Archive for the ‘不動産’ Category

動産譲渡登記とは?

2021-02-26

動産譲渡登記制度

動産譲渡登記制度は、法人が保有する在庫商品、機械設備、家畜等の動産を活用した資金調達の円滑化を図るために平成17年10月から開始されたものです。その登記の対象は法人が動産を譲渡した場合に限定しており、動産譲渡登記をすることによって民法第178条の引渡しがあったものとみなされ、第三者対抗要件が具備されます。同一の動産について二重譲渡された場合の譲受人相互間の優劣は、登記の先後または登記と民法第178条の引渡しの先後によって決まります。

そのため、動産譲渡登記を利用することによって、対抗要件を具備していることやその時期についての立証が容易となり、占有改定の有無・先後をめぐる紛争を未然に防止することが可能となりました。近年では、太陽光発電に関して融資を受ける際に利用されることも多いです。

動産譲渡登記の取扱い

動産譲渡については、法人が動産を譲渡した場合に限定され、譲渡人が個人の場合には利用できません(譲受人は法人でも個人でも可)。存続期間は原則として10年以内ですが、融資期間が10年を超えているなど特別の事由がある場合には、疎明する資料を添付することで10年を超えて登記することもできます。一般の不動産や商業の登記とは異なり、動産譲渡登記を取り扱う登記所として、東京法務局が指定されており、全国の動産譲渡登記に関する事務を行います。

動産譲渡担保権について

動産譲渡担保権には、個別の動産を担保の目的とする場合(以下「個別動産」)と集合物として担保の目的とする場合(以下「集合動産」)があります。個別動産として担保設定する場合には、製造番号や製造者名などを特定して登記します。一方、集合動産として担保設定する場合には、「〇〇設備一式」などと記載して、保管場所の所在や名称も登記します。集合動産として担保設定した際には、登記後に保管場所に搬入されたものであっても、同種類の動産であれば登記の対抗力は及ぶこととなります。

例)登記記録例

※個別動産の場合

【種類】太陽光パネル

【特質】製造番号 〇〇〇―〇〇〇〇

【備考】保管場所の所在地:兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 製造者名:〇〇株式会社

※集合動産の場合

【種類】太陽光発電設備一式

【保管場所の所在地】兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

【備考】太陽光発電設備一式の内訳:〇〇

    保管場所の名称:〇〇発電所

動産譲渡登記申請に必要な書類

  • 登記申請書(当事務所で作成します)
  • 代理権限証書(当事務所で作成します)
  • 譲渡人の代表者の資格証明書(作成後3ヶ月以内)
  • 譲渡人の代表者の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内)
  • 譲受人が法人の場合には、譲受人の代表者の資格証明書(作成後3ヶ月以内)
  • 譲受人が個人の場合には、譲受人の住民票写しなど
  • 存続期間が10年を超える場合には、その存続期間を定めるべき特別の事由があることを証する書面

動産譲渡登記に係る登録免許税

登記の種類 登録免許税
動産譲渡登記(1件の申請で登記できる動産の個数は1,000個まで) 1件につき7,500円(減税措置のある場合)
延長登記(存続期間を延長する場合) 1件につき3,000円
抹消登記 1件につき1,000円

動産譲渡登記についてご検討中の方、お困りの方がおられれば当事務所にご相談ください。個別に無料でお見積り作成いたします。

 

 

 

不動産を贈与するときの注意点

2021-02-24

不動産の贈与とは

不動産を生前に自分のお世話になった方や相続対策として子や孫に名義を移しておきたい、などニーズによって不動産の贈与を検討されている方もおられるでしょう。不動産の贈与は基本的にお互いの合意があればよく、対価も無償であることが殆どなので、非常に簡単で良い制度と感じられるかもしれません。

しかしながら、相続対策を始め生前贈与を検討される場合には、以下のような注意点が必要です。

①贈与契約書の有無

贈与はあげる人ともらう人の意思の合致があれば成立します。よって、契約書は必須条件ではありません。しかしながら、口頭での合意だけでは後々トラブルになったりすることも考えられますので、当事務所へご依頼の際には必ず贈与契約書を作成して、署名・押印をいただくようにしております。

②不動産の名義変更登記

上記のとおり贈与は、お互いの意思の合致があれば成立し、不動産の名義変更登記も必ずしなければならないものではありません。しかし、不動産登記には対抗要件という制度があり、贈与する人が仮に不動産を2名に贈与してしまっていたり、贈与すると約束した後に他の方に売買してしまっていたようなケースでは、先に登記名義人となった方が不動産の取得者となります。

登記をしておかないと、こういったリスクに置かれる立場となりますので、贈与契約が終わったら速やかに不動産の名義変更登記をしておくことが必要です。

③贈与に係る税金

不動産の贈与で一番皆さんが気にされる点が税金の部分だと思います。贈与税の他にも名義変更登記をする場合には不動産取得税や登録免許税などもかかってくることが殆どですので、無償で不動産を貰えると思っていたら、後で思いもしない費用が請求されてしまいます。

相続対策として考えている方であれば、「相続税」と「贈与税」との比較、夫婦間の贈与であれば配偶者控除の適用の可否、親子間の不動産贈与であれば相続時精算課税の検討など、不動産の贈与を検討される方には事前にかかる税金についても確認しておくことが必要でしょう。また、贈与税は毎年1年間110万円までは非課税となる(暦年贈与)制度もありますので、それを利用する方法も選択肢の一つとして考える方法もあります。

不動産の贈与による登記申請必要書類

当事務所で贈与による不動産の登記名義変更をご依頼いただく場合には以下のような書類が必要となります。

●あげる方(贈与者)

  • 対象不動産の登記済証または登記識別情報
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 当該不動産の固定資産税評価証明書もしくは納税通知書
  • 委任状(当事務所で作成)
  • 登記原因証明情報(当事務所で作成)

●もらう方(受贈者)

  • 住民票
  • ご印鑑(認印でも可)
  • 委任状(当事務所で作成)
  • 贈与契約書(ご依頼あれば当事務所で作成します)

不動産の贈与による登記にかかる登録免許税

対象不動産の固定資産税評価額の1000分の20を乗じた金額が登録免許税となります。

例)対象不動産の評価額が1,500万円の場合、登録免許税30万円

この他に贈与税、不動産取得税などもかかってくることもありますので、ご注意ください。

不動産の贈与による名義変更登記をご検討の方がおられれば、ご相談ください。個別にお見積り及び必要書類などについてご説明いたします。お気軽にお問合せください。

個人間・親族間売買の注意点

2021-02-22

個人間・親族間売買の注意点

不動産の売主・買主が、既に決まっている場合には、不動産仲介会社を通さずに不動産の取引を行っても、法律上は問題ありません。

しかし、売主・買主が親族同士や友人同士で良く知っている間柄であっても、不動産売買は高額な取引です。後々トラブルにならないためにも細心の注意が必要です。当事務所にも個人間・親族間売買のお問い合わせはよくいただいておりますが、ここでは個人間・親族間売買で起こりうる注意点について説明していきます。

  • 売買代金の決め方

売買代金については、売主・買主当事者の合意があれば、特段金額についての制限はありません。ただし、一般的に相場の価格に対して著しく高額または低額での売買取引を行った場合には、売買代金の一部が贈与とみなされ、贈与税が課せられることもあります。

売買代金については、当事者間の合意はもちろんですが、事前に路線価・固定資産税評価額・周辺地域の売買事例・相場などを調べて適正価格を確認しておいた方が良いでしょう。

  • 買主のローン審査が厳しくなる

個人間・親族間売買で買主が住宅ローンなどを利用して購入を考えている場合には、金融機関の審査が厳しくなるケースが多くあります。買主がローン利用を検討している場合には、事前に金融機関に打診した上で売買契約を行っておく方が良いでしょう。

  • 税金面での優遇措置の可否

不動産の取引には、売主及び買主にとってかかる様々な税金の種類があります。

特に親子間売買等の際には居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例が適用されませんので、注意が必要です。

事前に売主、買主双方とも購入時、売却時にかかる税金についても確認しておくことが必要です。

  • 売買契約書の内容

売買契約書を締結せずとも、不動産の取引を行うことは可能です。しかしながら、高額な取引になり、また取引後に「聞いていなかった」「知らなかった」などのトラブルを回避するためにも売買契約書を締結して、重要なポイントについて事前に取り決めをしておくことが必要でしょう。

また、購入後建物を建築する予定のときには、どういう地域でどういう規模や種類の建物が建築できるのかなどを事前に調べておかないと、建築自体ができないといったことも起こりえます。

いずれにしても思わぬトラブルにならない様、お互いが事前に納得した上で取引を行う事が個人間・親族間売買には重要となります。

個人間・親族間売買を検討している方、お困りのことなどあれば当事務所にご相談ください。

ご依頼者様のニーズに沿った形で、売買契約書から名義変更登記の手続きまでワンストップにて対応させていただきます。

 

 

 

 

遺産整理業務はなぜ司法書士がよいのか?

2021-02-17

遺産整理業務はどこに頼めばよいのか

「遺産整理業務」とインターネットで検索すると、銀行を始め、弁護士、司法書士、税理士、行政書士とあらゆる遺産整理業務に関するサイトが出てくると思います。どこに依頼しようか探している方にとっては、これだけ多くの情報量があると逆に難しく、悩むこともあるでしょう。もちろん、どこに依頼されても専門家であり、適切に業務を行ってくれるでしょうが、我々司法書士へご依頼いただく方がよりメリットが大きいと考えております。では、「遺産整理業務」に関してなぜ司法書士に依頼するのがよいのか、について記載していきたいと思います。

業務の違い

遺産整理業務で検索すると「銀行」や「信託銀行」が大きく出ていることが多いと思いますので、銀行に依頼されたときの業務の違いについて記載します。銀行の遺産整理業務の料金は、最低100万円からというところが多いです。この金額を支払えば、全て代行してくれるというわけではなく、その他相続税の申告や戸籍謄本の収集や不動産の名義変更による相続登記が必要なケースでは、別途税理士や司法書士への報酬がかかってきます。

銀行はもちろん大企業であり、信頼は高いと思いますが、銀行に依頼しても実際は全ての業務を銀行が行うわけではなく、専門家である税理士や司法書士などへ更に一部業務を依頼することがあります。その点、直接司法書士へ依頼すると税申告は別として、戸籍謄本の収集から不動産の名義変更による相続登記も窓口一本で対応することができます。

費用の違い

遺産の価格が総額3,000万円の場合を例にすると

  • M銀行の場合

相続税評価額による遺産の価格に下記の率を乗じた額が報酬額となります。

1億円以下の部分

1.8%

1億円超3億円以下の部分

0.9%

3億円超10億円以下の部分

0.5%

3,000万円のケースでは、報酬額は3,000万円×1.8%=54万円かと思いきや、最低報酬額110万円と規定されています。その他にも、相続税申告に伴う税理士報酬や不動産の相続登記に伴う登録免許税や司法書士報酬がかかってきますので、110万円では収まらなくなってきます。

  • 当事務所の場合

当事務所では、ご相続人様が気軽に安心して遺産整理をお任せいただけます様「相続手続きトータルサポートプラン」と名付けて、下記料金プランにて遺産整理業務を承っております。

承継対象財産の価額

報酬額

500万円以下

25万円+消費税

500万円超5000万円以下

(価額の1.2%+19万円)+消費税

5000万円超1億円以下

(価額の1.0%+29万円)+消費税

1億円超3億円以下

(価額の0.7%+59万円)+消費税

3億円超

(価額の0.4%+149万円)+消費税

当事務所の料金プランであてはめると、遺産の価額が3,000万円の場合には55万円の報酬額となります(不動産の名義変更による相続登記の報酬も含む)。

銀行に依頼されるのに比べて半分の報酬額ですみます。

専門的知識の違い

銀行や信託銀行は、金融に関するプロでありますが、法律の専門家ではありません。一方司法書士は法律の専門家です。

遺産の整理にあたっては、相続人間でどのように遺産を分けるか等の問題がでてきたり、思いがけない相続人の出現によって手続きが思い通りに進まないことも出てきます。そんな場合でも、我々は、法的知識を生かし、適切なアドバイス・対応をさせていただきます。

必要によっては、信頼のおけるパートナー弁護士・パートナー税理士をご紹介し連携してサービスを行います。

対応力の違い

銀行や信託銀行では、窓口で依頼されても途中で担当者が変わったり、また電話での連絡も営業時間の問題や自動音声サービスから案内に沿ってダイヤルしていくなど、すぐに対応してほしいときに煩わしさを感じることもあるでしょう。

当事務所に依頼されると、電話やメールでのサポートは当然のこと司法書士へダイレクトに繋がることができますので、迅速に対応することができます。

 

「遺産整理業務」について思い立ったり、お困りのことがあれば当事務所は是非お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

不動産登記はなぜ必要か?

2021-02-16

不動産登記とは

不動産を購入したり、売却したりすると法務局に対象となる不動産の所有権移転登記の申請するのが一般です。そして、実際に申請した登記が完了されると申請した内容に沿って不動産の登記簿謄本に記載され、誰もが費用を支払えば閲覧することができます。不動産登記を申請する場合には登記内容に従って定められている登録免許税を支払うときもあり、購入の際などには対象物件の固定資産税評価額が高ければ、かなりの負担となることもあります。

では、なぜ不動産登記を行う必要性があるのでしょうか?

「その不動産の所有者が誰のものなのか」というのを、公に示し第三者に権利を主張するために登記は必要となってきます。もし登記制度がなければ、皆さんが各々不動産の所有権を主張し、真の所有者が誰か分からないままに不動産取引を行ってしまう恐れも出てきます。

よって、売買や贈与、相続などによって生じた所有権の移転や借入の際に抵当権を設定したときなどには、新しい所有者や金融機関が自身の権利を主張するためにも不動産登記制度を利用します。

不動産登記の効力

不動産登記には以下の3つの効果があり、その効力によって権利が守られています。

  • 対抗力

不動産に関する物権の得喪・変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないという効力。

たとえば、所有権や抵当権などの権利を第三者に主張するようなケースに当てはまります。よって、Aが対象不動産をB、Cの2名に譲渡してしまったようなケースでは、例えBが先にAに代金を支払っていても登記をしていなければ、先に登記をしたCが所有権を主張することが可能となります。

  • 権利推定力

登記記録に記録された事項については、その記録された事項の法律関係が、一応実際に存在するものと推定されるという効力。

例えば、AからBへ所有権移転の登記がされている以上は、その記録どおりの法律関係が存在するのだろう、と推定されるものです。ただし、あくまで推定されている効力なので、もしその登記が事実とは異なる旨を反証すれば登記が覆ることになります。

  • 形式的確定力

登記が存在する以上、その有効・無効に関係なく、以後登記手続上はこれを無視して行動することは許されないという効力。

例えば、地上権設定は対象不動産に既に登記されているときには、重ねて設定登記をすることはできません。よって、実体上既に登記されている地上権が無効の状態であったとしても、これを無視して別の地上権設定登記をすることはできない、ということです。

まとめ

不動産登記は司法書士に依頼したり登録免許税を支払ったりすることで相応の費用がかかることとなりますが、確実な登記を行うことにより不動産の権利を第三者に主張することができ、それは結果として自身の権利を守ることにもなります。特に不動産の売買のときには、売主・買主と複数の当事者が存在し、また高額なお金が動くことからも、確実に登記手続きをしておく必要があります。

複雑で面倒な手続きを、迅速・確実に行うためにも不動産登記は当事務所にご依頼ください。

 

相続財産を調査するには

2021-01-21

相続財産

相続財産とは、「被相続人(亡くなられた方)の財産に属した一切の権利義務」のことを相続財産といいます。

相続財産は預貯金、不動産、株式などが代表的なものですがそれだけに限られません。

被相続人が亡くなられたことで、相続人は被相続人の死亡の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。

ただ、必ず相続をしなければならないというわけではなく、遺産分割や相続放棄という手続きもあります。いずれの手続きにするにあたっても、被相続人の資産や負債がどれくらいあるか把握できないと判断できないこともあるでしょう。

では、被相続人の相続財産を調べていく方法はどうしたら良いでしょうか。

相続財産の調査方法

亡くなられた方の財産を全て把握している方は身近な存在であっても、少ないかもしれません。

一緒に住んでいなかったり、疎遠な関係であったときは尚更財産の把握は難しくなってくるでしょう。

家を持っていたり、給与の振込や生活費で使用していた銀行などの把握は容易ですが、そのほかの相続財産はどのように探していくのでしょうか。

  • 預貯金の調査

まずは亡くなられた方がどこの金融機関と取引をしていたかを調べる必要があります。

預貯金通帳、キャッシュカードがあれば、その金融機関に預貯金が残っていること可能性は高いでしょう。その他、年金の受取口座や給与受取口座、光熱費の支払で使用していた口座等は容易に確認できるでしょう。もし口座の確認ができたものの、その金額が分からない場合は、当該金融機関に照会をかけ残高証明書等を取り寄せます。

預貯金通帳の利用明細に定期預金の利子などの記載があれば、普通預金以外に定期預金もあるでしょう。

通帳等がなければ、金融機関等から届く郵便物から調査を進めていくこともできます。

  • 不動産の調査

不動産の相続財産調査は、まず最後に住んでいた場所の不動産の登記簿謄本を確認します。所有者として亡くなられた方が記載されていればその所有権が相続財産となります。また、借り入れなどをしているときは共同担保目録に他の不動産の記載も出てくることもあります。それも相続財産となる可能性があります。

次に大体の地域は分かるものの、具体的な場所までは分からないという場合、当該市区町村役場で名寄帳を取り寄せるという方法があります。

名寄帳は、特定の区域内において、ある人が所有している全ての不動産が記載されていますので、相続財産の漏れを防ぐ助けとなります。

ただし、名寄帳には単独で所有している物件と共有の物件は別々に記録されているので、名寄帳の請求の際は共有不動産も含む旨も伝えておく必要があります。

その他に不動産の所在が判明していないときは、市町村から郵送される固定資産税の納付書があれば確認することもできるでしょう。

不動産を所有していれば、権利証等を持っている可能性も高いので、その時はご自宅や貸金庫を探すことで判明することもあります。

  • その他株式や保険等の財産

株式や保険等を所有していれば、預金通帳の利用明細に、証券会社や保険会社の収受金、上場会社などの配当金があれば、その財産を確認していきます。

また、定期的に株主になっている会社から株主総会案内等の通知が届くことで判明することもあります。

遺言書を探す方法

亡くなられた方が遺言を残していることもあります。遺言には相続財産が記載されていることが多いため、相続財産をそちらで確認することもできるでしょう。

しかし、相続財産の詳細がなく「一切の財産を●●に相続させる」という記載や相続財産の一部の記載しかない場合、遺言作成後に取得した財産がある場合など、遺言があれば相続財産の全てを把握できるとは限りません。

  • 公正証書遺言・秘密証書遺言の場合

もし、亡くなられた方が公正証書遺言をのこしていた場合、それが平成元年以降に書かれたものであれば、全国の公証役場の保管された遺言を瞬時に検索できるシステムを利用することにより探すことができます。

  • 自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言は、自分1人で作成が完結できる遺言ですので、その存在を本人以外誰も知らないということもありえます。まずは以下の場所を探してみましょう。

  ●自宅

  ●銀行の貸金庫

  ●懇意にしていた弁護士などがいればその専門家

亡くなられた方が生前に、施設に入っていたときなどは介護関係や病院関係の方に話をしているケースも考えられます。そのような方々に遺言の存在について聞いてみるのも一つでしょう。

なお、自筆証書遺言を見つけた場合は勝手に開封せず、見つけたままの状態で保管し、家庭裁判所の検認を受ける必要があるので注意してください。勝手に開封した場合は、5万円以下の過料を処せられる可能性があります。

  • 自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合

令和2年7月10日から自筆証書遺言について法務局で保管する制度が始まりました。

最近始まった制度なので、最も可能性は低いでしょうが、法務局に対して遺言書保管事実証明書の交付請求をすることで確認することができます。

負債を調査するには

住宅ローンを除き、借金をする場合、身内や家族に内緒で借入をしていることもありえます。

家族が知らない借金を、相続人が把握することは容易ではありません。

もし借金の額が大きければ、相続放棄をすることを検討しなければならず、相続放棄をするには期限がありますので注意が必要です。

  • 契約書等の書類、ローンカード等の有無の確認

金融機関からお金を借りる際、契約書に署名をする必要があります。また、カードローンのようにカードがあれば限度額内で何度も借入ができるという借入方法もあります。自宅にその契約書あるいはカードローンのカードがあれば、借金が残っている可能性があると言えます。

  • 預金通帳の履歴の確認

支払い方法を、口座引き落としにしていた場合は、通帳の履歴から借入先等が判明することがあります。

  • 督促状等の郵送物の確認

金融機関への返済が遅れると、催告状や督促状が自宅へ届くことがあります。これらの書類が届くということは、借金が残っている可能性が高いでしょう。

  • 不動産の登記簿謄本の内容確認

不動産の登記簿謄本には、当該不動産を担保として借金をする場合が多く、その借入内容等が記載されています。

ただし、住宅ローンにっで被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合は、保険請求による完済することができます。

  • 個人信用情報機関への開示請求

銀行、信用金庫、信販会社(クレジットカード)消費者金融などから借入をすると、信用情報機関にその内容が登録されています。信用情報機関に対しては、本人や相続人であればその情報の開示の請求ができます。

信用情報機関には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、一般社団法人全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)の3種類があり、保証人の記載の有無など各機関によって記載に差がありますので、心配であれば全て確認をした方がいいかもしれません。

当事務所は、相続手続きで困ったことや面倒で全て任せたいなどのお客さまからのご要望に応えるために、「相続手続きトータルサポートプラン」を設けております。

相続に関する各種ご要望は是非当事務所へご相談ください。

根抵当権の消滅請求

2021-01-19

根抵当権の消滅請求

根抵当権の場合、元本確定がされた後に被担保債権を弁済していれば、抹消登記を申請することができます。反対に、元本確定されていない場合には、被担保債権を弁済しても抹消登記を申請することはできません。そのようなケースでは根抵当権そのものを放棄してもらうことにより、元本確定前後を問わず、根抵当権の抹消登記を申請することは可能です。

その他に根抵当権を抹消する方法として、根抵当権の消滅請求という制度があります。

根抵当権の消滅請求とは、元本確定後、現に存在する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときに、物上保証人又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権もしくは対抗力を備えた賃借権を取得した第三者が、その根抵当権の極度額に相当する金銭を払い渡すか供託をして、その根抵当権の消滅を請求することができるという制度です。

根抵当権消滅請求の要件

  • 根抵当権の元本が確定していること
  • 根抵当権の現に存在する債務の額が極度額を超えていること

  元本確定時ではなく、消滅請求の時点で超えていることが必要です。

また、現に存在する債務の額とは、各債務の元本及びその利息、遅延損害金の合計額を指します。

  • 消滅請求権を有する者が根抵当権者に対して行使すること

  消滅請求権を有する者とは、物上保証人、当該不動産について所有権、地上権、永小作権もしくは対抗力のある賃借権を取得した第三者です。

  なお、消滅請求することができない者としては、債務者、保証人、当該不動産の停止条件付第三取得者で条件成就が未定の者等です。

  • 極度額に相当する金額を根抵当権者に払い渡し、又は供託をすること

  根抵当権の消滅請求は、消滅請求の意思表示が根抵当権者に到達した時に、その効力が発生しますので、根抵当権者の同意が不要です。なお、共同根抵当権の旨の登記がされている根抵当権は1個の不動産について根抵当権の消滅請求があったときは、全部の不動産について根抵当権が消滅します。

 

 

相続放棄を取消した場合の登記手続き

2020-12-25

相続放棄の取消しはできるの?

相続放棄は原則取り消すことはできませんが、以下のような場合には家庭裁判所にした相続放棄の意思表示を取り消すことができます。

  • 錯誤、詐欺又は強迫によって相続放棄をした場合
  • 未成年者が法定代理人の同意を得ないで相続放棄をした場合
  • 成年被後見人が相続放棄をした場合
  • 被保佐人が保佐人の同意を得ないで相続放棄をした場合
  • 後見監督人がある場合に、後見人がその同意を得ないで相続放棄をした場合

これらのケースに該当する場合には、家庭裁判所に対する申述により相続放棄の取消しの手続きをすることはできますが、効力は家庭裁判所の申述受理の審判の確定によって生じます。

ただし、相続放棄の取消しにも期限はあり、「追認することができる時から6ヶ月行使しないときには、時効によって消滅します。また、放棄のときから10年経過したときも同様に消滅します。」

相続放棄取消による登記手続

不動産の相続登記をする際に、相続人の中に相続放棄をした方がいる場合には、相続放棄をした方は不動産の所有者にはなりません。

相続放棄は初めから相続したものとみなされないためです。

では、一旦相続登記がされた後に相続人の誰かが相続放棄取消をした場合には、登記手続きを変更することはできるでしょうか。

相続放棄の取消しが有効にされると、相続放棄は最初からされなかったものとなり、相続放棄をした方も財産を相続することができます。

よってこのようなケースでは、その方を除外してされた相続登記を「更正」することとなります。

所有権の更正登記は、相続放棄取消によって新たに登記名義や持分を得る方だけではなく、他の登記名義を失ったり持分が減少する相続人も一緒に申請人となります。

(持分に増減が生じない方は申請人となりません)

よって、登記名義を失ったり減少する方の署名や印鑑証明書、権利証などの協力も必要となってきますので、ご注意ください。

 

相続登記全般についてご相談があれば、お気軽にご連絡ください。

電話、メールでも随時受け付けております。

 

 

 

根抵当権の債務者が亡くなったときには

2020-12-23

根抵当権の債務者が亡くなったら

 元本確定前の根抵当権の債務者について相続が開始した場合には、その相続開始時に存在する債務は、相続人が承継します。よって、債務を承継した相続人を明らかにするためにも債務者の変更登記が必要となってきます。

 債務者の表示は登記簿謄本にも記載されますので、共同相続人全員の住所や氏名を記載することとなります。ただし相続人の中で相続放棄をした方がいる場合には、初めから相続人とならないために債務者として記載されることはありません。

指定債務者の合意とは

 根抵当権の債務者が亡くなられたときに、根抵当権者(銀行等)と債務者の相続人が元本を確定させないで引き続き根抵当権枠での取引を継続しようとするときは、

①債務者の相続による変更登記のほかに②根抵当権者と設定者(所有者)の合意により定める「指定債務者の合意」の登記もしなければなりません。

指定債務者とは、相続開始後に債務を負担するものであり、相続人の中から指定しなければなりません。

 この②の登記は①の登記とともに、債務者の相続開始後6ヶ月以内にしなければ当該根抵当権の元本は確定してしまいますので、注意が必要です。

この①、②の登記をすることで元本は確定せずに、当該根抵当権は亡くなった債務者が相続開始時に存在する債務及び指定債務者が相続開始後に負担する債務を担保することとなるため、

従前通りの取引ができるようになります。

指定債務者の合意と利益相反

 元本確定前の根抵当権の債務者及び設定者(所有者)である父が死亡し、未成年者の子が根抵当権の対象となっている不動産を相続することは勿論可能です。

ただし、母親が子に代わって指定債務者とする合意は、親の債務を子が担保提供することとなり、利益相反に該当します。

利益相反に該当するような場合には、その子のために特別代理人を選任するために家庭裁判所への手続きが必要となってきます。

登記手続きについて

①、②の登記は当該根抵当権の対象となっている不動産の相続登記手続とは別個のものです。

仮に、亡くなった父が不動産の設定者(所有者)及び根抵当権の債務者であった場合(相続人は配偶者と子1人)で考えてみると

1、不動産の相続による所有者の名義変更登記(登録免許税:不動産の固定資産税評価額×1000分の4

        ⇓

2、根抵当権の債務者(父から配偶者と子へ)の変更登記(登録免許税:不動産1個につき1,000円)

        ⇓

3、指定債務者(配偶者か子のどちらか)の合意の登記(登録免許税:不動産1個につき1,000円)

と、3種類の登記手続が必要です。(同時に申請することはできます)

 

もし亡くなられた方が個人事業主であった場合などには、根抵当権の債務者になっていることも考えれらますので、事業をされていた方の相続手続きには特に注意する必要があるでしょう。

当事務所はあらゆる相続手続きにも親身にサポートいたしますので、相続手続きのことや亡くなられた方の借入のことなどで不安や悩みがある方は一度ご相談ください。

阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい場所にあります。

初回相談・見積り作成は無料です。

 

 

 

 

 

地上権に関する登記

2020-11-13

地上権とは

工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利のことです。通常、地上権を設定する際には地上権設定契約書を締結することになると思いますが、契約をしただけでは第三者に地上権の存在を主張することはできませんので、速やかに登記をしておいた方が良いでしょう。

 

普通地上権設定登記の登記記録例

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
1 地上権設定 令和〇年〇月〇日第〇号

原因 〇年〇月〇日設定

目的 鉄筋コンクリート造建物所有

存続期間 50年

地代 月額3万円

支払期 毎月末日

地上権者 〇市〇町〇番〇号

     株式会社A

地上権設定登記は、抵当権等と同じように不動産登記簿謄本の乙区(権利部)欄に記載されます。

地上権設定登記の登記事項

  • 目的

「スキー場所有」「建物所有」「ゴルフ場所有」「太陽光事業のための施設・設備所有」等が挙げられます。

  • 存続期間

存続期間の定めがある場合には、登記することができます。

期間については、特段定めがなく「永久」や「50年」「100年」等とすることも可能です。

  • 地代・支払期

こちらも定めがある場合には、登記することができます。地代については額だけではなく、「存続期間中地代の増減をしない」旨の特約がされている場合には、その特約も登記することができます。

区分地上権とは

地上権とは上記に記載している通り、「工作物や竹林を所有するために他人の土地を使用する権利」のことですが、その中でも特に「工作物を所有するために、地下又は空間の範囲を定めて」設定することも可能です。この地上権のことを区分地上権と言います。

区分地上権設定登記の登記記録例

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
1 地上権設定 令和〇年〇月〇日第〇号

原因 〇年〇月〇日設定

目的 地下鉄道施設

範囲 大阪湾平均海面下〇メートルから下〇メートルの間 

存続期間 50年

地代 1平方メートル1年50万円

支払期 毎年〇月〇日

地上権者 〇市〇町〇番〇号

     株式会社A

 

 

普通地上権設定登記と相違点

  • 登記の目的は「区分地上権設定」ではなく「地上権設定」となります。
  • 登記記録例にある通り、「範囲」の登記をすることができます。但し、範囲を疎明するような図面の添付は不要です。
  • 区分地上権行使のための土地に加える使用制限についの登記が可能。

例)「特約 地上部分に〇トン以上の工作物を設置しない」等

  • 利害関係人の承諾が必要

区分地上権設定の登記を申請する場合に、目的たる土地について使用・収益する権利及びこられの権利を目的とする権利を有する者が存在するときは、これらの者の承諾証明情報が必要です。

例)地上権・賃借権等の登記名義人

地上権設定登記の必要書類について

  • 登記原因証明情報
  • 不動産の所有者(設定者)の登記識別情報又は登記済証
  • 不動産の所有者(設定者)の印鑑証明書
  • 登録免許税

不動産の価額(固定資産税評価証明の価額)×1,000分の10

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