Archive for the ‘相続’ Category
遺言があった場合の遺言執行者の登記義務
遺言と遺言執行者の登記義務
「相続させる旨」の記載がある遺言の場合
例えば、遺言に以下のような記載があるケースです。
「以下の不動産を、長男〇〇に相続させる。」
このような遺言があったとき、長男は当該不動産を相続しますので、長男名義へ相続登記をすることができます。
ただし、遺言に遺言執行者の指定があった場合には、誰が登記手続きを行うことになるのでしょうか。
遺言執行者が指定されていても、上記のような遺言であれば、相続発生と同時に長男に不動産は承継されます。
そのため、遺言執行者が長男への相続登記について遺言執行をする余地はなく、長男が相続登記の義務を負うこととなります。
「遺贈する」旨の記載がある遺言の場合
例えば、遺言に以下のような記載があるケースです。
「以下の不動産を、尼崎太郎に遺贈する。」
上記のように、第三者である尼崎太郎に遺贈する旨の遺言の内容であったときは、遺言執行者が登記義務者として、受遺者尼崎太郎と共同で、尼崎太郎への「遺贈」による名義変更の登記申請をすることになります。
遺言があった場合の不動産の名義変更手続きでお困りのことがあれば、気軽にご相談ください。
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養親、養子の一方が亡くなった後に離縁はできるか
養子縁組を解消するには
養子縁組をした後に、何らかの理由により養子縁組を解消したいときは、養親と養子の協議に基づき合意の上で養子離縁届を市区町村に提出・受理をされれば養子縁組を解消することができます。
養子が15歳以上であれば、養子自身で養親と協議の上、離縁の届出をすることができます。養子が15歳未満のときには、離縁後に養子の法定代理人となる者と養親との間で協議を行うことができます。
その中で養親または養子の一方が協議に応じなかったり、離縁に同意をしないときは調停や裁判を利用することになります。
養親、養子の一方が亡くなっているときの離縁
養親または養子のどちらか一方が亡くなったとしても、その死亡をもって養子縁組は自然と解消するわけではありません。
もし養親または養子のどちらか一方が亡くなった後に養子縁組を解消するのであれば、家庭裁判所の許可が必要です。
一方の死後に離縁をするこの行為を「死後離縁」といいます。
- 死後離縁をしても相続人としての地位は変わらない
例えば養親または養子のどちらか一方が亡くなったときに、生存している一方が他方の相続人であった場合は、死後離縁をしたとしても相続人としての地位に変わりはなく、死後離縁によって相続権を失うということはありません。
- 死後離縁後の相続
死後離縁をしても養親または養子の相続人であることは変わりませんが、死後離縁後は相手方の親族との法定血族関係は終わってしまうので、相手方の親族が亡くなったときはその相続人となることはありません。
- 死後離縁の手続き方法
死後離縁は許可の申立てを家庭裁判所にしなくてはなりません。
●申立人
養子縁組の当事者
●申立先
申立人の住所地の家庭裁判所
●申立てに必要な費用
①収入印紙800円分
②郵便切手(申立先の家庭裁判所へ事前に要確認。)
●申立てに必要な書類
①申立書
②養親の戸籍謄本(全部事項証明書)
③養子の戸籍謄本(全部事項証明書)
※死亡している方の戸籍は、死亡の記載のあるもの(除籍、改製原戸籍)
市報あまがさき(令和5年9月分掲載)司法書士による相続登記無料相談会やってます
既に見られた方もおられると思いますが、市報あまがさき(令和5年9月分)の18頁に
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遺産分割協議書が必要ないケース
遺産分割協議書とは
亡くなられた方(被相続人)が遺言書を作成していたときには、その内容に従って遺産は分割されますので、遺産分割協議書は原則必要ありません。しかし、被相続人が遺言書を作成していないケースではどういう形で遺産を分割すればよいでしょうか。遺言がない場合であっても、被相続人の死亡後の相続人及びその割合は法律で定められています。一般的には「法定相続人」(法律で定められた相続財産等を取得する人)が「法定相続分」(法律で定められた相続割合)によって遺産を分割することとなります。遺産分割協議書はこのような法律で定められた相続割合を変更するときに必要となってきて、遺産分割協議をすることで自由に相続人の相続割合を変更することが可能となります。
よって、遺産分割協議自体は必ずしもしなければならないわけではありません。
それでは、具体的に遺産分割協議書が必要ないケースについて説明していきます。
遺産分割協議書が不要なケース
- 相続人が1名のみの場合
相続人が1人しかいない場合は、その人が全ての遺産を相続することになるため、そもそも遺産分割協議書は必要ありません。
その他にも相続人がもともと複数名いたが、他の相続人が相続放棄をした為に、結果的に相続人が1人になった場合にも必要ありません。
- 遺言書の内容に沿って遺産分割する場合
相続が発生したら、まず遺言書があるかどうかを確認します。遺言書があった場合には、遺言書に書かれた内容に沿って遺産を分けますので、遺産分割協議書は必要ありません。
ただし、遺言があっても相続人全員で話し合った結果、遺言とは違う内容で遺産を相続する場合には、遺産分割協議書は必要です。
- 法定相続分の割合で分割する場合
遺言書がない場合でも、法定相続分どおりに遺産を分割するようであれば、遺産分割協議書は必要ありません。法定相続分とその順位などは以下のとおりとなります。
法定相続分
相続人が「どの割合」で相続分を持つのかは、以下のとおり法律で定められています。
第1順位相続人 |
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第2順位相続人 |
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第3順位相続人 |
配偶者は必ず相続人になり、相続人が配偶者しかいなければ、配偶者が全て相続します。また、相続人が第2順位や第3順位の相続人しかいなければ、その順位の方が相続します。同一順位に複数の相続人がいあれば、均等に相続分を分けることになります。例えば、相続人が配偶者、子2名の場合には、配偶者が2分の1、子2名が各々4分の1づつ相続することとなります。
法定相続人の順位
配偶者がいれば配偶者は必ず相続人となります。その他、配偶者とともに、子、両親、兄弟姉妹がその順位に応じて相続人となります。
第1順位相続人は、その時に存在していれば、必ず相続人となりますが、第2順位や第3順位の人は、自分より前の順位の相続人が全ていないときに初めて相続人となります。よって、被相続人に子がいれば、被相続人の両親や兄弟姉妹は相続人となりません。
遺産分割協議書の作成や方法について、お困りのことがあれば当事務所に気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。
公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言が望まれる理由
現在法律で認められている遺言には、以下の3種類あります。
「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」です。
一般的に「自筆証書遺言」の利用が最も多いのではないかと思いますが、この中で最も確実な遺言は「公正証書遺言」といえます。
公正証書遺言とは、公証役場で作成する遺言のことで作成した遺言について、遺言者の他、証人2名が立会して署名捺印の上作成します。
公証人が、中立・公正な立場に立って、場合によっては法律的なアドバイスをしてくれますので、形式的に無効な遺言が作成することはまず考えられません。
折角自筆で遺言を作成しても、それが無効なものであれば、かえって相続人が混乱してしまうこともあります。
ここでは、最も確実性の高い「公正証書遺言」について説明をしていきます。
公正証書遺言の作成手順
①遺言の内容を考える
まずは、遺言を残そうとされる方ご自身でおおまかな遺言の内容を考えます。
例えば、ご自身の財産内容(預貯金、不動産、株など)を洗い出し、どの財産を誰に渡したいか、などです。
大体の内容が決まったら、遺言の原案を作成します。当事務所では、お客さまに遺言内容についてヒアリングさせて頂くことで、意向に沿った遺言案を一緒に作成していきます。
②公証人と遺言案について相談
遺言案が完成したら、公証人と相談しながら、適宜修正などを行って遺言書を完成させます。
③証人2名の立ち会いのもとで署名捺印する
遺言の本文が完成すると、いよいよ遺言に署名捺印をします。
当日は遺言者と証人2名が立会のもと、公証人が遺言を読み上げます。内容に間違いがなければ、遺言の原本に署名捺印します。
この原本には立ち会った証人2名も署名捺印を行うなど、厳格な手続きで進められます。
署名捺印が終了すると、公正証書遺言は完成します。
➃遺言の原本は公証役場で保管してもらう
公正証書遺言が完成すると、原本は公証役場で保管してもらいます。正本や謄本を貰うこともできますが、万一紛失しても原本は公証役場にあるますので、心配は不要です。
公正証書遺言のメリット
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確実性の高い方法で遺言書を作成・保管できる
公正証書遺言では、事前に公証人との確認も行われる為に、形式的に不備がある遺言などが作成されるリスクは極めて低いです。
また、公証人の面前で署名捺印を行う為に、自筆証書遺言でよくある「本当に本人が書いたのか」など疑われることもありません。
また、原本も公証役場で保管される為に、自筆証書遺言と異なり、紛失などのリスクもありません。
その他にも自筆証書遺言の争いごとでよくある「誰かが自分に都合の良いように遺言の内容を書き換えたり、破棄されてしまう」といった恐れもないでしょう。
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裁判所での検認手続きをしなくてよい
自筆証書遺言が残されている場合は、ご遺族が無断で遺言を開封することはできません。(開封してしまうと過料が請求されることもあります)
遺言を発見したら、封筒を開封する前に、まず家庭裁判所で手続きを行わなければいけません。この家庭裁判所での手続きのことを、「検認(けんにん)」といいます。
検認は、管轄の家庭裁判所で手続きが必要です。戸籍の収集や家庭裁判所への申請などで多くの時間がとられてしまうこともあるでしょう。
公正証書遺言の場合は、この家庭裁判所での検認手続きを省略することができます。
公正証書遺言のデメリット
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公正証書遺言には手数料がかかる
公正証書遺言を作成するためには、公証役場に手数料を支払わなければいけません。手数料の金額は、相続財産の価額によって異なりますが、数万円程度はかかることが大半です。
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公正証書遺言でも絶対はない
公正証書遺言は公証人が事前に確認を行う為に、形式的なミスが生じるおそれはありません。
また、公証人の面前で署名捺印をする為に、その際の意思確認はとれているはずですが、認知症の方でその状況によっては、日によって判断能力が異なってくることもあります。
一般的な会話ではその症状に気づかない可能性もあり、そういったケースで後に遺言作成時の判断能力を争うといったことも考えられます。
確実性の高い遺言といえますが、絶対ではないということです。
当事務所では、公正証書遺言について原案の作成から公証人とのやり取りまで、全てサポートさせて頂きます。
公正証書作成をご検討されている方は、気軽にご相談ください。
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遺言作成に関するご相談で多い事項
遺言作成に関するご相談
当事務所にも、遺言作成についてのご相談をよく受けますが、ここでは遺言作成を思い立ったキッカケで多い事項や遺言作成をお勧めするケースについて説明していきます。
・相続人がいないため財産を寄付したい
相続人が誰もいない場合(親族がいない、親族はいるが全員が相続放棄している)は、その財産は最終的には国庫に帰属されます。遺言をのこすことにより、特定の慈善団体や公共団体に寄付することができます。
・子どもがいない
子どもがいない夫婦においては、配偶者に全財産を相続させたい、あるいは住んでいる家は配偶者にそのまま継続して住んでほしいと考えることも多いでしょう。子どもがいない場合の法定相続人は亡くなられた方の親がまだ生きている場合はその親と配偶者、既に親も亡くなられている場合は亡くなられた方の兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。
特に兄弟姉妹と配偶者が相続人のケースでは、お互いが疎遠であったり意思疎通が上手くいかないことで、紛争になってしまうケースが多いのではないでしょうか。
兄弟姉妹には遺留分がありませんので、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は、遺言(全財産を妻に相続させる)をのこしておくことによって配偶者にすべて相続させることができます。
・相続人以外のお世話になった人に財産を渡したい
遺言がない場合、特定のケースを除いて相続人以外の人には財産は渡りません。
子や兄弟姉妹などの相続人は生きているが、財産をそれ以外の人にのこしたいのであれば遺言をのこしておく必要があります。
・帰化したことを子どもに知られたくない
通常相続が発生した場合には、金融機関などの手続きで亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等が必要となってきます。
帰化した方については、帰化してからの戸籍謄本は取得できますが、帰化する前の戸籍については日本の役所で取得することはできません。
自身が生まれた国の大使館などで書類を集めなければならず、その過程で子どもに知られてしまうこともあるでしょう。
両親の氏名が日本名になっているかなどの諸条件はあるものの、遺言を残しておくことで、戸籍の取得も軽減されることとなり、結果相続人の労力も少なくなることでしょう。
・相続人のうちの誰かに、他の相続人より多く遺産をのこしたい
遺言がないと、原則各相続人の取り分は法定相続割合で決まってしまいます。
最期まで看病をしてくれた相続人、将来的にお金が必要になるであろう相続人がいる場合など、特定の相続人に多く財産をのこしたいのであれば、遺言を残しておくことでご自身の意思に沿った財産の分け方をすることができます。
・自身が会社経営をしている
相続人が複数おり、特定の相続人に事業を引き継いでもらいたいケースなどでは、遺言でその旨を指定することができます。
遺言がないと相続人が事業や株式が分割されてしまい、後々の紛争の種となる可能性もあります。
・先妻との間に子がいる、養子がいる
このようなケースでは、相続人同士で全く面識がないことも多く、話し合い自体にも進まなかったり、争いになるケースも多くでてきます。
遺言を残しておくことで、争いのリスクを下げることができます。
・相続人同士の仲が悪い、相続人が多数いる、相続財産が多い
相続人間の仲が悪い、相続人が多数いる場合には、話し合いをすること自体難しく、またそれをまとめることも非常に大変な作業となってきます。
遺言を残しておくことで、争いのリスクを下げることができます。
・内縁の夫婦がいる
内縁の夫・妻は、内縁の相手方の法定相続人ではありません。例えば、亡くなった内縁の夫に法定相続人がいる場合、遺言を残しておかないと内縁の妻は、内縁の夫の財産を貰うことができなくなります。
いずれのケースでも、遺留分に配慮した遺言を作成するなど注意が必要となることもあります。
遺言作成でお困りのことや、不安なことなどあれば当事務所にご相談ください。
抵当権の債務者の相続登記
抵当権の債務者が亡くなったら
抵当権の債務者が亡くなられたら、相続により各相続人に法定相続分に応じて引き継がれます。
よって、本来は遺産分割協議の対象とはなりませんが、遺産分割協議によって債務を相続人の誰が引き継ぐのか取り決めることも可能です。
今回は債務者が亡くなった後の債務者変更登記の手続きについてご案内します。
登記手続きの方法としては、遺産分割協議があるのかないのかで方法も異なってきますので、参考にしてください。
相続による債務者変更の登記手続き
1.法定相続人全員で変更登記をする場合
相続を原因として、債務者を共同相続人全員に変更登記をします。この場合は、相続人全員が債務者として登記されます。
2.遺産分割協議による場合
債権者(金融機関)の承諾を得た上で、遺産分割協議に相続人の内の一人が債務を承継する旨を取り決めることによって、債務者変更登記をする方法です。
この場合は、1の申請を踏まずにいきなり遺産分割協議で定めた債務者に変更登記もされ、登記申請は1件となります。
3.法定相続人全員で変更登記をした後に免責的債務引受をする場合
相続を原因として、債務者を共同相続人全員に変更登記をします。この場合は、相続人全員が債務者として登記します。
この過程は1と変わりませんが、この後に相続人の一人が債務を引き受ける場合には、免責的債務引受を行うことで債務者を一人にする登記手続きが可能です。
登記申請は2件となります。
いずれの方法をとるにしても、まずは金融機関との話し合いが事前に必要となってくるでしょう。
金融機関からどの方法で登記すべきか指示されることもあります。
抵当権の債務者が亡くなられた場合で、お困りのことがあれば、気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積書は無料で承っております。
帰化したことは戸籍で分かる?
帰化した後の戸籍の状態
帰化を検討されている方、既に帰化されている方など、帰化した後のご自身の戸籍の状態が気になることもあるでしょう。
中には子どもたちに元々外国籍だったことや帰化したことをお話されていないなど、ご事情によっては将来的に分かられたくないこともあると思います。
今回はこの点について、ご説明していきます。
帰化は戸籍から分かる
結論からいうと、帰化したことは戸籍に記載される為に、戸籍を遡っていけば帰化したことは分かってしまいます。
戸籍から帰化した旨を削除するような手続きもありません。
本籍地を変える(転籍)ことによって、帰化した旨が記載されている戸籍から新しく戸籍がつくられる為に、多少は分かりづらくなりますが、両親が帰化していなければ氏名の記載などから、いずれにしても分かってしまうこともあります。
両親が帰化して日本名になっていれば、更にご本人も転籍をすることで、遡って戸籍を追っていかない限り、帰化されたことは分かりづらくなるでしょう。
もし、上記のようなケース(両親が帰化しており、ご自身も転籍などしている)に当てはまるのであれば、帰化したことが相続人に分かりづらくする為に書類集めを簡略化した相続手続きをすることもできます。
帰化した後の相続手続き
日本に帰化された方が亡くなった場合には、通常の日本の相続手続きとなります。
よって、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等が必要となります。
この場合、帰化した後の戸籍関係は日本で取得できますが、出生から帰化する前までの戸籍については日本にありません。
帰化前に国籍をおいていた国から取り寄せていかなければなりません。
例えば、韓国では家族関係証明書、基本証明書、婚姻関係証明書などで法定相続人を特定します。
アメリカでは、出生証明書・結婚証明書・死亡証明書などが必要となってきて、それらの書類により相続人を特定し、相続人全員で「私たちは被相続人の相続人であり、私たち以外に相続人はいません」という旨の宣誓供述書を作成し、 当該国の在日領事館や公証人の認証を受けます。
これらの書類を相続人が集めるのは、大変苦労しますし、費用や時間もかかってきます。
そこで当事務所では帰化された方については、相続手続きで残された相続人が困らないように公正証書遺言の作成をお勧めしております。
公正証書遺言のメリット
①自筆証書遺言や秘密証書遺言では、被相続人が亡くなった後に遅滞なく、家庭裁判所への遺言書の検認手続きが必要となりますが、公正証書遺言ではその手続きが不要です。
よって公正証書遺言は、検認手続きを経ることなくそのまま相続登記の添付書類として使用することができます。
公正証書遺言の原本は公証役場に保管されているため、正本または謄本を相続登記の申請書に添付することになります。
②相続登記の手続きについても、遺言執行者を定めておければ、その者と不動産を承継する方のみで申請することができ、他の相続人の関与は必要ありません。
③戸籍関係についても、出生から取り寄せる必要はなく、亡くなられ方については最後の戸籍(除籍)謄本のみで足ります。
以上のように公正証書遺言を残しておくことで、遺言書に偽造・紛失及び相続人同士の紛争が起きるリスクも減り、また相続手続きについても必要書類の簡素化や検認手続きが要らないなどの手間を省くこともでき、当事務所では、遺言を作成される際には公正証書遺言をお勧めしております。
遺産に関する話し合いがまとまったら、速やかに手続きを行いましょう
遺産に関する話し合い
亡くなられた方の相続財産の分け方について、口頭ではまとまっているものの、そのまま手続きを放置していることもあるかと思います。
相続人同士が仲良く、すぐに手続きを進めなくても、その内タイミングが来ればで良いと思っている方もおられるでしょう。
但し、口約束で話し合いがまとまったとしても、それだけでは何も話し合いの結果に対する証拠がありませんので遺産分割協議書を作成し、それに沿った相続手続きを行うことが大切です。
特に不動産の相続手続きは、放置しておくと以下のようなデメリットがでてきます。
相続手続きを放置するデメリット
①相続人に更に相続が発生するリスク
– 相続人に相続が発生すると、その相続人と再度話し合い(遺産分割協議)をやり直さなければならないリスクがあります。
②相続人と遺産分割協議自体ができなくなるリスク
– 相続人が認知症になったり、音信不通・行方不明になると遺産分割協議書に署名・捺印をもらえず手続きが進まないリスクがあります。
③相続人の一人が法定相続登記を入れてしまうリスク
– 相続登記については、相続人の内の一人が単独で法定相続分による相続人全員の相続登記をすることが可能です。これによって、後日登記をやり直すにしても余計な手間や費用などもかかってきます。
➃令和6年4月より相続登記が義務化される為に、過料が発生するリスク
– 令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。理由なく、相続登記を放置していると過料が科せられるリスクがあります。
いずれにしても、相続登記の義務化により今後は正当な理由なくして相続登記を放置していると過料が発生してしまいます。
既に話し合いでご自身が不動産を相続することが決まっているのであれば、なるべく早めに相続登記をしておくのが望ましいでしょう。
当事務所では、相続登記やその他預貯金の相続手続きにも必要な戸籍収集の代行や遺産分割協議書の作成、登記申請までサポートさせて頂きます。
相続手続きで思い立ったら、是非気軽にご相談ください。
相続人なき財産の行方は?自身の意思を実現する方法とは
相続人なき財産は国庫に帰属されます
相続が発生し、相続人の捜索の公告の期間満了まで相続人が現れないなど、一定の手続きを経た後に、相続財産は国庫に帰属されます(民法第959条)。
こちらについては、年々国庫に帰属する相続財産は増加しているというニュースがリリースされていますので、下記もご参考にしてください。
「遺産の相続人がいないなどの理由で国庫に入る財産額が、2021年度は647億円と過去最高だったことがわかった。身寄りのない「おひとり様」の増加や不動産価格の上昇も背景に、行き場のない財産は10年前の倍近くに増えた。」
朝日新聞デジタルニュースより抜粋
https://www.asahi.com/articles/ASR1N4VWKR1HULFA00H.html(2023年1月23日)
相続人がいないケースとは
相続人がいないケースとは、子や孫、配偶者、父母、祖父母、兄弟姉妹等の法定相続人が被相続人の死亡時に誰も存在していないことを指します。
それに加えて、法定相続人はいるけれども、法定相続人全員が相続放棄をした場合も、相続人がいないことになります。
国庫に帰属させない方法とは
ご自身の意思で国庫に帰属させることは民法でも定められたものであり、悪いことではありませんが、もし誰か財産を渡したい方がおられるのであれば、そちらを実現させる方が望ましいでしょう。
国庫に帰属させずに、ご自身の意思を実現させる方法の一つとして「遺言」があります。
遺言で財産の残す方を指定することにより、相続財産は国庫に帰属することなく、その方(受遺者)に帰属させることができます。
当事務所でも時折相談を受けることがありますが、この意思表示は「遺言」として書面を残すことが重要であり、口約束ではできません。
また、遺言自体も要式が決まっており、それらを満たしてないと無効になる恐れもありますので、注意が必要です。
遺言の要式が整っていなかった、せっかく遺言を作成したのに誰にも発見されない、という事態がないよう遺言作成は専門家に相談することをお勧めします。
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