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空き家問題と相続登記の有無
空き家問題
空き家問題は現在全国で深刻な問題となっております。この空き家問題を解消するために、2015年5月に空き家等対策の推進に関する特別措置法が施行されました。
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、管理が適切に行われていないと思われる空き家に対して自治体が調査を行ったのち、問題があると判断された空き家においては「特定空家」として指定し、所有者に管理を行うよう指導をしたり、状況の改善を促したりできるようになりました。
また、これまでは空き家の場合でも、所有者の許可を得ていなければ敷地内に立ち入ることができませんでしたが、空き家対策特別措置法では、管理がされていない空き家に対しては、自治体の職員やその委任した者が敷地内へ立ち入って調査することができます。
この空き家問題の原因の多くは、相続及び相続登記が関係しているとされています。
相続登記が長年行われていない不動産では、相続人が相続登記をしない内にお亡くなりになり、世代が下がっていくにつれて、相続人も増えて、解体や売却に相続人全員の同意を取ることが難しくなるからです。
当事務所の空き家問題解消の一例
- 遺言書の作成
遺言を作成しておくことで、相続発生時に亡くなられた方(被相続人)の意思が尊重され、不動産も適切に名義変更登記をすることができます。
また、当事務所が遺言執行者に就任することもできますので、遺言書の内容に沿った手続きを支援いたします。
- 相続人調査
相続が発生してから、長期間経過している場合では、相続人も増え、調査も大変となってきます。
当事務所では、戸籍などの収集から相続人の確定を速やかに行います。
また、相続人の中に認知症の方や行方不明の方がいる場合には、適宜後見制度の利用や不在者財産管理人の選任手続きなども支援いたします。
- 空き家不動産の売却支援
売却や賃貸をご検討される方には、信頼できる不動産会社のご紹介をさせていただきます。
空き家でそのまま置いておくと、物件の老朽化も進み、管理状態も希薄になりますので、お住まいになる可能性がないときには、売却や賃貸に出すことも選択肢となるでしょう。
相続登記の義務化
「不動産の所有者について相続があったときは、相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記するよう義務づける」主旨の法改正が2024年を目処に施行される予定です。
本法律施行後は、「義務化」とありますので、登記をしなかった場合には10万円以下の過料を科されることがあります。
この相続登記の義務化は遡って適用されます。よって、現在相続登記をしていなくても特段罰則規定はありませんが、このまま放置しておいては、今後過料が科される可能性があるということです。
相続登記の義務化は、空き家問題を解消する契機の一つになるでしょう。
空き家不動産の相続や管理・売買などでお困りのことがあれば当事務所にご相談ください。
不動産の相続登記は、オンライン申請を行いますので、全国対応が可能です。
一緒に解決できるようにサポートいたします。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
競売物件をローンで購入するには
競売物件の購入方法
競売物件を落札すると、裁判所より指定された代金支払期日までに代金を納付することで、裁判所書記官から法務局に所有権移転登記などの手続きが嘱託され、ご自身の名義の不動産となります。
競売物件の代金支払については、一括納付とされているために、自己資金を調達しなければならず、個人の競売物件の入札参加は難しいものとなっていました。しかしながら、民事執行法82条2項の制定により、競売物件に対してもローンを組むことは可能となっています。
従来であれば、代金を納付してから所有権移転登記がなされるまでには一定の時間が必要となる競売物件には、金融機関の担保設定ができず、金融機関も競売物件のローンには消極的でした。
しかしこの制度を利用することで、代金納付と同時に担保設定が可能となり、ローンでの購入もしやすいものとなっています。
競売物件のローン購入の流れ
ローン制度を利用しない場合 |
①落札⇒②残代金の納付⇒③裁判所書記官による登記嘱託(所有権移転・抵当権抹消等)⇒④法務局⇒⑤登記完了 |
ローン制度を利用する場合 |
①落札⇒②ローン制度利用の申出⇒③残代金の納付⇒④裁判所書記官による登記嘱託(所有権移転・抵当権抹消等)⇒⑤ローン設定(司法書士又は弁護士)⇒⑥法務局⇒⑦登記完了 |
ローン制度の利用の有無を問わず、落札することは勿論大前提となりますが、ローン制度を利用する場合には、②の残代金の納付の前に、買受人と金融機関が共同で、ローン制度の申出書(民事執行法82条2項に基づく申出書)を提出しておくことが必要です。
具体的には、まず競売物件を購入することが決まったら、金融機関に融資の相談をしてください。
金融機関を買受人との間で競売物件についてローンを設定する契約が成立したら、残代金の納付日の5営業日前までに「民事執行法82条2項の規定による申出書」や「指定書」その他必要書類を裁判所に提出します。※提出期限は、裁判所により異なるケースもありますので、事前に確認しておくことも大切です。
この申出書は、金融機関と買受人が連名で作成する必要があります。「申出書」や「指定書」を提出しておくことで、所有権移転等の登記とローン設定登記を同時に、買受人と金融機関が指定する司法書士を使用することができます。
代金納付が完了すると、裁判所は、登記に必要な登記嘱託書を、事前の指定書によって指定された司法書士に対して交付しますので、司法書士は、登記嘱託書とローン設定の登記申請を同時に法務局に提出することで、同日に所有権移転とローン設定を行うことができます。
<ローン制度利用の際の主な必要書類>
- 民事執行82条2項の規定による申出書
- 不動産登記事項証明書(発行後1週間以内程度)
- 資格証明書(法人の場合)又は住民票(個人の場合)
- 固定資産評価証明書
- (根)抵当権者(融資をする金融機関等)の資格証明書
- (根)抵当権設定契約書の写し
- 指定書
- 買受人の印鑑証明書
ローン制度利用の際の注意点
- 競売物件に融資してくれる金融機関との交渉が事前に必要
全ての金融機関が、競売物件の融資に前向きとは限りませんし、融資の審査にも相応の時間がかかります。競売物件には代金納付期限も定められていますので、余裕をもって交渉にあたることも大切です。
- 融資が決まっても、代金納付予定日の前に裁判所に手続きが必要
融資が無事決まっても、ローン利用制度を利用する旨は、事前に裁判所に申出する必要があります。
必要書類も決められておりますので、裁判所や金融機関と調整しながら、速やかに進めていくことが大切です。
競売物件の購入でローン制度の利用を検討されている方、手続きでお困りの方などは、当事務所にご相談ください。
金融機関や裁判所との調整なども、一緒にさせて頂くこともできますので、お気軽にご連絡ください。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
相続した不動産が遠方にある場合の手続き
不動産の相続登記
亡くなられた方が不動産をお持ちであった場合には、相続による名義変更の登記手続が必要です。
必要といっても、相続登記は義務化されておりませんので、不動産が遠方の場合や山林などで誰も使用しないから等の理由でそのまま放置をしておいても、特に罰則規定はありません。
しかし今後2024年(令和6年)を目処に相続登記は義務化される予定です。よって、今後は相続が発生したら相続登記は速やかに手続きをされることが望ましいでしょう。
相続した不動産が遠方にある場合
では、相続登記は司法書士に依頼しないと出来ないものでしょうか。
結論としては、ご自身でも手続きをすることは可能です。しかしながら、相続登記は当該不動産を管轄している法務局で手続きを行う必要があります。
また、法務局は平日しか業務を行っておりません。
例えば、相続した不動産が東京で相続人が兵庫県にお住まいのケースでは、平日の日中に東京の管轄法務局まで登記の手続きに出向くか郵送で手続きを行わなければなりません。無事に法務局に書類を提出できても、不備があった場合には、補正の手続きも必要となり、ある程度の時間も費用もかかってくるでしょう。
このような場合には、最初から司法書士へ相続登記をご依頼されたらいかがでしょうか。
司法書士に依頼すると、勿論報酬が発生しますが、登記に必要な書類も確実に集めることもできますし、申請も不備なく行うことができますので、確実・安全です。
当事務所では、オンライン申請を行っておりますので、不動産の相続登記であれば全国対応が可能です。
お困りのことがあれば、是非一度気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料です。

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抵当権付等の不動産を相続したら
担保付不動産(抵当権等)を相続したら
不動産を相続しようとしたら、その不動産に担保(抵当権)が付いていた!
このようなとき、そのまま相続してよいのか、またどういう手続きを踏んでいけばよいのか、お悩みになることもあるでしょう。
亡くなれた方が住宅ローンを組んでいたり事業をされたいたとき等にはこういうケースはあり得ることですが、抵当権等の担保が付いているか否かに関わらず、その不動産は相続の対象となります。よって、法定相続通りに共有状態にすることも出来ますし、遺産分割協議によって誰か一人が相続することも可能です。
住宅ローンの場合は、団体信用生命保険により、ローンは生命保険金で賄われることもありますので、そのときには相続による名義変更登記をした後に、抵当権抹消登記を申請すれば事足ります。
では、債務が残っており、不動産に担保が付いたままの状態で被相続人が亡くなられた場合には、債務(借金)については誰が相続するのでしょうか。
債務の相続は誰がするのか
相続する不動産に担保が残っていても、相続するのは法定相続分通りでも良いですし、遺産分割協議によって取得する相続人を決めることも可能です。
ただし、ローンの支払については、不動産を相続した人が支払うのでしょうか。それとも相続人全員で支払っていかなければならないのでしょうか。
民法には、以下のとおり定めがあります。
(民法第902条の2) 被相続人は相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第900条(法定相続分)及び第901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りではない。 |
よって、債権者の同意なく債務の支払いについて相続人間で遺産分割協議で合意しても、当事者間では有効ですがその合意自体は債権者には主張することはできない、という事です。
債権者の同意なく特定の相続人だけが返済義務を承継するとか、免れることができるといったことを、相続人が自由に定めることができるとすれば、債権者としては、自己の関与しないところで不利な扱いを受けることがあるからです。債権者は当事者間でどういう合意をしていても、法定相続分に従って相続人にローンの支払いを請求することができます。
ただし、債権者の承認を事前にとっていれば、債務の支払いについて特定の相続人とすることもできます。
登記手続きについて
不動産の登記申請を行う場合には、相続による名義変更の登記と合わせて抵当権等の債務者の変更登記も必要となってきます。
登記が必要なケースとして、以下の2パターンが考えられるでしょう。
①法定相続分どおりに債務者の相続登記をする
特段相続人同士で、債務の支払いについて合意がないような場合には、相続人全員が法定相続分どおりに債務を相続することとなります。
よって、抵当権等の債務者についても、「相続」を原因とした法定相続人全員に変更する登記をします。
②免責的債務引受により、特定の相続人に債務者を変更する旨の登記をする
債権者の同意を得た上で、遺産分割協議により特定の相続人が債務を引き受ける合意をしたような場合には、「免責的債務引受」を原因とした債務者の変更登記が必要です。
債務については相続人間でどういう割合で承継するのか、また債務が余りに過大なケースでは相続放棄も視野に入ってくることもあります。
相続の手続きをお困りのこと、お悩みのことなどあれば、お気軽にご連絡ください。
初回相談・費用見積は無料です。

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相続登記の義務化は、遡って適用されるのか?
相続登記の義務化
「不動産の所有者について相続があったときは、相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記するよう義務づける」主旨の法改正が2024年を目処に施行される予定です。
本法律施行後は、「義務化」とありますので、登記をしなかった場合には10万円以下の過料を科されることがあります。
皆さんが気になる点は、この相続登記の義務化は相続がいつ開始されたかに適用が変わってくるかどうかだと思います。
法律施行後に相続が開始された場合には、相続登記の義務化が適用されるのは当然分かると思いますが、法律施行前(昭和~令和6年迄)に相続が開始した不動産について相続登記をしていなかった場合にも、義務化は適用されるのでしょうか。
結論としては、義務化は適用されます。「相続登記の義務化は遡って適用される」ということです。
よって、現在相続登記をしていなくても特段罰則規定はありませんが、このまま放置しておいては、今後過料が科される可能性がある、というなので注意してください。
相続登記について、ご相談・お困りのことなどあれば当事務所にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料です・

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宗教法人に不動産を寄付するには
不動産を寄付するには
当事務所でも最近、現在不動産を所有しているが、相続人もいないので、お世話になった近所のお寺に寄付したいと相談を受けました。
「寄付」という行為によっても、売買や相続と同様に名義変更の登記を行うことができます
そもそも「寄付」とは「金銭や財産などを公共事業、公益・福祉・宗教施設などへ無償で提供すること」とされていますので、お寺に無償で不動産を提供する行為は「寄付」に該当します。
無償で提供する行為は「贈与」の意味合いと似たものですが、相手方が公益性の高いような者のときには「寄付」になります。
寄付する方の必要書類は売買や贈与の登記と同じように
- 印鑑証明書
- 対象不動産の登記済証(登記識別情報通知)
- 実印
- 対象不動産の固定資産税評価証明書
などが必要となってきます。
宗教法人が不動産を貰う場合
不動産を取得するには、通常「登録免許税」「不動産取得税」などが課税されますが、宗教法人の場合には「非課税証明書」を取得することで非課税にすることができます。
ただし、非課税証明書を取得するには、管轄都道府県知事の証明が必要となります。
要件としては、宗教法人が専ら自己の宗教の用途に供する境内建物又は境内地を取得する場合(宗教法人の施設として使用する)に限られており、土地や建物の図面や写真なども提出する必要があります。
非課税証明書を登記申請の際に添付することで、登録免許税は非課税となりますが、一旦名義変更登記をした後に非課税証明書を提出しても還付を受けることは出来ませんので、ご注意ください。
寄付したい先が決まっている方や検討されている方は、お気軽にご相談ください。
寄付により渡す方、寄付により貰う方双方の手続きを全てサポートさせて頂きます。
初回相談・費用見積は無料です。

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抵当権の債務者が亡くなられたら
抵当権の債務者の相続
債務者の相続が発生した場合には、その債務については誰が引き継ぐ形となるのでしょうか。
判例(最判昭34・6・19)によると「被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継する」と解されています。
例えば、債務者(A)が亡くなり、その相続人が妻(B)と子(C)の場合には、Aの債務は当然にBとCに承継されることとなります。(ただし、連帯債務となるものではありません)
このような法定相続による抵当権の債務者の変更をするときには、Aの死亡日を原因日付として、抵当権者(金融機関)と共同申請による債務者の変更登記を行います。
相続による債務者変更登記について
債務者変更登記については、登録免許税が不動産1筆につき1,000円かかります。
申請書の記載例は以下のようなものとなります。
登記申請書 登記の目的 抵当権変更 原 因 令和●年●月●日相続 変更後の事項 債務者(※1) 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 B 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 C 権 利 者(※2) 住所 兵庫県尼崎市塚口本町●● 氏名 ●●銀行株式会社 義 務 者(※3) 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 B 住所 兵庫県尼崎市南塚口町●● 氏名 C |
※1 債務者は新たに債務者となる相続人の方を記載します
※2 権利者とは抵当権者である金融機関などのことです。
※3 義務者とは設定者のことで、対象不動産の所有者のことです。
その他添付書類として、義務者の登記識別情報(登記済証)が必要となりますので、ご注意ください。
特定相続人が債務を引き受けるとき
相続した債務は各共同相続人が、その相続分に応じて承継するとされています。それでは、相続人間の協議などにより、特定相続人に債務を引き受けさせることは出来るでしょうか。
この場合には以下のような2種類の方法で手続きを行うことができます。
①免責的債務引受による方法
一旦、法定相続人による債務者変更登記をした後に、相続人間で遺産分割によらず、債務をその内の一人に承継させたいような場合には免責的債務引受による手続きがあります。
このケースでは抵当権者と債務者間で、相続人の誰かが債務を引き受ける旨の合意をとることとなります。
②遺産分割協議による方法
相続した債務も遺産分割協議の対象とされていますので、遺産分割協議により特定相続人に債務を承継させる旨の協議も有効です。
そのような遺産分割協議が成立したら、抵当権者の承諾を得た上で、直接引き受ける相続人を債務者とする抵当権の変更登記をすることができます。
①、②いずれの方法をとる場合にも、「抵当権者の同意」は必ず事前にとっておきましょう。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
離婚したときの財産分与による登記とは
財産分与による登記とは
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚の際に分配する制度のことです。財産分与した財産の中で、不動産がある場合には財産分与による名義変更登記をすることができます。
登記される原因日付については、「協議による場合は協議成立日」、「調停による場合は調停成立日」、「協議又は調停が離婚前に成立した場合は離婚の日」、「家庭裁判所の審判による場合には審判確定日」となります。
また、財産分与登記手続について、協議離婚の場合と裁判上の離婚の場合とでは、必要書類や当事者が一部異なってきます。
協議離婚に伴い、不動産の財産分与を受けようとする方は、離婚後ではもう一方から必要書類をスムーズに貰うことが難しくなる可能性も出てきます。
手続きや必要書類などについては、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
財産分与による登記手続の流れ
●協議離婚の場合
協議離婚の場合では、財産分与をする方を受ける方の共同申請にて登記手続きをします。よって当事者双方の協力が不可欠となります。
ただし、実際に財産分与による名義変更登記を申請するのは、離婚後となりますので、離婚協議書に署名・捺印するときに合わせて登記手続の書類も準備してもらうことが望ましいでしょう。
※離婚協議書については、下記リンクもご参照ください。
<登記申請に必要書類>
1、財産分与をする方(財産をあげる方)
- 印鑑証明書
- 実印
- 当該不動産の登記識別情報通知または登記済証
- 固定資産税評価証明書
- 戸籍謄本(離婚日を確認するために離婚後に取得)
- 登記上の住所と変更ある場合には住民票、戸籍附票など
2、財産分与を受ける方(財産をもらう方)
- 住民票
- 印鑑(認印でも可)
●裁判上の離婚の場合
家庭裁判所による調停や審判など、裁判上の手続きで離婚したような場合で、以下のようなときには財産分与を受ける方の単独申請にて登記手続をすることができます。
・調停調書や審判書の中で、「財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」などの記載がされていること
・調停証書などに「財産分与として、登記手続と引換えに●●円を支払う」といった反対給付の条項があるときには、裁判所に給付があったことを証する書面(振込の領収書など)を提出し、執行文を付与してもらうこと
<登記申請に必要書類>
1、財産分与を受ける方(財産をもらう方)
- 住民票
- 印鑑(認印でも可)
- 調停調書、審判書正本、和解調書等
- 固定資産税評価証明書
登記費用について
財産分与による名義変更登記には、名義変更による登録免許税(固定資産税評価額×1000分の20)及び司法書士への報酬、実費がかかります。
これは財産分与を受ける方が支払うこととなります。
当事務所では、離婚協議書の作成から離婚後の財産分与による登記手続きまでサポートさせて頂きます。
初回相談・費用見積は無料ですので、検討されている方、お困りの方などはお気軽にご相談ください。

当事務所は兵庫県尼崎市を拠点に、相続や遺言に関する手続きをサポートしています。相続手続きでは、戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、複雑な手続きを一括してお任せいただけます。また、遺言書の作成支援も行っており、将来の相続に備えた適切なアドバイスを提供しています。
初回のご相談や費用のお見積もりは無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
抵当権抹消の書類がみつからないときは
抵当権抹消登記の必要書類
住宅ローンを払い終えると、金融機関から抵当権の抹消登記に必要な書類を郵送してくることがあります。
すぐに手続きをすれば良いのですが、特に急ぐ必要もないのでそのままにしておいたところ、いざ売却しようとしたときに書類を探したがみつからない!というケースもよくあります。
また、親が所有していた不動産を相続登記しようとしたところ、まだ親名義の住宅ローンの抵当権が残ったままになっていたので、抹消登記をしたいが書類が見つからない、ということもあるでしょう。
このように、いざ抵当権抹消登記の手続きをしようとする際に必要書類を紛失してしまって、手続きに困ったらどうすればよいでしょうか。
ここでは、困ったときの対処方法について説明していきます。
抵当権抹消登記に必要な書類
ローンを支払い終えると抵当権抹消登記に必要な書類を金融機関から受け取ることができますが、その書類は主に以下の通りとなります。
①登記識別情報通知または登記済証(抵当権設定契約証書等に押印されています)
②抵当権解除(放棄、弁済)証書
③金融機関の委任状
この中で、②、③については金融機関に再度依頼することで、再発行してもらうことができますが、①については再発行ができません。
よって①も紛失されているようなケースでは、特別な手続きが必要となってきます。
金融機関からの登記識別情報または登記済証を紛失していたら
登記識別情報通知や登記済証は再発行することができない書類となりますので、以下の2通りのパターンで抵当権抹消登記の申請をすることとなります。
方法1:事前通知による方法
売買などに関係なく、時間的に特に急いでないようなときには、この方法を利用することが多いです。まずは金融機関に連絡して、下記の書類を追加で依頼することとなります。
- 委任状(金融機関の実印もしくは法務局に登録している印を押印したもの)
- 金融機関の印鑑証明書(もしくは写し)
上記の書類を取得したら、通常は抵当権抹消登記に必要な登記識別情報通知や登記済証を添付せずに、そのまま抹消登記を申請します。
そうすると申請を受けた法務局は、金融機関に対して「このような抵当権の抹消登記が申請されましたが、申請の内容が真実であれば申し出てください」という旨の通知をします。
そして、金融機関から間違いない旨の申出が期間内(2週間)にあれば、そのまま登記手続きは進みます。通知及び回答の期間がありますので、通常の抹消登記よりは時間はかかります。
方法2:本人確認情報を作成する方法
登記手続きを依頼する司法書士が、金融機関の権限のある者(部長、支店長など)と面談し、本人確認情報を作成することで登記識別情報通知(登記済証)に代わる書類として提出します。
事前通知のように時間はかかることにはなりませんが、司法書士への報酬が別途追加でとられることとなります。

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遺言書がある場合の名義変更登記手続き
遺言書がある場合の名義変更登記に必要な書類
遺言書がありその中に不動産の記載がある場合には、遺言書にもとづいて被相続人(亡くなられた方)から相続財産を受取る方に名義変更登記を申請します。しかしながら、遺言書がある場合であっても、受け取る方が法定相続人であるか、第三者であるかによって登記申請に必要な書類などが変わってきますので、注意が必要です。
遺言にもとづき法定相続人に相続させる場合
遺言にもとづいて法定相続人に相続させる場合の登記申請に必要な書類は以下のとおりとなります。
遺言がある場合には、通常の相続登記と異なり、全ての相続人を確定する必要がないため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て集める必要はありません。
- 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
- 被相続人の死亡時の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 遺言により相続する方の現在戸籍謄本
- 遺言により相続する方の住民票
- 固定資産税評価証明書又は固定資産税課税明細書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の4)
遺言にもとづき第三者に遺贈する場合
遺言にもとづいて相続人以外の第三者に対して不動産の名義変更を行う場合には、「相続」ではなく「遺贈」を原因として名義変更登記を申請することとなります。
この場合には、法定相続人に相続させる場合と異なり、登記済証(登記識別情報)が追加で必要となってきたり、登録免許税も原因を「相続」とするものよりは高い税率となってきます。
また、遺言の中で「遺言執行者」を定めている場合とそうでない場合とで、必要書類も異なってきますので、下記をご参考ください。
遺言執行者を定めていない場合
- 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 対象不動産の登記済証(登記識別情報)
- 遺言により受遺する方の住民票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の現在戸籍謄本
- 固定資産税評価証明書又は固定資産税納税通知書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の20)
遺言執行者を定めている場合
- 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要です)
- 被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生からの遡りは不要です)
- 被相続人の住民票の除票
- 対象不動産の登記済証(登記識別情報)
- 遺言により受遺する方の住民票
- 遺言執行者の印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書又は固定資産税納税通知書(登録免許税は固定資産税評価額の1000分の20)
遺言がある場合の不動産名義変更登記のご依頼は当事務所にお任せください。遺言の検認手続き・戸籍謄本の収集から登記申請に必要な書類の作成までサポートいたします。
初回相談・費用見積は無料です。

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