Archive for the ‘不動産’ Category

不動産業を始めるにあたっての司法書士・行政書士との関係

2022-01-27

不動産業を始めるにあたって

不動産業を始めるにあたって、税務面では税理士、会社設立や免許関係などでは司法書士・行政書士にご相談される方が多いかと思います。

ここでは、当事務所で取り扱っている司法書士・行政書士との関係性について説明していきます。

司法書士との関係性

司法書士の主な仕事は法務局に対しての登記手続の書類作成や代行業務です。

登記手続は、不動産の売買などに限らず、会社設立や役員変更などの商業登記も勿論含まれます。

これから不動産業を始める方は各種法人を設立されることが殆どかと思いますので、最初に会社設立に際しての書類作成や定款認証などの手続きで関係することになるでしょう。

その後、不動産業を開始した後にも、自社で不動産を購入・売却するとき、仲介業務で買主への名義変更手続きをするとき、銀行で不動産担保をつけて借入をするとき、お客様からの相続登記の相談への対応、その他にも自社の役員変更や資本金の変更などで司法書士と一緒に仕事をするケースは多くでてきます。

行政書士との関係性

行政書士の主な仕事は、行政庁に対する書類作成や手続きの代行業務です。

不動産業を始めるにあたっては、宅建業の免許取得が必要です。この免許取得の手続きについての書類作成や代行手続きを行政書士に依頼することもできます。

その後不動産業を開始した後でも本店や代表者、宅地建物取引士の変更などがあった場合には、宅建業変更届を提出する必要がありますし、一旦取得した宅建業免許の更新手続きも出てきます。

こうした各種手続きを行政書士に依頼することで、本業に集中することができるでしょう。

 

当事務所は、司法書士・行政書士業務の双方の取扱いができますので、不動産業を始める方にとってはワンストップで手続きを進めていくことができます。

また、事業を進めていく中での色々な相談ことにも、迅速に対応させて頂きます。

不動産業を始めようとされる方で、これからどこに相談しようかお悩みの方は、一度当事務所にご相談ください。

初回相談は無料で承っております。

夫婦間の不動産贈与をご検討の方

2022-01-24

居住用不動産の贈与

不動産を贈与する場合に、最も気になるのが贈与税だと思います。

相続等に比べて基礎控除額も少なく、税率も高い為に税金を考えると贈与することに二の足を踏んでしまうこともあるでしょう。

しかしながら、夫婦間で一定の要件などを満たしたときには贈与税がかからないケースもありますので、生前対策の一つとしてご検討の方は参考にして下さい。

夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除の特例

●概要

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の贈与が行われた場合、基礎控除110万円の他に最高2,000万円まで控除できる特例となっております。

※同じ配偶者からは一生に一度しか受けることはできません。

※対象不動産によっては、不動産取得税は課税されることもあります。

●要件

  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  • 配偶者から控除された財産が、居住用不動産であること
  • 贈与を受けた時の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

●手続き方法

所轄税務署に以下のような書類を添付して、贈与税の申告をする必要があります。

(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本

(2)財産の贈与を受けた日かた10日を経過した日以後に作成された戸籍附票の写し

(3)居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの

(4)その居住用不動産を評価するための書類(固定資産税評価証明書など)

居住用不動産の登記手続き

●必要書類

(1)贈与する人の印鑑証明書

(2)贈与を受ける人の住民票

(3)対象不動産の登記識別情報通知(又は、登記済証)

(4)対象不動産の固定資産税評価額が分かるもの(固定資産税評価証明書、納税通知書写しなど)

●登録免許税

  • 対象不動産の固定資産税評価額の1000分の20(2%)

夫婦間贈与について、ご検討の方は当事務所にお気軽にご相談ください。贈与税申告手続きについても、パートナー税理士をご紹介させて頂くことも可能です。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

遺言があるからといって相続登記を放置していると・・・

2021-12-07

相続登記を放置しておくと

遺言があり、自身が不動産を相続する旨の記載があると、それで安心してしまい相続登記は後回しになってしまうこともあるでしょう。

今までであれば遺言の効力は非常に強く、第三者に対しても所有権を主張することができました。

しかしながら、2019年7月1日に改正相続法が施行されたことにより、遺言により不動産を承継した相続人は、自分の相続分を超える部分については、相続登記をしないと第三者へ対抗することができないと定められました。

これにより、遺言によって不動産を承継した相続人以外の人が、その相続登記よりも先に何かしらの登記を入れてしまった場合、当該相続人の相続分を超える部分については、自身がその不動産の所有者であることを主張することが極めて難しくなったということです。

具体的には、以下のようなケースが考えられます。

事例)相続人が長男A、次男Bの2名、長男Aに不動産を全て相続させる旨の遺言がある。

  • Bの債権者が差押えしてきたケース

Bの債権者にとっては、万一Bが返済できない場合には、不動産を処分した代金から回収してくることも考えてきます。

遺言の存在を知らず、また登記簿上にも遺言通りの相続登記がされていない状況では、それを信用した債権者を保護する必要があります。

よってBの法定相続分である2分の1について差押えをしてきても、A自身が不動産の所有者であることを主張することが難しくなります。

  • Bが持分を勝手に売却してしまったケース

遺言によって不動産を承継した相続人以外であるBが、その相続登記よりも先に自身の法定相続分の持分について売却し、登記を入れてしまった場合には、Aは当該相続人の相続分を超える部分(2分の1)については、自身がその不動産の所有者であることを主張することが難しくなります。

第三者に対抗するには

上記のようなケースを回避する方法としては、遺言があった場合でも、速やかに相続登記をすることです。

2024年を目処に相続登記も義務化されます。今までと違い、遺言があるからといって相続登記を後回しにしていると、上記のような思わぬ事態に合うリスクも出てきます。

遺言による相続登記も遺言の種類によって、手続きが異なってくることもありますので、お早目にご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

 

法人と役員との不動産取引について

2021-11-15

法人と役員との不動産取引とは

不動産の取引については、広く認められていますので、勿論法人とその法人の役員(取締役等)との売買をすることも可能です。

不動産管理上の問題や税制面での問題等で、役員(個人)が所有している不動産を法人に売買することもあるでしょう。

ただし、通常の不動産取引と異なり、法人と役員との売買は「利益相反取引」に該当しますので、注意が必要です。

利益相反取引とは

利益相反取引とは、取締役が会社と自身の利益が相反する取引を会社に行わせることです。

会社法でも、利益相反取引については、次のとおり定めています。

会社法第356条(競業及び利益相反取引の制限)

取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。

三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。

会社法第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)

取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

二 取締役会設置会社においては、第365条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

上記条文にある通り、法人と役員間で行う不動産取引は事前に株主総会(又は取締役会)での承認を受けなければなりません。

これは売買のみに関らず、法人から役員への贈与や役員への金銭消費貸借等も該当します。ここでよくある質問ですが、同族会社で株主及び役員が一人であって、決議が承認されることが分かっていても株主総会が必要か、という事です。

判例上は、自分以外の株主がおらず利益が侵害される可能性はありませんので、利益相反承認の決議自体は不要であると考えられています。

しかしながら、不動産登記申請においては、登記官が当該法人の株主が一人かどうか確認できない点などから、一人株主であっても、株主総会議事録の添付を省略することはできません。

具体的には、決議事項の中に「当事者(買主・売主)、対象不動産、売買契約締結日、売買価格」などを盛り込み、承認を受けることとなります。決議要件を満たし承認を得ることができたら、その議事の内容を株主総会議事録(取締役会議事録)として作成します。

株主総会(取締役会)での承認決議後の手続き

株主総会(又は取締役会)での承認決議を経たら、実際に不動産取引を進めることができます。

不動産取引申請時には、通常の売買の手続きに必要な書類の他、承認決議を経た株主総会議事録(取締役会議事録)も添付します。

 

この取引が利益相反取引に該当するのか?利益相反取引に該当するのであれば手続きををお願いしたい、等お困りのことがあればお気軽にご相談ください。初回相談・費用見積は無料で承っております。

 

 

 

太陽光パネル設置と担保設定

2021-11-12

太陽光発電事業に対する担保設定

太陽光発電事業をする際に、金融機関として担保を設定する為に一般的に以下のような事項を請求してくることがあります。

Ⅰ、太陽光発電事業をする不動産(土地)に対する担保設定

Ⅱ、太陽光パネル等発電設備(動産)に対する担保設定

Ⅲ、太陽光発電事業をする不動産(他人の土地)に対する担保設定

その他にも、電力会社に対する売掛債権(売電)に対する担保設定を要求してくるケースもあります。

Ⅰ、不動産に対する担保設定

不動産に対しては、通常通り金融機関と共同して抵当権を設定することができます。

Ⅱ、太陽光パネル等動産に対する担保設定

動産については、不動産のように通常では抵当権の設定はできませんが、

①動産譲渡担保や②工場抵当を利用することにより、動産にも担保設定ができ、金融機関からの融資も受けやすくなります。

①動産譲渡登記制度

法人が保有する在庫商品、機械設備、家畜等の動産を活用した資金調達の円滑化を図るために平成17年10月から開始されたものです。その登記の対象は法人が動産を譲渡した場合に限定しており、動産譲渡登記をすることによって民法第178条の引渡しがあったものとみなされ、第三者対抗要件が具備されます。同一の動産について二重譲渡された場合の譲受人相互間の優劣は、登記の先後または登記と民法第178条の引渡しの先後によって決まります。

動産譲渡担保権には、個別の動産を担保の目的とする場合(以下「個別動産」)と集合物として担保の目的とする場合(以下「集合動産」)があります。個別動産として担保設定する場合には、製造番号や製造者名などを特定して登記します。一方、集合動産として担保設定する場合には、「〇〇設備一式」などと記載して、保管場所の所在や名称も登記します。集合動産として担保設定した際には、登記後に保管場所に搬入されたものであっても、同種類の動産であれば登記の対抗力は及ぶこととなります。

例)登記記録例

※個別動産の場合

【種類】太陽光パネル

【特質】製造番号 〇〇〇―〇〇〇〇

【備考】保管場所の所在地:兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 製造者名:〇〇株式会社

※集合動産の場合

【種類】太陽光発電設備一式

【保管場所の所在地】兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

【備考】太陽光発電設備一式の内訳:〇〇

    保管場所の名称:〇〇発電所

②工場抵当登記制度

太陽光発電事業などを行う土地を所有していれば、動産譲渡担保と違い、法人・個人関係なく不動産及び動産についても抵当権を設定できます。

こちらの設定方法では、通常の抵当権設定と合わせて「機械器具目録」を作成し、法務局に提出する必要があります。

「機械器具目録」には土地1筆ごとに、動産譲渡担保の登記記録と同じように種類・構造・個数・製作者の氏名、名称・製造年月・型式等を記載して、識別できるようにします。

動産譲渡登記と異なり、簡易な手続きで利用できます。ただし、登記が完了された後に登記簿謄本を普通に取得しても通常の抵当権設定の記載しかでてきませんが、工場抵当であることが分かるように「工場抵当法第3条第2項目録作成」と記載されます。

機械器具目録付の登記簿謄本を取得する際には、当該不動産の管轄法務局でしか取得できませんので、ご注意ください。

Ⅲ、太陽光発電事業をする不動産(他人の土地)に対する担保設定(地上権)

地上権とは

工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利のことです。通常、地上権を設定する際には地上権設定契約書を締結することになると思いますが、契約をしただけでは第三者に地上権の存在を主張することはできませんので、速やかに登記をしておいた方が良いでしょう。

 

普通地上権設定登記の登記記録例

順位番号

登記の目的

受付年月日・受付番号

権利者その他の事項

1

地上権設定

令和〇年〇月〇日第〇号

原因 令和〇年〇月〇日設定

目的 太陽光発電事業のための施設・設備少雨

存続期間 令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで

地代 1平方メートル1年金〇円

支払時期 毎年〇月〇日

地上権者 〇市〇町〇番〇号

     株式会社A

地上権設定登記は、抵当権等と同じように不動産登記簿謄本の乙区(権利部)欄に記載されます。

地上権設定登記の登記事項

  • 目的

「太陽光事業のための施設・設備所有」等が挙げられます。

  • 存続期間

存続期間の定めがある場合には、登記することができます。

期間については、特段定めがなく「永久」や「50年」「100年」等とすることも可能です。

  • 地代・支払期

こちらも定めがある場合には、登記することができます。地代については額だけではなく、「存続期間中地代の増減をしない」旨の特約がされている場合には、その特約も登記することができます。

地上権設定登記の必要書類について

  • 登記原因証明情報
  • 不動産の所有者(設定者)の登記識別情報又は登記済証
  • 不動産の所有者(設定者)の印鑑証明書
  • 登録免許税

不動産の価額(固定資産税評価証明の価額)×1,000分の10

動産譲渡担保や工場抵当、地上権設定登記を金融機関から依頼されてお困りの方などおられれば、一度ご相談ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

 

 

不動産を(生前)贈与するには

2021-10-06

不動産の贈与

生前に妻や孫、相続人ではないがお世話になった方に財産を渡すことができる手段として「生前贈与」があります。贈与については、無償で渡すことが多いでしょうが、負担付等の条件をつけることも可能です。

贈与は、遺言とは異なり生前に渡す側ともらう側双方の合意によって成立するものです。合意方法は書面でなければならないという決まりはありませんので、口頭での約束でも贈与は成立します。

ですが生前贈与については不動産などの高額財産を対象とすることが多く、後々「言った言わない」等のトラブルを避けるためにも書面を残しておく方が良いでしょう。

贈与とは基本的に信頼のおける相手に財産を渡すことが殆どかと思いますが、折角お互いに合意していたのに、書面をきちんと残していなかったばかりに予期せぬトラブルが起こっては元も子もありません。

他にも生前贈与には贈与契約書作成の他、不動産を対象とする場合には名義変更の登記手続が必要となってきますし、税金関係の問題も関わってきます。

当事務所では、提携している税理士事務所も無料でご紹介させて頂きますので、生前贈与をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

 

相続で一つの土地を兄弟2人で分けるには?

2021-10-04

相続による遺産分割と土地の分筆

相続の相談を受ける中で時々ある相談内容が「父親が持っていた土地を半分に分けて、兄弟(姉妹)でそれぞれ相続したい」というものです。

この内容をそのまま遺産分割協議書に記載すると「甲土地を半分に分けて、兄と弟がそれぞれ1つずつ取得する」となるでしょうか。

しかし、この内容の遺産分割協議書ではその趣旨は理解できても、登記手続きをすることはできません。

それはなぜかというと、兄弟のどちらが甲土地の半分に分けたどの部分(北側?南側?東側?西側?どの地点で分けてそれが何㎡?)かが分からない為です。

このような場合には、土地をどのように分けるか確定させる為の「分筆登記」が必要となってきます。

「分筆登記」は司法書士ではなく、土地家屋調査士が測量、境界確定をした上で、どの地点で土地を分けるかの図面を作成し、土地を分割する登記をすることとなります。

分筆登記が無事完了すると、元々甲土地1筆であったものが、乙土地・丙土地の2つに分かれ、それぞれの面積や地番が登記されます。

こうして分筆登記により、土地を2つに分けた後で遺産分割協議書に「乙土地を兄●●が取得する。丙土地は弟●●が取得する。」と記載することで、晴れて相続登記をすることが可能となります。

相続人の意向を踏まえた上で、確実に相続手続きを進めていくには、中には上記のような順序立てて行っていくケースもでてきます。

当事務所は、必要であれば他の士業(弁護士、土地家屋調査士、税理士など)と連携しながら、お客様のご意向の沿えるように手続きを進めていきます。

お困りやご相談ごとがあれば、気軽にご連絡ください。

初回相談・費用見積は無料です。

 

 

合併した会社の不動産の所有権移転登記

2021-09-15

会社の合併した際の不動産登記について

会社が合併するとは、「吸収合併」や「新設合併」のように、合併により承継する会社と消滅する会社ができます。

これらの事由は当事者が定めた効力発生日により発効されますが、対抗要件として合併した旨の登記(商業登記)をしておきます。
それでは、消滅会社が不動産を所有していたときには、その名義変更登記をする必要はあるでしょうか。

承継会社が不動産んを所有している場合には、特段手続きをする必要はありませんが、消滅会社名義の不動産については、承継会社に権利を移転させるための登記をする必要があります。

登録免許税については、通常の売買などによる登録免許税の税率ではなく、相続などと同様の税率(不動産価格の1000分の4)を納める必要があります。

登記についての申請期限はありませんが、会社の合併登記が完了したら、速やかに不動産についても名義変更登記することをお勧めします。

吸収合併の手続きについては、下記リンクもご参照ください。

https://amagasaki-shiho.com/%e5%90%b8%e5%8f%8e%e5%90%88%e4%bd%b5%e3%81%ae%e6%89%8b%e7%b6%9a%e3%81%8d%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

個人間(親族間)売買の注意点

2021-08-19

個人間(親族間)売買で注意すること

(1)売買金額の決定方法

不動産の売買価格については、原則当事者の合意さえあれば取引は成立します。売主側から見るとなるべく高く、買主側から見るとなるばく安く買おうという気持ちが働くでしょうが、やはりある程度は相場価格を把握した上で売買金額を決めることが望ましいです。

お互いに良く知っている関係で長年お世話になっているからと安価で売買してしまうと、贈与(みなし贈与)と見做され後で課税される可能性も出てきます。

一般的には、以下のような指標を参考にしながら、価格を決めることが多いです。

  • 公示地価・・・全国に設定された標準地について、毎年1月1日時点の価格を評価し、同年3月下旬に公表されているもの。
  • 基準地価・・・公示地価とほぼ同じ内容だが、都道府県が主体となって毎年7月1日時点の価格を評価し、同年9月下旬に公表されているもの。
  • 路線価・・・毎年1月1日時点の公示地価や売買価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額等をもとに、同年7月1日に公表されているもの。
  • 固定資産税評価額・・・固定資産税を決める際の基準となる評価額で各自治体が個別に決定しているもの。土地であれば、時価の約70%が固定資産税評価額の目安とされている。
  • 近隣の販売事例・・・マンション等であれば、同マンション内で過去の販売事例が存在することもありますので、その価格を参考にすることでマンションの価格を計算することもできます。
  • 不動産会社・不動産鑑定士の査定等・・・不動産会社や不動産鑑定士に依頼すれば、査定書を貰うこともできます。但し、費用が別途かかってくることもあります。

(2)売買代金の支払い時期

不動産売買の場合には、通常売買契約書の中の特約にて売買代金の支払いと物件の引渡し、登記手続きは同時に行います。

お金を支払ったのに登記がされない、物件の引渡しをしたのにお金が振り込まれない、等後日のリスクを避ける為にも同時に手続きを行えるように段取りを踏んでおく方が良いでしょう。

(3)売買した後に面積が違っていた場合

土地の売買の場合には、登記簿上の面積をもとに売買価格を決めることになります。しかし、後日土地の測量をし直したところ、実際の面積が大きく異なっていた場合には、売買価格にも影響を及ぼすことがあります。

そのような事態を避ける為にも、測量をし直すのか、測量して面積が異なっていたら再清算するのか、等決めておくことも大切です。

(4)隣地との境界問題

以前から存在している不動産(土地)では、隣地との境界が曖昧なこともあり、境界点もない物件もあります。売主以前から隣地との関係性が良好であったので問題にならなかったが、所有者が変わった途端に隣地と境界問題で揉めることもあります。

後日のリスク回避の為にも、境界の明示について売主がどの程度の義務を負うのかは決めておくことは大切です。

(5)売買物件に抵当権等が設定されている場合

対象物件に抵当権や差押等の登記がされている場合には、所有権移転(売買)と同時に又はそれ以前に抹消することができるかどうか確認しておく必要があります。

その他にも、個人間(親族間)売買に起こりうるリスク・問題点は存在します。

仲介手数料がかからないだけという安易な理由で取引をしてしまうと後日の紛争に発展してしまう可能性もあります。

個人間(親族間)売買をご検討されている方は当事務所にお気軽にご相談ください。

当事者双方の意向に沿った売買契約書作成・売買に関するリスクの回避・登記申請まで一貫してサポートいたします。

 

 

遺産分割調停による相続登記とは

2021-08-17

遺産分割調停とは

被相続人の死亡により相続が開始したものの、その遺産の分割方法等について相続人間の話合いがつかない場合には、家庭裁判所に対して遺産分割調停の手続きを利用することができます。
この調停は、相続人の内の1人でも手続きを利用することができますが、他の相続人全員を相手方として申し立てなければなりません。

調停手続きでは、家庭裁判所によって選任された調停委員のもと、当事者による話し合いが行われます。
この話し合いでは、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて関係する資料等の提出、遺産についての鑑定を行う等事情をよく把握したうえで、各当事者がどのような分割方法を希望しているかがの意向を踏まえた上で解決案の提示をしたり、解決のための助言がなされるため、客観的な解決を図ることができます。

なお、話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続きが開始され、裁判官により一切の事情を考慮して、審判することになります。また調停手続きを最初にとることなく、いきなり審判手続きを利用することも可能です。

調停が成立した場合の相続登記

相続人間による遺産分割調停が成立すると、確定した審判と同一の効力を有するものとして扱われます。

相続財産の中に不動産がある場合には、調停手続きの中で、不動産の分割方法には定められていると思いますので、調停内容に沿った相続手続きが必要となります。注意しなければならない点は、調停で不動産の名義が誰になるのか定められていても、登記上の名義人は自動的に変わるわけではないということです。
あくまで、法務局に対して相続登記の申請が別途必要です。この場合には、不動産の名義を取得する方の単独申請により行うことができます。

  • 必要書類

    1.遺産分割調停調書謄本(正本)

    2.被相続人の死亡を証する書面
    (除籍謄本等です。相続開始日が調停調書に記載されている場合は不要となります)

    3.被相続人の最後の住所を証する書面
    (住民票除票・戸籍の附票等。調停調書に記載されている被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が同じ場合は不要となります)

    4.不動産の名義人となる方の住民票

    5.固定資産税評価証明書又は固定資産課税通知書
    (登録免許税の計算に必要となります)

相続全般や相続登記でお困りのことやご相談があれば、当事務所にご連絡ください。

初回相談・費用見積は無料で承っております。

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