Archive for the ‘相続’ Category

相続人の欠格事由について

2020-10-19

相続人の欠格事由とは

相続人としての地位がある者であっても、一定の重大な事情が存在するために、この者に相続させることが一般の法感情から見て妥当でない場合もあるでしょう。そのような場合に相続人の意思を問うことなく法律上当然に相続人である資格を失うものの要件を民法で定めています。一定の重大な非行行為に対する制裁の位置づけです。

第891条(相続人の欠格事由)

次に掲げる者は、相続人となることができない。

①故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

②被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の分別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りではない

③詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

④詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

  • 注意事項

要件①:「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者」に対しての殺人の故意が必要となります。「故意」が要件となることから、殺人未遂や殺人予備は欠格事由となりますが、過失致死については欠格事由に含まれません。

要件②:「殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったとき」とあるために兄弟姉妹は含まれません。よって、自己の兄弟姉妹が被相続人を殺害したことを知って、告訴しなかった者は欠格事由となります。

要件③:詐欺や強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をしたり、撤回・取消・変更することを妨げた者は欠格事由となります。

要件④:詐欺や強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をさせたり、撤回・取消・変更をさせた者も欠格事由となります。

要件⑤:相続人が被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、欠格事由にあたりません。よって、遺言書を故意に破棄や隠匿したとしても、その他に利得目的も含まれている必要があります。

相続人の欠格事由の効果について

  • 相続人としての資格の剥奪

・特定の被相続人との関係だけで相続人資格を奪うもので、子が父の遺言に不正を行っても、母の相続を受けることは可能。

しかしながら、子が父を殺害した場合には、母の相続を受けることもできません。(母の相続人として父と子は同順位なので)

・欠格の効果は一身専属的であり、欠格者に子がいる場合などは、その子が代襲して相続を受けることはできます。

  • 受遺能力の喪失

相続のみならず遺贈を受けることもできません。

  • 効果発生時期

・欠格事由が発生すれば、特段の手続きを要せずに、相続人資格は剥奪されます。

・相続開始前に欠格原因である事実が発生していれば即時に欠格の効果が生じます。もし相続開始後に欠格原因が発生すれば、相続開始時に遡って欠格の効果が生じます。

 

 

 

 

相続人ではない第三者へ遺贈する旨の遺言があった場合の不動産登記

2020-10-16

相続登記について

亡くなられた方(被相続人)が不動産を所有していた場合、被相続人の相続人が財産に関する権利義務を承継することになり、承継する割合(法定相続分)については民法で定められています。

  • 法定相続分
配偶者と子が相続人  配偶者2分の1、子2分の1
配偶者と直系尊属(親)が相続人  配偶者3分の2、直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹が相続人

配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

配偶者がいない場合には、子がいれば子に、子がいない場合で親が生きている場合には親に、子も親もいない場合には兄弟姉妹に相続財産が承継されます。但し、一般的には相続人同士が遺産分割協議をして相続財産の分け方、割合を決めることが多いです。

遺言による不動産の指定があった場合

被相続人が遺言を残していたときはその遺言の内容が優先されるため、法定相続人が法定相続分どおりに承継するのではなく遺言の内容に従って不動産も承継されます。不動産についても同じであり、遺言で不動産を承継させる者を指定することができます。

被相続人が遺言で、被相続人が所有していた不動産を相続人ではなく、第三者に遺贈すると指定することも勿論できます。

この場合の遺贈を受ける第三者のことを「受遺者」といいます。

遺言で不動産を遺贈する者が指定されていた場合には、被相続人の名義となっている不動産については、その名義を不動産を遺贈すると指定された受遺者名義へ名義変更登記をすることになります。

自筆証書遺言がある場合の遺贈登記

遺言には主に自筆証書遺言と公正証書遺言、そして秘密証書遺言の3種類がありますが、現状最も多いのが自筆証書遺言でしょう。

第三者へ遺贈する旨の遺言があるときの遺贈登記は、受遺者と相続人全員が共同で申請をします。

遺言執行者が選任されている場合は、受遺者と遺言執行者が共同で申請をします。

遺言執行者が選任されておらず、相続人が万一登記に協力してくれない場合は、相続人に登記手続の履行を求めて訴えを提起するか、家庭裁判所に遺言執行者が選任してもらうことになります。

第三者へ遺贈をするときは、遺言で遺言執行者を指定しておいた方が相続手続きはスムーズになるでしょう。

但し、自筆証書遺言の場合には※例外を除くとそのままでは相続登記の添付書類として使用できません。

自筆証書遺言を相続登記に使用するには、家庭裁判所へ遺言書の検認の申立てをして、自筆証書遺言に検認済証明書を付けてもらう必要があります。

※例外については、法務局での遺言書保管制度が始まり、当該遺言書については検認が不要となります。詳細は下記当事務所ホームページをご参照ください。

https://amagasaki-shiho.com/souzokuhoukaisei_igon_hokan/

家庭裁判所で遺言書の検認手続きが完了したとしても、その遺言が有効なものと判断されたわけではなく、自筆証書遺言の成立要件を満たしていなければ遺言は有効とみなされませんので、ご注意ください。

公正証書遺言がある場合の遺贈登記

公正証書遺言は公証人が作成する遺言であり、遺言の原本が公証役場に保管されるため偽造や紛失のリスクがありません。また、自筆証書遺言や秘密証書遺言と異なり、家庭裁判所による遺言の検認手続きが不要です。そのため、費用が他の遺言と比べてかかるものの、公正証書遺言は遺言の中でも人気のある遺言の一つです。よって、公正証書遺言はそのまま遺贈登記の添付書類とすることができます。

いずれの遺言の種類でも、受遺者へ遺贈する旨の遺言があるときは、被相続人の名義となっている当該不動産につき、その名義を受遺者名義へと変更する登記を速やかにしておいた方がよいでしょう。

遺言の存在を知らない相続人が、自身へ相続登記をして当該不動産を売却してしまうと第三者には対抗できなくなってしまう恐れもあります。

第三者への遺贈登記の添付書類

第三者への遺贈登記について、遺言執行者がいる場合といない場合で必要書類が異なってきます。

  • 遺言執行者がいる場合の添付書類

・公正証書遺言の正本または謄本

・対象不動産の登記済証または登記識別情報

・遺言者の死亡した旨の記載がある戸籍謄本

・遺言者の住民票除票

・遺言執行者の印鑑証明書

・受遺者の住民票

・対象不動産の固定資産税評価証明書または課税通知書

  • 遺言執行者のいない場合の添付書類

・公正証書遺言の正本または謄本

・対象不動産の登記済証または登記識別情報

・遺言者の死亡した旨の記載がある戸籍謄本

・遺言者の住民票除票

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の印鑑証明書

・対象不動産の固定資産税評価証明書または課税通知書

遺言執行者がいる場合といない場合の大きな違いは、遺言者の相続人全員の協力が必要か否かということです。遺言執行者がいれば、相続人の協力なく遺贈登記を行うことができますが、遺言執行者がいなければ、相続人と受遺者との共同申請となりますので、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書など協力が必要となってきます。

 

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。

初回相談・見積り作成は無料です。

 

 

自筆証書遺言がある場合の相続登記

2020-10-14

相続登記

亡くなられた方(被相続人)が不動産を所有していた場合、被相続人の相続人が財産に関する権利義務を承継することになり、承継する割合(法定相続分)については民法で定められています。

  • 法定相続分
配偶者と子が相続人  配偶者2分の1、子2分の1
配偶者と直系尊属(親)が相続人  配偶者3分の2、直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹が相続人

配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

配偶者がいない場合には、子がいれば子に、子がいない場合で親が生きている場合には親に、子も親もいない場合には兄弟姉妹に相続財産が承継されます。但し、一般的には相続人同士が遺産分割協議をして相続財産の分け方、割合を決めることが多いです。

遺言による相続財産の指定があった場合

被相続人が遺言を残していたときはその遺言の内容が優先されるため、法定相続人が法定相続分どおりに承継するのではなく遺言の内容に従って相続財産が承継されます。不動産についても同じであり、遺言で相続させる者を指定することができます。

遺言で不動産を相続する者が指定されていた場合には、被相続人の名義となっている不動産については、その名義を不動産を相続すると指定された相続人名義へ相続登記をすることになります。

自筆証書遺言がある場合の相続登記

遺言には主に自筆証書遺言と公正証書遺言、そして秘密証書遺言の3種類がありますが、現状最も多いのが自筆証書遺言でしょう。

自筆証書遺言により不動産を相続した相続人は、その自筆証書遺言を使って、自身で自分名義へ相続登記をすることが可能です。

しかしながら、自筆証書遺言の場合には※例外を除くとそのままでは相続登記の添付書類として使用できません。

自筆証書遺言を相続登記に使用するには、家庭裁判所へ遺言書の検認の申立てをして、自筆証書遺言に検認済証明書を付けてもらう必要があります。

※例外については、法務局での遺言書保管制度が始まり、当該遺言書については検認が不要となります。詳細は下記当事務所ホームページをご参照ください。

https://amagasaki-shiho.com/souzokuhoukaisei_igon_hokan/

家庭裁判所で遺言書の検認手続きが完了したとしても、その遺言が有効なものと判断されたわけではなく、自筆証書遺言の成立要件を満たしていなければ遺言は有効とみなされませんので、ご注意ください。

自筆証書遺言による相続登記

家庭裁判所の検認を終えると、相続登記の手続きを行うことができます。具体的には以下のような書類を添付して申請することとなります。

  • 検認済の自筆証書遺言の原本
  • 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本、住民票除票など
  • 不動産を取得する相続人の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 不動産の固定資産税評価証明書、課税通知書など

 

不動産の名義変更登記は、法務局という公的機関によってなされるものであり、登記記録という第三者に公開されている名簿の名義を書き換えるとても重要な手続きになります。

よって、この手続きには必要な書類を始め、申請内容においても厳格に法律で定めがあり、不備や誤記があると名義変更手続きができなくなってしまいます。

また、多忙から相続登記を放置しておくと、遺言書があるからといっても第三者に自信が所有者だと対抗することができません。

当事務所では、お忙しい相続人様の為に相続手続きの全てをお手伝いする「相続手続きトータルサポートプラン」を始め、できるところは自分でしたいが、より専門的な部分だけ専門家の力を借りたいといった方の為の「登記手続きプラン」もご用意しております。

ご相続人様のニーズに合わせてプランニングし、ご安心ご納得いただける形でお手伝いさせて頂きます。

 

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初回相談・見積り作成は無料です。

預貯金の相続手続きがしたい

2020-10-08

預貯金の相続手続きとは

現在では、殆ど全員の方がどこかしらの銀行口座をお持ちかと思います。それでは銀行口座をお持ちの方が亡くなられた場合の相続手続きはどうしたらよいでしょうか。

一般的に相続が発生すると、口座が凍結されてしまうという事をよく耳にされているかと思いますが、相続が発生しても銀行が相続発生の旨を知ることができませんので、相続人からの届け出や申し出によって口座が凍結されることになります。

稀に、届け出前であっても何らかの事情で金融機関にて死亡の事実を確認しており、口座が凍結される場合もあります。

では、相続人の方は具体的にどのような手続きを踏んでいけば良いのでしょうか。

  • 銀行や郵便局への死亡届の提出や死亡した旨の連絡をします。
  • 銀行や郵便局は死亡届を受けた口座名義人の口座凍結をします。
  • 遺言や遺産分割協議等で決定された相続人もしくは、代表相続人からの定期解約・預金払い戻しの請求の手続きをします。
  • 請求者指定の口座に入金されます。

 

各金融機関によって提出書類や、提出先(支店窓口なのか、相続管理センター等への郵送提出なのか)が異なってきますが、おおよその流れは以上のようになります。

流れ自体は複雑ではないのですが、各種届け出・請求には、戸籍や印鑑証明書・遺産分割協議書等の法的書類が必要となってきます。

銀行としても誤った手続きで亡くなった方の預貯金を払い出しすることはできませんので、厳格な手続きを踏んでいきます。

 

当事務所では、各金融機関の提出書類の取得から作成、届け出まで全て代行して手続きを行うことができます。

 

各金融機関とのやりとりの実績が多数ございますのでお客様のご意向に沿えるように、迅速にかつ確実に手続きを代行いたします。

 

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相続による所有権移転手続き

2020-10-07

不動産の相続による所有権移転

被相続人が不動産を所有していた場合には、相続による所有権移転登記の手続きが必要となりますが、何から始めれば良いのでしょうか。

遺言及び遺産分割協議などが特段ない場合には、法定相続分の割合にて所有権移転登記をすることとなりますので、相続による所有権移転登記の手続きについては、まず相続人を確定するところから始めていかなければなりません。

相続人を判断していくには、まず、推定相続人について判断します。推定相続人とは、法定相続人のうち最優先順位にあたる者で、相続開始によって直ちに相続人となるべき者です。具体的には

第1順位で子、第2順位で直系尊属(被相続人の父、母など)、第3順位で兄弟姉妹がなり、配偶者は常に相続人となります。

但し、相続人となるべき者であっても下記のような場合には注意が必要です。

  • 相続人の中に相続放棄をした者がいる場合

相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。したがって、相続放棄をした者は相続人の数には入れずに相続分を算定します。

  • 代襲相続がある場合

被相続人の死亡以前に相続人となるべき子や兄弟姉妹が死亡していた場合には、その者の直系卑属(子や孫など、但し兄弟姉妹の場合はその子に限ります)がその者に代わってその者が受けるはずであった相続分を相続します。相続人が相続放棄をしている場合には、代襲原因とはなりませんので、ご注意ください。

  • 相続人の中で廃除されている者がいる場合

相続人の中で※廃除されているものがいる場合、その者自身は相続人となりませんが、代襲相続の場合と同様にその者の直系卑属がその者に代わって相続分を相続します。

※廃除とは

相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはその他の著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求したり、遺言によって相続人の地位を奪うことをいいます。

法定相続分

配偶者及び子が相続人であるときは、配偶者及び子の相続分は各2分の1であり、配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1、配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1となります。子が数人いるときは、各自の相続分は均等になります。

数字相続のケース

既に開始した相続について、相続登記未了の間に相続人の死亡により、さらに相続が開始した場合を数字相続といいます。

数字相続が発生しているケースでは、下記の2通りの相続登記の手続きを行います。

①中間の相続が単独相続であるとき

数字相続において、単独で相続した者がその登記をしないうちに死亡し、さらに相続が開始した場合のように、中間の相続が単独相続であるときは、現在の相続人に直接所有権移転登記をすることができます。中間の相続が単独相続である場合とは、相続放棄、遺産分割、相続分の譲渡、特別受益などにより、中間の相続が単独相続となる場合でも良いとされています。最終の相続自体は、単独又は共同相続のいずれであっても構いません。

②中間の相続が単独相続でないとき

中間の相続が単独相続でない場合には、中間者の相続登記を省略することできません。まず、中間者名義に相続登記をした後に、現在の相続人に相続登記をする必要があります。

 

相続登記をせずに放置しておいても、特段罰則などはありませんが、以上のように相続登記をしないうちに代襲相続や数字相続が発生した結果、推定相続人が増えていくことで、相続人同士の縁も薄れていくことから、相続登記が困難になるケースもあります。

不動産の相続登記はお早めにご相談されることをお勧めします。

 

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民法改正~特別の寄与~

2020-09-18

特別の寄与とは?

民法改正前は、寄与分は相続人のみに認められていたので、相続人の妻が被相続人(夫の父や母)の療養看護に努め、被相続人の財産の維持又は増加に寄与した場合であっても、遺産分割手続きにおいては相続人でないために、寄与分を主張したり、財産の分配を請求することはできませんでした。

被相続人の療養看護を全くしなかった相続人が遺産を相続できるに、実際に療養看護をした者が相続人でないという理由で遺産の分配を受け取れないのは非常に不公平感がありました。そこで今般の民法改正により、相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護などを行ったころにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与があったと認められた場合には、相続人に対して金銭を請求することができるようになりました。

第1050条

Ⅰ 被相続人に対して無償で療養看護をその他の労務を提供したことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及ぶ第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

Ⅱ 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時かた6か月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りではない。

Ⅲ 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

Ⅳ 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

Ⅴ 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第900条から902条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

寄与分と特別寄与料の比較について

         寄与分       特別寄与料
対象者  共同相続人

被相続人の親族

(相続人、相続放棄をした者、相続欠格又は廃除に該当する者の除く)

要件

被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により

被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより

被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと

手続き方法

共同相続人間の協議

⇒協議が調わないときや協議をすることができないときは、家庭裁判所は、寄与をした者の請求により、寄与分を定める

当事者間の協議

⇒協議が調わないときや協議をすることができないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求する

特別寄与料の注意点

  • 特別寄与料を請求できる者は、あくまで相続人ではないので、遺産分割については、相続人だけで行います。
  • 特別寄与料を請求できるのは、相続人以外の「親族」に限られます。
  • 特別寄与料の請求手続きは、期間の制限があり、相続人を知った時から6か月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、請求できません。

 

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相続登記に期限はあるの?

2020-09-06

相続登記に期限はあるの?

亡くなられた方が不動産を所有していた場合、相続登記を行わないと売却したり、賃貸に出すことなどはできません。それでは、相続登記はいつまでに行う必要があるのでしょうか?

実際は、相続登記に期限はありません。よって相続登記をせずに放置していても、特に罰則などもありません。

相続登記は戸籍などを集めたり、相続人同士での話し合いも必要な為に、手続きを先延ばしておいたり、面倒で放置しておくこともあるでしょう。

しかし、相続登記をせずに放置しておくと以下のような問題が起こることもありますので、当事務所では早めの相続登記をお勧めしております。

 

相続登記をせずに放置していたら

相続人同士で話し合いはついていたものの、相続登記をせずに放置していたところ、相続人の一人が亡くなってしまった。。。

このような場合に相続人全員で一旦話し合いがついていたものの、今度は亡くなった相続人の相続人とも協議をする必要が出てきます。最初の相続人は身近な関係(兄弟など)が多く、協議しやすい環境が多いでしょう。しかし相続登記をしない内にその兄弟などが亡くなってしまうと、次はその兄弟の相続人(子ども)との協議が必要にあり、自分とは縁の遠い関係になっていくので、住所、連絡先が分からなかったり、協力もすんなりと得ることが難しくなってきます。

また、相続登記には相続人全員の同意及び亡くなった方及び相続人の戸籍が原則必要です。相続人がどんどん増えていくとその分費用も手間もかかってきてしまいます。

相続登記をしようと思ったら

亡くなられた方が不動産を所有していたら、速やかに相続登記をしておいた方が良いでしょう。

登記手続きに必要となる書類、費用などは個々の相続案件によって変わりますので、当事務所へ一括でご依頼頂ければ、戸籍など必要な書類の収集から、手続きに必要な書類の作成まで全てお手伝いさせて頂きます。

税制面でもご相談も当事務所が提携している税理士のご紹介もできますので、安心してご相談ください。

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住宅ローン返済中にローン契約者が亡くなったら

2020-08-25

住宅ローン返済中にローン契約者が亡くなったら

皆さんが住宅ローンの借入の契約をする際に団体信用生命保険(以下「団信」といいます)に加入されていることが殆どだと思います。この団信という制度は、住宅ローンの返済中にローン契約者が死亡あるいは高度障害になった場合に、本人に代わって保険会社がその時点でのローン残高に相当する保険金を金融機関に払い込み、その結果住宅ローンが完済となるものです。現在は死亡あるいは高度障害だけでなく、金融機関の商品によっては三大疾病になった際にも団信が適用される保険商品などもあります。

団信に加入していたローン契約者が死亡した場合には、上記の通り住宅ローンは完済されますので、相続人は住宅ローンの返済を引き継ぐことはありません。但し、返済義務を免れる代わりに、自宅を金融機関に差し出すものではなく、相続人は自宅について相続をすることができます。
これに対し、団信に加入していなかった場合はローン契約者が死亡しても、住宅ローンの支払いに影響はなく、相続人は相続放棄をして自宅を手放さない限りは、返済義務を引き継ぐこととなります。

団信に加入していて住宅ローンが完済されたら
団信によって住宅ローンが完済となった場合でも、自動的に自宅の登記簿から抵当権が消えるわけではありません。
抵当権の登記を抹消するには、抵当権の抹消登記に必要となる書類を集めて、当該不動産の管轄法務局に抵当権抹消の登記申請をする必要があります。

抵当権抹消の手続きについて
団信によって住宅ローンが完済され、抵当権の効力が亡くなった際の抵当権抹消手続きの手順は①ローン契約者の死亡②団信による住宅ローンの完済③完済による抵当権の抹消 という順番で事実が発生しておりますので、自宅の所有者の名義を相続登記してから、抵当権抹消登記の手続きをする運びとなります。

相続登記については、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、遺産分割をする際には遺産分割協議書及び印鑑証明書、不動産を実際に相続する方の住民票などの書類が必要となります。相続登記の書類及び抵当権抹消の書類が揃っていれば、①相続登記②抵当権抹消登記を同時に申請することもできます。
この手続きは、特段いつまでにしなければならないという期限はありませんが、金融機関から送られてくる抵当権抹消書類を紛失したり、相続人間で二次相続が行ったときには余分な費用や時間がかかってしまうことも十分あり得ますので、なるべく速やかに当該手続きを申請することをお勧めします。

団信による住宅ローンの完済手続きでお困りのことがあれば、当事務所にご相談ください。

相続登記をせずに売買できる?

2020-08-19

相続登記をせずに売買できるのか

不動産を所有していた被相続人が亡くなった後に、相続した不動産を売却するケースも当然にあると思います。相続不動産を売却する場合に相続人全員の意思も合致しており、売却代金も法定相続分通りで分けるといったケースでは、後に相続人同士で揉めることもないでしょうし、手続き面、費用面でも節約できるので、相続登記をせずに売買することができればそれが一番です。しかしながいかに相続人全員の売却意思が確固たるものであっても、当該不動産を被相続人から相続人の名義に変更してからでないと、売買による所有権移転登記は行うことができません。これは原則生前に被相続人が売買契約を締結していた場合でも変わりません。

生前に売買契約を締結していたのだから、そのまま相続登記をせずとも所有権移転登記を行えるのではないかと思われる方も多いでしょう。確かに物権変動の時期については、民法第176条で
「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」と定めています。この規定によれば、不動産の売買でも売買契約を締結したときに物権変動が生じ、売主から買主に移転されることになります。

但し、不動産売買では売買契約締結時には手付金のみを支払い、後日残代金の支払いと引き換えに不動産の引渡しを行う旨などの特約をつけておくことが通常です。これは、不動産の取引は高額であり、売買契約を締結してから金融機関にローンを申し込みしたりと残代金の準備をする時間が必要であり、売買契約締結と同時に代金の全額を売主が受け取ることは、現実的ではないからです。

よって言い換えると被相続人が生前に不動産の売買契約を締結しており、その契約書の中に残代金の支払いと引き換えに引渡しをする旨などの特約がなければ、売買契約締結時に被相続人から買主に所有権移転されていたことになるので、相続登記をせずに買主に所有権移転登記をすることが可能です。

 

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遺産分割協議を成立させるには?

2020-07-27

遺産分割協議を成立させるには

遺産分割協議自体は、相続人全員が遺産分割の協議内容に同意すれば成立しますので、必ずしも遺産分割協議書の作成及び相続人全員の署名・捺印が必要な訳ではありません。しかしながら、遺産分割協議の内容を基に、不動産の名義変更や金融機関への相続手続きなどをするには、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を提示や添付を求められることが殆どです。また、今後相続人同士で揉め事にならない様にするためにも、遺産分割協議書は作成しておいた方が良いでしょう。

遺産分割協議による相続登記の場合を例にみましょう。

父親が亡くなり、相続人が母(妻)、子供2人の合計3名いるときに、遺産分割協議によって不動産については母(妻)が相続することとなったときは、不動産の名義人を父から母に相続による所有権移転の登記を申請することができます。このときの相続登記の申請の際には、その旨が記載された「遺産分割協議書」及び「相続人の印鑑証明書」を添付しなければなりません。(この「遺産分割協議書」「印鑑証明書」は原本を添付する必要がありますが、原本還付の請求をしておくことで、登記完了後に原本は返却されます。)

相続登記の申請の添付書類は厳格なものとなりますので、遺産分割協議書に実印が押印されていなかったり、相続人の内の一人でも印鑑証明書の添付がないときは相続登記を完了することはできません。

遺産分割協議書がまとまらない場合

そもそも相続人同士の遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所へ遺産分割の調停の申し立てをする必要があります。遺産分割調停の手続きは下記リンクをご参照ください。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html

  • 遺産分割協議の内容はまとまったが、協議書に押印しない相続人がいる場合

この場合には、当事者間で解決できる見込みがないときには、当該相続人に対して所有権の確認の訴えを提起し、勝訴判決を得ることで相続登記が可能となります。

  • 遺産分割協議書に押印はしたものの、印鑑証明書を提供してくれない場合

遺産分割協議書の真否確認の訴えを提起し、勝訴判決を得ることで相続登記が可能となります。

いずれの方法にしても、遺産分割協議がまとまらないケースや書類が揃わないケースの場合には、裁判、調停などの手続きを経る必要があり、手間及び時間、費用もかかってしまいます。相続人同士でも全く面識がないケースなどもありますので、協議自体を進めていくことが難しいケースもあるでしょう。

遺産分割協議や相続でお困りのことがあれば、当事務所へご相談ください。

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