会が必要で、『遺言者』が遺言の趣旨を口述し、公証人がその内容を筆記してこれを遺言者および証人に読み聞かせます。

事前打ち合わせによって作成するために、内容の整った不備のない遺言を作成することができ、かつ公証役場で保管してもらうので遺言書の紛失や未発見という恐れがない等のメリットがあります。また、家庭裁判所の検認も必要ないために、後日の紛争防止には、一番適した遺言方式だといえます。

ただし、公正役場から遺言書があることの通知はしてくれませんので、相続人となる人には伝えておく方がよいでしょう。相続人が公正証書遺言があるかないかの確認は公正証書遺言検索システムでも可能です。デメリットは、公証役場が関与しますので、その分費用が多くかかってしまう点や、証人が必要となるため、遺言の内容を人に知られてしまうということがあります。

●秘密証書遺言

『遺言者』がご自身で適当な用紙で遺言書を作成し(パソコン作成、代筆可)、自署・押印したうえで封印し、公証役場にて証人の立会いの下で公証役場での保管を依頼する方式の遺言です。
全文を直筆する必要はなく、パソコンや代筆での作成も可能ですので自筆証書遺言と比べて字が書けない方でも利用が可能です。
また、封印してから持ち込みますので、遺言の内容を誰にも知らせずに済む、保管も公証役場でされますので紛失、未発見の恐れがない等のメリットがあります。
反面、自筆証書遺言と同様、遺言書作成自体に専門家の関与がないため無効な遺言となってしまう危険性があります。また、費用がかかってしまうというデメリットもあります。
また、開封時には、家庭裁判所での検認手続きも必要になってきます。

遺言執行手続きについて

遺言の執行とは、遺言の内容のとおりの相続をさせるための手続きです。自筆証書遺言および秘密証書遺言の場合は、遺言執行をする前の手続きとして遺言書の検認の手続きが必要です。これは、「遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡後遅滞なく、その遺言書を家庭裁判所に提出して検認を受けなければならない」という制度で、家庭裁判所が遺言書の形式などを調査・確認して、偽造・変造を防止し、その後の保存を確実にするためのものです。遺言内容の真否や遺言書の有効・無効を判定するものではありません。この検認手続きは、公正証書遺言では不要です。検認手続きが終わると、遺言の内容を実現するために、金融機関、証券会社などの具体的な手続きが必要となりますし、相続人の廃除では家庭裁判所の申請、認知では役所への届出も必要です。

遺言の内容を確実に実行してもらうために、遺言執行者をつけておくこともできます。遺言執行者は、遺言者の意思を実現するために職務を遂行する者で、遺言で指定することができます。遺言執行者は相続人でもなれることができますので、信頼できる相続人を指定しておくこともできますし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。この場合には、報酬が発生しますので、事前に確認しておいた方がよいでしょう。

当事務所では、無効な遺言書を防ぐため、要式チェックのサポートをしております。秘密厳守は厳守いたします。遺産配分についての法的アドバイスも含めての相談ができますので、ぜひご活用ください。

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置し、お仕事帰りや日中お時間が空いた時にでも立ち寄りやすい場所にあります。

尼崎で遺言作成を検討されている方は当事務所へご相談ください。

 

任意後見制度って?任意後見制度をご検討の方へ

2020-07-01

任意後見制度とは

法定後見制度が、判断能力が低下した時に利用する制度であるのに対し、任意後見制度は、判断能力が十分にあるときに信頼できる人と任意後見契約を結んでおいて、将来判断能力が低下した時にその契約をした人に後見をしてもらう制度です。
任意後見制度は、将来判断能力が十分にある時に、不十分となった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活や療養看護、財産管理などに関する事務について代理権を与えておく契約(任意後見契約)を結んでおくものです。
簡単に言うと、自分の信頼できる人・団体に自信の判断能力が低下したら、その後の財産管理などについて「お願いできる仕組み」を自ら作っておく制度になります。

任意後見制度を利用する際には必ず公証人役場で公正証書を作成する必要があります。公正証書を作成する費用は以下のとおりです。
①公正証書作成の基本手数料・・・1万1,000円
②登記嘱託手数料・・・1400円
③登記所に納付する印紙代・・・2600円
この他にも当事者に交付する正本等の証書代や登記嘱託書郵送代がかかります。

任意後見契約の類型

任意後見契約には、現在のお考え、お身体の状態に応じてさまざまなタイプ(将来型・移行型・段階型)の契約方法があります。
今のご自身にあった契約内容を選ぶことで安心して後見契約を締結することができます。

●将来型とは?
財産管理までお願いするのは不安なのでとりあえずは「見守り契約」からはじめて信頼関係を築きたいと、いう方に適しています。

「将来型」の場合、任意後見契約締結から任意後見の開始まで相当な期間が経過することから、任意後見を開始せずに本人が亡くなられることもあり得ます。
また、任意後見受任者が、本人の判断能力の低下に気がつかなかったりすることもあります。そのため別途、「見守り契約」(本人の健康状態等を把握するために定期的に電話や訪問するなどして見守るという契約)を結び、任意後見の発効まで継続的に支援する仕組みを作ることをおすすめします。

●移行型とは?
現在、判断能力はあるが、身体の具合がよくないなどの理由から、金融機関などの手続きを任せたい、という方に適しています。

任意後見契約で恐らく最も多く使われている類型です。
任意後見契約締結と同時に「財産管理契約」(財産管理・身上監護に関する委任契約)を締結します。
本人の判断能力がある当初は委任契約による支援を行い、本人の判断能力が低下後は任意後見契約による支援を行うため、支援の空白期間がないというメリットがあります。

●段階型とは?

はじめに段階的に信頼関係を築きつつ、身体が不自由になった場合に、金融機関の手続きなどで慌てないようにしておきたい、などの手厚いサポートを望む方に適しています。

任意後見契約締結と同時に「見守り契約」の他「財産管理契約」や「死後事務委任契約」などを締結します。

いずれの契約類型においても、※死後事務委任契約を結んだり、遺言書作成をすることで葬儀から埋葬、相続までよりご自身のお気持ちを反映することができます。

  • 死後事務委任契約~
    本人に相続人がいない場合や、相続人がいても妻が認知症であったり、お子様が知的障害を持たれている場合などは、本人の死後の事務ができないこともあります。
    後見人は本人が死亡すると、後見事務は終了してしまいますので、本人の死後事務をあらかじめ委任しておく必要性があるケースもあります。
    そのような場合に、死後事務委任契約をしておくことで不安を解消できます。

任意後見制度のメリット・デメリット

メリット:
本人の意思で適切と考える任意後見人を選任できる
●任意後見制度は本人の意思を尊重する制度であり、事前に本人に関する情報を把握することができる
●資格のはく奪や権利の制限がない
●任意後見契約だけでなく、他の死後事務委任契約などの制度も選択ですることで、自身が亡くなった後の不安も解消できる

デメリット:
●契約などの取り消し権は持たないので、本人に不利益な契約であっても取り消すことができない
●任意後見監督人の監督下にあり、財産の柔軟な利用・処分ができない任意後見制度の場合は、家庭裁判所の選任により、任意後見監督人がつけられます。任意後見監督人が定期的に任意後見人の職務を監督しますので、任意後見契約で定めた権限が全て履行できるとは限りません。
●報酬が必要となる
●任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定します。

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しています。尼崎市内の方に関わらず、任意後見制度について、ご関心がある方、ご検討されている方がおられましたら、当事務所にご相談ください。

初回相談・見積は無料です。

 

株式の譲渡制限に関する規定とは?

2020-06-30

株式の譲渡制限に関する規定

ご自身で会社を経営されている方は、会社の登記簿謄本をご覧になったことがあるでしょう。中小企業や同族会社などの殆どでは、登記簿謄本の中で「株式の譲渡制限に関する規定」という欄に登記がされているかと思います。では、株式の譲渡制限に関する規定とは具体的にどういうものを指すのでしょうか。

株主が誰であるかは会社の経営について重大な事項であり、知らない間に株主が変わってしまっては安定した会社の運営の妨げになってしまうかもしれません。そこで株式会社は、その発行する全部又は一部の株式の内容として、「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する」旨を定款で定めることができることとされています。この定めは登記事項とされていますので、定款で定めることにより、前述の通り会社の登記簿謄本に記録されることとなります。この定めがされた株式を「譲渡制限株式」と呼びます。

株式会社がその発行する一部の株式の内容として、譲渡制限に関する規定を設定する場合には、以下の事項を定款で定めなければなりません。

①当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨

譲渡による取得を承認する機関については、原則として株主総会になりますが、定款に定めることにより「取締役会」や「代表取締役」とすることも可能です。

②一定の場合においては株式会社が当該株式の譲渡による取得について承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合

上記②の具体的な記載内容としては、「当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得するときは、当会社が承認をしたものとみなす。」というようなものになります。

株式の譲渡制限がされている会社は

全ての株式について譲渡制限が設けられている会社を非公開会社といいます。逆に1株でも譲渡制限が設けられていない株式が存在すれば、その会社は公開会社といいます。
非公開会社か公開会社かは、株式会社の機関設計においても大きな差があり、非公開会社と公開会社では次のような違いが生まれます。

非公開会社と公開会社の違い

大きな違いとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 取締役会の設置義務

公開会社では、取締役会の設置義務があります。

  • 取締役の任期

非公開会社では、定款の定めにより10年まで伸長することができますが、公開会社では2年となります。

  • 発行可能株式総数の規制

非公開会社では、特段制限はありませんが、公開会社では発行済株式総数の4倍を超えて発行可能株式総数を定めることはできません。

株式の譲渡制限に関する規定を変更するには

非公開会社では、株式に譲渡制限をしておくことで、第三者が株主になるリスクがなくなり、会社運営をコントロールすることができます。しかしながら、会社の規模を大きくしていったり、株式上場をすることになった場合などは、非公開会社では募集株式などによる資金調達をすることが難しく、公開会社にしなければならないケースも出てきます。

その際には「株式の譲渡制限に関する規定」を廃止することで、公開会社に移行することができます。

ただし、株式の譲渡制限に関する規定の変更するには、株主総会の特別決議が必要です。

また、公開会社になる際には既存の役員の任期は一旦満了となるために、新たに重任、就任、退任などの手続きも必要となりますので、ご注意ください。

 

当事務所では定款のチェックも行っておりますので、古くからある歴史ある会社だが、今の会社の事業形態に合わせた内容で機関設計を変更したい、などのご相談もお受けいたします。

初回相談・見積り作成は無料ですので、気軽にご相談ください。

 

 

個人間(親族間)での不動産売買を検討されている方へ

2020-06-29

個人間・親族間での不動産売買を検討されている方へ

通常、不動産取引を行う際には、売主または買主が条件・希望に合致する物件を不動産仲介会社に依頼して探すケースが多いと思います。そして、条件・希望に合致する物件が見つかったら、契約書の作成及びローン手続き、不動産の引渡手続き、登記手続まで仲介会社が準備、斡旋、手配してくれます。

仲介会社を入れることでスムーズに手続きは進みますが、所定の仲介手数料を支払わなくてはなりません。

(参考:売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は【(売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税】となります。)

それでは、既に売主と買主が決まっている場合にまで仲介会社を入れないと売買の手続きはできないでしょうか。

勿論、仲介会社を入れなくても売買の手続きは可能です。ただし、個人間だけで手続きを進めていくと、契約内容や登記手続きなど専門的な知識が必要な部分もあり、リスクも存在します。売主、買主が身近な関係性で、多少のトラブルがあっても自身たちだけで解決できる、というのであればいいのですが、不動産の取引というのは、一般的に買主にとっては高額な買い物となります。仲がいいからといって、契約内容、引渡手続きを曖昧にすることで、お互いの関係性が悪化し、場合によっては訴訟にまで発展することもありえます。

お互いが納得して、不動産取引を円滑に進めていく意味でも、個人間・親族間売買を検討している方がおられれば、当事務所にご相談ください。

当事務所には司法書士・行政書士がいますので、売買契約書の作成から引渡手続きのアドバイス、不動産の名義変更のための登記申請手続きまで一括で支援することができます。

仲介会社を介さないことで、仲介手数料の削減にもなりますし、当事務所が一括で行うことにより、登記手続きの費用なども安価に抑えることも可能です。

また、親族間売買などで起こりうる、税金の問題もお困りごとがあれば、パートナー税理士と一緒に進めていきます。親族間売買のときは場合によっては、売買ではなく他の方法(生前贈与)がメリットが出るときもありますので、その際にはお客様によって最善の方法を提案しながら、解決していきます。

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい立地にあります。尼崎市内の方に関わらず、個人間・親族間売買を検討されている方は是非ご相談ください。お互いの意思に合致するように、売主様と買主様の契約手続きから、登記完了手続きまで支援させていただきます。

初回相談・見積り作成は無料です。

 

 

 

 

 

 

順位変更登記について

2020-06-29

順位変更の意味とは

不動産登記の順位変更とは、同一不動産上の数個の抵当権、根抵当権、不動産質権、不動産先取特権などの順位を各担保権者の合意により、利害関係人がいるときはその承諾を得て、絶対的に変更することをいいます。順位変更登記をすることで、順位変更される担保権者間および利害関係人の間では、はじめから変更後の順位で設定されたとの同様の効果が生じます。

順位変更の合意について

順位変更は、関係する担保権者全員の合意が必要です。順位変更の合意の当事者は、順位変更の対象となる権利があることが必要であり、優先弁済権の影響の生ずる担保権の権利者全員をいいます。例えば、ある不動産について、順位1番A、順位2番B、順位3番Cの抵当権が設定されている場合、順位1番Aの抵当権を2番とし、順位2番のBの抵当権を1番とする順位変更をするときは、順位3番のCの抵当権は優先弁済の順位に変更は生じないので、当事者はAとBだけになります。         

これに対して、順位1番のAの抵当権を3番とし、順位3番のCの抵当権を1番とする順位変更をするときは、Bの順位は2番のままで変わりはないものの、今まではCに優先していたものが、Aに優先するものとなり、Bの抵当権の優先弁済権の順位に実質的な変更が生じることになりますので、当事者はA、B、Cとなります。この場合、Aの債権額がCの債権額より上回っていたときでも当事者に変更はありません。

順位変更における利害関係人とは

原則、順位変更につき利害関係人が存在する場合には、その者の承諾が必要です。具体的には、順位を変更しようとする担保権の転抵当権者、順位譲渡または放棄を受けているもの、被担保債権の差押債権者や質権者も該当します。ただし、地上権者、地役権者、不動産の差押債権者、所有権移転仮登記権利者などについては、担保権者相互間の優先弁済を受ける順位を変更しても影響を受けることはないので、利害関係人にはなりません。

利害関係人はあくまで不利益を担保権者間の順位変更により、不利益を生ずるものとなりますので、順位変更に順位が上昇する抵当権者の転抵当権者なども利害関係人とはなりません。

順位変更登記について

順位変更は、登記をしなければ、その効力を生じません。また、利害関係人がいるときはその承諾が必要となりますので、登記原因日付は、順位変更の合意がされた日と順位変更に対する利害関係人の承諾がされた日のいずかれ遅い日となります。登記申請にあたっては、利害関係人がいるときは、その承諾書とともに当事者である各担保権者の登記識別情報(登記済証)も必要となります。登録免許税は変更する担保権1件につき、1,000円となりますので、順位変更をする当事者が3名いる場合は、3,000円となります。

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。

初回相談・見積り作成は無料です。

根抵当権極度額変更登記について

2020-06-25

極度額の変更

現在金融機関と根抵当権を設定して借入をしているが、事業拡大に伴い借入金の枠を増やすために、極度額の増額変更を行うときがあります。また、逆に借入金も減ってきたので、極度額を減少するというケースもありえるでしょう。いずれにしても、担保設定した根抵当権の極度額については、増額、減額変更ともに元本確定の前後を問わず行うことができます。なお、共同根抵当権についての極度額の変更は、すべての不動産について登記をしなければ、効力を生じません。

極度額変更登記における利害関係人について

極度額の変更登記をする場合に、利害関係を有する者があるときは、その者の承諾が必要で、当該利害関係人の承諾がなければ変更の効力は生じません。よって、登記申請をする際に利害関係人がいあるときは、利害関係人の承諾を証する情報が必要となります。

では、具体的に利害関係人とはどういう者を指すのでしょうか。

  • 増額変更の場合

①同順位または後順位の抵当権者、根抵当権者その他担保権者

②①の者が有する権利を目的として権利を有する者

例)抵当権を目的とした転抵当権者など

③後順位の差押債権者

④後順位の処分禁止の仮処分債権者

⑤後順位の所有権の移転または移転請求権等の仮登記名義人  など

  • 減額変更の場合

①被担保債権の移転による当該根抵当権の移転の仮登記を受けた者

②当該根抵当権の全部又は一部の譲渡による当該根抵当権の移転又は移転請求権の仮登記を受けた者

③民法376条の規定による処分の受益者   など

例)当該根抵当権の順位の譲渡・放棄を受けた受益者など

登記申請の当事者について

  • 増額変更の場合

極度額増額は一般的に根抵当権者に有利になるため、登記義務者が設定者(所有者)、登記権利者が根抵当権者とします。

よって、登記申請の際には設定者の印鑑証明書、登記識別情報(登記済証)が必要となります。

  • 減額変更の場合

増額登記とは逆に、登記義務者が根抵当権者、登記権利者が設定者(所有者)となります。よって、登記申請の際には根抵当権者の登記識別情報(登記済証)が必要となります。

登録免許税について

  • 増額変更の場合

「極度額の増加分」を課税価格として、それに「1000分の4」を乗じた額となります。

例)極度額が1,000万円増加した際には、登録免許税は4万円となります。

  • 減額変更の場合

不動産1筆につき、1,000円となります。

 

 

 

 

家族信託による信託登記申請について

2020-06-23

信託とは

信託とは、①信託契約による方法②遺言による方法③公正証書等によってする意思表示による方法(自己信託)のいずれかにより、委託者が、受託者に対して、財産の譲渡、担保権の設定、そのほかの財産の処分をするなどの方法によって、受託者が一定の目的(例「信託財産を運用し、利益を上げ、受益者にその利益を渡す」)など)に従い、財産の管理・処分・その他の目的の達成のために必要な行為をするものをいいます。

具体的な信託登記の申請手続きについて

①登記の目的

当該信託による権利の移転等の登記申請と、同時に一の申請情報によりしなければなりません。そのため、登記の目的としては、「所有権移転及び信託」のように記載します。

②登記原因及びその日付

信託契約による信託の場合の登記原因は「信託」であり、その日付は原則信託契約の成立した日となります。

③申請人

信託による「所有権移転の登記」は、共同申請となり、受託者が登記権利者、委託者が登記義務者となります。これに対し、「信託の登記」は、受託者が単独申請することができます。

登記後に委託者又は受託者が亡くなったら

信託登記の登記事項に変更があったときは、原則、受託者が信託の変更登記を申請しなければなりません。

  • 委託者が死亡したら・・・委託者が死亡すると信託目録の変更登記を申請することになります。この場合、登記記録上は従前の所有者の変更をする必要はありません。
  • 受託者が死亡したら・・・単独の受託者の任務が終了し、新たな受託者が就任したときは、信託に関する権利義務は新受託者に承継されますので、受託者変更による所有権移転の登記申請をすることができます。仮に、受託者が2名以上いある場合は、その一人の任務が終了したときは、信託に関する権利義務は他の受託者が当然に承継し、その任務は他の受託者が行います。そのため、所有権移転ではなく、「所有権変更」の形式で登記名義人の変更登記を申請します。受託者が2名以上いるときは、信託財産は合有とされ共同受託者の持分は登記されないので、任務終了受託者から残存受託者へは持分移転登記をすることはできないので、ご注意ください。

信託財産を処分したら

受託者が信託財産である不動産を第三者に処分した場合または信託が終了した場合には、その不動産は信託財産ではなくなるため、信託登記の抹消をしなければなりません。この信託登記の抹消は、当該権利の移転の登記、変更の登記又は当該権利の抹消の申請を同時にしなければなりません。

登録申請に必要な書類について

はじめて、信託登記を申請する場合には以下のような書類が必要となります。

  • 登記済証(登記識別情報)・・・委託者のもの
  • 印鑑証明書・・・委託者のもの
  • 住所証明情報・・・受託者のもの
  • 信託目録に記録すべき情報・・・信託の登記をするときには、信託の登記の登記事項を明らかにするため、当該登記記録事項を記録した信託目録を作成しなければなりませんので、「信託目録に記録すべき情報」を添付します。

登記申請にあたっては、当該不動産の管轄法務局に申請することとなります。

不動産が、尼崎(塚口)にある場合の管轄法務局はこちら

http://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/table/shikyokutou/all/amagasaki.html

当事務所は、信託契約の作成から登記申請まで行っております。

 

当事務所は阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しています。日中お時間が空いたときやお仕事帰りにでも、立ち寄りやすい場所にありますので、家族信託でご検討中の方、また契約中でも変更事項があってお困りの方などはお気軽にご相談ください。

初回相談・見積りは無料です。

 

会社の目的と登記について

2020-06-22

会社の目的とは?

株式会社に限らず、合同会社、一般社団法人などを設立するときは、定款で目的を定めなければなりません。会社の目的は定款の絶対的記載事項となりますので、定款作成時には必ず決めておかなければなりませんし、会社の登記簿謄本にも記録されます。
では、会社の目的を決める際に注意する点はあるでしょうか。

会社の目的を決める際に注意する点

  • 具体性

会社の目的をどの程度具体的に定めるかは、会社が自ら判断すべき事項であり、登記官による審査の対象とはなりません。

よって、個別具体的な事業を記載した上で、最後に「その他一切の事業」とすることも可能です。

  • 明確性

会社の目的の明確性といっても、法令に用いられている語句は、一般に明確性があるものと考えられています。

目的の記載中に特殊な専門用語、外来語、新しい業種を示す語句などを使用しようとするときは、通常の国語辞典や広辞苑などに当該語句の説明があるかなどを参考にして判断されることになります。

  • 適法性

法や公序良俗に反する事業を目的とすることはできません。よって勿論「賭博場の運営」などは会社の目的として使用できません。

その他、弁護士、司法書士などの資格者に限り行うことができる事業については、資格者以外の者が目的とすることはできません。

その他問題となる点としては、事業内容によって国、自治体などの許可・認可が必要なケースがあります。そのような事業を今後展開していくことを考えているのであれば、設立当社から会社の目的に入れておくことも可能です。設立後に目的変更することも可能ですが、その際には別途登録免許税(3万円)などがかかりますので、ご注意ください。

  • 営利性

株式会社は、株主に利益配当請求権または残余財産分配請求権が認められていることから、利益については株主(構成員)に分配するものとされています。よって利益を取得する可能性のない公益性の強い事業は、会社の目的として適格性を欠くものとされています。ただし、当該事業によって利益が得る可能性があれば、公益性の認められる事業であっても、法律で禁止されていない限りは会社の目的として使用できます。

  • その他

●100%子会社を設立する際には、親会社と子会社の事業目的が同一である必要はありませんが、子会社を保有することが親会社の目的の範囲内にあることが必要です。

●会社が他の株式会社の発起人となる際には、発起人となる発起行為が明らかに会社の目的の範囲外のものと認められない限りは、登記申請は受理されます。

●会社の目的の数としては、特に決められていませんが、余りに多い数であったりするとどの事業に重きを置いているのか、また本当は何をやりたい会社なのかが見えづらくなり、銀行で融資を受ける際などには、イメージを損なう恐れもあります。

 

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などに立ち寄りやすい場所にあります。会社を設立するとき、また新事業を始めたので会社の目的を変更(追加)したいときには気軽にご相談ください。

 

家族信託を検討している方へ

2020-06-19

家族信託を検討している方へ

家族信託は信託契約によって柔軟に対応ができるために良い制度でありますが、場合によっては遺言、成年後見人制度で代用することもできたり、またそれらと併用することで効果を発揮することもあります。

それでは実際にどのような人が家族信託を検討しているのかをまとめました。

①不動産を含む財産を保有しているが、今後認知症や高齢による判断能力の低下の恐れがある方
遺言では被相続人が亡くなってからしか財産を執行することができません。また、成年後見制度は本人の判断能力が低下してから利用できる制度になりますが、家族信託の最大の特徴は、委託者(本人)が元気なうちから信託を始めることができる事です。家族信託であれば、ご本人の意思(契約)により、子や信頼できる親族などに財産管理を譲ることができます。

②財産の中で不動産が占める割合が多い方

相続により、不動産の名義人が親族間で共有状態になってしまうと、売却するにも全員の同意が必要となり、手続きが膠着することもあります。家族信託では信託契約に定めることで受託者の権限により、売却も可能ですので手続きもスムーズに行うこともできます。

③直系の子供に代々財産の承継をさせたい方
遺言では、自身の次の代までしか財産の承継先を指定することはできませんが、家族信託ではそれ以降の指定も可能です。亡くなったあとの受益者を次々に指定しておく事で自身の直系の子供に代々財産を承継させることも可能です。

④自身が亡くなったあとに遺された子の生活が心配な方
自身の子が障害者であったり、配偶者も高齢の場合、自身の亡くなった後の財産管理が心配なケースも考えられます。信頼のおける親族を受託者とし、配偶者や子を受益者とする事で、財産管理をしながら、受益者の生活を見守っていく事ができます。

⑤子への事業承継をしたいが、まだ自身も経営に関与したい方

現在業績は良くないが、今後業績回復が見込める状況なので、今のうちに子へ信託により自社株を譲り渡しておきながら、自身も経営に関与していきたい場合には信託契約を設定することで、株式を子への資産としながら、従来通り自身の管理下に置くこともできます。実質的な経営権はそのまま残し、株式を後継者である子に贈与しておくことになります。税務上、受益者である子に株式が贈与されたものとみなされ、贈与税の課税対象となりますが、業績が良くないタイミングで生前贈与することで相続税対策を図りつつ円滑な事業承継を行うことができます。
最終的には自身の死亡により信託は終了するように定めておくことで、死亡の際に確定的に子が株式を取得し、子が経営権を掌握できるようになります。

上記以外にも家族信託が適しているケースは色々考えられるでしょう。

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい場所にあります。家族信託に関心があったり、検討されている方がおられれば、当事務所へご相談ください。初回相談・見積りは無料です。

 

外国会社の登記手続きについて

2020-06-18

外国会社とは

外国会社の定義は、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものとされています。

要件については、日本において取引を継続して行うときは、「日本における代表者」を定め、日本に営業所を設けていない場合には「日本における代表者」の住所地において、日本に営業所を設けた場合にはその営業所の所在地において「外国会社の登記」をしなければなりません。

日本における代表者は、日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の権限をする権限がありますが、日本人である必要はなく、外国人でも差支えはありません。ただし、代表者の少なくとも1人以上は日本に住所を有していなければなりません。

外国会社の登記事項などについて

外国会社が、初めて日本における代表者を定めたときは、3週間以内に定める※管轄法務局に、外国会社の登記をしなければなりません。

※管轄法務局「営業所非設置外国会社」・・・日本における代表者の住所地の管轄法務局

      「営業所設置外国会社」・・・日本における営業所の所在地の管轄法務局

日本における代表者の住所地が尼崎(塚口)の場合の管轄法務局はこちら

http://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/table/shikyokutou/all/honkyoku.html

  • 主な登記事項

①外国会社の設立の準拠法

②日本における代表者の氏名・住所

③日本における同種の会社又は最も類似する会社が株式会社であるときは準拠法の規定による公告の方法

④公告方法(定めがないときは、官報に掲載する方法となります) など

外国会社の登記申請手続きについて

日本における代表者も決まり、必要な書類が揃ったら、実際に登記申請手続きに移ります。

「営業所非設置外国会社」でも「営業所設置外国会社」でも登録免許税及び管轄法務局の他に登記申請の大きな違いはありません。

※登録免許税は「営業所非設定外国会社」が1件につき6万円、「営業所設置外国会社」が1件につき9万円です。

一般の日本の株式会社の手続きと最も異なる点は、登記申請書に日本における代表者選任に関する通知書の到達した年月日を記載しなければなりません。

(参考)外国会社の日本における代表者選任登記申請書の例

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252980.pdf

登記申請にあたっての添付書類については、

①本店の存在を認めるに足りる書面

 本店が、申請書に記載された所在場所に存在することを証するために添付します。定款や、本国の官庁の証明書などがこれにあたります。

②日本における代表者の資格を証する書面

 日本における代表者が適法に選任されたことを証するために添付します。当該会社の契約書や、日本における代表者の宣誓書に領事又は代表団の認証した書面がこれにあたります。

③外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面

 外国会社の性質・種類を識別するために添付します。具体的には、定款が該当しますが、定款だけでは識別することができないときは、当該会社の業務方法書なども添付しなければなりません。

④添付書類の認証の要否

 委任状,訳文及び外国会社の本国の管轄官庁の証明書を除く上記定款,任命書又は契約書等の書類は,外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けたもの でなければなりません(日本における代表者が上記の事項を宣誓した宣誓供述書に本国の領事等が 認証したものとその訳文を添付することでも差し支えありません。)。

 

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい場所にあります。

外国会社の設立を検討されている方は、当事務所へ一度ご相談ください。

 

 

 

 

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

0664239083電話番号リンク 問い合わせバナー