Archive for the ‘不動産’ Category
根抵当権極度額変更登記について
極度額の変更
現在金融機関と根抵当権を設定して借入をしているが、事業拡大に伴い借入金の枠を増やすために、極度額の増額変更を行うときがあります。また、逆に借入金も減ってきたので、極度額を減少するというケースもありえるでしょう。いずれにしても、担保設定した根抵当権の極度額については、増額、減額変更ともに元本確定の前後を問わず行うことができます。なお、共同根抵当権についての極度額の変更は、すべての不動産について登記をしなければ、効力を生じません。
極度額変更登記における利害関係人について
極度額の変更登記をする場合に、利害関係を有する者があるときは、その者の承諾が必要で、当該利害関係人の承諾がなければ変更の効力は生じません。よって、登記申請をする際に利害関係人がいあるときは、利害関係人の承諾を証する情報が必要となります。
では、具体的に利害関係人とはどういう者を指すのでしょうか。
- 増額変更の場合
①同順位または後順位の抵当権者、根抵当権者その他担保権者
②①の者が有する権利を目的として権利を有する者
例)抵当権を目的とした転抵当権者など
③後順位の差押債権者
④後順位の処分禁止の仮処分債権者
⑤後順位の所有権の移転または移転請求権等の仮登記名義人 など
- 減額変更の場合
①被担保債権の移転による当該根抵当権の移転の仮登記を受けた者
②当該根抵当権の全部又は一部の譲渡による当該根抵当権の移転又は移転請求権の仮登記を受けた者
③民法376条の規定による処分の受益者 など
例)当該根抵当権の順位の譲渡・放棄を受けた受益者など
登記申請の当事者について
- 増額変更の場合
極度額増額は一般的に根抵当権者に有利になるため、登記義務者が設定者(所有者)、登記権利者が根抵当権者とします。
よって、登記申請の際には設定者の印鑑証明書、登記識別情報(登記済証)が必要となります。
- 減額変更の場合
増額登記とは逆に、登記義務者が根抵当権者、登記権利者が設定者(所有者)となります。よって、登記申請の際には根抵当権者の登記識別情報(登記済証)が必要となります。
登録免許税について
- 増額変更の場合
「極度額の増加分」を課税価格として、それに「1000分の4」を乗じた額となります。
例)極度額が1,000万円増加した際には、登録免許税は4万円となります。
- 減額変更の場合
不動産1筆につき、1,000円となります。
家族信託による信託登記申請について
信託とは
信託とは、①信託契約による方法②遺言による方法③公正証書等によってする意思表示による方法(自己信託)のいずれかにより、委託者が、受託者に対して、財産の譲渡、担保権の設定、そのほかの財産の処分をするなどの方法によって、受託者が一定の目的(例「信託財産を運用し、利益を上げ、受益者にその利益を渡す」)など)に従い、財産の管理・処分・その他の目的の達成のために必要な行為をするものをいいます。
具体的な信託登記の申請手続きについて
①登記の目的
当該信託による権利の移転等の登記申請と、同時に一の申請情報によりしなければなりません。そのため、登記の目的としては、「所有権移転及び信託」のように記載します。
②登記原因及びその日付
信託契約による信託の場合の登記原因は「信託」であり、その日付は原則信託契約の成立した日となります。
③申請人
信託による「所有権移転の登記」は、共同申請となり、受託者が登記権利者、委託者が登記義務者となります。これに対し、「信託の登記」は、受託者が単独申請することができます。
登記後に委託者又は受託者が亡くなったら
信託登記の登記事項に変更があったときは、原則、受託者が信託の変更登記を申請しなければなりません。
- 委託者が死亡したら・・・委託者が死亡すると信託目録の変更登記を申請することになります。この場合、登記記録上は従前の所有者の変更をする必要はありません。
- 受託者が死亡したら・・・単独の受託者の任務が終了し、新たな受託者が就任したときは、信託に関する権利義務は新受託者に承継されますので、受託者変更による所有権移転の登記申請をすることができます。仮に、受託者が2名以上いある場合は、その一人の任務が終了したときは、信託に関する権利義務は他の受託者が当然に承継し、その任務は他の受託者が行います。そのため、所有権移転ではなく、「所有権変更」の形式で登記名義人の変更登記を申請します。受託者が2名以上いるときは、信託財産は合有とされ共同受託者の持分は登記されないので、任務終了受託者から残存受託者へは持分移転登記をすることはできないので、ご注意ください。
信託財産を処分したら
受託者が信託財産である不動産を第三者に処分した場合または信託が終了した場合には、その不動産は信託財産ではなくなるため、信託登記の抹消をしなければなりません。この信託登記の抹消は、当該権利の移転の登記、変更の登記又は当該権利の抹消の申請を同時にしなければなりません。
登録申請に必要な書類について
はじめて、信託登記を申請する場合には以下のような書類が必要となります。
- 登記済証(登記識別情報)・・・委託者のもの
- 印鑑証明書・・・委託者のもの
- 住所証明情報・・・受託者のもの
- 信託目録に記録すべき情報・・・信託の登記をするときには、信託の登記の登記事項を明らかにするため、当該登記記録事項を記録した信託目録を作成しなければなりませんので、「信託目録に記録すべき情報」を添付します。
登記申請にあたっては、当該不動産の管轄法務局に申請することとなります。
不動産が、尼崎(塚口)にある場合の管轄法務局はこちら
http://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/table/shikyokutou/all/amagasaki.html
当事務所は、信託契約の作成から登記申請まで行っております。
当事務所は阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しています。日中お時間が空いたときやお仕事帰りにでも、立ち寄りやすい場所にありますので、家族信託でご検討中の方、また契約中でも変更事項があってお困りの方などはお気軽にご相談ください。
初回相談・見積りは無料です。
認知症になったら不動産を売却できるの?
不動産を所有している親が認知症になったら?
日本は超高齢化社会に突入しており、今後もますます高齢者の人口・割合が増えていくことが予想されます。
それに伴って認知症となる人が増えていくことは当然考えられます。
親が預貯金はあまりないが、不動産を所有しているケースで、認知症になった後の介護施設への入居費用、または生活費・医療費などの支払いのために今後誰も住むことがないであろう不動産を売却して現金化したいというニーズは出てくることもあると思います。
そのような場合に不動産を売却することができるのでしょうか。
不動産の売買契約には意思能力を有していることが求められます。
認知症になったり、判断能力が低下しているとこの契約の意思能力を有しているとみなすことが難しくなってしまいます。認知症になったら意思能力を有していないと単純に判断されるものではありませんが、少なくとも売買契約の内容及び登記名義人を変更するための登記手続きに対する理解は必要かと思います。
いずれにしても、認知症になったり、判断能力が低下すると不動産を売却することは一切できなくなるわけではありません。
以下に大きく分けて2種類ある売却する方法についてご説明します。
成年後見制度の利用
不動産の所有者が判断能力がない限り、仮にその相続人全員が同意していても売却することはできません。相続人といっても本人ではなく、あくまで代理人という立場にしかなれないからです。そこで成年後見制度を利用することで成年後見人が認知症である本人に代わって売却することができるようになります。
- それでは成年後見制度とはどういう制度でしょうか。
成年後見といえば、皆さんは真っ先に、「高齢で認知症になったときに使わなくてはいけない制度」と思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、成年後見制度は高齢者だけを対象とするものではありません。
高齢による認知症に限らず、知的障害、精神障害などの理由で判断能力を欠く、もしくは不十分な方々も対象とした制度です。
判断能力を欠いたり、不十分になったりすると、預貯金の入出金などの管理、生活費・医療費などの給付、施設への入所の手続き、相続問題などについて、自身で判断し、対処することが難しい場合が出てきます。
また、自分に不利益な内容であっても判断できずに、高額商品の売り込みによる購入や、振り込め詐欺などの被害に合うケースも十分考えられます。
このような被害を防ぐために、財産を管理し、本人のために活用するなど判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
しかしながら、成年後見制度を利用するには相応の時間とお金が必要となり、また家庭裁判所の管理下に置かれるために、本人の生活費・医療費のためなど本人にとって意味のあるものでしかお金を払い出ししたり、使うことはできません。
そのため、相続人の生活費のため、孫の教育費のためなどの理由では、成年後見人は本人の不動産を売却することはできません。
また、本人のためであったとしても、本人の金融資産が潤沢にあるような状況では、不動産を売る必要性が無いとみなされ、売却することはできないでしょう。
- 成年後見制度を利用した不動産売却の手続きについて
成年後見人が本人の居住用不動産を売却するときは、家庭裁判所の許可が必要となります。
居住用不動産売却に係る家庭裁判所の許可を得るには、成年後見人が家庭裁判所に対して、居住用不動産処分の許可の申立てを行います。
買主がいるからすぐに売却手続きができるわけではなく、家庭裁判所の許可を得て初めて取引ができるようになるなど、手続きも厳格化されます。
ただし、成年後見人は不動産の売却だけではなく、本人が亡くなられるか意思能力が回復するまでは、業務は行うことになりますので、ご注意ください。
家族信託(家族のための信託)の利用
家族信託を利用すれば認知症及び判断能力が低下している方でも事前に信託契約を締結し、内容を定めておくことにより所有している不動産を売却することもできます。
実際に信託契約に沿った条件を満たした時には、受託者が不動産を売却できる旨などの記載しておくことで、受託者は委託者(本人)に代わって不動産を売却することができます。
この制度を利用する場合には、成年後見制度と違い、家庭裁判所の許可も不要であり、また資金使途なども信託契約に定めておくことである程度柔軟に対応することも可能です。
いずれにしても、家族信託は信託契約により成立しますので、認知症となった後では契約行為をすることはできず、この制度を利用することはできません。
どちらの制度を検討するにしても、今まで親子・家族間では言えなかった財産について前向きに話し合うきっかけにきっとなることでしょう。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
不動産登記簿謄本(登記事項証明書)とは?
不動産の登記簿謄本とは?
不動産を売買するときや、相続登記を行うときなどは事前に不動産の登記簿謄本が必要となる場合があります。実際に不動産を購入した方などは見られたことがあるかもしれませんが、普通は見る機会も取得する機会もないかもしれません。
では、不動産の登記簿謄本とは何が記載されているのでしょうか?
現在不動産登記簿謄本は全て電子化されており、大きく甲区・乙区に分かれております。甲区には、所有権の保存、移転、差押え等の処分の制限等の所有権に関する項目を記載され、乙区は、所有権以外の抵当権、賃借権などの権利を記載されています。
登記事項証明書を見ることで、現在の所有者は誰なのか、またどういう担保が設定されているのか、などを確認することができます。
その他下記の内容を記載した登記簿謄本も取得することができます。
共同担保目録
共同担保目録とは、同一債権の担保として複数の不動産に設定された抵当権(これを共同抵当又は共同担保という)について、当該抵当権の設定登記を申請するときに添付すべき不動産の目録をいいます。 共同担保目録には、共同担保関係にある不動産の表示、抵当権者、抵当権設定者等が記載されています。
信託目録
信託目録とは、不動産信託契約のうち、不動産登記法で定められた信託の内容(受益者等の氏名や信託目的等)が記載された目録をいい、信託登記を行う際には必ず信託目録を添付することが必要となります。
登記簿謄本を取得する場合、共同担保目録や信託目録に記録された事項について証明を求めるときは、その旨を内容としなければなりませんので、どちらの記録もないときは共同担保目録・信託目録の記載が省略された登記簿謄本が交付されます。
また、呼び方としては「登記簿謄本」や「登記事項証明書」とありますが、「登記簿謄本」とはコンピュータ化される前の縦書きのものをいい、現在発行されるコンピューター化されているものは「登記事項証明書」といいます。一般的には登記簿謄本といえばどちらもで通じます。
登記簿謄本の種類について
登記簿謄本は、登記記録に記録されている事項についての証明する部分により、以下の種類に分類することができます。
- ①全部事項証明書・・・「登記記録に記録されている事項の全部」を証明するもの
- ②現在事項証明書・・・「登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの」を証明するもの
- ③所有者証明書・・・「登記記録に記録されている現在五の所有権の登記名義人の氏名及び住所」を証明するもの
- ④何区何番事項証明書・・・「権利部の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分」を証明するもの
- ⑤一棟建物全部事項証明書・・・「一棟の建物に属する全ての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項の全部」を証明するもの
- ⑥一棟建物現在事項証明書・・・「一棟の建物に属する全ての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの」を証明するもの
いずれを取得するにしても窓口で取得する際には、手数料は1通600円で変わりありません。
不動産の登記簿謄本の取得方法
不動産の登記簿謄本は、手数料を払えば誰でも取得することができます。誰かの同意を取る必要もありません。
登記簿謄本だけでなく、登記事項要約書(登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面)、公図・地積測量図、建物図面なども誰でも取得することができます。
では実際に取得する方法はどうすれば良いでしょうか?
不動産の登記簿謄本を取得する方法としては、一般的に次の方法があります。
①法務局の窓口に行って取得する
②電子申請(オンライン)で取得する
①法務局窓口で取得する方法
最寄りの法務局に直接行き、は証明書窓口で登記簿謄本を取得する方法があります。
尼崎(塚口)の最寄りの法務局はこちら
http://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/table/shikyokutou/all/amagasaki.html
ただし、全国どこの法務局でも不動産登記簿謄本を取得することは可能ですので、尼崎の法務局に行き、東京の不動産の登記簿謄本を取得することもできます。
法務局はどこも平日の8時30分から17時15分の間のみ開庁していますが、土日・祝日は開庁していないので、登記簿謄本を取得することはできません。
もしどうしても平日は法務局に行けない方は、誰かに取得をお願いするか、下記のように郵送やオンラインで取得することになります。
取得する際に免許証の提示などは必要ありませんが、1通につき600円の手数料がかかります。
また、事前に取得したい不動産の地番を確認しておいた方がスムーズに取得できるでしょう。
注意したいのが、住居表示と不動産登記簿謄本の地番は一致していないことが多く、住所だけは分かっているが、地番が分からないこともあるでしょう。そのような際には法務局で地番照会の電話確認をすることで、住所から地番を調べてくれて教えてくれます。
②電子申請で取得する
パソコン、スマホからインターネットを利用してオンラインによって不動産の登記簿謄本の交付請求を行うことができます。
利用方法については、下記ページをご参照ください。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html
電子申請で登記簿謄本の交付請求をして郵送してもらう方法と、登記簿謄本の交付請求をして指定の法務局へ受け取りに行く方法があります。
前者の場合の登記簿謄本交付の手数料は1通500円、後者の場合は1通480円です。法務局に行く手間などを考えると手数料に若干の差はありますが、郵送してもらう方がお得かもしれません。
利用時間も来庁する際には17時15分までですが、電子申請による登記簿謄本の交付請求は、平日の21時まで利用することができます。
登記簿謄本の取得の方法が分からない、また取得したが見方が分からないなどあれば、当事務所へご相談ください。
当事務所は阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などの立ち寄りやすい場所にあります。
塚口(尼崎)で不動産登記に関するご相談は是非当事務所へご連絡ください。
メール・電話にて無料相談を行っております。
相続登記をせずに放置しておくと・・・(相続法改正)
相続法の改正について
令和元年7月1日に改正相続法が施行されたのはご存知でしょうか。
改正された相続法の中で最も皆さんに影響を及ぼすかもしれない内容として、「遺言、遺産分割により不動産を相続した相続人でも、自分の相続分(法定相続分)を超える部分については、相続登記をしないと第三者に対抗することができない」(民法第899条の2)という旨が定められました。
(共同相続における権利の承継の対抗要件) 民法第899条の2 1.相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。 2.前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。 |
改正前に発生した相続であれば、自身に相続させる旨の遺言があれば、相続登記をしなくても第三者に対して自身が所有者であると主張することができました。
それだけ遺言というものは、大きな力があり誰にでも対抗することができたといえるかもしれません。
相続登記はどこに誰が申請するのか
少し話は変わりますが、そもそも相続登記とは①どこに②誰が③どのように申請するのでしょうか。
①どこに・・・
相続した土地や建物などの不動産の名義を変更するには、原則として、不動産の所在地を管轄する法務局(尼崎市塚口の不動産なら神戸地方法務局尼崎支局)へ
行って相続登記を申請しなければなりません。
仮に亡くなった方が東京に住んでいて、相続人も全員地方に住んでいたとしても、不動産が尼崎にある場合には神戸地方法務局尼崎支局へ申請しないといけないということです。
※塚口(尼崎)の管轄法務局のリンクはこちら
houmukyoku.moj.go.jp/kobe/table/shikyokutou/all/amagasaki.html
②誰が・・・
例えば、亡くなったのが夫であり、
相続人が妻と長男とニ男の3名だった場合は、誰が相続登記を申請するのでしょうか。
- 法定相続分で登記する場合
相続人が複数いる場合で、法定相続分に従って相続登記するのであれば、相続人の中の誰か1人が保存行為として相続人全員分を申請することができますし、相続人全員で申請することもできます。 - 遺産分割協議をして妻が相続する場合
遺産分割協議を相続人全員で行なって、3人の中で妻がこの不動産を相続すると遺産分割協議をした場合は、その相続する不動産を受け継ぐ妻だけで登記の申請をします。 - 遺言書があり、長男が相続する場合
遺言書があり、この中で『この不動産は長男に相続させる。』と書かれていた場合には、この不動産を受け継ぐ長男だけが相続登記の申請をします。
法定相続分で登記をする場合には、相続登記をしなくても自分の法定相続分の持分しか取得しないということになり、第三者に対抗することができますが、それ以外の場合には
法定相続分と異なる持分を取得することとなる為に、相続登記をしないと第三者に対抗することができません。
③どのように・・・
A4用紙を用いて、決められた申請事項を記入し、下記必要書類を提出して「相続」の登記を管轄法務局へ申請します。
【法定相続の場合】
法定相続人の全員もしくは、代表のひとりからの申請によって下記書類を提出して「相続」登記申請を行います。
◆亡くなられた方の書類◆
1.被相続人の出生から死亡までの連続戸籍
2.被相続人の住民票の除票
◆ご相続人の方の書類◆
3.相続人全員の現在の戸籍謄本
4.不動産を取得する相続人の住民票
◆その他書類◆
5.不動産の固定資産評価証明書
【遺産分割協議により相続登記する場合】
遺産分割協議によって当該不動産を取得すると決まった者からの申請によって下記書類を提出して「相続」登記申請を行います。
◆亡くなられた方の書類◆
1.被相続人の出生から死亡までの連続戸籍
2.被相続人の住民票の除票
◆ご相続人の方の書類◆
3.相続人全員の現在の戸籍謄本
4.不動産を取得する相続人の住民票
5.遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印押印のあるもの)
6.相続人全員の印鑑証明書
◆その他書類◆
7.不動産の固定資産評価証明書
【遺言に基づく相続登記の場合】
1 遺言により法定相続人に相続させる場合
遺言によって相続すると定められた者からの申請によって下記書類を提出して「相続」登記申請を行います。
◆亡くなられた方の書類◆
1.遺言書
⇒自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、検認済みのもの
公正証書遺言の場合、法務局保管制度利用による自筆証書遺言の場合は検認不要。
2.被相続人の死亡時の戸籍謄本
⇒出生からのつながりのある連続戸籍は、不要。
3.被相続人の住民票の除票
◆ご相続人の方の書類◆
4.遺言による相続する相続人の現在の戸籍謄本
5.遺言による相続する相続人の住民票
◆その他書類◆
6.不動産の固定資産評価証明書
対抗要件と第三者について
相続法の改正により、遺言及び遺産分割で不動産を相続した相続人は、自分の相続分を超える部分については、相続登記をしなければ第三者に対抗することができなくなりました。
言い換えると自分以外の者が自分の相続登記より先に登記を入れてしまった場合には、自分の相続分を超える部分については、所有者であることを主張することが難しくなりました。
遺言書があるから、遺産分割協議書があるから、といって登記をせずに放置していると、自分が所有者であるという権利が脅かされる事態になることも十分考えられます。
第三者に対抗することができなくなった、と述べてきましたが、この「第三者」とは具体的にどのような人を指すのかというと、一般的には相続人の債権者(銀行など)が考えられます。
相続登記をせずに放置していたところその相続人が相続したであろう持分に差押えをされてしまった場合には、本当は自身の持分はこれだけだった、という主張はできなくなります。
この対抗できない範囲については、あくまで自分の法定相続分を超える部分についてのみです。
法定相続分については、相続登記をすることなく第三者へ対抗することはできます。
いつから改正相続法が適用されるのか
令和元年(2019年)7月1日以降に発生した相続について適用されます。
それ以前に発生した相続であれば、改正前の法律が適用されますので、遺言があれば相続登記をしなくても第三者に対抗することができます。
相続登記は相続放棄や相続税の申告などと違い、いつまでにしなければならないという期限や罰則がない為に、後回しにされる方もおられると思いますが、自身の権利を守る為にはできるだけ速やかに相続登記をするしかありません。公正証書遺言があれば家庭裁判所の検認手続きがいりませんが、自筆証書遺言による相続登記をする場合には、家庭裁判所の検認手続き必須となり、また登記申請に必要な書類を集めたりとそれなりに時間もかかってしまいます。
遺言書の検認手続きについての裁判所のリンクはこちら
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html
塚口(尼崎)の管轄家庭裁判所のリンクはこちら
https://www.courts.go.jp/kobe/about/syozai2/amagasakisibu/index.html
当事務所は阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などの立ち寄りやすい場所にあります。
塚口・尼崎市内に関わらず、仮に相続不動産の所在地が遠方であっても、当事務所はオンライン申請を得意としており、全国どこの不動産でも相続登記は対応しておりますので、ご安心ください。
塚口での相続登記のお悩み、相談は是非当事務所へご連絡ください。
メール・電話にて無料相談を行っております。
公正証書遺言があるときの相続登記について
相続登記について
亡くなった方(被相続人)が不動産を所有していた場合には、その名義を相続(遺贈)する承継者に名義を変更する登記をする必要がでてきます。
相続人同士で特に取り決めがない場合には、法定相続分の割合で相続登記をすることが一般的です。また、相続人同士が遺産分割協議をして相続財産の分け方を決めた上でそれに従って相続登記を入れることも可能です。
しかしながら、遺言により不動産の承継者が指定されていた場合には、遺言の内容が優先されるために、法定相続分ではなく遺言の内容に従った相続財産が承継されることになります。
公正証書遺言と相続登記について
遺言には主に自筆証書遺言と公正証書遺言、そして秘密証書遺言の3種類があります。
公正証書遺言は公証人が作成する遺言であるため遺言が無効になる可能性は低く、遺言の原本が公証役場に保管されるため偽造や紛失のリスクがありません。
そのため、公正証書遺言は費用・手間が多少かかっても、遺言の中でも最も安心できる遺言の方法の一つと言えるでしょう。
公正証書遺言により不動産を相続した相続人は、その公正証書遺言を使って、自身で自分名義へ相続登記をすることが可能です。
ただし、相続人以外の第三者に遺贈する場合には、相続人も申請人となる必要がありますので、ご注意ください。
公正証書遺言のメリット
自筆証書遺言や秘密証書遺言では、被相続人が亡くなった後に遅滞なく、家庭裁判所への遺言書の検認手続きが必要となりますが、公正証書遺言ではその手続きが不要です。よって公正証書遺言は、検認手続きを経ることなくそのまま相続登記の添付書類として使用することができます。
公正証書遺言の原本は公証役場に保管されているため、正本または謄本を相続登記の申請書に添付することになります。
また、相続登記の申請人についても、遺言があるときは、不動産を承継する相続人が申請することができ、他の相続人の関与は必要ありません。
以上のように公正証書遺言を残しておくことで、遺言書に偽造・紛失及び相続人同士の紛争が起きるリスクも減り、また相続登記についても検認手続きが要らないなどの手間を省くこともでき、当事務所では、遺言を作成される際には公正証書遺言をお勧めしております。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい場所にあります。
遺言について作成を検討している方は当事務所へ一度ご相談ください。
初回相談・見積は無料です。
知らない間に相続登記がされてしまったら
自身が知らない間に相続登記がされる場合
亡くなった方が不動産を所有していた場合、一般的には遺言や遺産分割協議によってその不動産を取得する相続人が主だって相続登記を行うこととなります。
しかし、相続登記においては自身が関与せずとも、相続人全員の名義とする相続登記が申請されるケースもあります。
- ケース①共同相続人からの法定相続分に応じた相続登記
法定相続人は、法定相続分に応じた割合であれば法定相続人の内の一人が相続登記を単独で行うことができます。
例えば、相続人が妻、子ども2人いるときは、妻が単独で自身を2分の1、子どもをそれぞれ4分の1ずつとする相続登記を申請することが可能です。
この場合は、あくまで申請人は妻だけでありますので、他の子ども2人には権利証が発行されません。
- ケース②債権者代位による法定相続分に応じた相続登記
亡くなった方が所有していた不動産に担保権を有している債権者や亡くなった方に対して債権を有する債権者は、必要に応じて相続人に代わり相続登記を申請することが可能です。
この場合は、債権者代位により申請されていますので、法定相続分とおりの相続登記がされても、相続人全員に権利証は発行されません。
法定相続分に応じた登記を直したい場合には
仮に自身が知らない間に法定相続分に応じた相続登記がされてしまった場合、これを変更(訂正)する方法はあるのでしょうか。
例えば、相続人の内に一人が相続放棄をしていた場合や遺言書が発見され、相続人の内の一人が持分を全て取得する場合などが考えれらます。
こういった場合にも、持分を失う相続人や債権者代位で相続された場合には当該債権者の承諾を取り付けることによって相続登記の更正(抹消)登記が可能です。
しかしながら、あくまで単独では変更できず、相続分を失う方の印鑑証明書や債権者の承諾が必要となりますので、もし同意がとれない場合には手間・時間・負担が相当にかかることも予想されますので、ご注意ください。
また、相続法の改正により「法定相続分を超える」権利を相続したものでも、登記の手続きをしないと第三者に権利を主張することができなくなりました。
法定相続分に応じた相続登記がされたことをいいことに、実際は遺言により自身の持分がなかった相続人でも第三者に売却してしまうと
遺言により全てを取得することができた相続人でも自身の所有権を全ては主張することができなくなります。
亡くなった方が不動産を所有していた場合には、なるべく速やかに相続登記をされることをお勧めします。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
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相続した不動産の名義変更手続きについて
相続した不動産の名義変更とは
土地、建物などの不動産にはそれぞれ所有者がおり、所有者が誰になっているかをを知りたいときは、誰でも法務局で登記簿謄本を請求することで確認することができます。
売買や相続などによって、不動産の所有者が変わったときは、現在の登記簿謄本の所有者から今回所有者となった方への名義変更手続きが必要となります。
相続登記とは、その中でも不動産の所有者が亡くなられたときに、その不動産の名義人を承継した相続人に変更する手続きのことを言います。相続登記については、特にいつまでにしなければならないという期限はありませんが、昨今の空家問題などから亡くなった方の名義のままで長年放置しており、その間何度も相続が起こったことから、現在の所有者が分からなくなってしまい、処分に困るという問題も起きています。
では、相続登記については期限や罰則が定められておりませんが、そのまま放置しておいてもいいのでしょうか?
相続登記を放置しておくと以下のような問題点が考えられます。
- 時間が経つと相続人同士で揉める可能性が増えてくる
折角相続人間で一人が相続することが決まったものの、書面を残すことなく相続登記をせずに放置していたところ、いざ相続登記をしようとした時には、仲が悪くなった相続人が協力してくれなくなったことなどが考えられます。
- 時間が経つと手続きが煩雑になる可能性が増えてくる
相続登記をしていない内に相続人が亡くなってしまうと、その亡くなった相続人の手続きも必要となり、戸籍収集の手間などが増えてきます。また時間が経過している内に相続人の誰かが認知症になってしまい、家庭裁判所の手続きが別途必要となることも考えられます。
- 時間が経つと費用がかさむ可能性が増えてくる
相続人の誰かが相続登記をする前に認知症になった場合などは、家庭裁判所の手続きが別途必要になり、費用も大きく変わってきます。
実際に不動産を相続することになったら
実際に不動産を相続することになったら、相続人が複数いる場合とりあえず法定相続分に応じた割合で共有名義にすることは勿論可能です。
しかしながら、不動産については単独名義にしておくことをお勧めしております。
その理由としては、
- 売却するときに、共有者全員の協力が必要となる
仮に相続で取得した不動産を売却する際にもし共有名義となっていた時は、共有者全員の協力が必要となります。
相続登記後共有者間での仲が悪くなったり、共有者の誰かが海外に移住したり、認知症になったりすると格段に時間及び手間が増えてしまいます。
- 共有名義人の誰かが亡くなってしまうと相続手続きが必要になる
共有者の誰かが亡くなってしまうとその共有者の不動産の持分に対し相続手続きが発生し、その方の妻・子供・兄弟姉妹などに名義が変わってしまいます。
亡くなった方とは仲が良かったものの、その相続人とは疎遠で仲が良くないことから、不動産の処分の話が纏まらないことも十分考えられます。
当事務所は阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しております。相続登記が発生し、名義をどうすれば良いか、また誰にすれば良いかなどお困りのことがあれば気軽にご相談ください。
メールでも随時受け付けております。
初回相談・見積は無料です。
権利証や登記識別情報を亡くしてしまったら。。。
権利証(登記済証)とは
以前は不動産を購入したり、相続によって取得したり、また担保を設定したりすると、新しい権利を得た方(新所有者、担保設定者など)法務局の受付番号などを記載した登記済の判子が押されたものが発行されていました。
こちらは、一般的に皆さんが権利証と呼んでいるもので、登記済証と言います。
しかし、2005年より法律が改正され、土地・建物の登記情報は順次法務局毎にオンライン化されることになり、登記済証に代わり、「登記識別情報」が新たに不動産を取得した方などに交付されることとなりました。現在新たに登記済証が発行されることはなくなりましたが、法改正以前に登記された土地や建物を売買や担保設定・抹消したりする際には登記済証の提出が必要となりますので、充分な管理が必要なことに変わりはありません。
登記識別情報とは
12桁の英数字を組み合わせてできたパスワードであり、不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定められ、法務局より通知、発行されるものです。
(例えば、土地1筆、名義人AB2名共有の場合には、土地1×AB2名で、2通発行されます。)
次回の登記申請の際には、本人確認方法として法務局に提出して頂き、登記識別情報を提供する者が不動産の真の名義人として扱われる事となります。
パスワードについては非常に重要な情報になりますので、第三者に見られないよう目隠しシールが貼られていますが、必要になるまでの間は封印したままの保管をお薦めします。
権利証・登記識別情報を紛失してしまったら?
再発行手続きはできませんので、不動産を売却するときなどに下記の3つのいずれかの手続きをとる必要があります。
①本人確認情報(代理人司法書士が作成)
「本人確認情報」とは、権利証・登記識別情報に代わる書類で、司法書士が真の不動産所有者であることを確認し、司法書士の責任によって所有者であることを証明するものです。司法書士としても自らの権限と責任によって証明することとなりますので作成にあたっては別途費用がかかります。第三者への不動産の売却などの際には確実に速やかに登記申請を行える制度であり、本人確認情報を使うのが一般的です。
②法務局からの事前通知制度
権利証・登記識別情報がない状態のまま登記申請書に権利証・登記識別情報を提供できない理由を記載して、そのまま登記申請を行うこともできます。ただし、その場合は法務局から本人限定受取郵便で申請人宛に事前通知が届きますので、この通知書に実際に登記申請をしたことが間違いない旨の実印を押印し、2週間以内に返送することで登記申請が完了されます。しかし、本人確認情報と違って郵便物を受け取らなかったり、返送をしなかった場合には登記申請が却下となり買主に名義を移すことができなくなってしまいます。このようなリスクがあることから、身内間の売買や贈与など限られたケースで使うことが多いです。
③公証人による本人確認制度を利用する
売買までに時間が多少余裕があり、また司法書士に支払う報酬をなるべく抑えたいときには「公証人による本人確認情報制度」を利用することもできます。
実印、身分証明書、印鑑証明書などを持参して公証役場へ足を運び、公証人の立ち会いのもと所定の手続きを行うことでその委任状そのものが土地・建物の権利証及び登記識別情報の代わりとして公的に認められます。司法書士などに支払う報酬よりは安くすみますが、手間・労力はかかってしまいます。
権利証・登記識別情報を紛失してしまったら
もし紛失してしまい、不安に思っている方がおられたら、不正な登記申請に用いられることがないようにするため、発行した法務局に対して、「不正登記防止申出」や「登記識別情報についての失効の申出」をすることができますのでご安心ください。
権利書・登記識別情報を紛失し、お困りであれば気軽にお問いわせください。
ご相談、お見積りは無料です。
相続法改正による不動産登記について
遺言書による不動産相続登記について
従来「相続させる」旨の遺言があった場合には、特段の事情がない限り、当該遺言によって不動産を取得した者は、登記なくしても第三者にその権利を対抗することができるとされていました。
しかしながら、このような考え方を貫くと、相続人はいつまでも登記なくして第三者にその所有権を対抗することができることになりかねず、
法定相続分による権利の承継があったと信頼した第三者が損害を被るなど、取引の安全を害する恐れがあり、登記制度に対する信頼が損なわれるといった指摘がありました。
そこで今般の相続法改正により、相続による権利の承継については、相続分を超える部分については、登記その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないとして、相続分の指定や「相続させる旨の遺言」の場合も含めて登記などの対抗要件を要することとなりました。
これにより、遺言書に私に相続させると書いてあるのだから、不動産の所有権は自分の者だと安心することができなくなりました。
被相続人が亡くなられて遺言者があった場合、また遺言書がなくても遺産分割協議が整った場合には、速やかに不動産の相続登記の手続きをすることがご自身の権利を保全するために必須となります。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
初回相談・見積り作成は無料です。
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