Archive for the ‘不動産’ Category
抵当権の債務者が亡くなられたら
抵当権の債務者の相続
債務者の相続が発生した場合には、その債務については誰が引き継ぐ形となるのでしょうか。
判例(最判昭34・6・19)によると「被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継する」と解されています。
例えば、債務者(A)が亡くなり、その相続人が妻(B)と子(C)の場合には、Aの債務は当然にBとCに承継されることとなります。(ただし、連帯債務となるものではありません)
このような法定相続による抵当権の債務者の変更をするときには、Aの死亡日を原因日付として、抵当権者(金融機関)と共同申請による債務者の変更登記を行います。
相続による債務者変更登記について
債務者変更登記については、登録免許税が不動産1筆につき1,000円かかります。
申請書の記載例は以下のようなものとなります。
登記申請書 登記の目的 抵当権変更 原 因 令和●年●月●日相続 変更後の事項 債務者(※1) 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 B 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 C 権 利 者(※2) 住所 兵庫県尼崎市塚口本町●● 氏名 ●●銀行株式会社 義 務 者(※3) 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 B 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 C |
※1 債務者は新たに債務者となる相続人の方を記載します
※2 権利者とは抵当権者である金融機関などのことです。
※3 義務者とは設定者のことで、対象不動産の所有者のことです。
その他添付書類として、義務者の登記識別情報(登記済証)が必要となりますので、ご注意ください。
特定相続人が債務を引き受けるとき
相続した債務は各共同相続人が、その相続分に応じて承継するとされています。それでは、相続人間の協議などにより、特定相続人に債務を引き受けさせることは出来るでしょうか。
この場合には以下のような2種類の方法で手続きを行うことができます。
①免責的債務引受による方法
一旦、法定相続人による債務者変更登記をした後に、相続人間で遺産分割によらず、債務をその内の一人に承継させたいような場合には免責的債務引受による手続きがあります。
このケースでは抵当権者と債務者間で、相続人の誰かが債務を引き受ける旨の合意をとることとなります。
②遺産分割協議による方法
相続した債務も遺産分割協議の対象とされていますので、遺産分割協議により特定相続人に債務を承継させる旨の協議も有効です。
そのような遺産分割協議が成立したら、抵当権者の承諾を得た上で、直接引き受ける相続人を債務者とする抵当権の変更登記をすることができます。
①、②いずれの方法をとる場合にも、「抵当権者の同意」は必ず事前にとっておきましょう。
離婚したときの財産分与による登記とは
財産分与による登記とは
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚の際に分配する制度のことです。財産分与した財産の中で、不動産がある場合には財産分与による名義変更登記をすることができます。
登記される原因日付については、「協議による場合は協議成立日」、「調停による場合は調停成立日」、「協議又は調停が離婚前に成立した場合は離婚の日」、「家庭裁判所の審判による場合には審判確定日」となります。
また、財産分与登記手続について、協議離婚の場合と裁判上の離婚の場合とでは、必要書類や当事者が一部異なってきます。
協議離婚に伴い、不動産の財産分与を受けようとする方は、離婚後ではもう一方から必要書類をスムーズに貰うことが難しくなる可能性も出てきます。
手続きや必要書類などについては、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
財産分与による登記手続の流れ
●協議離婚の場合
協議離婚の場合では、財産分与をする方を受ける方の共同申請にて登記手続きをします。よって当事者双方の協力が不可欠となります。
ただし、実際に財産分与による名義変更登記を申請するのは、離婚後となりますので、離婚協議書に署名・捺印するときに合わせて登記手続の書類も準備してもらうことが望ましいでしょう。
※離婚協議書については、下記リンクもご参照ください。
<登記申請に必要書類>
1、財産分与をする方(財産をあげる方)
- 印鑑証明書
- 実印
- 当該不動産の登記識別情報通知または登記済証
- 固定資産税評価証明書
- 戸籍謄本(離婚日を確認するために離婚後に取得)
- 登記上の住所と変更ある場合には住民票、戸籍附票など
2、財産分与を受ける方(財産をもらう方)
- 住民票
- 印鑑(認印でも可)
●裁判上の離婚の場合
家庭裁判所による調停や審判など、裁判上の手続きで離婚したような場合で、以下のようなときには財産分与を受ける方の単独申請にて登記手続をすることができます。
・調停調書や審判書の中で、「財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」などの記載がされていること
・調停証書などに「財産分与として、登記手続と引換えに●●円を支払う」といった反対給付の条項があるときには、裁判所に給付があったことを証する書面(振込の領収書など)を提出し、執行文を付与してもらうこと
<登記申請に必要書類>
1、財産分与を受ける方(財産をもらう方)
- 住民票
- 印鑑(認印でも可)
- 調停調書、審判書正本、和解調書等
- 固定資産税評価証明書
登記費用について
財産分与による名義変更登記には、名義変更による登録免許税(固定資産税評価額×1000分の20)及び司法書士への報酬、実費がかかります。
これは財産分与を受ける方が支払うこととなります。
当事務所では、離婚協議書の作成から離婚後の財産分与による登記手続きまでサポートさせて頂きます。
初回相談・費用見積は無料ですので、検討されている方、お困りの方などはお気軽にご相談ください。
抵当権抹消の書類がみつからないときは
抵当権抹消登記の必要書類
住宅ローンを払い終えると、金融機関から抵当権の抹消登記に必要な書類を郵送してくることがあります。
すぐに手続きをすれば良いのですが、特に急ぐ必要もないのでそのままにしておいたところ、いざ売却しようとしたときに書類を探したがみつからない!というケースもよくあります。
また、親が所有していた不動産を相続登記しようとしたところ、まだ親名義の住宅ローンの抵当権が残ったままになっていたので、抹消登記をしたいが書類が見つからない、ということもあるでしょう。
このように、いざ抵当権抹消登記の手続きをしようとする際に必要書類を紛失してしまって、手続きに困ったらどうすればよいでしょうか。
ここでは、困ったときの対処方法について説明していきます。
抵当権抹消登記に必要な書類
ローンを支払い終えると抵当権抹消登記に必要な書類を金融機関から受け取ることができますが、その書類は主に以下の通りとなります。
①登記識別情報通知または登記済証(抵当権設定契約証書等に押印されています)
②抵当権解除(放棄、弁済)証書
③金融機関の委任状
この中で、②、③については金融機関に再度依頼することで、再発行してもらうことができますが、①については再発行ができません。
よって①も紛失されているようなケースでは、特別な手続きが必要となってきます。
金融機関からの登記識別情報または登記済証を紛失していたら
登記識別情報通知や登記済証は再発行することができない書類となりますので、以下の2通りのパターンで抵当権抹消登記の申請をすることとなります。
方法1:事前通知による方法
売買などに関係なく、時間的に特に急いでないようなときには、この方法を利用することが多いです。まずは金融機関に連絡して、下記の書類を追加で依頼することとなります。
- 委任状(金融機関の実印もしくは法務局に登録している印を押印したもの)
- 金融機関の印鑑証明書(もしくは写し)
上記の書類を取得したら、通常は抵当権抹消登記に必要な登記識別情報通知や登記済証を添付せずに、そのまま抹消登記を申請します。
そうすると申請を受けた法務局は、金融機関に対して「このような抵当権の抹消登記が申請されましたが、申請の内容が真実であれば申し出てください」という旨の通知をします。
そして、金融機関から間違いない旨の申出が期間内(2週間)にあれば、そのまま登記手続きは進みます。通知及び回答の期間がありますので、通常の抹消登記よりは時間はかかります。
方法2:本人確認情報を作成する方法
登記手続きを依頼する司法書士が、金融機関の権限のある者(部長、支店長など)と面談し、本人確認情報を作成することで登記識別情報通知(登記済証)に代わる書類として提出します。
事前通知のように時間はかかることにはなりませんが、司法書士への報酬が別途追加でとられることとなります。
遺言書がある場合の名義変更登記手続き
遺言書がある場合の名義変更登記に必要な書類
遺言書がありその中に不動産の記載がある場合には、遺言書にもとづいて被相続人(亡くなられた方)から相続財産を受取る方に名義変更登記を申請します。しかしながら、遺言書がある場合であっても、受け取る方が法定相続人であるか、第三者であるかによって登記申請に必要な書類などが変わってきますので、注意が必要です。
遺言にもとづき法定相続人に相続させる場合
遺言にもとづいて法定相続人に相続させる場合の登記申請に必要な書類は以下のとおりとなります。
遺言がある場合には、通常の相続登記と異なり、全ての相続人を確定する必要がないため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て集める必要はありません。
- 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
- 被相続人の死亡時の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 遺言により相続する方の現在戸籍謄本
- 遺言により相続する方の住民票
- 固定資産税評価証明書又は固定資産税課税明細書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の4)
遺言にもとづき第三者に遺贈する場合
遺言にもとづいて相続人以外の第三者に対して不動産の名義変更を行う場合には、「相続」ではなく「遺贈」を原因として名義変更登記を申請することとなります。
この場合には、法定相続人に相続させる場合と異なり、登記済証(登記識別情報)が追加で必要となってきたり、登録免許税も原因を「相続」とするものよりは高い税率となってきます。
また、遺言の中で「遺言執行者」を定めている場合とそうでない場合とで、必要書類も異なってきますので、下記をご参考ください。
遺言執行者を定めていない場合
- 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 対象不動産の登記済証(登記識別情報)
- 遺言により受遺する方の住民票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の現在戸籍謄本
- 固定資産税評価証明書又は固定資産税納税通知書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の20)
遺言執行者を定めている場合
- 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
- 被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生からの遡りは不要です)
- 被相続人の住民票の除票
- 対象不動産の登記済証(登記識別情報)
- 遺言により受遺する方の住民票
- 遺言執行者の印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書又は固定資産税納税通知書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の20)
遺言がある場合の不動産名義変更登記のご依頼は当事務所にお任せください。遺言の検認手続き・戸籍謄本の収集から登記申請に必要な書類の作成までサポートいたします。
初回相談・費用見積は無料です。
動産譲渡登記とは?
動産譲渡登記制度
動産譲渡登記制度は、法人が保有する在庫商品、機械設備、家畜等の動産を活用した資金調達の円滑化を図るために平成17年10月から開始されたものです。その登記の対象は法人が動産を譲渡した場合に限定しており、動産譲渡登記をすることによって民法第178条の引渡しがあったものとみなされ、第三者対抗要件が具備されます。同一の動産について二重譲渡された場合の譲受人相互間の優劣は、登記の先後または登記と民法第178条の引渡しの先後によって決まります。
そのため、動産譲渡登記を利用することによって、対抗要件を具備していることやその時期についての立証が容易となり、占有改定の有無・先後をめぐる紛争を未然に防止することが可能となりました。近年では、太陽光発電に関して融資を受ける際に利用されることも多いです。
動産譲渡登記の取扱い
動産譲渡については、法人が動産を譲渡した場合に限定され、譲渡人が個人の場合には利用できません(譲受人は法人でも個人でも可)。存続期間は原則として10年以内ですが、融資期間が10年を超えているなど特別の事由がある場合には、疎明する資料を添付することで10年を超えて登記することもできます。一般の不動産や商業の登記とは異なり、動産譲渡登記を取り扱う登記所として、東京法務局が指定されており、全国の動産譲渡登記に関する事務を行います。
動産譲渡担保権について
動産譲渡担保権には、個別の動産を担保の目的とする場合(以下「個別動産」)と集合物として担保の目的とする場合(以下「集合動産」)があります。個別動産として担保設定する場合には、製造番号や製造者名などを特定して登記します。一方、集合動産として担保設定する場合には、「〇〇設備一式」などと記載して、保管場所の所在や名称も登記します。集合動産として担保設定した際には、登記後に保管場所に搬入されたものであっても、同種類の動産であれば登記の対抗力は及ぶこととなります。
例)登記記録例
※個別動産の場合
【種類】太陽光パネル 【特質】製造番号 〇〇〇―〇〇〇〇 【備考】保管場所の所在地:兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 製造者名:〇〇株式会社 |
※集合動産の場合
【種類】太陽光発電設備一式 【保管場所の所在地】兵庫県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 【備考】太陽光発電設備一式の内訳:〇〇 保管場所の名称:〇〇発電所 |
動産譲渡登記申請に必要な書類
- 登記申請書(当事務所で作成します)
- 代理権限証書(当事務所で作成します)
- 譲渡人の代表者の資格証明書(作成後3ヶ月以内)
- 譲渡人の代表者の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内)
- 譲受人が法人の場合には、譲受人の代表者の資格証明書(作成後3ヶ月以内)
- 譲受人が個人の場合には、譲受人の住民票写しなど
- 存続期間が10年を超える場合には、その存続期間を定めるべき特別の事由があることを証する書面
動産譲渡登記に係る登録免許税
登記の種類 | 登録免許税 |
動産譲渡登記(1件の申請で登記できる動産の個数は1,000個まで) | 1件につき7,500円(減税措置のある場合) |
延長登記(存続期間を延長する場合) | 1件につき3,000円 |
抹消登記 | 1件につき1,000円 |
動産譲渡登記についてご検討中の方、お困りの方がおられれば当事務所にご相談ください。個別に無料でお見積り作成いたします。
不動産を贈与するときの注意点
不動産の贈与とは
不動産を生前に自分のお世話になった方や相続対策として子や孫に名義を移しておきたい、などニーズによって不動産の贈与を検討されている方もおられるでしょう。不動産の贈与は基本的にお互いの合意があればよく、対価も無償であることが殆どなので、非常に簡単で良い制度と感じられるかもしれません。
しかしながら、相続対策を始め生前贈与を検討される場合には、以下のような注意点が必要です。
①贈与契約書の有無
贈与はあげる人ともらう人の意思の合致があれば成立します。よって、契約書は必須条件ではありません。しかしながら、口頭での合意だけでは後々トラブルになったりすることも考えられますので、当事務所へご依頼の際には必ず贈与契約書を作成して、署名・押印をいただくようにしております。
②不動産の名義変更登記
上記のとおり贈与は、お互いの意思の合致があれば成立し、不動産の名義変更登記も必ずしなければならないものではありません。しかし、不動産登記には対抗要件という制度があり、贈与する人が仮に不動産を2名に贈与してしまっていたり、贈与すると約束した後に他の方に売買してしまっていたようなケースでは、先に登記名義人となった方が不動産の取得者となります。
登記をしておかないと、こういったリスクに置かれる立場となりますので、贈与契約が終わったら速やかに不動産の名義変更登記をしておくことが必要です。
③贈与に係る税金
不動産の贈与で一番皆さんが気にされる点が税金の部分だと思います。贈与税の他にも名義変更登記をする場合には不動産取得税や登録免許税などもかかってくることが殆どですので、無償で不動産を貰えると思っていたら、後で思いもしない費用が請求されてしまいます。
相続対策として考えている方であれば、「相続税」と「贈与税」との比較、夫婦間の贈与であれば配偶者控除の適用の可否、親子間の不動産贈与であれば相続時精算課税の検討など、不動産の贈与を検討される方には事前にかかる税金についても確認しておくことが必要でしょう。また、贈与税は毎年1年間110万円までは非課税となる(暦年贈与)制度もありますので、それを利用する方法も選択肢の一つとして考える方法もあります。
不動産の贈与による登記申請必要書類
当事務所で贈与による不動産の登記名義変更をご依頼いただく場合には以下のような書類が必要となります。
●あげる方(贈与者)
- 対象不動産の登記済証または登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明書
- 当該不動産の固定資産税評価証明書もしくは納税通知書
- 委任状(当事務所で作成)
- 登記原因証明情報(当事務所で作成)
●もらう方(受贈者)
- 住民票
- ご印鑑(認印でも可)
- 委任状(当事務所で作成)
- 贈与契約書(ご依頼あれば当事務所で作成します)
不動産の贈与による登記にかかる登録免許税
対象不動産の固定資産税評価額の1000分の20を乗じた金額が登録免許税となります。
例)対象不動産の評価額が1,500万円の場合、登録免許税30万円
この他に贈与税、不動産取得税などもかかってくることもありますので、ご注意ください。
不動産の贈与による名義変更登記をご検討の方がおられれば、ご相談ください。個別にお見積り及び必要書類などについてご説明いたします。お気軽にお問合せください。
個人間・親族間売買の注意点
個人間・親族間売買の注意点
不動産の売主・買主が、既に決まっている場合には、不動産仲介会社を通さずに不動産の取引を行っても、法律上は問題ありません。
しかし、売主・買主が親族同士や友人同士で良く知っている間柄であっても、不動産売買は高額な取引です。後々トラブルにならないためにも細心の注意が必要です。当事務所にも個人間・親族間売買のお問い合わせはよくいただいておりますが、ここでは個人間・親族間売買で起こりうる注意点について説明していきます。
- 売買代金の決め方
売買代金については、売主・買主当事者の合意があれば、特段金額についての制限はありません。ただし、一般的に相場の価格に対して著しく高額または低額での売買取引を行った場合には、売買代金の一部が贈与とみなされ、贈与税が課せられることもあります。
売買代金については、当事者間の合意はもちろんですが、事前に路線価・固定資産税評価額・周辺地域の売買事例・相場などを調べて適正価格を確認しておいた方が良いでしょう。
- 買主のローン審査が厳しくなる
個人間・親族間売買で買主が住宅ローンなどを利用して購入を考えている場合には、金融機関の審査が厳しくなるケースが多くあります。買主がローン利用を検討している場合には、事前に金融機関に打診した上で売買契約を行っておく方が良いでしょう。
- 税金面での優遇措置の可否
不動産の取引には、売主及び買主にとってかかる様々な税金の種類があります。
特に親子間売買等の際には居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例が適用されませんので、注意が必要です。
事前に売主、買主双方とも購入時、売却時にかかる税金についても確認しておくことが必要です。
- 売買契約書の内容
売買契約書を締結せずとも、不動産の取引を行うことは可能です。しかしながら、高額な取引になり、また取引後に「聞いていなかった」「知らなかった」などのトラブルを回避するためにも売買契約書を締結して、重要なポイントについて事前に取り決めをしておくことが必要でしょう。
また、購入後建物を建築する予定のときには、どういう地域でどういう規模や種類の建物が建築できるのかなどを事前に調べておかないと、建築自体ができないといったことも起こりえます。
いずれにしても思わぬトラブルにならない様、お互いが事前に納得した上で取引を行う事が個人間・親族間売買には重要となります。
個人間・親族間売買を検討している方、お困りのことなどあれば当事務所にご相談ください。
ご依頼者様のニーズに沿った形で、売買契約書から名義変更登記の手続きまでワンストップにて対応させていただきます。
遺産整理業務はなぜ司法書士がよいのか?
遺産整理業務はどこに頼めばよいのか
「遺産整理業務」とインターネットで検索すると、銀行を始め、弁護士、司法書士、税理士、行政書士とあらゆる遺産整理業務に関するサイトが出てくると思います。どこに依頼しようか探している方にとっては、これだけ多くの情報量があると逆に難しく、悩むこともあるでしょう。もちろん、どこに依頼されても専門家であり、適切に業務を行ってくれるでしょうが、我々司法書士へご依頼いただく方がよりメリットが大きいと考えております。では、「遺産整理業務」に関してなぜ司法書士に依頼するのがよいのか、について記載していきたいと思います。
業務の違い
遺産整理業務で検索すると「銀行」や「信託銀行」が大きく出ていることが多いと思いますので、銀行に依頼されたときの業務の違いについて記載します。銀行の遺産整理業務の料金は、最低100万円からというところが多いです。この金額を支払えば、全て代行してくれるというわけではなく、その他相続税の申告や戸籍謄本の収集や不動産の名義変更による相続登記が必要なケースでは、別途税理士や司法書士への報酬がかかってきます。
銀行はもちろん大企業であり、信頼は高いと思いますが、銀行に依頼しても実際は全ての業務を銀行が行うわけではなく、専門家である税理士や司法書士などへ更に一部業務を依頼することがあります。その点、直接司法書士へ依頼すると税申告は別として、戸籍謄本の収集から不動産の名義変更による相続登記も窓口一本で対応することができます。
費用の違い
遺産の価格が総額3,000万円の場合を例にすると
- M銀行の場合
相続税評価額による遺産の価格に下記の率を乗じた額が報酬額となります。
1億円以下の部分 |
1.8% |
1億円超3億円以下の部分 |
0.9% |
3億円超10億円以下の部分 |
0.5% |
3,000万円のケースでは、報酬額は3,000万円×1.8%=54万円かと思いきや、最低報酬額110万円と規定されています。その他にも、相続税申告に伴う税理士報酬や不動産の相続登記に伴う登録免許税や司法書士報酬がかかってきますので、110万円では収まらなくなってきます。
- 当事務所の場合
当事務所では、ご相続人様が気軽に安心して遺産整理をお任せいただけます様「相続手続きトータルサポートプラン」と名付けて、下記料金プランにて遺産整理業務を承っております。
承継対象財産の価額 |
報酬額 |
500万円以下 |
25万円+消費税 |
500万円超5000万円以下 |
(価額の1.2%+19万円)+消費税 |
5000万円超1億円以下 |
(価額の1.0%+29万円)+消費税 |
1億円超3億円以下 |
(価額の0.7%+59万円)+消費税 |
3億円超 |
(価額の0.4%+149万円)+消費税 |
当事務所の料金プランであてはめると、遺産の価額が3,000万円の場合には55万円の報酬額となります(不動産の名義変更による相続登記の報酬も含む)。
銀行に依頼されるのに比べて半分の報酬額ですみます。
専門的知識の違い
銀行や信託銀行は、金融に関するプロでありますが、法律の専門家ではありません。一方司法書士は法律の専門家です。
遺産の整理にあたっては、相続人間でどのように遺産を分けるか等の問題がでてきたり、思いがけない相続人の出現によって手続きが思い通りに進まないことも出てきます。そんな場合でも、我々は、法的知識を生かし、適切なアドバイス・対応をさせていただきます。
必要によっては、信頼のおけるパートナー弁護士・パートナー税理士をご紹介し連携してサービスを行います。
対応力の違い
銀行や信託銀行では、窓口で依頼されても途中で担当者が変わったり、また電話での連絡も営業時間の問題や自動音声サービスから案内に沿ってダイヤルしていくなど、すぐに対応してほしいときに煩わしさを感じることもあるでしょう。
当事務所に依頼されると、電話やメールでのサポートは当然のこと司法書士へダイレクトに繋がることができますので、迅速に対応することができます。
「遺産整理業務」について思い立ったり、お困りのことがあれば当事務所は是非お気軽にご相談ください。
不動産登記はなぜ必要か?
不動産登記とは
不動産を購入したり、売却したりすると法務局に対象となる不動産の所有権移転登記の申請するのが一般です。そして、実際に申請した登記が完了されると申請した内容に沿って不動産の登記簿謄本に記載され、誰もが費用を支払えば閲覧することができます。不動産登記を申請する場合には登記内容に従って定められている登録免許税を支払うときもあり、購入の際などには対象物件の固定資産税評価額が高ければ、かなりの負担となることもあります。
では、なぜ不動産登記を行う必要性があるのでしょうか?
「その不動産の所有者が誰のものなのか」というのを、公に示し第三者に権利を主張するために登記は必要となってきます。もし登記制度がなければ、皆さんが各々不動産の所有権を主張し、真の所有者が誰か分からないままに不動産取引を行ってしまう恐れも出てきます。
よって、売買や贈与、相続などによって生じた所有権の移転や借入の際に抵当権を設定したときなどには、新しい所有者や金融機関が自身の権利を主張するためにも不動産登記制度を利用します。
不動産登記の効力
不動産登記には以下の3つの効果があり、その効力によって権利が守られています。
- 対抗力
不動産に関する物権の得喪・変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないという効力。
たとえば、所有権や抵当権などの権利を第三者に主張するようなケースに当てはまります。よって、Aが対象不動産をB、Cの2名に譲渡してしまったようなケースでは、例えBが先にAに代金を支払っていても登記をしていなければ、先に登記をしたCが所有権を主張することが可能となります。
- 権利推定力
登記記録に記録された事項については、その記録された事項の法律関係が、一応実際に存在するものと推定されるという効力。
例えば、AからBへ所有権移転の登記がされている以上は、その記録どおりの法律関係が存在するのだろう、と推定されるものです。ただし、あくまで推定されている効力なので、もしその登記が事実とは異なる旨を反証すれば登記が覆ることになります。
- 形式的確定力
登記が存在する以上、その有効・無効に関係なく、以後登記手続上はこれを無視して行動することは許されないという効力。
例えば、地上権設定は対象不動産に既に登記されているときには、重ねて設定登記をすることはできません。よって、実体上既に登記されている地上権が無効の状態であったとしても、これを無視して別の地上権設定登記をすることはできない、ということです。
まとめ
不動産登記は司法書士に依頼したり登録免許税を支払ったりすることで相応の費用がかかることとなりますが、確実な登記を行うことにより不動産の権利を第三者に主張することができ、それは結果として自身の権利を守ることにもなります。特に不動産の売買のときには、売主・買主と複数の当事者が存在し、また高額なお金が動くことからも、確実に登記手続きをしておく必要があります。
複雑で面倒な手続きを、迅速・確実に行うためにも不動産登記は当事務所にご依頼ください。
相続財産を調査するには
相続財産
相続財産とは、「被相続人(亡くなられた方)の財産に属した一切の権利義務」のことを相続財産といいます。
相続財産は預貯金、不動産、株式などが代表的なものですがそれだけに限られません。
被相続人が亡くなられたことで、相続人は被相続人の死亡の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。
ただ、必ず相続をしなければならないというわけではなく、遺産分割や相続放棄という手続きもあります。いずれの手続きにするにあたっても、被相続人の資産や負債がどれくらいあるか把握できないと判断できないこともあるでしょう。
では、被相続人の相続財産を調べていく方法はどうしたら良いでしょうか。
相続財産の調査方法
亡くなられた方の財産を全て把握している方は身近な存在であっても、少ないかもしれません。
一緒に住んでいなかったり、疎遠な関係であったときは尚更財産の把握は難しくなってくるでしょう。
家を持っていたり、給与の振込や生活費で使用していた銀行などの把握は容易ですが、そのほかの相続財産はどのように探していくのでしょうか。
- 預貯金の調査
まずは亡くなられた方がどこの金融機関と取引をしていたかを調べる必要があります。
預貯金通帳、キャッシュカードがあれば、その金融機関に預貯金が残っていること可能性は高いでしょう。その他、年金の受取口座や給与受取口座、光熱費の支払で使用していた口座等は容易に確認できるでしょう。もし口座の確認ができたものの、その金額が分からない場合は、当該金融機関に照会をかけ残高証明書等を取り寄せます。
預貯金通帳の利用明細に定期預金の利子などの記載があれば、普通預金以外に定期預金もあるでしょう。
通帳等がなければ、金融機関等から届く郵便物から調査を進めていくこともできます。
- 不動産の調査
不動産の相続財産調査は、まず最後に住んでいた場所の不動産の登記簿謄本を確認します。所有者として亡くなられた方が記載されていればその所有権が相続財産となります。また、借り入れなどをしているときは共同担保目録に他の不動産の記載も出てくることもあります。それも相続財産となる可能性があります。
次に大体の地域は分かるものの、具体的な場所までは分からないという場合、当該市区町村役場で名寄帳を取り寄せるという方法があります。
名寄帳は、特定の区域内において、ある人が所有している全ての不動産が記載されていますので、相続財産の漏れを防ぐ助けとなります。
ただし、名寄帳には単独で所有している物件と共有の物件は別々に記録されているので、名寄帳の請求の際は共有不動産も含む旨も伝えておく必要があります。
その他に不動産の所在が判明していないときは、市町村から郵送される固定資産税の納付書があれば確認することもできるでしょう。
不動産を所有していれば、権利証等を持っている可能性も高いので、その時はご自宅や貸金庫を探すことで判明することもあります。
- その他株式や保険等の財産
株式や保険等を所有していれば、預金通帳の利用明細に、証券会社や保険会社の収受金、上場会社などの配当金があれば、その財産を確認していきます。
また、定期的に株主になっている会社から株主総会案内等の通知が届くことで判明することもあります。
遺言書を探す方法
亡くなられた方が遺言を残していることもあります。遺言には相続財産が記載されていることが多いため、相続財産をそちらで確認することもできるでしょう。
しかし、相続財産の詳細がなく「一切の財産を●●に相続させる」という記載や相続財産の一部の記載しかない場合、遺言作成後に取得した財産がある場合など、遺言があれば相続財産の全てを把握できるとは限りません。
- 公正証書遺言・秘密証書遺言の場合
もし、亡くなられた方が公正証書遺言をのこしていた場合、それが平成元年以降に書かれたものであれば、全国の公証役場の保管された遺言を瞬時に検索できるシステムを利用することにより探すことができます。
- 自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言は、自分1人で作成が完結できる遺言ですので、その存在を本人以外誰も知らないということもありえます。まずは以下の場所を探してみましょう。
●自宅
●銀行の貸金庫
●懇意にしていた弁護士などがいればその専門家
亡くなられた方が生前に、施設に入っていたときなどは介護関係や病院関係の方に話をしているケースも考えられます。そのような方々に遺言の存在について聞いてみるのも一つでしょう。
なお、自筆証書遺言を見つけた場合は勝手に開封せず、見つけたままの状態で保管し、家庭裁判所の検認を受ける必要があるので注意してください。勝手に開封した場合は、5万円以下の過料を処せられる可能性があります。
- 自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合
令和2年7月10日から自筆証書遺言について法務局で保管する制度が始まりました。
最近始まった制度なので、最も可能性は低いでしょうが、法務局に対して遺言書保管事実証明書の交付請求をすることで確認することができます。
負債を調査するには
住宅ローンを除き、借金をする場合、身内や家族に内緒で借入をしていることもありえます。
家族が知らない借金を、相続人が把握することは容易ではありません。
もし借金の額が大きければ、相続放棄をすることを検討しなければならず、相続放棄をするには期限がありますので注意が必要です。
- 契約書等の書類、ローンカード等の有無の確認
金融機関からお金を借りる際、契約書に署名をする必要があります。また、カードローンのようにカードがあれば限度額内で何度も借入ができるという借入方法もあります。自宅にその契約書あるいはカードローンのカードがあれば、借金が残っている可能性があると言えます。
- 預金通帳の履歴の確認
支払い方法を、口座引き落としにしていた場合は、通帳の履歴から借入先等が判明することがあります。
- 督促状等の郵送物の確認
金融機関への返済が遅れると、催告状や督促状が自宅へ届くことがあります。これらの書類が届くということは、借金が残っている可能性が高いでしょう。
- 不動産の登記簿謄本の内容確認
不動産の登記簿謄本には、当該不動産を担保として借金をする場合が多く、その借入内容等が記載されています。
ただし、住宅ローンにっで被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合は、保険請求による完済することができます。
- 個人信用情報機関への開示請求
銀行、信用金庫、信販会社(クレジットカード)消費者金融などから借入をすると、信用情報機関にその内容が登録されています。信用情報機関に対しては、本人や相続人であればその情報の開示の請求ができます。
信用情報機関には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、一般社団法人全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)の3種類があり、保証人の記載の有無など各機関によって記載に差がありますので、心配であれば全て確認をした方がいいかもしれません。
当事務所は、相続手続きで困ったことや面倒で全て任せたいなどのお客さまからのご要望に応えるために、「相続手続きトータルサポートプラン」を設けております。
相続に関する各種ご要望は是非当事務所へご相談ください。
« Older Entries Newer Entries »