信託契約書作成について
家族信託を設定する際には、①契約による信託②遺言による信託③自己信託の3つの方法に分けることができます。
今回は、①契約による信託行為を行う際の信託契約書には何を書かないといけないのか、など作成上のポイントについて説明していきます。
信託契約書の主な記載事項について
1)信託の目的
(例)・受益者の生活・看護・療養に必要な資金の給付のため
・認知症の配偶者の財産管理のため
・障害のある子の財産管理と生活費支給のため
・円滑な事業承継を実現するため
・自分の老後の安心な設計のため
2)信託期間
(例)・委託者兼受益者の死亡まで
・委託者兼受益者及びその配偶者(第二受益者)死亡まで
3)信託する財産の内容
(例)・不動産 ・現金 ・預貯金 ・未上場株
4)受託者・受益者の住所、氏名、生年月日
受託者・受益者については1人ではなく、複数でも可能です。また、法人でも可能です。
5)受託者の任務終了
信託法第56条により、受託者である個人が死亡・後見開始の審判を受けたこと・破産手続開始の決定を受けたことなどの事由により、受託者の任務は終了します。
このリスクを避けるためには、第二受託者、第三受託者を信託契約に定めておくか、受託者を法人にすることで回避することもできます。
6)受益権の譲渡
信託法第93条により、「①受益者は、その有する受益権を譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りではない。②前項の規定は、信託行為に別段の定めるがあるときは、適用しない。ただし、その定めは、善意の第三者に対抗することができない。」と規定されています。
よって、一般的には受益者は受益権を譲渡することができますが、これを禁止したい場合には、受託者の同意が必要である旨の条項を設けることができます。
7)信託の終了事由
例)・受益者と受託者が合意したとき
・信託の目的を達成したとき、又は達成することができなくなったとき
・受益者が死亡したとき
以上の主だった内容の他にも、受益者指定権、信託契約の変更に関するものなどオーダーメイド型で契約内容を決めていくことも可能です。
ただし、家族信託の契約内容はあまり複雑にしすぎると当事者間で意思疎通ができないこともあり得ます。
また、受託者に大きな権限が付与される為に、これを監視する意味でも「信託監督人を置くこと」「受託者を複数にすること」「受益者代理人を置くこと」なども効果的な手段の一つになるでしょう。
家族信託を検討されている方がおられれば、当事務所に一度ご相談ください。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。信託契約書作成のお手伝いも秘密厳守でさせて頂きます。