被相続人が遠方の山林や田などを所有していたとき
被相続人が遠方の山林などの不動産を所有していて、今後の費用面や管理面から相続したくないと考えられる方もおられると思います。
この場合の選択肢の一つとして「相続放棄」という手段があります。
相続放棄の手続きをすることで、不動産の相続を避けることができます。これによって維持費を支払わなくてもよくなりますが。被相続人の財産一切を相続できなくなる為に、他に預貯金などがある場合には、それも踏まえた上で考える必要があります。
「相続放棄」を進める場合には、被相続人の他の資産や当該不動産の換価性も考えた上で、総合的に検討してみるのがよいでしょう。
次の選択肢として、「相続土地国家帰属制度」を利用することで、要件が合えば国に返還させることができます。
ただし、様々な要件も定められている上に、審査手数料や申請承認後の負担金(数十万円程度)がかかり、相応の費用負担が生じますので注意が必要です。
また、審査日数も相当(半年~1年程度)はかかることが予想され、その間に相続放棄(被相続人が亡くなり、自身が相続人となったことを知った時から3ヶ月以内)の手続きができなくなってしまうことになってしまいます。
相続土地国家帰属制度の主な不適用要件
●申請段階で適用外の土地
(1)建物がある土地
(2)担保権や使用収益権が設定されている土地
(3)他人の利用が予定されている土地
(4)土壌汚染されている土地
(5)境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
●該当すると判断された場合に不承認となる土地
(1)一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
(2)土地の管理・処分のために、除去しなければならない有体物が地下にある土地
(3)隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地 など