相続登記の期限
不動産の相続について、誰が相続するのか相続人間で話し合いも終わったので、解決したものとして相続登記を後回し(放置)にしておくこともあるでしょう。
現状(令和4年3月)では相続登記は義務化されておりませんので、相続登記を放置しておいても固定資産税を支払っていれば特段影響もないかもしれません。
しかし相続不動産の売却が決まり、いざ相続登記の申請をしようとしたときなど、後回しにしたことで以下のようなリスクが出てくる恐れもあります。
相続登記を放置することのリスク
①遺産分割協議書の収集が困難となるリスク
複数の相続人で不動産を相続する方をどなたか特定の方に決めた場合には、相続登記の申請の際に「遺産分割協議書」が必要となってきます。
遺産分割協議書には相続人全員の署名、押印(実印)、印鑑証明書の添付も必要です。
口頭で話し合った際には、特段他の相続人も問題はなかったが、何年も経ってから言われると印鑑証明書の取得や実印を押印することに抵抗を感じることもあります。
また、当初の話し合いのときと相続人の置かれる状況(収入や生活環境)や気持ちが変わってきて、一旦白紙にした上で再度話し合いの協議を申出されることもあります。
こういったリスクを避けるためにも、話し合いが終わった段階で速やかにその意思表示を法的に証明する為にも、遺産分割協議書の署名・押印、印鑑証明書の取得は行うことは望ましいでしょう。
②相続人の内の誰かが亡くなってしまうリスク
相続登記をしない内に他の相続人が亡くなってしまうとどうなるでしょうか。
その場合には、亡くなった相続人の相続人と遺産分割協議書を締結しなければなりません。
当初の相続人同士では関係も良かったところ、亡くなったことによりその配偶者や子が相続人となってしまい、折角口頭で話し合いがついていたものも振り出しになってしまうこともあり得ます。
③他の相続人が相続登記をしてしまうリスク
法定相続分に応じた持分であれば、相続人の一人から相続登記をすることができます。
よって知らない内に相続登記をされてしまう可能性もあるということになります。
いくら口頭で遺産分割協議の話合いがついていても、法定相続分で登記されその持分を売却されてしまうと、第三者に対抗できなくなってしまう恐れもあります。
また、法定相続分で登記された後に債権者がその持分を差押してきたケースなどでも、債権者に対抗できなくなってしまうでしょう。
④相続人の内の誰かが高齢などにより認知症になってしまうリスク
相続人の内の1人が、認知症などになってしまうと意思能力が欠けている状況になる為に、有効な遺産分割協議を行うことはできません。
意思能力が欠けている人が遺産分割協議等の法律行為を行うには、成年後見制度の利用が必要となり、費用も時間も相応にかかってしまいます。
まとめ
以上のように、相続登記を放置している期間が長いとその分リスクは増えていきます。
また、令和6年4月1日から相続登記の義務化も行われます。
相続が発生したら、なるべく後回しにせず速やかに手続きを行ってしまう方が良いでしょう。
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