根抵当権の消滅請求
根抵当権の場合、元本確定がされた後に被担保債権を弁済していれば、抹消登記を申請することができます。反対に、元本確定されていない場合には、被担保債権を弁済しても抹消登記を申請することはできません。そのようなケースでは根抵当権そのものを放棄してもらうことにより、元本確定前後を問わず、根抵当権の抹消登記を申請することは可能です。
その他に根抵当権を抹消する方法として、根抵当権の消滅請求という制度があります。
根抵当権の消滅請求とは、元本確定後、現に存在する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときに、物上保証人又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権もしくは対抗力を備えた賃借権を取得した第三者が、その根抵当権の極度額に相当する金銭を払い渡すか供託をして、その根抵当権の消滅を請求することができるという制度です。
根抵当権消滅請求の要件
- 根抵当権の元本が確定していること
- 根抵当権の現に存在する債務の額が極度額を超えていること
元本確定時ではなく、消滅請求の時点で超えていることが必要です。
また、現に存在する債務の額とは、各債務の元本及びその利息、遅延損害金の合計額を指します。
- 消滅請求権を有する者が根抵当権者に対して行使すること
消滅請求権を有する者とは、物上保証人、当該不動産について所有権、地上権、永小作権もしくは対抗力のある賃借権を取得した第三者です。
なお、消滅請求することができない者としては、債務者、保証人、当該不動産の停止条件付第三取得者で条件成就が未定の者等です。
- 極度額に相当する金額を根抵当権者に払い渡し、又は供託をすること
根抵当権の消滅請求は、消滅請求の意思表示が根抵当権者に到達した時に、その効力が発生しますので、根抵当権者の同意が不要です。なお、共同根抵当権の旨の登記がされている根抵当権は1個の不動産について根抵当権の消滅請求があったときは、全部の不動産について根抵当権が消滅します。