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合同会社の社員が亡くなられたら
合同会社の社員が亡くなると
合同会社の社員は死亡が退社事由とされており、社員が死亡したときに退社することとなります。
亡くなられた社員の相続人は、定款に別段の定めがない限りは社員としての地位を相続することはできませんので、持分自体を相続するのではなく、持分の払戻請求権を相続するという事になります。
例外として、先述したように定款に定めがあれば、社員の相続人が持分を承継することも可能です。
(会社法第608条) 1、持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。 |
このように定款に定めがあれば、社員が死亡した場合にその社員の相続人が合同会社の社員として加入することとなります。
合同会社では、業務執行社員や代表社員は登記事項となっていますので、亡くなられた社員が該当するようなケースでは、登記手続も必要となってきます。
合同会社の相続登記
①定款の定めにより、死亡した社員の相続による変更登記
相続により、業務執行社員や代表社員の変更があった場合には、以下のような書類を添付し、法務局に変更登記の手続きをしなければなりません。
- 当該合同会社の定款
- 亡くなられた社員の出生から死亡までの戸籍謄本等一式
- 相続人の戸籍謄本
- 業務執行社員の互選書
- 代表社員の就任承諾書
- 遺産分割協議書(相続人が2名以上おり、遺産分割協議によって加入する社員を決める際)
②定款の定めがなく、相続人が社員としての地位を承継しない場合
社員としての地位を承継せず、持分払戻請求権により払い戻しをするときは、払い戻しを受ける社員が出資した際に計上されていた資本金が減少される為に、資本金減少の登記申請が必要となってきます。
資本金を減少させる際には、株式会社と同様に債権者保護手続きが行わなければなりませんので、注意が必要です。
合同会社の相続手続きでお困りのことがあれば、気軽にご相談ください。
初回相談・費用見積は無料で承っております。
法人と役員との不動産取引について
法人と役員との不動産取引とは
不動産の取引については、広く認められていますので、勿論法人とその法人の役員(取締役等)との売買をすることも可能です。
不動産管理上の問題や税制面での問題等で、役員(個人)が所有している不動産を法人に売買することもあるでしょう。
ただし、通常の不動産取引と異なり、法人と役員との売買は「利益相反取引」に該当しますので、注意が必要です。
利益相反取引とは
利益相反取引とは、取締役が会社と自身の利益が相反する取引を会社に行わせることです。
会社法でも、利益相反取引については、次のとおり定めています。
会社法第356条(競業及び利益相反取引の制限) 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。 二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。 三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。 会社法第365条(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限) 取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。 二 取締役会設置会社においては、第365条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。 |
上記条文にある通り、法人と役員間で行う不動産取引は事前に株主総会(又は取締役会)での承認を受けなければなりません。
これは売買のみに関らず、法人から役員への贈与や役員への金銭消費貸借等も該当します。ここでよくある質問ですが、同族会社で株主及び役員が一人であって、決議が承認されることが分かっていても株主総会が必要か、という事です。
判例上は、自分以外の株主がおらず利益が侵害される可能性はありませんので、利益相反承認の決議自体は不要であると考えられています。
しかしながら、不動産登記申請においては、登記官が当該法人の株主が一人かどうか確認できない点などから、一人株主であっても、株主総会議事録の添付を省略することはできません。
具体的には、決議事項の中に「当事者(買主・売主)、対象不動産、売買契約締結日、売買価格」などを盛り込み、承認を受けることとなります。決議要件を満たし承認を得ることができたら、その議事の内容を株主総会議事録(取締役会議事録)として作成します。
株主総会(取締役会)での承認決議後の手続き
株主総会(又は取締役会)での承認決議を経たら、実際に不動産取引を進めることができます。
不動産取引申請時には、通常の売買の手続きに必要な書類の他、承認決議を経た株主総会議事録(取締役会議事録)も添付します。
この取引が利益相反取引に該当するのか?利益相反取引に該当するのであれば手続きををお願いしたい、等お困りのことがあればお気軽にご相談ください。初回相談・費用見積は無料で承っております。
合同会社に新たに社員を加入させるときの手続き
合同会社の社員を新たに加入させるには
合同会社を設立した後に、社員を新たに追加させることは可能です。
社員を新たに追加させる場合には、主に以下のようなパターンが考えられます。
1、新たに出資して加入する
2、他の社員から持分を譲り受けて加入する
新たに出資して加入する場合
①定款の変更
合同会社の場合「社員の使命又は名城及び住所」は定款の記載事項となります。よって新たに社員が加入した場合には、定款の変更する必要があります。
定款変更には別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です。また、社員の加入の効力は、当該社員に係わる定款の変更をした時に生ずるとされています。
②出資の履行(増資)
合同会社の社員となる者は、必ず出資をしなければなりません。
合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となる者が定款の変更をした時にその出資に係る払込みをしていないときは、その者は、当該払込みを完了した時に、合同会社の社員となります。
このケースでは、社員の変更に加えて資本金の額の変更登記が必要となります。
他の社員から持分を譲り受けて加入する場合
①持分譲渡の承諾
合同会社では、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を譲渡することはできません。ただし、譲渡する社員が業務執行権を有していないときは、業務執行社員全員の承諾で足ります。
持分全部を譲り渡した社員は退社し、持分一部を譲り渡した社員は従来通り社員の地位にとどまります。
②定款の変更
持分譲受けにより、新たに社員を加入させることとなりますので、出資の有無を問わず、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意が必要です。
ただし、持分譲受けによる社員加入の場合には、資本金の額に変動はありませんので、資本金の額の変更登記は不要です。
社員の加入と登記手続き
合同会社の登記事項に変更が生じたときは、その効力発生日から2週間以内に登記をしなければなりません。
しかしながら、合同会社では業務執行社員以外の社員に関する事項は登記事項となっていませんので、業務執行社員以外の社員に加入・退社等の事由が生じても登記申請をする必要はありません。
よって、社員加入による登記申請が必要なケースは以下のようなパターンとなります。
①社員が業務執行社員に就任し、出資して資本金が増えた場合
業務執行社員の就任と、資本金の額の変更に係る登記申請を行います。
<必要書類>
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 払込みがあったことを証する書面 etc
②社員が業務執行社員に就任し、資本金の額に変動がない場合
業務執行社員の追加に係る登記申請を行います。
<必要書類>
- 総社員の同意書 etc
③社員が業務執行社員にならず、出資して資本金が増えた場合
業務執行社員にならない為に、社員の追加に係る登記は不要となり、資本金の額の変更登記が必要です。
<必要書類>
- 総社員の同意書
- 業務執行社員の決定書
- 払込みがあったことを証する書面 etc
④社員が業務執行社員にならず、資本金の額も変動がない場合
この場合は登記事項に変更が生じないため、登記申請は不要です。
代表取締役が亡くなったことで会社を清算するときには
代表取締役(社長)が亡くなったら
取締役が1名でかつ株主が1名しかいない会社の代表者が亡くなった場合、後継者もいないので会社を清算するというケースも出てくると思います。
もう代表者も株主も亡くなってしまっているので、何も手続きをしなくても会社は消滅するということはありません。
会社を清算するには、解散・清算結了の登記手続が必要となってきます。
会社を解散するには
株式会社を解散するときには、以下のような解散事由に該当する必要があります。
①定款で定めた存続期間の満了
②定款で定めた解散の事由の発生
③株主総会の決議
④合併による消滅、破産、解散命令
この中で④のケースを除き、解散手続きをするには清算人を選任する必要があります。定款に清算人が定められているときはその方が清算人となりますが、それ以外のケースでは株主総会の決議によって清算人を選任することになります。
ここで注意が必要なのは、株主総会の決議を開くときの株主は誰になるのか、ということです。
株主である代表者が亡くなられているので、その株式については相続手続きの対象となります。株式の相続の場合には、預貯金や不動産と違い、株式は単純に法定相続分に応じて分けられるものではありません。通常は、法定相続人の間で遺産分割協議をすることで株式を相続するものを決定することとなります。
そして、新たに株主となった者の決議により、解散及び清算人選任の承認をした上で、登記手続きをする運びとなります。
会社の清算についてご相談などがございましたら、当事務所に気軽にご連絡ください。
初回相談・費用見積は無料です。
一般社団法人の定款作成で注意する点
一般社団法人の定款
一般社団法人の定款には、2名以上の設立時社員が共同して作成し、全員が署名または記名押印しなければなりません。設立時社員とは、株式会社でいう発起人に相当し、設立に関する事務を行うもので自然人(個人)・法人を問いません。定款の作成は一般社団法人設立の絶対要件であり、今後の法人の事業や組織体制などを決めていく骨格となるもので、後で変更しようと思っても社員総会の決議などが必要となってきますので、注意が必要です。
一般社団法人の定款記載事項について
定款には、その記載がなければ定款自体が無効とされる絶対的記載事項のほか、定款の定めがなければその効力を生じない相対的記載事項及び、その他の事項で一般法人法の規定に違反しないものとして任意的記載事項があります。
- 絶対的記載事項
①名称
一般社団法人は、名称中に「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。また、他の法人が既に登記した名称と同一で、かつ、主たる事務所の所在場所が当該法人と同一である法人の登記をすることはできません。
②目的
一般社団法人は、営利を目的としない法人であり、その範囲内でのものとなります。基本的には当該法人の判断によりますが、公序良俗に反するような目的を定めることは勿論できません。
③主たる事務所の所在地
定款には、最小行政企画(市区町村)まで定めていれば足ります。
④設立時社員の氏名または名称及び住所
設立時社員とは、一般社団法人の社員になろうとする者をいい、設立に関する事務を行います。設立時社員は2名以上とされ、社員が欠けたことは解散事由とされています。また、自然人(個人)・法人問わず社員になることはできます。
⑤社員の資格の得喪に関する規定
社員となり得る資格についての定め、退社事由についての定め、入退社等の手続きについての定め等を規定します。具体的には、当該法人の自治に委ねられるものです。
⑥公告方法
一般社団法人は、次のいずれかの方法によって公告を行いますので、選択して定款に記載しなければなりません。
1、官報に掲載する方法
2、日刊新聞紙に掲載する方法
3、電子公告
4、主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法
⑦事業年度
事業年度ごとに計算を行うため、事業年度は定款の絶対的記載事項とされています。
- 相対的記載事項
定款の相対的記載事項は、多岐に亘っており、自治が広く認められています。以下、例として挙げるものなどが相対的記載事項に該当します。
①設立時役員の選任の場合における議決権の個数に関する別段の定め
②任意退社に関する別段の定め
③退社事由
④社員総会の招集請求の議決権数
⑤議決権の数
⑥社員総会定足数・決議要件の別段の定め
⑦理事会、監事、会計監査人を設置する旨の定め
⑧理事の任期の短縮(定款に記載がなくても、社員総会の決議により短縮することもできます)
⑨代表理事の互選
⑩存続期間または解散事由
⑪基金を引き受ける者の募集等に関する定め
- 任意的記載事項
①社員総会の招集時期
②社員総会の議長
③従たる事務所の所在地
④役員の人数
⑤役員の報酬
⑥残余財産の帰属
尚、一般社団法人では定款で社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨を定めることは禁止されています。定款にこのような旨を記載することは、非営利性という一般社団法人の基本的性格に反するためです。
一般社団法人の設立を検討されている方、設立した後でもお困りのことがあれば、当事務所にご相談ください。
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一般社団法人とNPO法人の選択に迷ったら
一般社団法人?NPO法人?
法人には大きく分けて「営利法人」と「非営利法人」の2つがあります。「営利法人」とは、株式会社や合同会社を指し、構成員(株主など)に対して当該法人の利益を分配することができる法人のことをいい、「非営利法人」とはその活動によって得た利益を構成員(社員など)に分配することができない法人のことをいいます。ただし、非営利法人であっても、あくまで利益の分配がでいないことを言うのであって、株式会社と同様に収入を得ることも、給与を支払うことも問題はありません。
一般社団法人とNPO法人は共に「非営利法人」となります。どちらも公益性の高い活動を行っている法人だろう、とイメージされる方も多いでしょう。では、非営利法人の設立を検討される方がおられる場合に一般社団法人とNPO法人のどちらを選択した方がよいのか、それぞれの違いやメリット・デメリットについて説明していきます。
一般社団法人とNPO法人の違い
一般社団法人 | NPO法人 | |
---|---|---|
設立時最低必要人員 | 2名 | 10名 |
最低限必要な役員構成 | 理事1名のみでも可
※非営利型一般社団法人の場合では、 |
理事3名、監事1名 ※親族規定による制限あり |
最低必要社員数 | 2名(設立時) | 10名(常時) |
設立に係る実費費用 |
登録免許税6万円 公証役場での定款認証費用5.12万円 |
登録免許税及び定款認証費用の負担なし |
設立までの期間 | 2週間~1ヶ月程度 |
約4ヶ月~6ヶ月前後 所轄庁での審査・公告期間があります。 |
課税(税制面) | 普通型一般社団法人は株式会社などと同じ「普通法人」扱い
非営利型一般社団法人は収益事業にのみ課税される「公益法人」扱い |
収益事業にのみ課税 |
事業目的 | 他の法律や公序良俗に反しない限り、特別な制限はない |
公益的な非営利活動として、20項目の活動が挙げられており、どれかの項目に含まれる必要がある。 主たる目的とするには、特定非営利活動の割合が50%以上を占めている必要がある。 |
定款変更する時の決議要件 | 社員総会決議 | 社員総会決議 ※変更内容によっては所轄庁の認証が必要。 |
一般社団法人と比較してNPO法人のデメリット
- 設立に際して多くの人員が必要
NPO法人の設立要件として、社員(常時)が10人以上必要です。また役員は理事3人以上、監事1人以上が必須となっており、一般社団法人と比較して多くの設立に係わる人が必要となります。
- 情報公開の義務が生じる
NPO法人は関係者だけでなく、広く市民に知ってもらい、また監督され、支えられることを目的としているために定款や事業報告書等を情報公開することが義務付けられています。そのため定款や事業報告書を事務所や所轄庁に備え置く必要があります。設立後も毎事業年度終了後に事業報告書などを所轄庁に提出しなければなりません。
- 活動内容に制限がある
NPO法人では、公益的な非営利活動として、特定された20項目の活動の分野に制限されており、以下の20項目のいずれかに含まれる必要があります。
活動分野20項目 1、 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 2、 社会教育の推進を図る活動 3、 まちづくりの推進を図る活動 4、 観光の振興を図る活動 5、 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 6、 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 7、 環境の保全を図る活動 8、 災害救援活動 9、 地域安全活動 10、人権の擁護又は平和の推進を図る活動 11、国際協力の活動 12、男女共同参画社会の形成の推進を図る活動 13、子どもの健全育成を図る活動 14、情報化社会の発展を図る活動 15、科学技術の振興を図る活動 16、経済活動の活性化を図る活動 17、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 18、消費者の保護を図る活動 19、前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 20、前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
※20項目に含まれるかどうかの判断は、常識的に含まれると考えられるものは、含めることができるとされています。
一般社団法人と比較してNPO法人のメリット
- 社会的信用度がより高い
NPO法人は活動内容も制限され、また情報公開が法律上、義務付けられていることから、透明度も高く、社会的な信頼性は一般社団法人に比べて高まります。
- 定款認証や設立登記の登録免許税がかからない
公証役場での定款認証や設立登記の登録免許税もかからず、初期費用が抑えられます。ただし、所轄庁に提出する書類などは煩雑ですので、労力や時間・手間はかかります。
- 税制面での優遇
法人税法上の公益法人等として扱われるため、収益事業を実施した場合にのみ課税され、会費や寄付金は非課税として扱われます。
- 理念や活動内容に共感する人材が集まりやすい
理念や活動内容が情報公開されることから明確になっており、共感を持った人材に職員やボランティアとして関わってもらいやすくなります。
支店を設置したら
支店設置
株式会社の設立後に新たに支店を設置した場合には、本店所在地及び支店所在地を管轄する法務局に対して、その旨を登記する必要があります。
支店の設置は、取締役会設置会社においては取締役会の決議をし、それ以外の会社においては取締役が支店設置の決定をします。
ただし、取締役が2人以上いる会社においては、取締役の過半数をもって決定をします。(定款に別段の定めがある場合を除く)
その他、指名委員会等設定会社では、取締役会の決議により支店設置についての決定を執行役に委任することができます。
支店設置日について
支店設置の手続きは、取締役会や取締役の決議は必要ですが、それだけでは足らず現実の支店の開設が必要です。
支店の開設とは、具体的には支店として活動が開始できる人や物を備えた状態になることですが、現実的には「業務を開始した日」といえるでしょう。
支店設置の登記手続について
支店設置の登記をする際には、本店所在地と支店所在地の管轄法務局によって手続きは異なってきます。
①本店所在地と支店所在地の管轄法務局が同じ場合
この場合では、本店所在地を管轄する法務局にのみ支店設置の登記申請をすれば大丈夫です。
申請先が1ヶ所のために、登録免許税は6万円となります。
②本店所在地を支店所在地の管轄法務局が異なる場合
この場合は、支店所在地の登記申請を本店所在地の法務局を経由して同時に申請することができます。
よって、本店と支店それぞれに申請書を個別に出す必要はありません。(必要がないだけで、個別に申請することも可能です)
登録免許税は本店所在地分の法務局分が6万円、支店所在地の法務局分が9,000円、その他登記手数料として300円の合計69,300円がかかります。
NPO法人の設立を検討されている方へ
NPO法人とは
NPO法人とは、日本では「特定非営利活動法人」といいます。
非営利とは、その活動によって得た利益を構成員に分配しないことをいい、サービスの提供などにより収益を得ること自体は問題ありません。
ただ、その利益を構成員に配当や報酬として分配することはできませんので、あくまでその利益は団体の目的の実現のために活動に使わなければなりません。
非営利で構成員に配当などを分配できないからといって、職員は無償で活動しなければならないとすると組織としては存続することはできませんので、NPO法人の職員が報酬を受け取って事業をすることは全く問題ありません。また、従業員や職員に支払う給与は、労働の対価として適当な額であれば、事業実施のための費用として考えられるので、利益の分配にもあたりません。
要はそのNPO法人本来の活動の目的に沿っているものであれば、収入を得ることも構成員などに給与を支払うことも問題はないということです。
NPO法人のメリット
- 社会的信用度が増す
NPO法人は情報公開が法律上、義務付けられており、透明性も高く、社会的な信頼性も高まります。
- 定款認証や設立登記の登録免許税がかからない
公証役場での定款認証や、設立登記の登録免許税もかからず、初期費用が抑えられます。
- 収益事業のみ法人税が課税される
法人税法上の公益法人等として扱われるため、収益事業を実施した場合にのみ課税され、会費や寄付金は非課税として扱われます。
- 理念や活動内容に共感する人材が集まりやすい
理念や活動内容が情報公開されることからも明確となっており、共感を持った人材に職員やボランティアとして関わってもらいやすくなります。
NPO法人のデメリット
- 情報公開の義務が生じる
NPO法人は関係者だけではなく、広く市民に知ってもらい、また監督され、支えられる目的としているために定款や事業報告書等を情報公開することが義務付けられています。
そのため、定款や事業報告書等は事務所や所轄庁に備え置く必要があります。
- 活動内容に制限がある
NPO法人では、公益的な非営利活動として、特定された20項目の活動の分野に制限されています。
- 設立に際して多くの人員が必要
NPO法人の設立要件として、社員(常時)が10人以上必要です。また、役員は理事3人以上、監事1人以上が必須となります。株式会社が1人でも設立できることから比べても、多くの設立に関わる人が必要となります。
- 所轄庁への各種手続きが必要
NPO法人を設立するには、所轄庁の認証を受けなければなりません。また、設立後も毎事業年度終了後に事業報告書等を所轄庁に提出しなければなりません。
NPO法人の活動目的について
NPO法では、公益的な非営利活動として、20項目の活動が挙げられています。NPO法人が行う活動については、以下の20項目のいずれかに含まれる必要があります。
活動分野20項目 1、 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 2、 社会教育の推進を図る活動 3、 まちづくりの推進を図る活動 4、 観光の振興を図る活動 5、 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 6、 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 7、 環境の保全を図る活動 8、 災害救援活動 9、 地域安全活動 10、人権の擁護又は平和の推進を図る活動 11、国際協力の活動 12、男女共同参画社会の形成の推進を図る活動 13、子どもの健全育成を図る活動 14、情報化社会の発展を図る活動 15、科学技術の振興を図る活動 16、経済活動の活性化を図る活動 17、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 18、消費者の保護を図る活動 19、前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 20、前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
※20項目に含まれるかどうかの判断は、常識的に含まれると考えられるものは、含めることができるとされています。
また、主たる目的とするには、特定非営利活動の割合が50%以上占めてなければならず、具体的には活動の事業費の金額などを見て、総合的に判断されます。
NPO法人設立手続きの流れ
NPO法人の設立は、通常は以下のような流れとなります。
NPO法人は株式会社と違い、公証役場での定款認証は不要です。
また、出資金の払込証明なども必要ありません。
1、設立準備会(発起人会)開催 |
NPO法人を設立したいと考える人たちが集まり、以下のような事項について検討していきます。
●目的 ●定款の起案 ●事業計画、予算案の作成 ●10人以上の社員の確保 ●組織体制の検討 ●役員案の検討 など
⇓
2、認証申請書類の作成 |
設立準備会で検討した内容をもとに、作成した各種申請書類を所轄庁に提出します。通常は書類の不備から1度で受理されることは少なく、計画的に準備していくことがよいでしょう。
⇓
3、審査・公告 |
所轄庁は、認証申請書を受理後インターネットに掲示し、公表します。
また、インターネットなどにおいて定款、役員名簿、事業計画書などが一般に公開(縦覧)されます。
縦覧期間終了後、1~2ヶ月以内に審査が行われます。
⇓
4、認証・不認証の決定 |
認証の場合は認証書が交付されます。不認証の場合はその理由を記した書面で通知されます。認証された場合は、認証書が到達した日から2週間以内に法務局に設立登記申請を行う必要があります。
⇓
5、法務局への設立登記申請 |
認証書の写し・定款の写し・就任承諾及び誓約書の写し・設立時の財産目録の写し代表者の印鑑証明書の写しなど必要な書類を集めた上で、登記申請の手続きを法務局へ申請します。
⇓
6、登記の完了 |
⇓
7、届出 |
登記が終わりましたら、所轄庁に以下の書類を提出します。
・設立登記完了届出書 1部
・登記事項証明書 1部
・登記事項証明書の写し 1部
・設立時の財産目録 2部
当事務所は、行政書士事務所も併設しており、NPO法人設立の際しての認証申請書類作成から登記手続きまで一貫して対応することができます。
NPO法人のみに係わらず、会社全般の設立手続でお困りのことがあれな、是非ご相談ください。
阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも立ち寄りやすい場所にあります。
初回相談・見積り作成は無料です。
父や夫が社長(代表者)である株式会社の相続
社長(代表者)である父や夫が亡くなったら
ご自身の両親や夫が会社経営をされているときに、その方が亡くなられたら、残された家族はどうしていけばよいでしょうか。
個人で不動産や預貯金をお持ちであれば、相続手続きについてはイメージが沸くでしょうが、会社は一体どうしていけばよいのか不安になるでしょう。
ここでは、会社を経営されている方が亡くなられたときの、相続手続きについて説明していきます。
会社の相続とは
会社の相続といっても、単純に代表者の立場を相続して事業を存続していく、ということではありません。
相続人が相続するのは代表者という立場ではなく、その会社の「株式」です。よって、もちろん会社の預貯金や不動産についても相続の対象にはなりません。
株式会社の代表取締役(取締役)は会社との委任関係に基づいて、会社を代表している人のことです。会社の代表取締役がもちろん株主ということは多いでしょうが、一般的には株式と代表取締役は別のものです。
代表取締役(取締役)が亡くなられたら、「退任」手続きをする必要があり、次の代表取締役を株主総会や取締役会で選定しなければなりません。
代表取締役の選定は、あくまで株数に応じた議決権に基づくものになりますので、亡くなられた代表者が過半数の株式を保有しており、その株式を単独で相続した方なら反対にあうことなく、代表者の立場を引き継ぐこともできるでしょう。
しかし、株主が複数おり、それぞれの議決権の割合が小さいときには、株主の過半数の同意を得なければ、自分が後を継ぎたいと思っても、すんなりとはいかないかもしれません。
具体的なケースについて
- 相続人が会社を引き継いで代表者となる場合
代表者に選ばれるには、先程述べました通り、株主総会で決議されるときには株主の過半数の同意が必要です。
亡くなられた方が株式の過半数を持っていたときには、その株式を単独で相続した方は既に過半数を持っていることになりますから、自身を代表者にして会社を引き継いでいくことができるでしょう。
しかしながら、亡くなられた方が株式の過半数を持っていたとしても、相続人が複数いるときは、「相続人同士で株式をどう分けるのか」は重要なポイントです。
法定相続分で株式を相続した結果、議決権の問題で代表者の選定並びに会社運営まで大きな影響が出るでしょう。
もし相続人の中で会社経営に関心がない方がいれば、遺産分割協議により株式の相続分を予め決めてしまうか、他の株主などに譲渡することで解決することもできます。
- 全ての相続人が会社経営を関心がなく、会社をたたみたい場合
この場合には、会社の解散と清算手続きが必要です。株式会社をそのまま残しておくと、法人税の納付義務や決算書申告義務が出てきます。
ただし、会社を誰も引き継がいないので、会社をたたみたいと思っても、会社に大きな借金があるときや代表者が連帯保証人になっているときなどは注意が必要です。
会社に大きな借金があるときや連帯保証人になっていたら
会社を清算するときには、会社の資産などから負債を支払い、負債がなくなっている必要があります。負債が残ったままでは、清算手続きができません。
また注意してほしい点が代表者が会社の借金の連帯保証人になっていたときです。
連帯保証人は、会社が支払えない場合に、個人が連帯してその借金を支払うもので、連帯保証人としての債務も相続の対象となります。
よって、「亡くなられた代表者個人の預貯金や不動産だけ相続して、会社の借金は引き継がない」ということはできません。
連帯保証人になっていたら、会社の借金がいくらあるのか、それに対して個人の資産はどれだけあるのか、を照らし合わせて相続するかどうか検討した方がよいでしょう。
相続をすると選択されたときには、連帯保証人として会社の借金を引き継いでいくことになります。
検討した結果、会社の借金も大きく、連帯保証人としても支払っていくことがでできない、と判断された場合には、相続放棄の手続きをすることになります。
相続放棄が認められれば、借金を引き継ぐことはありませんが、不動産や預貯金などのプラスの財産も相続することができなくなります。
また、相続放棄の手続きは原則「自己のために、相続が開始されたことを知ったときから3ヶ月以内」に行う必要があります。
※相続放棄については、当事務所ホームページ「相続放棄について」もご参照ください。
https://amagasaki-shiho.com/souzokuhouki/
以上のように、亡くなられた方は会社を経営されていたときには、様々な問題が起きてきます。
亡くなられた直後は、気持ちも動転して、すぐに相続手続きのことまで考えられないでしょう。
誰に何を相談すれば分からないこともあるでしょう。
お困りのことがあれば、当事務所で親身に対応いたします。
当事務所は、阪急「塚口」駅徒歩3分に位置しており、お仕事帰りや日中少し時間が空いた時などにでも是非ご相談ください。
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株式移転とは?株式移転の手続きについて
株式移転とは
株式移転とは、1又は2以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることです。よって、株式移転の当事会社は、株式会社でなければなりません。以下、株式移転によって株式を取得させる会社を「完全子会社」、株式を取得する会社を「完全親会社」といいます。
株式移転では、完全親会社が新設されるので、株式を発行することが必要であります。完全子会社の株主から取得する株式の対価として、必ず完全親会社の株式が交付され、完全子会社の株主に対する対価の全てを株式以外の財産とすることはできません。
なお、完全親会社の株式に加えて、完全親会社の社債、新株予約権、新株予約権付社債を交付することはできますが、金銭その他の財産の交付は認められていません。
株式移転をすることにより、完全親会社と完全子会社の関係が築かれるため、グループ企業のホールディングス化の際になどよく用いられます。
株式移転計画の作成
株式会社が、株式移転をする場合には、株式移転計画を作成しなければなりません。株式移転計画には、次に掲げるような事項について定めなければなりません。
株式移転計画に定めなければならない事項(例 |
①完全親会社の目的、商号、本店所在地及び発行可能株式総数 |
②①の他、完全親会社の定款で定める事項 |
③完全親会社の設立時取締役等の氏名 |
④完全親会社が株式移転に際して完全子会社の株主に対して交付するその株式に代わる完全親会社の株式の数又はその数の算定方法、完全親会社の資本金に関する事項 |
⑤完全親会社が株式移転に際して完全子会社の株主に対してその株式に代わる完全親会社の社債等を交付するときは、当該社債等に関する事項 |
⑥完全親会社が株式移転に際して完全子会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる完全親会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権に関する事項 |
株式移転による完全子会社の手続きについて
株式移転の手続きは完全子会社において以下のような手順を踏んでいくために、すぐに株式移転を行うことはできません。最短でも2ケ月程度はかかると思っておいた方が良いでしょう。
完全子会社の手続き | |
承認決議権限 |
原則:株主総会の特別決議 例外:①株式移転をする株式会社が種類株式発行以外の公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合は株主総会の特殊決議が必要。 ②完全子会社が種類株式発行会社である場合において、完全子会社の株主に対して交付する完全親会社の株式等の全部又は一部が譲渡制限株式等であるときは、当該譲渡制限株式等の割当を受ける種類の株式の種類株主総会の特殊決議が必要。 ③株式移転により、特定の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、定款に別段の定めがなり限り、当該種類の株式の種類株主総会の特別決議が必要。 ※株式移転には、吸収分割や吸収合併、株式交換などにあるような簡易手続き又は略式手続きが法定されていません。
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債権者保護手続 |
株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合には、次に掲げるような事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告しなければなりません。(但し、定款で公告方法を日刊新聞紙や電子公告と定めているときは、官報公告に加えて定款の公告方法による公告を行うことで、各別の催告を省略できる) (1)株式移転をする旨 (2)他の完全子会社及び完全親会社の商号及び住所 (3)完全子会社のの計算書類に関する事項として定めるもの(貸借対照表の要旨) (4)債権者が一定の期間内(1か月以下は不可)に異議を述べることができる旨
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書面の備置 |
事前備置 完全子会社は、株式移転計画等の事前開示書類を以下の最も早い日から、本店に備え置くことが必要(効力発生日から6ヶ月経過するまで) ●株主総会の2週間前 ●反対株主への公告または通知の日 ●債権者程手続きの公告または通知の日 ●新株予約権に関する公告または通知の日 事後備置 完全親会社及び完全子会社ともに、設立登記から6ヶ月経過するまで、以下のような事項を記載した事後開示書類を本店に備え置くことが必要 ●効力発生日 ●反対株主の株式買取請求の経過 ●移転株式数
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株式提供及び新株予約権提供公告 |
株券提供公告 株券発行会社であるときは、株式移転の効力が生ずる日までに当該会社に対し全部の株式に係る株券を提供しなければならない旨を公告し、かつ、当該株主及び質権者には、各別催告をしなければなりません。(株券提出日の1ヶ月前までに) 新株予約権証券提供公告 新株予約権証券を発行しているときは、株式移転の効力が生ずる日までに当該会社に対し新株予約権証券を提出しなければならない旨を公告し、かつ、新株予約権者または質権者には、各別催告をしなければなりません。(新株予約権提出日の1ヶ月前までに)
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登記申請の添付書類 |
●株式移転計画書 ●定款 ●株式移転計画を承認した株主総会議事録 ●完全親会社の取締役等の就任を承諾したことを証する書面 ●完全子会社の債権者保護手続書面 ●資本金の計上に関する証明書 ●株主リスト 等 |
反対株主の株式買取請求
株式移転をする場合には、反対株主は完全子会社に対して、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます。
反対株主とは、以下の者を指します。
- 株主総会(種類株主総会決議を要する場合は、種類株主総会を含む)に先立って株式移転に反対する旨を当該完全子会社に通知し、かつ、当該株主総会において株式移転に反対した株主
- 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
完全子会社は、株式移転計画の承認決議をした株主総会の日から2週間以内に、反対株主に対し、株式移転をする旨並びに他の完全子会社及び完全親会社の商号、住所を通知するか公告しなければなりません。
株式移転の効力発生日
株式移転をしたときは、完全親会社については、設立登記の申請が必要となります。株式移転は、完全親会社の設立の日に株式移転の効果が生じることとされていますので、完全親会社の設立登記の日をもって効力が生じます。※公証役場による定款認証は不要です。
なお、完全子会社は株主構成が変わるだけで、通常登記事項に変更を生じませんので、登記する必要はありません。しかしながら、完全親会社が完全子会社の新株予約権者に対して完全親会社の新株予約権を交付した結果、完全子会社の新株予約権が消滅した場合には、完全子会社の新株予約権が消滅した旨を登記する必要があります。
登録免許税について
- 完全親会社の設立登記
原則:資本金の額×1000分の7(0.7%)。ただし、15万円に満たない場合は15万円となります。
例)完全親会社の資本金の額が2,000万円の場合
登録免許税:2,000万円×1000分の7=14万円⇒15万円に満たないので、15万円が登録免許税となります。
- 完全子会社の変更登記
原則:不要
例外:3万円(完全親会社が完全子会社の新株予約権者に対して完全親会社の新株予約権を交付した結果、完全子会社の新株予約権が消滅した場合)
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