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死後事務委任契約とは
死後事務委任契約
人が亡くなられると、葬儀場の手配、役所への届出、また病院や施設の費用清算や年金の手続きなど様々な手続きが発生します。
一般的に、これらの手続きは残された家族や親族が行います。家族や親族であれば、わざわざ契約をしておかなくても葬儀の手続きや役所への届出をすることは当然可能です。
ただし、家族や親族、身寄りの方がおられない方の場合には、代わりにその手続きを行ってくれる人がいないこともあり得るでしょう。
今後より一層高齢化社会が進み、家族関係も変わってきていることから、このような手続きを行ってくれる方がおられないまま亡くなられてしまう事も増えてくる事は当然予想されます。
ご自身が亡くなった後の事を考えて、亡くなられた後の事務手続きを任せたいと思った方に、手続きを行ってくれるようにあらかじめ生前に契約をしておくことを「死後事務委任契約」と呼んでいます。
死後事務委任契約と遺言(遺言執行)の違い
先程も述べました通り、「死後事務委任契約」とは葬儀場の手配、役所への届出、病院や施設の費用の清算や年金の手続きなど様々な事務手続きを生前にあらかじめ委託する方と契約をしておくことです。亡くなられた後の事務手続きについての契約になる為に、相続財産については対応できません。
それに対して、遺言(遺言執行)とは自身が亡くなった後の財産の分け方などをあらかじめ指定しておくことです。遺言を残すような家族や親族がいるような場合では、その方たちが死後の事務手続きも行ってくれることでしょう。ただし、遺言ではあくまで財産承継についての記載しかすることができません。
よって例えば、第三者に遺贈する旨の内容の遺言で遺言執行者を定めていたとしても、遺言執行者は遺言で定められた財産等の承継しか手続きを行うことはできません。
すなわち、死後事務委任契約だけをしておいても財産承継の部分は対応することはできませんし、一方遺言だけでは死後事務手続きについて任せることはできません。
身近な家族・親族もなく、誰かに頼ることもできないような方であれば、「遺言書」と「死後事務委任契約」をセットで残しておくことで、財産承継と死後の事務手続きも網羅でき、心配や不安ごとも解消できるでしょう。
死後事務委任契約の契約内容について
亡くなられた後に発生する手続きが必要な可能性のある項目については、なるべく全て明記した上で契約をしておいた方が良いでしょう。
死後事務委任は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家へのご依頼に関わらず、知人などの第三者と契約をすることもできます。
しかしながら、死後の事務手続費用に関するお金を預けたり、報酬を支払っておいたりしても、それがご自身の意思とは違う部分で使用されたり、使い込まれてしまう可能性もあります。
専門家に依頼すれば、死後事務委任契約をしっかりと作成してもらうこともできるでしょうし、契約内容に沿った死後事務手続きをきちんと正確に行ってくれることでしょう。
●死後事務委任契約の委任事務についての一例 ①葬儀、火葬、納骨、埋葬に関する事務 ②遺骨の埋蔵、収蔵に関する事務 ③永代供養に関する事務 ④医療契約・介護施設利用料等の解約・清算手続きに関する事務 ⑤不動産賃貸借契約の解約、明け渡しまでの管理事務 ⑥住居内の遺品整理事務 ⑦公共サービス料金等の解約・清算事務 ⑧住民税、国民健康保険料等の納税手続 ⑨市役所等への各種届出・手続 ⑩SNS、メールアカウント、パソコンのデータ消去等の各種手続 ⑪親族等への死亡通知等連絡に関する事務 ⑫勤務先企業への退職に関する手続 ⑬ペットの引き渡し手続 など |
死後事務委任は、あくまで亡くなられた後に委任事務が発動しますので、内容を変更することはできません。よって、あらかじめ話し合いにより委任事務の内容は詳細に盛り込んでおくこと方がお互いに安心できるでしょう。
また、死後事務は委任者が亡くなられると即時に事務作業は開始されます。
- 遺体の引取りや葬儀場の手配、病院や介護施設料の解約・清算費用なご、多くの費用が発生してきます。このような費用に対応するために、一定金額を契約時に受任者に預けておく(預託)方法が一般的です。預託金額は死後事務委任契約時に定めておくこととなりますが、ご依頼される内容や規模によって異なってきますので、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
- 死後事務委任は、亡くなられた方の意思を尊重しながら、最後まで見届ける必要があります。その分責任も重く、依頼される方にとっても、誰に頼めば安心なのかはすぐに答えが出ないでしょう。当事務所はそのようなことでお困りやお悩みの方に少しでも寄り添えるように、ご相談には真摯に対応するよう努めております。
相続や遺言に限らず、亡くなられた後のご不安やご心配ごとがあれば、お気軽にご相談ください。
任意後見を検討した方がよいケース
任意後見を検討したいのだが。。。
実際に任意後見を検討して進めてみたい、と思っても今は健康で判断能力も問題ない方は中々踏み出すことは難しいでしょう。そこで、今回は「任意後見制度」を利用するに適したケースをいくつか紹介していきますので、ご参考にしてみてください。
※当事務所ホームページ「成年後見をご検討中の方へ」も参照してください。
https://amagasaki-shiho.com/seinenkouken_kentouchuu/
ケース①:夫婦2人暮らしで子供、兄弟姉妹がいない場合
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上記のような場合、夫婦2人の内のどちらかの判断能力が低下してしまったときなどは、もう一方で身の回りのことや様々な手続きを行わなければなりません。夫婦ともに高齢になってくると、一人で全ての手続きなどを行っていくことは難しくなってくることもあるでしょう。
このようなときに備えて、夫と妻双方が元気な内に任意後見契約、財産管理契約、死後事務委任契約などをしておくことで老後の安心に代えることができるでしょう。
例えば財産管理契約をしておくことで、仮に夫の介護が必要になり、自身で動くことができなくなっても、銀行の手続き、役所の手続きなどを任せることができます。
また、死後事務委任契約をしておくことで、仮に夫が先に他界したときに、妻一人で全てすることが難しい葬儀の手続きなどを任せることもできます。
ケース②:両親は既に他界しており、独身の場合
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上記のような場合でも、ケース①と同様にもしご自身が動けなくなってしまうと、身の回りのことを誰かに頼る必要が出てくるでしょう。
ご自身が元気な内に任意後見契約、財産管理契約、死後事務委任契約をしておくことで、万一の備えになります。
例えば任意後見契約、財産管理契約をしておくことで病院や施設への入所手続き、入院費・施設費の支払、介護サービスの利用手続きなどをすることを任せることができます。
また、死後事務委任契約をしておくことで、自身が亡くなった後の死亡届の提出や葬儀、火葬の手続きを任せることもできます。
ケース③:子供、両親はいるが、遠方にいたり関係が希薄な場合
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この場合には、ご自身の判断能力が低下したときに、近くに信頼できる親族がいないため、身の回りのことを誰かに任せる必要が出てくるでしょう。
ご自身が元気な内に任意後見契約、財産管理契約、死後事務委任契約をしておくことで、万一の備えになります。
死後事務委任契約は、子供がいても海外などに住んでいるとすぐに帰国することができないかもしれませんので、予め死後事務委任契約をしておくことで葬儀や火葬の手続きを任せることができます。
以上のようなご紹介したケースに限らず、任意後見はご自身が元気なうちに将来のことを前もって考え、相談し、備えることができる制度です。
後見制度について、ご検討・ご質問などあれば、当事務所にご相談ください。
初回相談は無料です。
家族信託と後見制度の違いとは
家族信託と後見制度との違い
当事務所でも家族信託の問い合わせを良く頂きますが、後見制度と混同されている方も多く、ご希望があった際には家族信託と後見制度共にご説明した上で納得・理解を頂くように努めております。各々の制度には共通する点及び相違する点もあり、互いに補完することで最も効果が出ることもあります。
それでは、以下に両制度の比較について記載していきたいと思います。
家族信託と後見制度の比較
家族信託 | 法定後見 | 任意後見 | |
効力発生時期 | 信託契約の定めによる | 家庭裁判所による後見開始審判確定後 | 家庭裁判所による任意後見監督人を選任審判確定後 |
本人の事理弁識能力の程度(判断能力など) |
十分にある |
欠けている場合(後見) 著しく不十分な場合(保佐) 不十分な場合(補助) |
十分にある(程度によっては、不十分である場合でも可) |
受託者・後見人等の選任方法 | 本人が決める | 家庭裁判所が選任 | 本人が決める |
財産管理の対象財産 | 信託行為の定めによる | 全財産 | 任意後見契約の定めによる |
財産管理の権限 | 信託行為の定めによる | 後見人などが包括的代理権及び取消権を有する | 任意後見契約の定めにより任意後人が代理権を有するが、取消権はない |
他人のための財産の利用 | 信託行為の定めによる | 基本的に不可 | 任意後見契約の定めによる |
身上監護権 | なし | あり | あり |
- 家族信託は信託契約の定めにより、契約行為により効力が発生するので当事者間で直ちに効力を発生させることも可能です。これに対し、後見制度については本人の判断能力の低下により家庭裁判所の審判が確定して初めて効力が発生するので、ある程度の時間がかかり、その間に財産が流失する可能性はあります。
- 家族信託及び任意後見制度は契約行為であるために、本人の判断能力は求められます。
- 家族信託及び任意後見制度では財産管理の対象を契約内容により定めることができるために、特定の財産を対象から外すことも可能です。しかしながら、法定後見制度は全財産が対象となり、特定の財産を対象から外すことなどはできません。
- 孫に対しての教育資金の贈与など他人のための財産の利用について、家族信託及び任意後見制度では契約に定めることにより可能となります。これに対し、法定後見制度では後見人は本人の財産の維持に努めなければならないために、他人のために財産を利用することはできません。
- 後見人は、家庭裁判所から付与された権限(代理権や取消権など)を用いて、本人の財産管理や身上保護に関する事務を行います。これにより、後見人は本人の金銭管理を行ったり、本人の施設入所・入退院の手続、介護保険サービスの申請や契約等の手続きなど、様々な諸手続や手配などを本人に代わって行うことができます。これに対して、家族信託では身上監護権はないために、施設入所・入退院の手続などを行うことはできません。
家族信託も後見制度と同様に一つの手段であり、当事務所ではお客様それぞれの状況・ニーズなどによって、どの制度を利用するのが最も良いのかを提案しながら一緒に解決をしていきたいと思っています。
検討されている方、お困りの方がおられれば、まずはご相談ください。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
初回相談・見積り作成は無料です。
高齢になった親の財産を保護するには
高齢者の財産保護について
高齢者の方が独り暮らしをしていて、やや判断能力が衰えてきたときなどは、ご本人含め家族も体調面はもとより財産保護についても心配なことが起きてくる可能性も増えてきます。訪問販売や電話により、高額な契約を押し付けられ詐欺に遭いそうなときなど、一人で対処できるか不安に思うこともあるでしょう。そのような場合に、財産の管理を信頼できる家族・親族に託すことはできるでしょうか。
- 検討内容:高齢者の方や判断能力が衰えてきた方の財産を保護する制度としては、「法定後見制度」「任意後見制度」がまずは考えられます。
法定後見制度は、実際に物忘れなど判断能力が低下してきたで、今後の財産管理などに不安がでてきた場合に、ご自身及び親族などにより家庭裁判所に申立てることにより始まります。具体的に判断能力が低下していることが前提となります。法定後見には判断能力の程度によって「後見」(判断が全くできない状態)「保佐」(判断が著しくできない状態)「補助」(判断ができないことがある状態)の3種類の制度が更にあり、ご本人の事情に応じて選べるようになっています。
ご本人が判断能力が少し落ち始めている程度であれば、「後見」ではなく「補助」の利用が考えられますが、「補助」の場合には本人に財産管理の権限は残されており、詐欺などの被害に遭う危険性は完全にはなくなりません。
一方、任意後見制度は、将来の判断能力が低下した場合に備え、ご自身で後見人を誰にし、その後見人にどういったことを任せるかなどを決めた上で、任意後見契約を結ぶことによって始まります。但し、任意後見はまだご自身に判断能力が十分ありますので、任意後見契約をしてもすぐには後見人の援助を必要としないでしょう。よって任意後見契約後に実際に判断能力が低下してから、家庭裁判所への申立てをして始めて後見人としての活動が始まることになります。また、任意後見制度は、受任者に任意後見契約に基づいた財産管理に関する権限を与えるだけであり、ご本人に財産管理の権限は残りますし、受任者に取消権も存在しません。こちらの制度でもご本人が詐欺に遭ったケースなどでは、対応しきれない部分が出てきます。
- 同制度の問題点:ランニングコストが相応にかかるケースがあります。
法定後見制度の場合には、後見人、保佐人、補助人に親族が選任されれば、特段報酬がかかるケースは少ないです。但し、裁判所の判断によって専門家が選任された場合には、ご本人の保有資産にもよりますが、ある程度の報酬が発生します。(月額2万円~5万円程度)
任意後見制度も同様であり、親族が任意後見人に就任しても、任意後見監督人には専門家が選任されるケースが多く、ご本人の保有資産にもよりますが、こちらも報酬が発生します。(月額1万円~3万円程度)
- その他の検討方法について:後見制度を利用せずとも、家族信託を利用する方法も考えられます。
ご本人の判断能力がしっかりしている内に、家族信託を利用することによって、信頼できる子や親族に受託者になってもらい、ご本人は財産管理の手間から解放されます。家族信託においては、裁判所の管理下にはおかれない為に、ご本人が希望する者を受託者として指定することができます。
今回のようなケースで家族信託を利用する場合のスキームとしては、以下のようなものが考えられます。
①信託の目的:ご本人の財産管理の負担をなくすこと、ご本人が安全かつ安心な生活を送れるようにすること など
②信託財産:金銭(預貯金)や不動産
③当事者:委託者⇒ご本人
受託者⇒ご本人が指定した親族
受益者⇒ご本人
④信託期間:信託終了の自由:ご本人が死亡するまで
税金についても、信託においては受託者ではなく受益者に課税されることになっていますので、委託者と受益者が同一人となっている場合には、信託の存続期間中には受益者に贈与税等の課税はかかりません。但し、信託終了時には、信託財産が法定相続人に承継されるために法定相続人に対しては相続税が課税されることがあります。
当事務所では、家族信託は遺言や成年後見制度等他の仕組みと同様に一つの手段として考えており、お客様各々の状況・ニーズ等を把握しながら、家族信託のような複雑に見える仕組みを使わなくても解決できるような場合には、他の方法もご提示しながら最善の解決策を提供できる様に努めておりますので、ご不安なことがあれば気軽にご相談ください。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
初回相談・見積り作成は無料です。
法定後見制度と任意後見制度の違いとは?
法定後見制度と任意後見制度の違い
近年テレビ、雑誌でも「成年後見制度」という言葉を目や耳にすることもあるでしょう。この成年後見制度には大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。この2つの制度とも「判断能力の不十分な方の財産や権利を保護したり、生活を支援するための制度」という大きな趣旨は異なりません。しかしながら、違う点についても勿論ありますので、その事柄を中心に説明していきます。
- その1、制度の開始方法
法定後見は、実際に物忘れなど判断能力が低下してきたで、今後の財産管理などに不安がでてきた場合に、ご自身及び親族などにより家庭裁判所に申立てることにより始まります。具体的に判断能力が低下していることが前提となります。法定後見には判断能力の程度によって「後見」(判断が全くできない状態)「保佐」(判断が著しくできない状態)「補助」(判断ができないことがある状態)の3種類の制度が更にあり、ご本人の事情に応じて選べるようになっています。
一方、任意後見は、将来の判断能力が低下した場合に備え、ご自身で後見人を誰にし、その後見人にどういったことを任せるかなどを決めた上で、任意後見契約を結ぶことによって始まります。但し、任意後見はまだご自身に判断能力が十分ありますので、任意後見契約をしてもすぐには後見人の援助を必要としないでしょう。よって任意後見契約後に実際に判断能力が低下してから、家庭裁判所への申立てをして始めて後見人としての活動が始まることになります。
分かりやすくいうと法定後見は「実際に判断能力が低下してきた場合に、既に発生している不安・不都合や今後発生するであろう不安・不都合を解消するための制度」であり、任意後見は「判断能力がある内に、将来発生するである不安・不都合に備えるための制度」と言えるでしょう。
ともに後見人がつくと、法務局に成年後見(任意後見)の登記がされます。
- その2、権限の違い
法定後見は「保佐」「補助」の場合は法律で定めれた範囲内での代理権・同意権となりますが、「後見」の場合は日用品の購入などの日常生活に関する行為及び結婚や認知、養子縁組などの一身専属権、身上監護権以外のほぼ全ての同意権を持っています。成年後見人は被後見人の財産を守ることが求められており、逆に言うと資産運用や相続税対策などの財産を増やす行為をすることはできません。
これと異なり、任意後見はあくまで当事者間の契約で内容を決めることができますので、先に述べたような法定後見ではできないような行為についても可能と言えます。但し、任意後見の代理権はあくまで契約内容で決まりますので、任意後見契約に記載した代理権しかありません。また、法定後見と違い、後見人に取消権も存在しません。
どちらの制度についても、被後見人の財産や権利を守るという観点から大きな差はありませんが、任意後見の方がご本人の意思で始まることから幅広い選択肢があると言えるでしょう。
任意後見制度って?任意後見制度をご検討の方へ
任意後見制度とは
法定後見制度が、判断能力が低下した時に利用する制度であるのに対し、任意後見制度は、判断能力が十分にあるときに信頼できる人と任意後見契約を結んでおいて、将来判断能力が低下した時にその契約をした人に後見をしてもらう制度です。
任意後見制度は、将来判断能力が十分にある時に、不十分となった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活や療養看護、財産管理などに関する事務について代理権を与えておく契約(任意後見契約)を結んでおくものです。
簡単に言うと、自分の信頼できる人・団体に自信の判断能力が低下したら、その後の財産管理などについて「お願いできる仕組み」を自ら作っておく制度になります。
任意後見制度を利用する際には必ず公証人役場で公正証書を作成する必要があります。公正証書を作成する費用は以下のとおりです。
①公正証書作成の基本手数料・・・1万1,000円
②登記嘱託手数料・・・1400円
③登記所に納付する印紙代・・・2600円
この他にも当事者に交付する正本等の証書代や登記嘱託書郵送代がかかります。
任意後見契約の類型
任意後見契約には、現在のお考え、お身体の状態に応じてさまざまなタイプ(将来型・移行型・段階型)の契約方法があります。
今のご自身にあった契約内容を選ぶことで安心して後見契約を締結することができます。
●将来型とは?
財産管理までお願いするのは不安なのでとりあえずは「見守り契約」からはじめて信頼関係を築きたいと、いう方に適しています。
「将来型」の場合、任意後見契約締結から任意後見の開始まで相当な期間が経過することから、任意後見を開始せずに本人が亡くなられることもあり得ます。
また、任意後見受任者が、本人の判断能力の低下に気がつかなかったりすることもあります。そのため別途、「見守り契約」(本人の健康状態等を把握するために定期的に電話や訪問するなどして見守るという契約)を結び、任意後見の発効まで継続的に支援する仕組みを作ることをおすすめします。
●移行型とは?
現在、判断能力はあるが、身体の具合がよくないなどの理由から、金融機関などの手続きを任せたい、という方に適しています。
任意後見契約で恐らく最も多く使われている類型です。
任意後見契約締結と同時に「財産管理契約」(財産管理・身上監護に関する委任契約)を締結します。
本人の判断能力がある当初は委任契約による支援を行い、本人の判断能力が低下後は任意後見契約による支援を行うため、支援の空白期間がないというメリットがあります。
●段階型とは?
はじめに段階的に信頼関係を築きつつ、身体が不自由になった場合に、金融機関の手続きなどで慌てないようにしておきたい、などの手厚いサポートを望む方に適しています。
任意後見契約締結と同時に「見守り契約」の他「財産管理契約」や「死後事務委任契約」などを締結します。
いずれの契約類型においても、※死後事務委任契約を結んだり、遺言書作成をすることで葬儀から埋葬、相続までよりご自身のお気持ちを反映することができます。
- 死後事務委任契約~
本人に相続人がいない場合や、相続人がいても妻が認知症であったり、お子様が知的障害を持たれている場合などは、本人の死後の事務ができないこともあります。
後見人は本人が死亡すると、後見事務は終了してしまいますので、本人の死後事務をあらかじめ委任しておく必要性があるケースもあります。
そのような場合に、死後事務委任契約をしておくことで不安を解消できます。
任意後見制度のメリット・デメリット
メリット:
本人の意思で適切と考える任意後見人を選任できる
●任意後見制度は本人の意思を尊重する制度であり、事前に本人に関する情報を把握することができる
●資格のはく奪や権利の制限がない
●任意後見契約だけでなく、他の死後事務委任契約などの制度も選択ですることで、自身が亡くなった後の不安も解消できる
デメリット:
●契約などの取り消し権は持たないので、本人に不利益な契約であっても取り消すことができない
●任意後見監督人の監督下にあり、財産の柔軟な利用・処分ができない任意後見制度の場合は、家庭裁判所の選任により、任意後見監督人がつけられます。任意後見監督人が定期的に任意後見人の職務を監督しますので、任意後見契約で定めた権限が全て履行できるとは限りません。
●報酬が必要となる
●任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決定します。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しています。尼崎市内の方に関わらず、任意後見制度について、ご関心がある方、ご検討されている方がおられましたら、当事務所にご相談ください。
初回相談・見積は無料です。
認知症になったら不動産を売却できるの?
不動産を所有している親が認知症になったら?
日本は超高齢化社会に突入しており、今後もますます高齢者の人口・割合が増えていくことが予想されます。
それに伴って認知症となる人が増えていくことは当然考えられます。
親が預貯金はあまりないが、不動産を所有しているケースで、認知症になった後の介護施設への入居費用、または生活費・医療費などの支払いのために今後誰も住むことがないであろう不動産を売却して現金化したいというニーズは出てくることもあると思います。
そのような場合に不動産を売却することができるのでしょうか。
不動産の売買契約には意思能力を有していることが求められます。
認知症になったり、判断能力が低下しているとこの契約の意思能力を有しているとみなすことが難しくなってしまいます。認知症になったら意思能力を有していないと単純に判断されるものではありませんが、少なくとも売買契約の内容及び登記名義人を変更するための登記手続きに対する理解は必要かと思います。
いずれにしても、認知症になったり、判断能力が低下すると不動産を売却することは一切できなくなるわけではありません。
以下に大きく分けて2種類ある売却する方法についてご説明します。
成年後見制度の利用
不動産の所有者が判断能力がない限り、仮にその相続人全員が同意していても売却することはできません。相続人といっても本人ではなく、あくまで代理人という立場にしかなれないからです。そこで成年後見制度を利用することで成年後見人が認知症である本人に代わって売却することができるようになります。
- それでは成年後見制度とはどういう制度でしょうか。
成年後見といえば、皆さんは真っ先に、「高齢で認知症になったときに使わなくてはいけない制度」と思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、成年後見制度は高齢者だけを対象とするものではありません。
高齢による認知症に限らず、知的障害、精神障害などの理由で判断能力を欠く、もしくは不十分な方々も対象とした制度です。
判断能力を欠いたり、不十分になったりすると、預貯金の入出金などの管理、生活費・医療費などの給付、施設への入所の手続き、相続問題などについて、自身で判断し、対処することが難しい場合が出てきます。
また、自分に不利益な内容であっても判断できずに、高額商品の売り込みによる購入や、振り込め詐欺などの被害に合うケースも十分考えられます。
このような被害を防ぐために、財産を管理し、本人のために活用するなど判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
しかしながら、成年後見制度を利用するには相応の時間とお金が必要となり、また家庭裁判所の管理下に置かれるために、本人の生活費・医療費のためなど本人にとって意味のあるものでしかお金を払い出ししたり、使うことはできません。
そのため、相続人の生活費のため、孫の教育費のためなどの理由では、成年後見人は本人の不動産を売却することはできません。
また、本人のためであったとしても、本人の金融資産が潤沢にあるような状況では、不動産を売る必要性が無いとみなされ、売却することはできないでしょう。
- 成年後見制度を利用した不動産売却の手続きについて
成年後見人が本人の居住用不動産を売却するときは、家庭裁判所の許可が必要となります。
居住用不動産売却に係る家庭裁判所の許可を得るには、成年後見人が家庭裁判所に対して、居住用不動産処分の許可の申立てを行います。
買主がいるからすぐに売却手続きができるわけではなく、家庭裁判所の許可を得て初めて取引ができるようになるなど、手続きも厳格化されます。
ただし、成年後見人は不動産の売却だけではなく、本人が亡くなられるか意思能力が回復するまでは、業務は行うことになりますので、ご注意ください。
家族信託(家族のための信託)の利用
家族信託を利用すれば認知症及び判断能力が低下している方でも事前に信託契約を締結し、内容を定めておくことにより所有している不動産を売却することもできます。
実際に信託契約に沿った条件を満たした時には、受託者が不動産を売却できる旨などの記載しておくことで、受託者は委託者(本人)に代わって不動産を売却することができます。
この制度を利用する場合には、成年後見制度と違い、家庭裁判所の許可も不要であり、また資金使途なども信託契約に定めておくことである程度柔軟に対応することも可能です。
いずれにしても、家族信託は信託契約により成立しますので、認知症となった後では契約行為をすることはできず、この制度を利用することはできません。
どちらの制度を検討するにしても、今まで親子・家族間では言えなかった財産について前向きに話し合うきっかけにきっとなることでしょう。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
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