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不動産の所有者が会社分割をしたら

2021-02-08

会社分割による所有権移転

不動産の所有者である会社を吸収分割会社または新設分割会社とする会社分割がされた場合には、分割契約書または分割計画においてその所有権が吸収分割承継会社や新設分割設立会社へ承継される旨の記載がされたときには、当該不動産は吸収分割承継会社や新設分割設立会社に承継されます。

すなわち、不動産の所有者である会社が吸収分割や新設分割などの会社分割がされても、分割契約書や分割計画において、当該不動産も承継される旨の記載がない限りは、所有権移転の登記は不要です。分割契約書や分割計画において承継される旨の記載がある場合には、所有者の商号変更などの手続きではなく、承継会社または設立会社を権利者、分割会社を義務者とする共同申請によって手続きが必要となります。(通常の売買による登記と同じパターンです)

 

よって、分割会社の登記済証や登記識別情報も必要となってきますし、登録免許税が減免となるようなケースもありませんので、ご注意ください。

吸収分割の手続きについては、下記リンクもご参照ください。

https://amagasaki-shiho.com/%e5%90%b8%e5%8f%8e%e5%88%86%e5%89%b2%e3%81%ae%e6%89%8b%e7%b6%9a%e3%81%8d%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

 

遺言と家族信託の違いとは

2021-02-04

遺言と家族信託の違い

遺言も家族信託も、財産の円滑な承継を目的としている点では似た制度です。しかしながら、どのように財産を管理・運用・承継したいのかによってどちらの制度を利用するのか、または両方の制度を利用するのがよいのか、考えておく必要はあります。

ここでは、遺言と家族信託の違いについていくつか説明していきます。

(1)効力発生時期の違い

遺言は遺言を書いた方が亡くなられた時からその効力が発生します。一方、家族信託は契約をした時からその効力を発生しますので、効力が発生する時期が異なります。

よって、遺言に記載した内容はあくまで亡くなった後の事であり、生前の財産管理等には対応できません。家族信託では契約をした時から効力が発生しますので、契約より財産を信託しておくことで、万一委託者が生きている間に判断能力が低下したとしても、受託者はその財産管理を継続することができます。

(2)財産承継先の柔軟性の違い

遺言では、財産を承継させる人間は自分の次の人しか指定することはできません。一方、家族信託では何代に渡っても財産を承継させる人(受益者)を指定することが可能です。

よって、家族信託でも信託した財産については、遺言書の代わりとなる機能もあるといえるでしょう。

例えば、「甲が死亡したら乙へ、乙が死亡したら丙へ」という旨の内容は、遺言では定めることができませんが、家族信託では可能です。

これによって家族信託では、遺言と違い、予め受益者を何代にも渡り、指定しておくことで自分の直系血族以外に財産が流れてしまうことを防ぐこともできます。

遺言と家族信託を両方利用した場合

では、遺言書も作成し、家族信託契約も締結していた場合には、どちらが優先されるのでしょうか?

遺言は、一般法である民法に基づく制度であり、家族信託は特別法である信託法に基づく制度です。特別法は一般法に優先しますので、この場合には特別法である家族信託が優先することとなります。

以下2つのケースでも、結論としては家族信託契約が優先します。

①遺言を作成した後に、家族信託契約をした場合

遺言は撤回することができ、遺言に抵触する行為をした場合には、その抵触した部分については撤回したものみなされます。

よって、遺言を作成した後に、家族信託契約をした場合にも、前にした遺言に抵触する部分については、家族信託契約が優先させるといえるでしょう。

②家族信託契約をした後に、遺言を作成した場合

家族信託契約によって、信託財産となったものは、委託者固有の財産から切り離されます。よって、遺言によって信託財産を記載しても信託財産は既に固有の信託財産として存在しているので、その部分については効力が発生しないことになります。結果として、こちらも家族信託契約が優先することとなります。

 

法定相続情報一覧図の上手な使い方

2021-02-03

法定相続情報証明制度とは

法定相続証明制度は2017年5月29日に開始された制度で、亡くなった人(被相続人)の法定相続人は誰で、各法定相続人は被相続人とそれぞれどのような間柄なのかという情報を証明するための制度です。
この制度が開始される以前は、相続手続きにおいて相続情報を証明するために、相続関係説明図を作成したり、被相続人及び相続人全員の戸籍謄本等の提出が必要とされ、労力が大変にかかるものでした。それが、この制度によって逐一銀行等に戸籍謄本等の提出をする手間が省け、簡単に証明できるようになりました。

この中で法定相続情報一覧図とは、法定相続人が誰で各法定相続人は被相続人とそれぞれどのような間柄なのかという情報を一覧化した図のことです。
この法定相続情報一覧図の写しが、従来の戸籍謄本等の膨大な提出書類の代わりに、法定相続人の情報・内容を証明してくれるので、相続手続きを円滑に進めることができるのです。
あくまでこの制度の利用は任意なので、従来通りの方法によって法定相続情報を証明しても構いません。

法定相続情報一覧図を利用できるケース

法定相続情報一覧図は主に以下のような手続きを行う際に利用することができます。

  • 預貯金の名義変更や解約手続き
  • 不動産の相続による名義変更登記
  • 株式の名義変更や解約手続き
  • 投資信託の名義変更や解約手続き
  • 相続税の申告 等

法定相続情報一覧図の有効な活用方法

(1)相続の手続きをする金融機関の数が多い場合

いままでの相続手続きは、亡くなられた方が複数の銀行や証券会社の口座等を持っていた場合には、それぞれの金融機関毎に戸籍謄本等一式を提出する必要がありました。提出した戸籍謄本は手続きが完了するまで返却されなかったため、手続きが終わるまでは他の金融機関へ提出することができず同時進行が難しいという問題点がありました。また提出を受けた金融機関も膨大な戸籍謄本を読み取り確認しなければならず、多くの時間を要します。

法定相続情報証明制度では、法定相続情報一覧図を複数枚発行してもらうことができますので、同時に各金融機関への手続きを同時に行うことができ、金融機関を戸籍謄本を読み取る必要もなくなりますので、大幅な時間の節約に繋がります。

(2)不動産の名義変更登記をする場合

不動産の相続による名義変更登記の手続きも、これまでは法務局に戸籍謄本一式を提出する必要がありました。登記が完了するまでは戸籍謄本は返却されず、(1)のケースと同様に他の金融機関との手続きを同時に行うことが難しいものでした。これに代わり、法定相続情報一覧図を法務局に提出することで、戸籍謄本の提出が省略できるので、書類準備の手間や時間を大きく削減することが可能となりました。

(3)費用の削減を図りたい場合

戸籍謄本を全て集めるといっても、亡くなられた方が本籍地を色々な場所に移していたり、代襲相続が起きているときなどは戸籍謄本の数も膨大になり、費用もかなりかかってきます。

(除籍謄本、原戸籍謄本は1通750円かかります。)また、本籍地の役所が遠方にあるときには郵送手続きになることから、その分小為替発行手数料や切手代等も嵩んできます。

法定相続情報証明制度では、法務局に申出をすればその後5年間は何度でも無料で発行してもらえるため、銀行や証券会社、法務局等、多数の機関で利用されたい場合には、それぞれの機関毎に戸籍謄本を取得する必要もなくなり、費用面でも節約することができます。

法定相続情報一覧図作成の必要書類

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 被相続人の最後の住所地での住民票の除票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 申出人の本人確認証明書(免許証の写し等)
  • 各相続人の住民票(法定相続情報一覧図に相続人の住所も掲載したい場合のみ)
  • 委任状(代理人によって申出をする場合)

 

相続人といっても、亡くなられた方のことを全て知っているわけではありません。再婚していることや前夫・前妻との間に子どもがいることを知らされていないことも考えられます。相続人を確定することは、相続手続きにおいては、入口で行う作業であり、大変重要です。「法定相続人情報一覧図」を有効に活用して、相続人を早めにかつ正確に把握することで費用、時間的にもスムーズな手続きに繋がることでしょう。ただし、ご相続人の中に外国籍の方がいらっしゃる場合には法定相続情報一覧図は作成ができないので注意が必要です。

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、戸籍収集のサポートから、当該法定相続情報一覧図の作成申し出の代行までトータルでお手伝いしておりますので、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。

また、メールでも随時ご相談を受け付けております。

ご検討されていらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。

家族信託を利用する際の注意点とは?

2021-02-02

家族信託を利用する際の注意点

家族信託という制度は現在注目度も増しており、当事務所にもお問合せをよく頂いております。

しかし、家族信託といっても決して万能な制度ではなく、利用者の目的によっては他の制度を利用した方が良いケースや組み合わせをしておいた方が良いケースもあります。

では、家族信託を利用する際の注意点とは何かを説明していきたいと思います。

(1)委託者の意思確認の重要性

家族信託のメリットとしては、契約内容の柔軟性が挙げられます。そのため、自由度も高くスキームの組成には創造力も必要とされます。委託者の希望に合致した信託を設定するよう委託者から慎重にヒアリングを行っておかないと、後々トラブルの元になってきます。また、不動産を信託財産とした場合には、不動産の名義が受託者に変わってしまうことから、不動産をとられてしまった等の不安が生まれることもあります。事前に委託者の意思確認は慎重に行うことは必須です。

特にひな形などを利用した安易な信託契約書の作成は注意しましょう。

(2)適切な受託者を用意できるか

家族信託において、受託者は委託者から財産を託され、その財産を管理・運用する信託事務を担う人で責任は非常に重いものとなります。

不動産を信託財産とした場合には、受託者は不動産について管理する義務もありますし、不動産に係る固定資産税等の納税義務も生じます。

万一、受託者が死亡した場合にも、信託は終了しません。受託者の地位は相続されませんので、信託行為において新受託者を定めていれば、その者が信託事務を引き継ぎます。また、信託行為において特段定めていなければ、原則受託者と受益者の同意により新受託者を選任する必要があります。なお、すでに委託者がいない場合には、受益者が単独で受託者を選任することもできます。

注意する点は、受託者が欠けたままの状態が1年間継続した時は、信託自体は終了してしまうという事です。信頼できる受託者を複数人指定しておくことは困難かもしれませんが、家族信託を利用する際には、以上のような受託者の責任の重大性や欠けた場合のリスクも考えておいた方が良いでしょう。

場合によっては、受託者(家族)の使い込み等の不祥事を起こさせないように監視するための、監督人をおくことも一つでしょう。

(3)相続人間の不公平感が生じる恐れがある

親が2人いる子どもの内1人を受託者として家族信託を利用した際には、他の子どもが何も知らない間に信託契約を進めてしまうこともできてしまいます。

受託者は財産に関する大きな権限を持つために、他方から見ると何か悪いことをしているのではないか、お金を使い込んでいるのではないか等の疑いがうまれ、家族間の争いに発展するようなことも考えられます。当事務所では家族信託を利用する前には、家族全員で話し合ってから進めていくことをお願いしております。

(4)遺留分への配慮

信託行為にも、民法の遺留分の規定は適用されます。現時点では、家族信託を利用した際の遺留分に関しての判例も少なく、どのような結論になっていくかの詳細は分かりませんが、いずれにしても、家族間の紛争を起こさないように、相続人分の遺留分を侵害しないように配慮した信託行為をする必要があります。

(5)信託期間が長期間になること

家族信託は、その目的や信託行為の内容によっては、非常に長期間にわたって続くものもあります。その間は受託者は信託契約の内容に拘束されますし、毎年受益者に対する信託財産の収支の報告書作成等の手間や労力も発生します。

また、信託期間内に当初の想定に反し、信託当事者が亡くなることもあります。そのため、信託当事者が亡くなった後の事も考慮した柔軟な設計を考える必要があります。

(6)損益通算ができない

家族信託をした不動産の中に収益不動産があり、当該不動産の損失がある場合でも、信託財産以外からの所得と損益通算することや損失の繰り越しをすることはできません。これは、信託契約を分けた場合でも同様の扱いとなりますので、収益不動産を信託財産とする場合には、特に税金面にも配慮した設計が必要です。

(7)節税対策にはならない

家族信託を利用することで不動産の名義も受託者に変更され、節税対策にもなるのではないかと考えられる方もおられるでしょう。家族信託自体には、相続税を節税する効果はありません。

不動産の名義は受託者に変更されるものの、受益権(財産権)は委託者の元にそのまま残るために、財産の評価額を下げることもできません。

万一、受益者に相続が発生したときは、受益権(財産権)は信託契約で定めた人や信託契約に定めがない場合には相続人に承継され、その時に相続税を納める必要があります。

(8)税務申告の手間がかかることがある

信託財産から発生する収益の額が年間3万円を超える場合には、信託計算書・信託計算書合計表を税務署に提出しなければなりません。また、信託財産から不動産所得がある場合には、不動産所得用の明細書の他に信託財産に関する明細書を別に作成して提出する必要もあります。

(9)専門家に依頼すると費用がかかる

当事務所でも家族信託には相応の報酬を頂いております。信託財産の価格などよっては、100万円前後かかってくるケースもあります。

この費用は他の遺言書作成や後見制度の利用と比べてみても、高く設定されています。

しかしながら、家族信託は当初のスキーム組成、契約書作成からその後の長期間にわたるサポートも費用に含んでおります。家族信託を利用することで不安を解消できたり、安心を得られる為の対価として考えて頂ければ幸いです。

 

家族信託は委託者含め当事者の意思を尊重しながら、きちんとした設計をしておけば非常に有効な制度です。

ただし、以上のような注意点もありますので、家族信託をご検討される際の参考としてください。

 

銀行預金を信託財産にするには

2021-01-27

信託財産について

信託法上は、信託財産とすることができる財産の範囲については特に制限はありません。よって、銀行預金、不動産、株式等を信託財産にすることは可能です。

ただし、銀行預金については特に注意が必要です。

金融機関に預けているお金は、法律上「預貯金債権」とされており、金融機関との預金契約によって譲渡禁止とされています。金融機関の承諾がなければ、預金名義人以外の財産として取り扱うことはできないのです。

つまり、信託契約書に預金口座・預金債権を信託財産とする旨を記載しても、その契約書を金融機関の窓口に持ち込んで、口座の名義人を受託者に変える名義変更や受託者名義の信託専用口座への送金手続きは不可能なのです。

よって信託契約書の信託財産目録に記載すべき金銭としての資産は、「現金〇〇円」と記載するのが望ましいでしょう。

実務としては、預金を信託財産とする場合には以下の手順が考えられます。

①委託者名義の預金を一旦払い戻す

       ⇓

②委託者が当該預金を受託者に引き渡す

       ⇓

③※受託者名義の信託口口座か信託専用の口座に送金・預入する

※信託契約書を持参しても、金融機関で信託口口座を開設してくれる金融機関は現状殆どありませんので、実務的には受託者名義の専用口座を開設し、そちらに預入れすることが一般的です。

大事なことは、金銭としての資産は、外形上区別することができる状態で保管することです。ただし、受託者が先に亡くなったときには、受託者固有の財産とみなされてしまう恐れがありますので、注意も必要です。

 

以上のように、信託契約を締結しただけでは預金は委託者から受託者に移動されません。信託契約締結度速やかに、銀行窓口に行き、委託者から受託者の管理する専用口座に信託目録記載の現金額を実際に移動することが必要です。

 

 

死後事務委任契約とは

2021-01-25

死後事務委任契約

人が亡くなられると、葬儀場の手配、役所への届出、また病院や施設の費用清算や年金の手続きなど様々な手続きが発生します。

一般的に、これらの手続きは残された家族や親族が行います。家族や親族であれば、わざわざ契約をしておかなくても葬儀の手続きや役所への届出をすることは当然可能です。

ただし、家族や親族、身寄りの方がおられない方の場合には、代わりにその手続きを行ってくれる人がいないこともあり得るでしょう。

今後より一層高齢化社会が進み、家族関係も変わってきていることから、このような手続きを行ってくれる方がおられないまま亡くなられてしまう事も増えてくる事は当然予想されます。

ご自身が亡くなった後の事を考えて、亡くなられた後の事務手続きを任せたいと思った方に、手続きを行ってくれるようにあらかじめ生前に契約をしておくことを「死後事務委任契約」と呼んでいます。

死後事務委任契約と遺言(遺言執行)の違い

先程も述べました通り、「死後事務委任契約」とは葬儀場の手配、役所への届出、病院や施設の費用の清算や年金の手続きなど様々な事務手続きを生前にあらかじめ委託する方と契約をしておくことです。亡くなられた後の事務手続きについての契約になる為に、相続財産については対応できません。

それに対して、遺言(遺言執行)とは自身が亡くなった後の財産の分け方などをあらかじめ指定しておくことです。遺言を残すような家族や親族がいるような場合では、その方たちが死後の事務手続きも行ってくれることでしょう。ただし、遺言ではあくまで財産承継についての記載しかすることができません。

よって例えば、第三者に遺贈する旨の内容の遺言で遺言執行者を定めていたとしても、遺言執行者は遺言で定められた財産等の承継しか手続きを行うことはできません。

すなわち、死後事務委任契約だけをしておいても財産承継の部分は対応することはできませんし、一方遺言だけでは死後事務手続きについて任せることはできません。

身近な家族・親族もなく、誰かに頼ることもできないような方であれば、「遺言書」と「死後事務委任契約」をセットで残しておくことで、財産承継と死後の事務手続きも網羅でき、心配や不安ごとも解消できるでしょう。

死後事務委任契約の契約内容について

亡くなられた後に発生する手続きが必要な可能性のある項目については、なるべく全て明記した上で契約をしておいた方が良いでしょう。

死後事務委任は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家へのご依頼に関わらず、知人などの第三者と契約をすることもできます。

しかしながら、死後の事務手続費用に関するお金を預けたり、報酬を支払っておいたりしても、それがご自身の意思とは違う部分で使用されたり、使い込まれてしまう可能性もあります。

専門家に依頼すれば、死後事務委任契約をしっかりと作成してもらうこともできるでしょうし、契約内容に沿った死後事務手続きをきちんと正確に行ってくれることでしょう。

●死後事務委任契約の委任事務についての一例

①葬儀、火葬、納骨、埋葬に関する事務

②遺骨の埋蔵、収蔵に関する事務

③永代供養に関する事務

④医療契約・介護施設利用料等の解約・清算手続きに関する事務

⑤不動産賃貸借契約の解約、明け渡しまでの管理事務

⑥住居内の遺品整理事務

⑦公共サービス料金等の解約・清算事務

⑧住民税、国民健康保険料等の納税手続

⑨市役所等への各種届出・手続

⑩SNS、メールアカウント、パソコンのデータ消去等の各種手続

⑪親族等への死亡通知等連絡に関する事務

⑫勤務先企業への退職に関する手続

⑬ペットの引き渡し手続  など

死後事務委任は、あくまで亡くなられた後に委任事務が発動しますので、内容を変更することはできません。よって、あらかじめ話し合いにより委任事務の内容は詳細に盛り込んでおくこと方がお互いに安心できるでしょう。

また、死後事務は委任者が亡くなられると即時に事務作業は開始されます。

  • 遺体の引取りや葬儀場の手配、病院や介護施設料の解約・清算費用なご、多くの費用が発生してきます。このような費用に対応するために、一定金額を契約時に受任者に預けておく(預託)方法が一般的です。預託金額は死後事務委任契約時に定めておくこととなりますが、ご依頼される内容や規模によって異なってきますので、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。

 

  • 死後事務委任は、亡くなられた方の意思を尊重しながら、最後まで見届ける必要があります。その分責任も重く、依頼される方にとっても、誰に頼めば安心なのかはすぐに答えが出ないでしょう。当事務所はそのようなことでお困りやお悩みの方に少しでも寄り添えるように、ご相談には真摯に対応するよう努めております。

相続や遺言に限らず、亡くなられた後のご不安やご心配ごとがあれば、お気軽にご相談ください。

 

 

相続財産を調査するには

2021-01-21

相続財産

相続財産とは、「被相続人(亡くなられた方)の財産に属した一切の権利義務」のことを相続財産といいます。

相続財産は預貯金、不動産、株式などが代表的なものですがそれだけに限られません。

被相続人が亡くなられたことで、相続人は被相続人の死亡の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。

ただ、必ず相続をしなければならないというわけではなく、遺産分割や相続放棄という手続きもあります。いずれの手続きにするにあたっても、被相続人の資産や負債がどれくらいあるか把握できないと判断できないこともあるでしょう。

では、被相続人の相続財産を調べていく方法はどうしたら良いでしょうか。

相続財産の調査方法

亡くなられた方の財産を全て把握している方は身近な存在であっても、少ないかもしれません。

一緒に住んでいなかったり、疎遠な関係であったときは尚更財産の把握は難しくなってくるでしょう。

家を持っていたり、給与の振込や生活費で使用していた銀行などの把握は容易ですが、そのほかの相続財産はどのように探していくのでしょうか。

  • 預貯金の調査

まずは亡くなられた方がどこの金融機関と取引をしていたかを調べる必要があります。

預貯金通帳、キャッシュカードがあれば、その金融機関に預貯金が残っていること可能性は高いでしょう。その他、年金の受取口座や給与受取口座、光熱費の支払で使用していた口座等は容易に確認できるでしょう。もし口座の確認ができたものの、その金額が分からない場合は、当該金融機関に照会をかけ残高証明書等を取り寄せます。

預貯金通帳の利用明細に定期預金の利子などの記載があれば、普通預金以外に定期預金もあるでしょう。

通帳等がなければ、金融機関等から届く郵便物から調査を進めていくこともできます。

  • 不動産の調査

不動産の相続財産調査は、まず最後に住んでいた場所の不動産の登記簿謄本を確認します。所有者として亡くなられた方が記載されていればその所有権が相続財産となります。また、借り入れなどをしているときは共同担保目録に他の不動産の記載も出てくることもあります。それも相続財産となる可能性があります。

次に大体の地域は分かるものの、具体的な場所までは分からないという場合、当該市区町村役場で名寄帳を取り寄せるという方法があります。

名寄帳は、特定の区域内において、ある人が所有している全ての不動産が記載されていますので、相続財産の漏れを防ぐ助けとなります。

ただし、名寄帳には単独で所有している物件と共有の物件は別々に記録されているので、名寄帳の請求の際は共有不動産も含む旨も伝えておく必要があります。

その他に不動産の所在が判明していないときは、市町村から郵送される固定資産税の納付書があれば確認することもできるでしょう。

不動産を所有していれば、権利証等を持っている可能性も高いので、その時はご自宅や貸金庫を探すことで判明することもあります。

  • その他株式や保険等の財産

株式や保険等を所有していれば、預金通帳の利用明細に、証券会社や保険会社の収受金、上場会社などの配当金があれば、その財産を確認していきます。

また、定期的に株主になっている会社から株主総会案内等の通知が届くことで判明することもあります。

遺言書を探す方法

亡くなられた方が遺言を残していることもあります。遺言には相続財産が記載されていることが多いため、相続財産をそちらで確認することもできるでしょう。

しかし、相続財産の詳細がなく「一切の財産を●●に相続させる」という記載や相続財産の一部の記載しかない場合、遺言作成後に取得した財産がある場合など、遺言があれば相続財産の全てを把握できるとは限りません。

  • 公正証書遺言・秘密証書遺言の場合

もし、亡くなられた方が公正証書遺言をのこしていた場合、それが平成元年以降に書かれたものであれば、全国の公証役場の保管された遺言を瞬時に検索できるシステムを利用することにより探すことができます。

  • 自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言は、自分1人で作成が完結できる遺言ですので、その存在を本人以外誰も知らないということもありえます。まずは以下の場所を探してみましょう。

  ●自宅

  ●銀行の貸金庫

  ●懇意にしていた弁護士などがいればその専門家

亡くなられた方が生前に、施設に入っていたときなどは介護関係や病院関係の方に話をしているケースも考えられます。そのような方々に遺言の存在について聞いてみるのも一つでしょう。

なお、自筆証書遺言を見つけた場合は勝手に開封せず、見つけたままの状態で保管し、家庭裁判所の検認を受ける必要があるので注意してください。勝手に開封した場合は、5万円以下の過料を処せられる可能性があります。

  • 自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合

令和2年7月10日から自筆証書遺言について法務局で保管する制度が始まりました。

最近始まった制度なので、最も可能性は低いでしょうが、法務局に対して遺言書保管事実証明書の交付請求をすることで確認することができます。

負債を調査するには

住宅ローンを除き、借金をする場合、身内や家族に内緒で借入をしていることもありえます。

家族が知らない借金を、相続人が把握することは容易ではありません。

もし借金の額が大きければ、相続放棄をすることを検討しなければならず、相続放棄をするには期限がありますので注意が必要です。

  • 契約書等の書類、ローンカード等の有無の確認

金融機関からお金を借りる際、契約書に署名をする必要があります。また、カードローンのようにカードがあれば限度額内で何度も借入ができるという借入方法もあります。自宅にその契約書あるいはカードローンのカードがあれば、借金が残っている可能性があると言えます。

  • 預金通帳の履歴の確認

支払い方法を、口座引き落としにしていた場合は、通帳の履歴から借入先等が判明することがあります。

  • 督促状等の郵送物の確認

金融機関への返済が遅れると、催告状や督促状が自宅へ届くことがあります。これらの書類が届くということは、借金が残っている可能性が高いでしょう。

  • 不動産の登記簿謄本の内容確認

不動産の登記簿謄本には、当該不動産を担保として借金をする場合が多く、その借入内容等が記載されています。

ただし、住宅ローンにっで被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合は、保険請求による完済することができます。

  • 個人信用情報機関への開示請求

銀行、信用金庫、信販会社(クレジットカード)消費者金融などから借入をすると、信用情報機関にその内容が登録されています。信用情報機関に対しては、本人や相続人であればその情報の開示の請求ができます。

信用情報機関には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、一般社団法人全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)の3種類があり、保証人の記載の有無など各機関によって記載に差がありますので、心配であれば全て確認をした方がいいかもしれません。

当事務所は、相続手続きで困ったことや面倒で全て任せたいなどのお客さまからのご要望に応えるために、「相続手続きトータルサポートプラン」を設けております。

相続に関する各種ご要望は是非当事務所へご相談ください。

根抵当権の消滅請求

2021-01-19

根抵当権の消滅請求

根抵当権の場合、元本確定がされた後に被担保債権を弁済していれば、抹消登記を申請することができます。反対に、元本確定されていない場合には、被担保債権を弁済しても抹消登記を申請することはできません。そのようなケースでは根抵当権そのものを放棄してもらうことにより、元本確定前後を問わず、根抵当権の抹消登記を申請することは可能です。

その他に根抵当権を抹消する方法として、根抵当権の消滅請求という制度があります。

根抵当権の消滅請求とは、元本確定後、現に存在する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときに、物上保証人又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権もしくは対抗力を備えた賃借権を取得した第三者が、その根抵当権の極度額に相当する金銭を払い渡すか供託をして、その根抵当権の消滅を請求することができるという制度です。

根抵当権消滅請求の要件

  • 根抵当権の元本が確定していること
  • 根抵当権の現に存在する債務の額が極度額を超えていること

  元本確定時ではなく、消滅請求の時点で超えていることが必要です。

また、現に存在する債務の額とは、各債務の元本及びその利息、遅延損害金の合計額を指します。

  • 消滅請求権を有する者が根抵当権者に対して行使すること

  消滅請求権を有する者とは、物上保証人、当該不動産について所有権、地上権、永小作権もしくは対抗力のある賃借権を取得した第三者です。

  なお、消滅請求することができない者としては、債務者、保証人、当該不動産の停止条件付第三取得者で条件成就が未定の者等です。

  • 極度額に相当する金額を根抵当権者に払い渡し、又は供託をすること

  根抵当権の消滅請求は、消滅請求の意思表示が根抵当権者に到達した時に、その効力が発生しますので、根抵当権者の同意が不要です。なお、共同根抵当権の旨の登記がされている根抵当権は1個の不動産について根抵当権の消滅請求があったときは、全部の不動産について根抵当権が消滅します。

 

 

親から相続した事業を承継したくないときには

2021-01-14

事業承継と相続について

親が事業(株式会社など)を経営しているときに、親がなくなったときには、その相続人が当該会社を承継することが一般的です。

ただ承継するといっても、相続人はあくまで株式を相続するだけで、当然に役員(取締役)や代表者の地位を承継するわけではありません。

役員や代表者になるには、株式を相続した相続人が株式総会の決議などにより自身を役員に選任することで、取締役や代表取締役になることができます。

よって、同族会社では問題が少ないかもしれませんが、他に株主が多数いたり自身が相続する議決権の割合が少ないときには、相続人といっても取締役や代表者になれない可能性もあります。

事業承継をしたくないときには

例)株式会社X(父が唯一の株主であり取締役である会社)、父の相続人は母と子の2名いる場合

このケースで父が亡くなり、母も専業主婦で子も別の仕事をしており、誰も事業を承継したくないようなときには、母と子には以下のような選択肢が存在します。

  • 会社の解散・清算手続きをする

一旦会社の株式を相続した上で、解散・清算手続きをして会社を消滅させることができます。

ただし、会社などに借金が多いときには解散手続きをとれないこともありますので、注意が必要です。

  • 会社の売買

こちらも一旦株式を相続した上で、会社を売却する方法になります。ただし、会社の売却となると買い手を見つけたり、また手続きも簡単ではありませんので

かなりの労力を要することもあります。

  • 相続放棄をする

会社に借入があったとしても、個人で返済義務を負うわけではありませんが、通常中小企業の多くは代表者個人が会社の借入について連帯保証をしていることが殆どです。

この場合には、相続人は保証している借入について返済義務を負うことになります。

会社を引き継ぐ意思がなく、保証債務もあるときには資産の額と照らし合わせて相続放棄をすることも選択肢の一つとなるでしょう。

ただし、相続放棄は期限もあり、また意思表示だけでは足りず家庭裁判所への申述も必要となります。

詳細は当ホームページ「相続放棄について」もご参照ください。

https://amagasaki-shiho.com/souzokuhouki/

 

以上のように、亡くなられた方は会社を経営されていたときには、様々な問題が起きてきます。

亡くなられた直後は、気持ちも動転して、すぐに相続手続きのことまで考えられないでしょう。

誰に何を相談すれば分からないこともあるでしょう。

お困りのことがあれば、当事務所で親身に対応いたします。

 

当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。

初回相談・見積り作成は無料です。

 

 

相続手続きトータルサポートプラン

2021-01-06

相続手続きと司法書士の関係

相続が発生すると亡くなられた方の財産に関する権利義務は相続人が承継しますが、亡くなられた方の名義になっている不動産、預貯金などは相続人が解約したり、相続人の名義に書き換えたりする必要があります。

相続自体の流れは皆さんお分かりかと思いますが、いざ自身に相続が発生したら、「何からすればよいのか分からない」「とにかく時間がない」「必要書類の集め方が分からない」など様々なケースでお困りのこともあるでしょう。

そのようなときは、司法書士にお任せください。

司法書士といえば、不動産の登記関係の業務しかできないと思われている方もいるでしょうが、司法書士(司法書士法第29条、同施行規則第31条)と弁護士のみ法令によって他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務をすることができるとされています。

相続手続きトータルサポートプランは、当事務所が相続人全員の窓口として、これらの手間のかかる手続きを全てお任せいただき、当該手続きを行っていくサービスです。

相続人間の協議がまとまりましたら、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成から預金口座や証券、不動産の名義変更まで、あらゆる相続手続きを代わりに行いますので、丸投げして頂いて大丈夫です!

 

相続手続きトータルサポートプランをおすすめするケース

  • 戸籍の見方が分からない
  • 本籍地が転々としており、集め方が分からない
  • 相続財産が多く、調査や手続きが難しい
  • 相続人の中で面識がなかったり、疎遠の者がいて手続きが進めれない
  • 平日日中に金融機関や役所に行く時間がとれない
  • 相続人の数が多く、調整が大変だ  etc

 

相続手続きトータルサポートプランのメリット

  • 相続に必要な手続きを全てお任せいただけます!

不動産の登記手続や、各金融機関毎の手続き、証券会社の手続きなど個別に動かれると労力も費用もかさんできます。

そこで各手続きに必要な書類の収集などもパックにすることで定額料金でご利用いただけます。

  • 相続手続きが終わるまでは、ご相談し放題!

相続手続きを進めていく中で、新たな疑問や思いがけない資産や負債が出てくることも多々あります。そのような時でも、何度でもご相談に応じます。

  • 弁護士・税理士、その他士業との連携によるワンストップサービスによる解決!

税金のでのお困りごとや今後争いごとになるような可能性のあるケースでは、提携している税理士や弁護士を紹介しますので、ご自身で都度探される手間も省け、

当事務所窓口一本で解決できます。

  • 不動産の売却にも対応します!

相続した後の不動産の処分、代償分割の為の処分など不動産の売却に関しても無料でアドバイスを致します。その後売却や賃貸を決められたときにも、不動産の立地や用途などに合った不動産業者を紹介することもできます。相続相談と不動産の相談を別々に動かれるよりも、当事務所で一括してご相談されることで、お客さまにとってベストな処分方法を判断し、最も良い結果となるようサポートします。

相続手続きで困ったことや面倒で全て任せたいなど各種ご要望は是非当事務所へご相談ください。

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