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遺言でしかできないこととは?
遺言に記載できる内容とは
被相続人は死後の自分の財産の行方についてその意思を遺言で自由に決めることができます。
遺言書は15歳に達したものであれば作成することができ、遺言書を作成したときは遺言者の意思を尊重して、一定の事項については死後の法律関係が遺言で定められた通りに実現することを法的に保障しています。
ただし、遺言でなくても生前行為としてできるものもあり、その違いを説明していきたいと思います。
遺言でしかできないこと
- 相続分の指定
- 遺産分割方法の指定
- 遺産分割の禁止
- 遺言執行者の指定
- 遺留分侵害額請求方法の指定
- 未成年後見人の指定
- 未成年後見監督人の指定 etc
遺言でなくても生前行為としてできるもの
- 認知
- 相続人の廃除
- 祭具等の承継の指定
- 一般財団法人を設立する意思表示
- 信託 etc
遺言は折角作成しても、法律に定める方式に従わなければ、効力が発生しません。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも遺言書の作成でお困りのことがあれば是非ご相談ください。
初回相談・見積は無料です。
家族信託(家族の為の信託)とは
家族信託(家族の為の信託)とは
家族信託とは一言で言うと「信頼できる家族・親族(子供や孫、甥姪、親族が設立した一般社団法人等)に資産の管理・処分を任せる財産管理の一手法」であります。
一般的に財産の所有者が何も対策を講じなければ、その人が亡くなったときから遺言がない限りは、全ての財産は法定相続となり、相続人が共有することとなります。
機械的に法定相続人の共有財産となってしまい、遺産分割協議をする以外に共有状態を回避することはできません。
また、認知症などの判断能力の低下から後見人がついたときから、全ての財産管理・処分の権限は後見人に移ることとなり、家庭裁判所の監督下に置かれることとなり、親族の意思によって財産を処分することはできなくなります。
では改めて家族信託の意義について戻ると、上記のように財産管理の一手法と述べましたが、具体的には「権利と名義を分離する」ことです。
元々の名義人は勿論現在の所有者ですが、こちらを家族信託契約の締結により、「委託者」という名に書き換え、新たに名義人となる人を「受託者」という名に書き換えます。名義人を「受託者」に変更することで、元々の所有者には何も権利がなくなるように見えるかもしれませんが、権利を受け取れる人については、「受益者」(一般的には元々の所有者がなるケースが多いです)という名に書き換えることによりそのまま名義を持たないものの、権利については持ち続けることができます。
一旦家族信託契約を締結してしまうと、効力はいつまで続くのか気にされる方もおられるかもしれませんが、最初の契約内容で終了事由を定めることができます。
では、家族信託が終了すると、財産はどうなるのでしょうか。
元の状態に戻ることとなります。その後は、今まで通りの所有権として相続や遺言の対象となります。
次回以降に家族信託の登場人物や事例については、記載していこうと思います。
遺留分について
遺留分とは
遺留分とは、相続において一定の近親者に認められた相続財産の一定の割合の相続分として権利であり、被相続人の生前処分などによって奪うことはできないものを言います。
こちらは、被相続人による財産処分の自由及び取引の安全と、相続人の生活の安定及び財産の公平な分配との調整から制度として定められました。
遺留分権利者について
遺留分とは、相続において一定の近親者に認められたものと上記に記載しましたが、
実際に誰に権利があるのでしょうか。
遺留分権利者になれるのは、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子・直系尊属)です。
胎児も生きて生まれれば、子としての遺留分を持ちますし、子の代襲相続人も遺留分を持ちます。
但し、相続欠格・相続放棄等によって相続権を失った場合は、遺留分も失うことになります。
遺留分の率について
- 総体的遺留分
総体的遺留分とは遺留分権利者全体に遺されるべき遺産全体に対する割合で以下の通りとなります。
相続人 | 総体的遺留分 |
直系尊属のみ(父・母など) | 3分の1 |
直系卑属のみ(子・孫など) | 2分の1 |
配偶者のみ | 2分の1 |
配偶者と直系尊属 | 2分の1 |
配偶者と直系卑属 | 2分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 |
2分の1 ※兄弟姉妹には遺留分はありません |
- 個別的遺留分
個別的遺留分については、全体の遺留分の率について、各々の遺留分権利者の法定相続分の率を乗じることになります。
例)相続人が配偶者、子ども2人ので被相続人が全て配偶者に遺産を贈与したケースで子どもの内の1人が遺留分を請求した場合
その子どもの遺留分:1/2(総体的遺留分)×1/4(法定相続分)=1/8
遺留分を算定するための財産の価額について
①贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限ります。
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、一年前の日より前にしたものも算入します。
②相続人に対する贈与については、相続開始前の10年間にしたものとなります。
改正前民法では、一律「相続開始前の1年間にしたものに限る」旨の規定がありましたが、
今般の民法改正により、相続人に対する贈与については「原則10年」とする規定が新たに設けられました。
遺留分侵害の請求について
遺留分を有する相続人が自身の遺留分を侵害されたときに、遺留分の権利行使をすることを
「遺留分減殺請求」と呼びます。
従来の相続法では、目的物の返還請求権があるものとされていました。
そのために、受贈者と遺留分減殺請求をした相続人との不動産の共有状態が起きて
その解消をめぐり、新たな紛争が生じることも多々ありました。
そこで改正相続法により、遺留分減殺請求権から生ずる権利を「遺留分侵害額請求権」として金銭の支払請求権と規定しました。
この改正により、遺留分減殺請求権の行使により共有関係が当然に生ずることを回避するとともに、
遺贈や贈与の目的財産を与えたい特定の受贈者に与えたいという遺言者の意思を尊重することができるようになりました。
遺留分侵害額請求権の期間の制限について
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは、時効によって消滅します。
相続開始の時から10年を経過したときも同様となります。
遺留分については、遺留分侵害額の算出、請求など手間・負担のかかる手続きも多いです。
また、他の相続人との争いことに発展することも多いので、権利の行使を躊躇うケースも見受けられます。
ただ、遺留分については法律に定められた権利ですので、
遺留分についてお困り、お悩みごとがあれば当事務所までご相談ください。
ご相談、お見積りは無料です。
お気軽にお問い合わせください。
遺言書の撤回及び取消について
遺言の撤回及び取消について
遺言書を一度は書いたが、後に相続人や相続財産の構成が変わったり、気持ちが変化することもあるでしょう。
遺言をした後に遺言者の意思が変わった場合には、遺言者本人が遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます。
遺言者の撤回意思の明確を期するために、あくまで遺言の方式によらなければなりません。
ただし、撤回される遺言と同じ方式である必要はなく、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできます。
後に遺言書を書き直し、遺言書が2通存在するときには、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
例えば、Aが「甲不動産をBに遺贈する」という遺言をした後に、「甲不動産をCに遺贈する」という遺言をした場合には、
前の遺言を無効にしなければ、後の遺言を実現できないために内容が抵触するものとみなされ、Bに対する遺贈が撤回され、Cが取得することになります。
遺言者が故意に遺言書を破棄したときや遺贈の目的物を破棄したときにも、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます。
これはあくまで故意による破棄に限られ、不可抗力の場合には撤回とは扱われません。
遺言書の書き方、効力、内容その他の相談も当事務所は随時受け付けております。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
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配偶者居住権について
配偶者居住権の新設の経緯について
配偶者の一方が死亡した場合でも、他方の配偶者はそれまでに居住してきた建物に引き続き居住することの望まれる方も多いでしょう。
特に相続人である配偶者が高齢者である場合には、住み慣れた思い入れのある建物を離れて暮らすことは大きな負担になると考えられていることから、
近年の高齢化社会の進展に伴い、配偶者の居住権を保護する必要性が高まってきております。
そこで、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物について、配偶者の居住権を長期的に保護するために、配偶者が終身又は一定期間その居住建物を
無償で使用することができる権利を取得することができる方策として、新設されました。(令和2年4月1日施行)
配偶者居住権の種類について
- 配偶者居住権
- 配偶者短期居住権
配偶者居住権とは
配偶者の居住権とは、原則配偶者の居住権を終身の間、認める制度になります。
- 成立要件
・被相続人に属した建物であること
・配偶者が相続開始時に居住していること
・法律婚の配偶者であること
- 発生自由
・配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割
・配偶者居住権を取得させる旨の遺贈
・被相続人との間の死因贈与契約
- 存続期間
・原則:配偶者の終身の間
例外:遺産分割で別段の定めをしたときは、その定めによる
- 登記請求権
配偶者は登記請求権を有する
※配偶者居住権の設定の登記は、配偶者と居住建物の所有者の共同申請で行います。
- 相続性
配偶者が死亡したときは、存続期間の満了の前であっても、消滅する
配偶者短期居住権とは
相続に伴う配偶者の居住権の保護については、相続人である配偶者が被相続人の承諾を得て被相続人所有の建物に居住していた場合、
その配偶者は相続開始前には、被相続人の占有補助者としてその建物に居住していることになりますが、被相続人の死亡によりその占有補助者としての資格を失うため、いかにして配偶者の居住権保護を図るかが問題視されていました。
今回の改正法により、配偶者短期居住権として、
①相続開始時に被相続人の建物に無償で居住していた配偶者の短期的な居住の利益を保護するため
遺産分割によりその建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6カ月を経過する日のいずれか遅い日までの間、無償でその建物に住み続けることができるとされました。
また、②被相続人が居住建物を第三者に遺贈した場合や、配偶者が相続放棄をした場合のように配偶者が遺産分割の当事者とならない場合においても6ヶ月は配偶者に無償での居住を認めることとされました。
- 発生自由
・配偶者が、被相続人所有の建物に相続開始の時に無償で居住していること
- 存続期間
・居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割する場合
➡遺産分割により居住建物の帰属が確定した日または相続開始の時から6カ月を経過する日のいずれか遅い日
・上記以外の場合
➡消滅の申し入れの日から6ヶ月を経過する日
- 相続性
・配偶者が死亡したときは、消滅する
上記の通り、配偶者居住権は、残された配偶者が住み慣れた自宅で安心して生活を送れるように制定されておりますが、
配偶者の保護ばかり厚くして、他の相続人や第三者が不意な損害を被ることがあってはなりません。そこで成立要件や発生自由などの要件が法律で決められております。
いずれにしても、配偶者の方を思うと生前に遺言書を作成することが大切です。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
初回相談・見積り作成は無料です。
遺言書を作成しておいた方が良いケース⑥
相続人の中に認知症の方などがおられる場合
相続人の中に認知症の方や重い病気などで意思表示が難しい方がおられる場合には遺言書を作成したおいた方が良いでしょう。
相続人間での遺産分割協議をする際に、意思を表示できない方がおられると遺産分割協議を進めることができない可能性があります。
また、認知症の方が遺産分割協議に参加するには、成年後見人の選任が必要となり、手続きが長期化し、費用もかかってきます。
このような状況を回避するには、事前に遺言書を作成しておくことで、手続きも円滑に進めていくことができます。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
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遺言書を作成しておいた方が良いケース⑤
相続人がいない場合
相続人が誰もいない場合には、家庭裁判所は相続財産管理人を選任し、相続財産管理人が官報などにより相続人捜索の公告をします。
この公告期間内(約13ヶ月)でも、新たに相続人や相続債権者が現れない場合には、相続人のいない財産として国庫に帰属します。
遺言書がないと「国」のものになってしまうのです。
長年生活されてきた中でお世話になった方、また、これからより発展して欲しいと願う団体、興味が少しでもある事業、趣味の団体、お心当たりはありませんか?
こういった相続人でない方や、個人でない、団体や協会へご自身の大切な財産を「遺贈する」ことによって譲ったり、寄付したりすることもできます。
遺言書を残しておくことで、ご自身が本当に財産を渡したい相手へ、その財産が引き継いでいくことができます。
遺産の使い道を自らの意思で決めるには、遺言書を作成しておくことが大切です。
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遺言書を作成しておいた方が良いケース④
前配偶者との間に子どもがいるケース
配偶者(夫・妻)とは、離婚により相続関係もなくなってしまいますが、子どもについては、他方に親権が移っても親子であることには変わりなく、相続関係は継続します。
自身が亡くなった場合に、子どもの住所、連絡先が分からなかった場合でも相続人から外すことはできません。
相続人を含めないで行った遺産分割協議は無効であり、残された相続人がその子どもの現在の住所・連絡先を追っていく必要があり、
また仮に連絡がついたとしても遺産分割協議自体が揉める可能性もあり、残された相続人にとって大きな負担を残すことになりかねません。
そのような事態を回避するためにも,予め遺言書を作成しておくことで相続分を指定しておくことが望ましいでしょう。
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遺言書を作成しておいた方が良いケース③
相続財産が主に不動産であった場合
不動産は預金等の金銭と異なり「物」であるため、簡単に「分ける」ことができません。不動産の他に預金等の分配しやすい財産が多い場合には、長男へ不動産を、次男・三男へ不動産と同等の金額の預金を分ける、といった方法も取れますが主な相続財産が不動産である場合、このような方法がとれず、相続人間で遺産分割協議をしても、うまく合意ができず、争いに発展してしまうことも多くあります。
最悪の場合、協議が整わない為、法定相続により不動産を共有引継ぎとしたものの、売却しようにも全員の合意が整わず、売却することもできず空き家のまま放置される、といった事態にもなりかねません。
それがご自身が長年住まわれてきたご自宅であったなら、なおさら残念です。
不動産の引き継ぎ先や分割方法を遺言書で指定しておくことで、相続人間の争いを防ぎ、残された不動産を有効に活用してもらうことができます。
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遺言書を作成しておいた方が良いケース②
事業を継続していきたい場合
被相続人の方が事業を営んでおり、自身がオーナーである場合などにおいては、会社の株式を過半数保有していることも多々あります。
その場合、遺言書がないと亡くなられた後に法定相続により会社の株式が各相続人の共有となってしまい、
その後の経営権争いなど、経営に支障が出ることも十分考えられます。
いわゆる同族会社における事業承継の問題と言われるものです。このトラブルが生じると解決までの間経営も滞ることになり、取引先や従業員へも迷惑をかけ、
やっと解決したころには、利益も信用も回復しえない状態になってしまうという事もあり得ます。
経営者としてそのような事態は絶対に避けるべきです。遺言書により株式や経営権の分割方法を指定することで後継者にスムーズな事業承継ができ、事業をより発展・継続させていくことができます。また、生前に株式すべてを信託財産とし、死亡により信託を終了するように定めておくことにより、受益者で指定しておいた後継者に確定的に株式を取得させることもできます。
詳細は当事務所ホームページの家族信託(家族のための信託)関連ページをご参照ください。
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